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公開番号2024070684
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-23
出願番号2022181316
出願日2022-11-11
発明の名称金属有機構造体薄膜の作製方法
出願人国立大学法人 東京大学,トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C23C 20/00 20060101AFI20240516BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】簡便な手法により均一性の高いMOF薄膜を効率的に作製できる方法を提供すること。
【解決手段】印刷技術を用いて金属イオンと有機配位子を交互に基材上で積層させる、金属有機構造体(MOF)薄膜の作製方法であって、以下の工程:A)基材上に、金属イオンを含む第1の溶液を掃引により塗布する工程;B)次いで、前記基材上に、有機配位子を含む第2の溶液を掃引により塗布する工程;及びC)前記工程A)及びB)を複数回繰り返す工程;及びD)前記基材を乾燥させることにより、金属有機構造体(MOF)薄膜を表面に有する基材を得る工程を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
金属有機構造体(MOF)薄膜の作製方法であって、以下の工程:
A)基材上に、金属イオンを含む第1の溶液を掃引により塗布する工程;
B)次いで、前記基材上に、有機配位子を含む第2の溶液を掃引により塗布する工程;及び
C)前記工程A)及びB)を複数回繰り返す工程;及び
D)前記基材を乾燥させることにより、金属有機構造体(MOF)薄膜を表面に有する基材を得る工程
を含む、作製方法。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
前記工程A)及びB)における塗布が、0.05~0.5mmの溝幅及び0.5~5cmの長さのスリットを有するディスペンサーを所定の速度で掃引し、当該スリットから前記第1又は第2の溶液を基材上に排出することによって行われる、請求項1に記載の作製方法。
【請求項3】
前記工程A)の前に、前記基材上に、前記金属イオンと結合し得る自己組織化単分子膜を形成させる工程をさらに含む、請求項1に記載の作製方法。
【請求項4】
前記工程C)における繰り返し回数を変化させることによって、得られる金属有機構造体(MOF)薄膜の導電性を制御することを含む、請求項1に記載の作製方法。
【請求項5】
前記工程A)及び/又はB)における塗布速度が、1~50μL/sである、請求項1に記載の作製方法。
【請求項6】
前記工程A)及び/又はB)における掃引速度が、1~30mm/sである、請求項1に記載の作製方法。
【請求項7】
前記第1の溶液中における金属イオン濃度が、0.1~10mMである、請求項1に記載の作製方法。
【請求項8】
前記第2の溶液中における有機配位子濃度が、0.1~10mMである、請求項1に記載の作製方法。
【請求項9】
前記基材を所定温度に加熱しながら前記工程A)~C)の各工程を行う、請求項1に記載の作製方法。
【請求項10】
前記基材温度が25~100℃の条件で、前記工程A)~C)の各工程を行う、請求項1に記載の作製方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷技術を用いて均一性の高いMOF薄膜作製する方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
多孔性化合物である金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)は、多孔性配位高分子(PCP:Porous Coordination Polymer)とも呼ばれる材料である。MOFは、金属と有機配位子との相互作用により形成された高表面積の配位ネットワーク構造を有する。近年、このような金属有機構造体に関して、様々な研究開発が行われている。
【0003】
近年、このような金属有機構造体に関して、様々な研究開発が行われている。例えば、センサデバイスにおいて、金属有機構造体から形成された薄膜(MOF薄膜)を活用することが試みられている。このようなMOF薄膜センサデバイスの開発において、再現性のあるデバイスを確立するためには均一なMOF薄膜の作製技術が重要となる。
【0004】
このようなMOF薄膜を作製するための従来手法としては、溶液で合成したMOFを基板上に滴下するドロップキャスト法(例えば、非特許文献1)や、気液界面で合成したMOFを基板上に転写させる転写法(例えば、非特許文献2)が知られている。しかしながら、ドロップキャスト法では、局所的には秩序高いMOFが形成され得るものの、バルクMOFの分散液を用いるため膜全体としては不均一になってしまうという問題があった。また、転写法では、基板上へのMOFの転写量の制御が困難であり、この場合も膜の均一性が十分ではないという課題があった。
【0005】
その他にも、基板上で金属イオンと有機配位子を交互に積層させる、いわゆるLbL(Layer-by-Layer)法に属するいくつかの手法も存在するが、いずれも実用面で十分なものではなかった。例えば、浸漬法は、金属イオン溶液と有機配位子溶液に基板を交互に浸漬させ、基板上にMOF膜を形成させる手法であるが、各段階における浸漬に時間を要するため、プロセスの長時間化が課題となる(例えば、非特許文献3)。また、スプレー法は、金属イオン溶液と有機配位子溶液を交互に基板表面にスプレーすることで、基板上にMOF膜を形成させる手法であるが、大面積化が困難であるのに加え、実際の塗布量に対して過剰量の試薬や溶媒量を必要とするため、経済効率等の点で実用化のための課題があった(例えば、非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Z. Wang, et al., Appl. Phys. Lett., 2020, 117, 093303.
G. Xu, et al, J. Am. Chem. Soc., 2017, 139, 1360.
L. Chen, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2020, 59, 1118.
M. Dinca, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2017, 56, 16510.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、簡便な手法により均一性の高いMOF薄膜を効率的に作製できる方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、印刷技術を用いて金属イオンと有機配位子を交互に基材上で積層させることで、均一性の高いMOF薄膜を形成させることができることを見出した。さらに、かかる方法では、掃引塗布する速度、塗布量、積層数の適宜制御することができ、特に、積層数を変化させることでMOF薄膜の導電性を制御できることを見出した。これらの知見に基づき、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、一態様において、
<1> 金属有機構造体(MOF)薄膜の作製方法であって、以下の工程:A)基材上に、金属イオンを含む第1の溶液を掃引により塗布する工程;B)次いで、前記基材上に、有機配位子を含む第2の溶液を掃引により塗布する工程;及びC)前記工程A)及びB)を複数回繰り返す工程;及びD)前記基材を乾燥させることにより、金属有機構造体(MOF)薄膜を表面に有する基材を得る工程を含む、作製方法
を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、好ましい態様において、
<2>前記工程A)及びB)における塗布が、0.05~0.5μmの溝幅及び0.5~5cmの長さのスリットを有するディスペンサーを所定の速度で掃引し、当該スリットから前記第1又は第2の溶液を基材上に排出することによって行われる、上記<1>に記載の作製方法;
<3>前記工程A)の前に、前記基材上に、前記金属イオンと結合し得る自己組織化単分子膜を形成させる工程をさらに含む、上記<1>に記載の作製方法;
<4>前記工程C)における繰り返し回数を変化させることによって、得られる金属有機構造体(MOF)薄膜の導電性を制御することを含む、上記<1>に記載の作製方法;
<5>前記工程A)及び/又はB)における塗布速度が、1~50μL/sである、上記<1>に記載の作製方法;
<6>前記工程A)及び/又はB)における掃引速度が、1~30mm/sである、上記<1>に記載の作製方法;
<7>前記第1の溶液中における金属イオン濃度が、0.1~10mMである、上記<1>に記載の作製方法;
<8>前記第2の溶液中における有機配位子濃度が、0.1~10mMである、上記<1>に記載の作製方法;
<9>前記基材を所定温度に加熱しながら前記工程A)~C)の各工程を行う、上記<1>に記載の作製方法;
<10>前記基材温度が25~100℃の条件で、前記工程A)~C)の各工程を行う、上記<1>に記載の作製方法;
<11>前記金属イオンが、銅(II)イオン又は亜鉛(II)イオンである上記<1>に記載の作製方法;
<12>前記有機配位子が、前記金属イオンに配位結合する2以上の配位基を有する、上記<1>に記載の作製方法;
<13>前記有機配位子が、カテコール基を有する、上記<1>に記載の作製方法;
<14>前記第1及び/又は第2の溶液における溶媒が、有機溶媒である、上記<1>に記載の作製方法;
<15>前記工程C)の前に、基材表面を溶媒で洗浄する工程をさらに有する、上記<1>に記載の作製方法;
<16>前記自己組織化単分子膜が、前記基材表面と共有結合し得る官能基と、前記金属イオンと結合し得る官能基とを有する分子によって形成される、上記<3>に記載の作製方法;及び
<17>金属有機構造体(MOF)薄膜が、10~100nmの厚さを有する、上記<1>に記載の作製方法
を提供するものである。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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