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公開番号2024035808
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-14
出願番号2023134426
出願日2023-08-22
発明の名称外接歯車ポンプ
出願人国立大学法人 東京大学,株式会社不二越
代理人個人,個人
主分類F04C 2/18 20060101AFI20240307BHJP(液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ)
要約【課題】
外接歯車ポンプにおいて、歯車歯先における、隙間と摩擦のトレードオフの問題を解決する。
【解決手段】
一対の歯車3の歯先が近接する内面を備え、歯車3を収容する内部空間を備えた可動ケーシング2と、可動ケーシング2の外面に対向する内面を備え、可動ケーシング2を収容する収容部を備えた外側ケーシング1と、可動ケーシング2の内部空間は、吸入口側の低圧部位2Aと、吐出口側の高圧部位2Bと、を含み、可動ケーシング2は、外側ケーシング1の収容部内において、可動ケーシング2の内部空間内の流体の圧力差に起因する歯車の偏心による歯先の移動に応じて、歯先から逃げる方向に可動である。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
流体の吸入口と吐出口とを備えたケーシングと、
前記ケーシングに収容された一対の歯車と、
を備えた外接歯車ポンプにおいて、
前記ケーシングは、
前記一対の歯車の歯先が近接する内面を備え、前記一対の歯車を収容する内部空間を備えた可動ケーシングと、
前記可動ケーシングの外面に対向する内面を備え、前記可動ケーシングを収容する収容部を備えた外側ケーシングと、からなり、
前記可動ケーシングの前記内部空間には、前記歯車の回転時に、吸入口側には低圧部位が、吐出口側には高圧部位が形成され、
前記可動ケーシングは、前記外側ケーシングの前記収容部内において、可動ケーシングの内部空間内の流体の圧力差に起因する歯車の偏心による歯先の移動に応じて、前記歯先から逃げる方向に可動である、
外接歯車ポンプ。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記可動ケーシングの外面と前記外側ケーシングの内面との隙間には流体が充填されており、
前記可動ケーシングには、可動ケーシングの内部空間内の前記低圧部位と前記高圧部位との圧力差によって生じる第1の力と、前記可動ケーシングと前記外側ケーシングの隙間内の流体の圧力差によって生じる第2の力が作用し、
前記第2の力によって、前記第1の力を少なくとも部分的にキャンセルするようになっている、
請求項1に記載の外接歯車ポンプ。
【請求項3】
前記可動ケーシングの外側には、前記内部空間内の前記高圧部位の外側に位置して、当該高圧部位と連通することで高圧の流体が充填された高圧室が形成されており、前記高圧室内の流体の圧力を利用することで、前記第2の力を生成するようになっている、
請求項2に記載の外接歯車ポンプ。
【請求項4】
前記可動ケーシングの前記内部空間は、吸入口側の低圧部位と、吐出口側の高圧部位と、を含み、
前記可動ケーシングの外面と前記外側ケーシングの内面との隙間は、前記内部空間内の前記低圧部位の外側に位置し、当該低圧部位と連通する低圧の第1室と、前記高圧部位の外側に位置し、当該高圧部位と連通することで前記高圧室を形成する第2室と、中間圧の流体で満たされた中間圧部と、からなり、前記第1室、前記第2室、前記中間圧部は、シール材によって仕切られており、
前記第1室と前記第2室との圧力差によって前記第2の力が生じる、
請求項3に記載の外接歯車ポンプ。
【請求項5】
前記可動ケーシングの前記内部空間には、前記低圧部位と前記高圧部位との間に位置して中間圧部位が形成されており、
前記可動ケーシングの外面と前記外側ケーシングの内面との隙間の前記中間圧部は、前記可動ケーシングの前記内部空間の前記中間圧部位と連通している、
請求項4に記載の外接歯車ポンプ。
【請求項6】
前記第1の力は、前記可動ケーシングの前記内部空間における圧力分布に基づいて推定される、
請求項2に記載の外接歯車ポンプ。
【請求項7】
前記第1室は、前記可動ケーシングの前記低圧部位の外面を形成する第1面を備え、
前記第2室は、前記可動ケーシングの前記高圧部位の外面を形成する第2面を備え、
前記第2の力は、前記第1面及び前記第2面の面積によって調整可能である、
請求項4に記載の外接歯車ポンプ。
【請求項8】
前記外接歯車ポンプは、内面が前記歯車の側面に近接する一対の側板を備え、
前記一対の側板は前記可動ケーシングと一体化されており、前記可動ケーシングと一体で可動である、
請求項1~7いずれか1項に記載の外接歯車ポンプ。
【請求項9】
前記側板の外面は、前記隙間を介して前記外側ケーシングと近接しており、
前記隙間には中間圧の流体が充填されている、
請求項8に記載の外接歯車ポンプ。
【請求項10】
前記外接歯車ポンプは、内面が前記歯車の側面に近接する一対の側板を備え、
前記一対の側板は前記可動ケーシングと一体化されており、
前記中間圧部には、前記側板の外面と前記外側ケーシングの内面との間の隙間が含まれている、
請求項5に記載の外接歯車ポンプ。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、外接歯車ポンプに係り、詳しくは、油圧機械、油圧ポンプ、油圧アクチュエータ、ロボットアクチュエータ等に関するものである。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
外接歯車ポンプでは、回転体である歯車とケーシング間の隙間が重要となる。歯車ポンプの内部隙間には、軸方向の歯車とケーシングの間の隙間である軸方向隙間と、歯車歯先とケーシングの間の隙間である歯先隙間がある(図1)。外接歯車ポンプにおいて、高圧力が発生すると歯車とケーシングとの間の軸方向隙間と歯先隙間において内部漏れが生じ、圧力低下の原因となる。一方、隙間を無くすように設計すると歯車とケーシングの間に摩擦が生じ、ポンプの効率を低下させる。
【0003】
外接歯車ポンプでは、歯車の軸に対して高圧から低圧側へ偏心力が働くため、図2に示すように歯先が微小変位しケーシングと接触するリスクがある。これは歯車のギア軸(駆動軸、従動軸)とベアリング間のクリアランスや、圧力差による軸のたわみなどによって起きる(図3参照)。これに対して、歯先隙間を大きくすれば、内部漏れ増加の要因となる。従って、歯先隙間を小さくしつつ、摩擦を低減することが重要となる。すなわち、歯車歯先における、隙間と摩擦のトレードオフの問題を解決することが重要である。
【0004】
軸方向隙間については、可動側板を用いて隙間の削減を行う方法(非特許文献1)や、高剛性なセラミックス補強により固定側板の変形による隙間拡大を防ぐ方法(非特許文献2)などが提案されている。しかしながら、固定側板型の歯車ポンプにおいて、固定側板の補強手段を採用しない場合には、ケーシング内の内圧によってケーシングが膨張し、歯車とケーシング間の軸方向隙間が増大し、内部漏れが増加するおそれがある。
【0005】
上述のように、従来の外接歯車ポンプの構造において、歯先の隙間が小さいと圧力差による偏心などで歯先がケーシングに接触し、大きい摩擦が発生する。反対に歯先の隙間が大きいと歯先における摩擦は回避できるが、内部漏れが増加するおそれある。また、固定側板を採用した外接歯車ポンプにおいて、内圧によってケーシングが膨張し、歯車とケーシング間の隙間が増大、内部漏れが増加するおそれがある。
【0006】
また、外接歯車ポンプを備えた油圧アクチュエータは故障しにくいため、大型の建設機械などで広く使われているが、重量出力比を損なうことなくロボットに搭載できるサイズに小型軽量化することが困難であった。歯車とケーシング間の隙間に関する上記課題を解決することは、油圧ポンプの小型軽量化を実現する上でも重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
E. Koc, C. J. Hooke, “An experimental investigation into the design and performance of hydrostatically loaded floating wear plates in gear pumps,” Wear, Vol.209, pp. 184-192, 1997.
M. Komagata, T. Ko, Y. Nakamura, “Design and Development of Compact Ceramics Reinforced Pump with Low Internal Leakage for Electro-Hydrostatic Actuated Robots,” Advances in Mechanism and Machine Science, Vol. 73, pp. 2439-2448, 2019.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、適切な歯車・ケーシング間隙間を備えた外接歯車ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が採用した技術手段は、
流体の吸入口と吐出口とを備えたケーシングと、
前記ケーシングに収容された一対の歯車と、
を備えた外接歯車ポンプにおいて、
前記ケーシングは、
前記一対の歯車の歯先が近接する内面を備え、前記一対の歯車を収容する内部空間を備えた可動ケーシングと、
前記可動ケーシングの外面に対向する内面を備え、前記可動ケーシングを収容する収容部を備えた外側ケーシングと、からなり、
前記可動ケーシングの前記内部空間には、前記歯車の回転時に、吸入口側には低圧部位が、吐出口側には高圧部位が形成され、
前記可動ケーシングは、前記外側ケーシングの前記収容部内において、可動ケーシングの内部空間内の流体の圧力差に起因する歯車の偏心による歯先の移動に応じて、前記歯先から逃げる方向に可動である、
外接歯車ポンプ、である。
典型的には、前記流体は、作動油である。
【0010】
1つの態様では、前記可動ケーシングの外面と前記外側ケーシングの内面との隙間には流体が充填されており、
前記可動ケーシングには、可動ケーシングの内部空間内の前記低圧部位と前記高圧部位との圧力差によって生じる第1の力と、前記可動ケーシングと前記外側ケーシングの隙間内の流体の圧力差によって生じる第2の力が作用し、
前記第2の力によって、前記第1の力を少なくとも部分的にキャンセルするようになっている。
(【0011】以降は省略されています)

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