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公開番号2025169151
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-12
出願番号2025024014
出願日2025-02-18
発明の名称3次元印刷成形用モルタル組成物
出願人エスシージー セメント カンパニー リミテッド
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C04B 28/02 20060101AFI20251105BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】印刷に適した特性と、印刷ヘッドから押し出されたモルタルの良好な安定性を確保する粘度とを有し、圧縮強度が十分であり、収縮が低く、膨張性が高く、CO2排出が少なく、焼成粘土を主要成分とする3次元印刷成形用モルタルを提供する。
【解決手段】本発明に係る3次元印刷成形用モルタル組成物は、セメントと、結合材の乾燥重量の10~50%の焼成粘土と、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムを含むモルタルの乾燥重量の2~5%の膨張剤と、添加剤又は混合剤とを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
・セメントと、
・結合材の乾燥重量の10~50%の焼成粘土と、
・モルタルの乾燥重量の2~5%の膨張剤と、
・細骨材と、
・添加剤又は混合剤と、を含み、
前記焼成粘土は、平均粉末度が5~50マイクロメートルであり、前記膨張剤は、酸化カルシウム及び硫酸カルシウムを含み、前記焼成粘土と前記膨張剤との割合は、2:1~25:1である、ことを特徴とする3次元印刷成形用モルタル組成物。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
前記セメントは、ポルトランドセメント、水硬セメント、混合セメント、高アルミナセメント(アルミネートセメント)、カルシウムサルホアルミネートセメント及びアルカリ活性セメントから選択される1つ以上である、請求項1に記載の3次元印刷成形用モルタル組成物。
【請求項3】
前記焼成粘土は、カオリナイト含有量が20~45%で、非晶質含有量が前記焼成粘土の重量の40~70%である、請求項1に記載の3次元印刷成形用モルタル組成物。
【請求項4】
前記焼成粘土と前記結合材との割合は、10~50%である、請求項1に記載の3次元印刷成形用モルタル組成物。
【請求項5】
前記細骨材の含有量は、前記モルタルの乾燥重量の70~80%である、請求項1に記載の3次元印刷成形用モルタル組成物。
【請求項6】
前記細骨材は、砂、細かく砕いた砂、砕いた石灰岩、再生骨材、又は前記セメントに対して不活性な不活性粒子のうちの1つ以上を含む、請求項1又は5に記載の3次元印刷成形用モルタル組成物。
【請求項7】
前記混合剤は、凝結遅延剤、増粘剤、レオロジー改質剤、再分散性粉末又は繊維を含む、請求項1に記載の3次元印刷成形用モルタル組成物。
【請求項8】
前記凝結遅延剤は、ケイフッ化ナトリウムスクロース又はグルコン酸の官能基化合物である、請求項7に記載の3次元印刷成形用モルタル組成物。
【請求項9】
前記増粘剤は、セルロース又はデンプンエーテルである、請求項7に記載の3次元印刷成形用モルタル組成物。
【請求項10】
前記レオロジー改質剤は、ナフタレン、メラミン又はポリカルボキシレートである、請求項7に記載の3次元印刷成形用モルタル組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
材料科学は、セメント系材料及び3次元印刷成形に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
ポルトランドセメントは、広く使用されている建築材料であり、その製造時に大量のCO

が排出され、特に、I型ポルトランドセメントは、添加剤(混合剤)に対するクリンカーの割合(又はクリンカー比率(クリンカー係数)とも呼ばられる)が高い。一般に、そのクリンカー比率が0.92よりも高い。その結果として、結合材としてポルトランドセメントを使用するモルタル又はコンクリートは、大量のCO

を排出する。セメント中のクリンカーの割合を低減するために一般的に使用される方法は、フライアッシュ、ボトムアッシュ、高炉スラグ、又は焼成粘土などの様々な種類の補助セメント質材料を使用することである。クリンカーを置換材料で置き換えると、初期反応において補助セメント質材料の反応速度がクリンカーよりも遅いため、初期圧縮強度が低下することになる。また、ほとんどの補助セメント質材料は、ポゾラン反応を引き起こすために、クリンカーの水和反応により得られる産物を必要とする。したがって、初期反応をよりよくするために、置換材料の特性を改善する必要がある。この改善は、化学的処理又は物理的処理のいずれかであり得る。既存の製造工程で実行できる化学的処理は、製造工程を制御することによって補助セメント質材料相を制御することであり、或いは、容易に実行できる物理的処理は、例えば、より高い粉末度を達成するために置換材料を粉砕することによって、反応のための表面積を増加させることである。
【0003】
しかしながら、フライアッシュ、ボトムアッシュ又は高炉スラグである補助セメント質材料の組成物又は相は、他の産業からの副産物であるため、効果的に制御できず、一方、焼成粘土の組成は、他の産物による産物(product)ではなく、補助セメント質材料の直接産物(direct production)であるため、効果的に制御できる。したがって、焼成粘土は、CO

排出が少ないセメントの補助セメント質材料として使用するのに適している。
【0004】
より高い粉末度を達成するために粉砕することによって補助セメント質材料を改善すると、セメント又はモルタル及びそのようなセメントを使用するコンクリートの収縮、特に自己収縮及び乾燥収縮タイプの収縮を増加させる。セメント置換材料、特に、焼成粘土である置換材料(本明細書では、焼成粘土を混合したセメントがLC3と呼ばれる)は、より高い粉末度を達成するために細かく砕かれて、クリンカーを置換材料で置き換えることによって低下するセメントの初期反応速度をオフセットする。したがって、焼成粘土をセメントと混合するか又はモルタル若しくはコンクリート作業のためにLC3型セメントを使用すると、粘度が高くなるため、流動性又は作業性が低下し、結合材に対する水の比率を増加させる必要があり、それにより、圧縮強度が低下し、乾燥収縮が増加することになる。結合材に対する水の比率が元の比率と同等である必要がある場合、作用剤又は可塑剤の量を増加させることによって実現できる。それにもかかわらず、自己収縮は、セメント組成物の粉末度が増加することによって、依然として増加する。
【0005】
内部脱水による収縮及び乾燥収縮が増加すると、モルタル及びコンクリートにひび割れが生じやすくなる。このひび割れにより、ワークピース又は建造物の耐用年数を短縮する可能性がある。モルタル又はコンクリートの収縮の低減は、膨張剤(膨張材)又は収縮低減剤混合剤など、収縮をオフセットするのに役立つ混合物を使用することによって実現することができる。混合剤により収縮を低減すると、モルタル又はコンクリートのコストが高くなる。同様に、可塑剤によりモルタル又はコンクリートの流動性又は作業性を改善すると、コストが高くなる。
【0006】
CO

排出を削減する材料の改善に加えて、セメント系材料を用いて3次元印刷成形により建築部品又は建築物を建築する方法は、一般的な建築システムに比べてCO

排出を低減するのに役立つもう1つの方法である。製造工程において、適切な特性を有するモルタルは、所望のワークピースが得られるまで、建造物又はワークピースに沿って層ごとに線状に押し付けられるか又は押し出される。
【0007】
3次元印刷成形に適したモルタルは、印刷ヘッドから押し出されたモルタルが安定性を有するように適切な粘度を有する必要があるが、流し込み又は打設用の一般的なモルタル又はコンクリートのように高い流動性を有してはいけない。したがって、粉末度が高い焼成粘土又はLC3セメントを使用した結果は、上述のとおりである。セメント系材料を用いた3次元印刷成形における焼成粘土又はLC3セメントの使用についての研究として、以下の例が挙げられる。
【0008】
Sumaiya AfrozによってConstruction and Building Materials Journal、Vol.386、2023に発表された文献では、結合材として焼成粘土及び石灰岩を混合したセメントを使用してコンクリート及びモルタルの収縮ひび割れを抑制することが研究されている。当該研究から、結合材として混合焼成粘土(セメントの44%を置き換える)を使用したコンクリートは、結合材として混合焼成粘土を使用しない対照コンクリートよりも早くひび割れることがわかった。これは、初期自己収縮がコンクリートのひずみを引き起こす主な要因であるためである。実験では、セメントの14%、44%及び59%を焼成粘土で置き換えた場合を比較テストし、反応性の高い焼成粘土を使用した。選択された焼成粘土は、47.5%のカオリナイトと含有量が84%の非晶質を含む焼成カオリンであった。実験結果から、セメントを焼成粘土で置き換えたコンクリート及びモルタルの総収縮率(μm/日
0.5
)は、特に初期収縮において、対照コンクリート及びモルタルの総収縮率よりも高く、それにより、収縮ひび割れが対照コンクリートよりも早く生じることがわかった。研究から分かるように、反応性の高い焼成粘土を混合することにより、収縮が増加し、コンクリート/モルタルは、対照コンクリート又は焼成粘土を混合しないコンクリートよりもひび割れやすくなる。
【0009】
2022年4月7日に米国テキサス州オースティンに所在するIcon Technology Inc.によって公開されたタイトルが「3D PRINTABLE PORTLAND LIMESTONE CLAY-BASED MORTAR UTILIZING LOCALLY AVAILABLE MATERIALS」である米国特許第20220106230A1号には、焼成粘土及び低下量のポルトランドセメント(OPC)からなる3D印刷用モルタルが開示されており、当該印刷用モルタルは、乾燥成分として、I/II型ポルトランドセメント、焼成粘土、重質炭酸カルシウム(石灰岩)及び砂の混合物からなる。米国特許第20220106230A1号に係る焼成粘土は、60%を超えるカオリナイトを含有する粘土で製造され、600~800℃の温度、特に、650~850℃の温度で1~2時間焼成された。好ましい形態では、焼成粘土とポルトランドセメントとの比率は、約0.148であり、炭酸カルシウムとポルトランドセメントとの比率は、約0.333であり、砂とポルトランドセメントとの比率は、約3.0であり、水と乾燥モルタルとの比率は、0.39~0.40の範囲にあった。このような比率のモルタルは、3D印刷及び材料圧縮成形に適した作業性を有し、印刷ヘッドから注入される場合、好ましい形状、積層及びグリーン強度を維持することができる。混合物の配合組成における主な要因は、焼成粘土とポルトランドセメントとの比率、炭酸カルシウムとポルトランドセメントとの比率、及び砂とポルトランドセメントとの比率であった。得られたモルタル混合物の圧縮強度は、7日目に約3,300psi(約224ksc)であった。上記発明は、焼成粘土の特性を使用に適するように改善していない。また、上記特許公開では、焼成粘土の使用による問題である収縮及びひび割れに関する特性は、言及されない。
【0010】
これにより、CO

排出が少なく、耐久性に優れた建築又は建造物の3D印刷成形用材料を得るために、焼成粘土を成分とし、ひび割れ特性に優れた3D印刷用モルタル混合物を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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