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公開番号2025152039
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-09
出願番号2024053745
出願日2024-03-28
発明の名称改質フライアッシュの製造方法
出願人株式会社トクヤマ
代理人
主分類C04B 18/08 20060101AFI20251002BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】 原料フライアッシュの未燃カーボン量が多様な場合において、未燃カーボン量が安定的に小さい改質フライアッシュを得るための環境負荷が小さい、効率的な手段を提供することにある。
【解決手段】 未燃カーボン量が予め設定した閾値より大きい原料フライアッシュは加熱法により改質処理して加熱フライアッシュを製造し、未燃カーボン量が閾値以下の原料フライアッシュは篩法にて改質処理して分級フライアッシュを製造した上で、篩法で粗粒分として分離される残渣を単独又は前記閾値より大きい原料フライアッシュと混合して、加熱法により加熱処理して加熱フライアッシュを製造した後、加熱フライアッシュと分級フライアッシュを混合して改質フライアッシュとする。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
原料フライアッシュに含まれる未燃カーボンを低減して、未燃カーボン量の少ない改質フライアッシュを製造するための方法であって、
未燃カーボン量が予め設定した閾値より大きい原料フライアッシュは加熱法により改質処理して加熱フライアッシュを製造し、未燃カーボン量が閾値以下の原料フライアッシュは篩法にて改質処理して分級フライアッシュを製造し、篩法で粗粒分として分離される残渣を該残渣単独で又は前記閾値より大きい原料フライアッシュと混合して、加熱法により加熱処理して加熱フライアッシュを製造し、得られた加熱フライアッシュと分級フライアッシュを混合して改質フライアッシュとする
ことを特徴とする改質フライアッシュの製造方法。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
原料フライアッシュに含まれる未燃カーボンを低減して、未燃カーボン量の少ない改質フライアッシュを製造するための方法であって、
原料フライアッシュに含まれる未燃カーボン量を測定して、
未燃カーボン量が予め設定した閾値より大きい原料フライアッシュを加熱法により改質処理して加熱フライアッシュを製造し、未燃カーボン量が閾値以下の原料フライアッシュを篩法にて改質処理して分級フライアッシュを製造し、篩法で粗粒分として分離される残渣を該残渣単独又は前記閾値より大きい原料フライアッシュと混合して、加熱法により加熱処理して加熱フライアッシュを製造し、得られた加熱フライアッシュと分級フライアッシュを混合して改質フライアッシュとする
ことを特徴とする改質フライアッシュの製造方法。
【請求項3】
改質フライアッシュに含まれる未燃カーボン量の目標範囲を予め設定し、
加熱フライアッシュと分級フライアッシュに含まれる未燃カーボン量をそれぞれ測定して、改質フライアッシュの未燃カーボン量が目標範囲内となる比率で混合することを特徴とする請求項1又は2記載の改質フライアッシュの製造方法。
【請求項4】
改質フライアッシュに含まれる未燃カーボン量が1.5~3.5質量%である請求項1又は2記載の改質フライアッシュの製造方法。
【請求項5】
篩の網の目開きが75~106μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の改質フライアッシュの製造方法。
【請求項6】
加熱手段が流動層式加熱炉を用いた方法であることを特徴とする請求項1又は2記載の改質フライアッシュの製造方法。
【請求項7】
流動層式加熱炉での加熱温度が800~950℃の範囲にあることを特徴とする請求項6記載の改質フライアッシュの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、未燃カーボン量が低減された改質フライアッシュの製造方法に係わる。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
セメント混合材、コンクリート混合材、モルタル混合材等としてフライアッシュが使用されているが、このフライアッシュは、一般に、炭素分の燃え残りとされる未燃カーボン量が少ないものが好適とされている。例えば、フライアッシュ中の未燃カーボン量が多いと、モルタルやコンクリートの表面に未燃カーボンが浮き出し、黒色部が発生することがある。また、モルタルやコンクリートに添加される化学混和剤などの薬剤が、未燃カーボンに吸着されるといった問題がある。
【0003】
日本国内で前記用途に使用可能なフライアッシュはJIS A 6201内に品質が規定されている。品質のグレードとしてはI~IV種が規定されており、中でもII種が多用される。II種の強熱減量は5.0質量%以下と規定されているため、規格を満たす上では0~5.0質量%の範囲内であれば問題ないが、実際は1.5~3.5質量%のフライアッシュが多く流通しており、例えば0.5質量%や4.5質量%といったフライアッシュは流通が少ない。この理由は、強熱減量が0~5.0質量%の範囲内でも大きく変動すると、前記用途に使用する上で均一性に問題が生じるためである。このため、好ましくは1.5~3.5質量%、より好ましくは2.0~3.5質量%の範囲内に変動を抑えることがフライアッシュを前記用途に使用する上で求められている。
【0004】
しかしながら、一般に、火力発電所から発生するフライアッシュは、その未燃カーボン量が一様ではなく、多いもので15質量%ほど存在するものもあり、セメントの少量混合成分や、セメント・コンクリート混合材として好適なものは、一部に限られているのが現状である。
【0005】
このような状況下、フライアッシュに含まれる未燃カーボンを低減する方法が種々提案されおり、例えば、加熱法、篩法などが提案されている。
【0006】
加熱法は、フライアッシュ中の未燃カーボンを効率的に除去できる方法の一つであり、加熱炉内にて未燃カーボンが燃焼することにより、フライアッシュから除去される仕組みとなっており、フライアッシュ中の未燃カーボン量を十分に低減することが可能な手段である。
【0007】
篩法は、フライアッシュ粒子のうち未燃カーボン粒子が比較的大きい状態で存在することから、篩分けを行うことで粗粒分側に未燃カーボンを濃縮させ、微粉側は未燃カーボンの少ないフライアッシュとすることができる手法である。しかしながら、篩法は他法に比べ未燃カーボン量の除去率が小さいことが特徴であり、未燃カーボン量の多い原料フライアッシュなどは十分に低減することが困難である。また、未燃カーボンを多く含む粗粒分が残渣として発生し、その処理が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2019-130507号公報
国際公開第2018/180680号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、加熱法は未燃カーボンを大幅に低減することが可能な手段であるが、化石燃料の使用が必要であり、それにより二酸化炭素が排出されるという問題がある。例えば、特許文献1にはロータリーキルンを用いたフライアッシュの加熱改質装置が記載されている。そして、助燃バーナや外熱バーナなどを使用して加熱炉の温度を高温に制御し、フライアッシュを加熱して未燃カーボンを低減する方法が記載されている。ここで、加熱炉を高温に保持するための熱源としては、バーナから供給される化石燃料の他に、未燃カーボン自体の燃焼があり、炉内の温度を一定にするためには双方から供給される熱源を一定にコントロールする必要がある。即ち、未燃カーボン量が大きくないフライアッシュを加熱法にて改質する場合は、全体における未燃カーボン自体の発熱量が小さくなるため、その分化石燃料を多量に使用しなければならない。従って、多量の二酸化炭素を排出してしまうといった問題に加え、未燃カーボン量の大きくないフライアッシュを改質する場合は化石資源保護の観点からも好ましいとは言えない。
【0010】
一方、篩法においては、未燃カーボン量が十分に低減できないといった問題がある。特許文献2には、目開き90μmと45μmの網を使用して篩分けした際の未燃カーボン量の変化が示されている。未燃カーボン低減効果の大きい45μmの網を使用した場合でも、未燃カーボン量を3質量%以下にするためには、原料フライアッシュの未燃カーボン量がおよそ5質量%以下でないとならないことが示されている。即ち、篩法は未燃カーボン量が大きいフライアッシュには適用不可であるという問題がある。さらには、篩法においてはどうしても残渣が発生するという問題がある。特許文献2には90μmで篩った際に10質量%前後、45μmで篩った際に20質量%前後が残渣として発生することが記載されている。即ち、原料フライアッシュの量に対して、目的とする改質フライアッシュの量が少なくなってしまい、さらに残渣の処理問題が発生するということになる。
(【0011】以降は省略されています)

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