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公開番号
2025146027
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-03
出願番号
2024046592
出願日
2024-03-22
発明の名称
膨張材
出願人
太平洋マテリアル株式会社
代理人
主分類
C04B
28/02 20060101AFI20250926BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】高炉セメントを使用した場合であっても、膨張性能の制御が容易で、その後の強度発現性も良好な膨張材を提供する。
【解決手段】生石灰焼成物、及び無水石膏を含有し、前記無水石膏の10μm未満の粒子含有率が77~85質量%、10μm~100μmの粒子含有率が15~23質量%、最大粒径が100μm以下であることを特徴とする膨張材。また、前記無水石膏のメディアン径(D
50
)が1μm以上5μm未満である前記膨張材。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
生石灰焼成物、及び無水石膏を含有し、前記無水石膏の10μm未満の粒子含有率が77~85質量%、10μm~100μmの粒子含有率が15~23質量%、最大粒径が100μm以下であることを特徴とする膨張材。
続きを表示(約 250 文字)
【請求項2】
前記無水石膏のメディアン径(D
50
)が1μm以上5μm未満である請求項1に記載の膨張材。
【請求項3】
前記生石灰焼成物と前記無水石膏との質量比が、生石灰焼成物:無水石膏=67:33~76:24であることを特徴とする請求項1に記載の膨張材。
【請求項4】
セメントと、請求項1~3いずれか1項に記載の膨張材を含むセメント組成物。
【請求項5】
前記セメントが高炉セメントである請求項4に記載のセメント組成物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートのひび割れ抑制のために使用される膨張材に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
コンクリートは硬化後に気中環境下で乾燥による表面からの水分蒸発により、内部の水分が減少すると収縮が起こる。収縮による応力がコンクリートの引張強度よりも大きくなるとひび割れが発生する。鋼材が内在するコンクリート構造物にひび割れが発生することで、劣化因子が鋼材位置まで達し易くなり、鋼材が腐食し、構造物の耐久性が低下する。このため、コンクリートに膨張材を混和することで予め膨張させ、収縮により発生するひび割れを低減することが広く行われている。
【0003】
コンクリート用の膨張材としては、カルシウムサルホアルミネート等のエトリンガイト生成物を有効成分とするエトリンガイト系膨張材と、遊離生石灰(フリーライム)を有効成分とする石灰系膨張材の二種類が代表的なものとして使用されている。このうち石灰系膨張材は、水和反応活性が高く、特にコンクリートの大規模な初期収縮を抑制する効果に優れることが知られている。石灰系膨張材としては、遊離生石灰をエーライトが内包する形で生成させた膨張性組成物を使用したものが提案されている(例えば特許文献1、2等)。また、遊離生石灰を含有する膨張性焼成物の粒度について検討がなされた、温度依存性が少ない膨張材が提案されている(特許文献3)。
【0004】
一方、近年、二酸化炭素の排出量削減等の観点から、ポルトランドセメントの代替として、高炉セメントやフライアッシュセメント等の混合セメントが注目されている。これらのうち、高炉セメントは、製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末とポルトランドセメントを混合したセメントであり、高炉スラグ微粉末を混合した分、ポルトランドセメントの使用量を低減し、二酸化炭素排出量も削減できる。高炉スラグ微粉末を用いたセメントとしては、JIS R 5201において、高炉セメントとして規格化されている。しかしながら、高炉セメントの水和反応は普通ポルトランドセメントに比べてゆっくり進行し、初期の強度発現性も緩やかである。このような高炉セメントを使用した場合、コンクリートの膨張性能を制御することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開昭50-24320号公報
特開2008-201603号公報
特開2014-129210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高炉セメントを使用した場合であっても、膨張性能の制御が容易で、その後の強度発現性も良好な膨張材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、高炉セメントに膨張材を添加した場合の膨張性の挙動について鋭意検討した結果、高炉セメントを使用する場合は、膨張材中の無水石膏が膨張性能に影響が大きく、さらに検討を進めた結果、無水石膏の粗粒部分の粒度との関係が強く、無水石膏の粒度を所定の粒子含有率に調整することによって、上記の課題を解決できることを見出し、発明を完成した。本発明は、以下の〔1〕~〔5〕に示すものである。
〔1〕生石灰焼成物、及び無水石膏を含有し、前記無水石膏の10μm未満の粒子含有率が77~85質量%、10μm~100μmの粒子含有率が15~23質量%、最大粒径が100μm以下であることを特徴とする膨張材。
〔2〕前記無水石膏のメディアン径(D
50
)が1μm以上5μm未満である〔1〕に記載の膨張材。
〔3〕前記生石灰焼成物と前記無水石膏との質量比が、生石灰焼成物:無水石膏=67:33~76:24であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の膨張材。
〔4〕セメントと、〔1〕~〔3〕いずれかに記載の膨張材を含むセメント組成物。
〔5〕前記セメントが高炉セメントである〔4〕に記載のセメント組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の膨張材を使用することにより、特に高炉セメントを用いた場合においても、良好な膨張性能と強度発現性を容易に得ることができる。これにより、高炉セメントを用いた場合でも、土木学会規準の収縮補償用コンクリートを簡便に製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、生石灰焼成物、および無水石膏を含む膨張材であって、前記無水石膏の10μm未満の粒子含有率が77~85質量%、10μm~100μmの粒子含有率が15~23質量%、最大粒径が100μm以下である。さらに、前記生石灰焼成物と前記無水石膏との質量比が、生石灰焼成物:無水石膏=67:33~76:24であることが好ましい膨張材である。以下に詳しく説明する。
【0010】
本発明における生石灰焼成物とは、主要成分として生石灰(遊離生石灰;f-CaO)を含む焼成物であり、具体的には、石灰石等のCaO原料を焼成して得られる生石灰、及び主要成分として遊離生石灰を含む焼成物である。焼成は、ロータリーキルンや電気炉等の焼成炉が使用され、温度は1100~1500℃で焼成される。生石灰焼成物中の遊離生石灰の含有率は50%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。遊離生石灰以外の成分としては、CaO・3SiO
2
、4CaO・Al
2
O
3
・Fe
2
O
3
、3CaO・Al
2
O
3
、3CaO・3Al
2
O
3
・CaSO
4
等の水硬性化合物が含まれることが好ましい。なお、生石灰焼成物には、原料由来の不純物として、MgO、K
2
O、Na
2
O、MnO、TiO
2
、SO
3
等が少量含まれていてもかまわない。生石灰焼成物は、粉砕され粉末として使用される。生石灰焼成物の粉末度としては、ブレーン比表面積で2000~5000cm
2
/gが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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