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公開番号2025139741
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-29
出願番号2024038744
出願日2024-03-13
発明の名称チタン酸バリウム粒子の分散液、およびその製造方法
出願人日揮触媒化成株式会社
代理人弁理士法人前田特許事務所
主分類C01G 23/00 20060101AFI20250919BHJP(無機化学)
要約【課題】熱安定性が高く、かつ結晶子径の小さなBTO粒子を提供する
【解決手段】
本発明によるペロブスカイト構造のチタン酸バリウム粒子の分散液は、ペロブスカイト構造のチタン酸バリウム粒子と、溶媒と、を含み、チタン酸バリウム粒子の結晶子径が25nm以下であり、ペロブスカイト構造のBサイトに存在するチタンの一部が、チタン以外の金属元素に置換された状態である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ペロブスカイト構造のチタン酸バリウム粒子と、溶媒と、を含む分散液であって、
前記チタン酸バリウム粒子の結晶子径が25nm以下であり、
前記ペロブスカイト構造のBサイトに存在するチタンの一部が、チタン以外の金属元素に置換された状態である分散液。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
前記チタン酸バリウム粒子をX線回折測定装置により測定したとき、ペロブスカイト構造のメインピークが31.207deg以下で検出されることを特徴とする請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
前記チタン酸バリウム粒子を500℃で焼成することにより得られる焼成品をX線回折測定装置により測定したとき、前記焼成品の結晶子径D

と焼成前の前記チタン酸バリウム粒子の結晶子径D
o
の比〔D

/D
o
〕が1.3以下であることを特徴とする請求項1に記載の分散液。
【請求項4】
前記チタン酸バリウム粒子を500℃で焼成することにより得られる焼成品をX線回折測定装置によって測定したとき、ペロブスカイト構造以外に帰属され且つ最も強度が高いピークI
i
と、ペロブスカイト構造のメインピークの強度I
p
との比〔I
i
/I
p
〕が0.1以下であることを特徴とする請求項1に記載の分散液。
【請求項5】
前記チタン酸バリウム粒子に含まれる前記金属元素のモル数(M)と前記チタン酸バリウム粒子に含まれるチタンのモル数(Ti)との合計量に対して、前記金属元素のモル数(M)の割合〔M/(Ti+M)〕が0.5%以上であることを特徴とする請求項4に記載の分散液。
【請求項6】
動的光散乱法により測定した平均粒子径が100nm以下である請求項1に記載の分散液。
【請求項7】
バリウムの水酸化物のアルキルセロソルブ溶液を調製する第一工程と、
前記アルキルセロソルブ溶液を40℃以上の状態で脱水する第二工程と、
前記アルキルセロソルブ溶液にチタンアルコキシドを添加する第三工程と、
金属元素(ただし、チタンとバリウムを除く)の化合物を含む前記アルキルセロソルブ溶液に水を含む溶媒を添加する第四工程と、
前記アルキルセロソルブ溶液を20℃以上で6時間以上熟成する第五工程と、を順に備えるチタン酸バリウム粒子の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はチタン酸バリウム粒子の分散液、およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【0002】
ペロブスカイト構造のチタン酸バリウム(BTO)は高い誘電率を持つので、BTO粒子は積層セラミックコンデンサ(MLCC)の誘電体層に用いられている。金属Ni粒子を主成分とする電極層がBTO粒子を主成分とする誘電体層と交互に重なり、MLCCを形成している。MLCC作製時の焼成工程では、電極層中の金属Ni粒子の焼結が始まる温度(以下、焼結が始まる温度を焼結開始温度と呼称する)と、誘電体層中のBTO粒子の焼結開始温度の差が大きいほど、MLCCにクラックが生じ易い。焼結開始温度の差を小さくするため、電極層に共材として微量のBTO粒子を添加している。
【0003】
MLCCの小型化に伴い、電極層に用いられるNi粒子も小さくなっている。そのため、共材として用いるBTO粒子の粒子径も小さい必要がある。粒子径が小さい粒子は結晶子径も小さい。小さい(結晶子径が25nm以下)BTO粒子の製造方法として、水酸化バリウム(アルカリ土類金属の水酸化物)とアルキルセロソルブの混合溶液にチタンアルコキシドを添加した後、チタンアルコキシドを加水分解する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2012-240904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された小さい結晶子径のBTO粒子を用いることにより、MLCCを小型化することができる。しかしながら、結晶子は小さいほど熱安定性が低いので、MLCC製造時の焼成工程でBTO粒子同士が結合し、共材としての効果が小さくなる。すなわち、焼結開始温度の差が大きくなり、MLCCにクラックが発生してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、熱安定性が高く、かつ結晶子径の小さなBTO粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ペロブスカイト構造のBサイトに存在するチタン(Ti)の一部をチタン以外の金属元素に置換し、良好な熱安定性を持つBTO粒子を実現させた。すなわち、本発明によるペロブスカイト構造のチタン酸バリウム粒子の分散液は、ペロブスカイト構造のチタン酸バリウム粒子と、溶媒と、を含み、チタン酸バリウム粒子の結晶子径が25nm以下であり、ペロブスカイト構造のBサイトに存在するチタンの一部が、チタン以外の金属元素に置換された状態である。
【0008】
また、本発明のチタン酸バリウム粒子の分散液の製造方法は、バリウムの水酸化物のアルキルセロソルブ溶液を調製する第一工程と、アルキルセロソルブ溶液を40℃以上の状態で脱水する第二工程と、アルキルセロソルブ溶液にチタンアルコキシドを添加する第三工程と、金属元素(ただし、チタンとバリウムを除く)の化合物を含むアルキルセロソルブ溶液に水を含む溶媒を添加する第四工程と、アルキルセロソルブ溶液を20℃以上で6時間以上熟成する第五工程と、を順に備える。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ペロブスカイト構造のチタン酸バリウム(BTO)粒子を含む分散液に関する。溶媒中に分散されているBTO粒子の結晶子径は小さい(25nm以下)。小さい結晶子の熱安定性は低いので、MLCC作製時の焼成工程で、MLCC中の小さい結晶子同士が結合してしまう。その結果、MLCCにクラックが発生してしまう。そこで本発明では、BTO粒子のペロブスカイト構造のBサイトの一部を、Bサイトに本来存在しているチタンの代わりに、チタン以外の金属元素が占めている(以下、この金属元素を置換元素と呼称する)。これにより、結晶子の熱安定性が高くなる。ここで、ペロブスカイト構造の結晶子内に置換元素が1原子でも存在すれば、結晶子の表面エネルギーが低くなり(つまり、結晶子が安定化し)、結晶子同士の結合に必要なエネルギーが高くなると推測される。また、結晶子表面側に置換元素が存在する場合、結晶子の表面エネルギーが低くなりやすい。結晶子の内部(中心部)に置換元素が存在する場合でも、BTO粒子の結晶子径が小さく、表面からの距離が近いので、置換元素が結晶子の表面エネルギーを低くしていると推測される。ただし、結晶子径が小さすぎると、熱安定性が低くなるため、結晶子径は5nm以上が好ましい。結晶子径はXRDにより測定できる。
【0010】
BTO粒子中に存在する置換元素の割合が高いほど、結晶子の表面エネルギーが低くなる。そのため、BTO粒子中に含まれる置換元素のモル数(物質量ともいう)Bとチタンのモル数Tiの合計に対する置換元素のモル数の割合〔置換元素のモル数B/(チタンのモル数Ti+置換元素のモル数B)〕は0.5%以上が好ましい。この割合は1%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。ただし、結晶子同士の結合に必要なエネルギーが高くなるのは、この割合が50%までである。すなわち、Bサイトに存在する元素のうち、置換元素の割合が半分となるまでである。
(【0011】以降は省略されています)

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