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公開番号2025135571
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-18
出願番号2025029794
出願日2025-02-27
発明の名称上下の柱部材の溶接接合構造および溶接接合工法ならびに上下の柱部材
出願人日鉄建材株式会社
代理人弁理士法人山名国際特許事務所
主分類E04B 1/58 20060101AFI20250910BHJP(建築物)
要約【課題】保有耐力接合を満足しない場合の対応策を案出することにより、柱継手(中空断面の柱部材の接合部位)の位置を柱仕口部よりも強度を低くして設計できる等、従来の過度な設計を合理的な設計に変更することを実現できる、施工性、経済性、及び合理性に優れた上下の柱部材の溶接接合構造および溶接接合工法ならびに上下の柱部材を提供する。
【解決手段】上下に配置される中空断面の柱部材1の突き合わせ溶接接合において、溶接接合部の破断耐力と比し、柱部材1の全塑性曲げ耐力が同等以下となるように柱部材1の側面に開口部1aが設けられた状態で接合されている。下方の柱部材1の側面に開口部1aが設けられている。下方の柱部材1aは、柱梁接合部10又は柱脚部の上面に立設されている。上下の柱部材1が、1箇所以上溶接しない部分を残して突き合わせ溶接接合2されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
上下に配置される中空断面の柱部材の突き合わせ溶接接合において、
溶接接合部の破断耐力と比し、前記柱部材の全塑性曲げ耐力が同等以下となるように前記柱部材の側面に開口部が設けられた状態で接合されていることを特徴とする、上下の柱部材の溶接接合構造。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
下方の前記柱部材の側面に開口部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載した上下の柱部材の溶接接合構造。
【請求項3】
下方の前記柱部材は、柱梁接合部又は柱脚部の上面に立設されていることを特徴とする、請求項2に記載した上下の柱部材の溶接接合構造。
【請求項4】
上下の前記柱部材が、1箇所以上溶接しない部分を残して突き合わせ溶接接合されていることを特徴とする、請求項1に記載した上下の柱部材の溶接接合構造。
【請求項5】
前記溶接しない部分は、上下の柱部材の間であって、エレクションピースの取り付け部位に対応する位置であることを特徴とする、請求項4に記載した上下の柱部材の溶接接合構造。
【請求項6】
前記柱部材の側面に設けた開口部の面積全体の大きさは、前記溶接しない部分の面積全体の大きさ以上に設定されていることを特徴とする、請求項4に記載した上下の柱部材の溶接接合構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載した上下の柱部材の溶接接合構造に用いられることを特徴とする、上下の柱部材。
【請求項8】
エレクションピースを備えて上下に配置される中空断面の柱部材の突き合わせ溶接接合工法であって、
前記エレクションピースを用いて、上方の前記柱部材を、下方の前記柱部材に対して位置合わせを行なって仮固定する工程と、上下の前記柱部材を溶接する工程と、前記エレクションピースを撤去する工程とからなり、
前記溶接する工程は、上下の前記柱部材間の溶接において、前記エレクションピースの取り付け部位に対応する位置は溶接せずに残しておくこと、及び
下方の前記柱部材は、その側面に予め、前記溶接せずに残した部分の面積全体の大きさ以上の開口部を有していることを特徴とする、上下の柱部材の溶接接合工法。
【請求項9】
下方の前記柱部材は、柱梁接合部又は柱脚部の上面に立設していることを特徴とする、請求項8に記載した上下の柱部材の溶接接合工法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、上下に配置される中空断面の柱部材の突き合わせ溶接接合構造の技術分野に属する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
上下に配置される中空断面の柱部材を工事現場にて完全溶込み溶接で接合する場合、エレクションピース(及びスプライスプレート)を用いて上下の柱部材を仮固定し、最初の2~3パス程度溶接した後にエレクションピースを切断もしくは取り外してから再度残りの溶接を行い、完全溶込み溶接で仕上げる方法、又は、前記柱部材をエレクションピース(及びスプライスプレート)で溶接エリアを区画分けし、区分けしたエリアの半分を先にエレクションピース位置を始終端として数層溶接した後にエレクションピースを切断もしくは取り外してから再度残りのエリアの溶接を行い、完全溶込み溶接で仕上げる方法が一般的である。
よって従来、前記した一般的な溶接方法において、エレクションピース(及びスプライスプレート)がじゃま板となるため、「溶接」→「エレクションピースの切断もしくは取り外し」→「溶接」と溶接作業が分断される等、作業効率のわるいことが課題となっている。
【0003】
近年においては、特許文献1~4に開示されているように、溶接ロボットを導入することで溶接作業の効率化を図っているものの、「溶接」→「エレクションピース(又は建て入れ治具)の切断もしくは取り外し」→「溶接」と溶接作業が分断されていることに変わりはない。
【0004】
ところで、非特許文献1の第103頁の中程には、柱継手(中空断面の柱部材の接合部位)は、応力が小さい位置に設定することが望ましく、はり天端(またはダイアフラム)から1.5D(Dは柱外径)以上離すことが望ましい、旨の記載が認められる。よって、当該記載を勘案し、現場では床面(梁上)から1m程度離した位置に柱継手の位置を設定する場合が多い。
中空断面の柱部材に作用するせん断力によって生じる曲げモーメント分布を考慮すると、柱継手の位置における曲げモーメントは柱仕口部より小さくなるので、柱仕口部より強度が低くても建物全体の構造性能としては問題ない。しかしながら、現場における柱継手の位置は、中空断面全周を完全溶込み溶接で設計および施工され、柱において最も応力状態が厳しく、破壊や座屈起点になりやすい柱仕口部の柱-ダイアフラム溶接部と同等の性能および品質を確保している等、過度な設計および施工がなされているのが実状である。
【0005】
その一方、前記「柱仕口部より強度が低くても建物全体の構造性能としては問題ない」とは言え、柱継手の位置を柱仕口部よりも強度を低くして設計することは、実際の現場施工で保有耐力接合を満足しない場合を招く恐れがあった。しかしながら、現状、このような場合の対応策がなかった。よって、前記「柱仕口部より強度が低くても建物全体の構造性能としては問題ない」とは言え、人命にかかわる構造設計について柱継手の位置を柱仕口部よりも強度を低くして設計できないでいるのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2018-53626号公報
特開2019-155409号公報
特開2021-65899号公報
特開2022-146750号公報
一般財団法人日本建築センター発行 「冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル 2018年版」第102頁、第103頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
仮に、前記した保有耐力接合を満足しない場合の対応策を案出することができれば、柱継手の位置を柱仕口部よりも強度を低くして設計できる等、従来の過度な設計を合理的な設計に変更することができるので、より有益であることは明らかである。
【0008】
本発明は、上述した背景技術の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、保有耐力接合を満足しない場合の対応策を案出することにより、柱継手(中空断面の柱部材の接合部位)の位置を柱仕口部よりも強度を低くして設計できる等、従来の過度な設計を合理的な設計に変更することを実現できる、施工性、経済性、及び合理性に優れた上下の柱部材の溶接接合構造および溶接接合工法ならびに上下の柱部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る上下の柱部材の溶接接合構造は、上下に配置される中空断面の柱部材の突き合わせ溶接接合において、
溶接接合部の破断耐力と比し、前記柱部材の全塑性曲げ耐力が同等以下となるように前記柱部材の側面に開口部が設けられた状態で接合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した上下の柱部材の溶接接合構造において、下方の前記柱部材の側面に開口部が設けられていることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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