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公開番号2025131978
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-10
出願番号2024029262
出願日2024-02-29
発明の名称熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および成形品
出願人東レ株式会社
代理人
主分類C08L 67/00 20060101AFI20250903BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】
難燃性および耐ブリードアウト性に優れるとともに、高いウェルド強度を有し、射出成形時の成形圧力の安定性に優れる成形品を得ること。
【解決手段】
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)リン酸エステル化合物10~100重量部、および(C)融点が200℃以下であるアミン化合物を1.0~10.0重量部配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)リン酸エステル化合物10~100重量部、および(C)融点が200℃以下であるアミン化合物を1.0~10.0重量部配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、さらに(D)トリアジン骨格を有する含窒素複素環化合物を10~100重量部配合してなることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C)融点が200℃以下であるアミン化合物が、ヒンダードアミン化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項4】
前記ヒンダードアミン化合物の融点が90℃以上、140℃以下であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)リン酸エステル化合物の重量部と前記(C)融点が200℃以下であるアミン化合物の重量部の比((A)成分100重量部に対する(B)成分の重量部/(A)成分100重量部に対する(C)成分の重量部)が5~50であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、(A-1)ポリブチレンテレフタレートおよび(A-2)ポリエチレンテレフタレートからなり、その配合比(重量比)は(A-1)/(A-2)=80/20~20/80であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1または2に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関するものである。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた射出成形性や機械物性などの諸特性を生かし、機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品などの幅広い分野に利用されている。しかし、熱可塑性ポリエステル樹脂は本質的に可燃性であるため、機械機構部品、電気・電子部品、自動車部品などの工業用材料として使用するためには、火炎に対する安全性、すなわち難燃性が要求され、UL-94規格のV-0を示す高度な難燃性が必要とされる場合が多い。ポリエステル樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂にコンパウンドする方法が一般的であるが、環境意識の高まりから、ハロゲン系有機化合物の環境に及ぼす影響を懸念する動きがある。そこで、近年、これらハロゲンを全く含まない非ハロゲン系難燃剤を用いることが強く望まれるようになり、例えばホスフィン酸塩類やホスファゼン化合物、リン酸エステル化合物などのリン系難燃剤、およびメラミンシアヌレートなどの窒素系難燃剤を難燃剤として配合することが提案されており、なかでもリン酸エステル化合物は、ポリエステル樹脂組成物の機械強度の低下を抑制しながら難燃性を向上できることから多用されている。
【0003】
非ハロゲン系難燃剤のなかでもリン酸エステル化合物を用いた難燃性樹脂組成物としては、例えば、熱可塑性ポリエステル、メタクリル樹脂、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、有機ホスフィン酸金属塩などのリン系難燃剤、ならびに窒素系難燃剤を配合してなる樹脂組成物(特許文献1)や、ポリエステル系樹脂などのベース樹脂と、ポリフェニレンオキシド系樹脂やポリフェニレンスルフィド系樹脂、リン酸エステル類、窒素含有環状化合物から構成される難燃剤、ならびに無機充填剤を配合してなる樹脂組成物(特許文献2)、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などから選ばれる熱可塑性樹脂、リン酸エステル系難燃剤、アルカリ金属塩、トリアジン系化合物とシアヌル酸またはイソシアヌル酸との塩を配合してなる樹脂組成物(特許文献3)、熱可塑性ポリエステル樹脂、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ナノチューブ、多官能エポキシ化合物を配合してなる樹脂組成物(特許文献4)ポリエステル樹脂、特定構造のリン酸エステル化合物、シアヌル酸メラミン、強化充填剤、ならびに炭化水素系ワックスを配合してなる樹脂組成物(特許文献5)などが開示されている。またリン酸エステル化合物は、成形品表面へのブリードアウトが生じやすい課題があり、特に特許文献1~3では熱可塑性ポリエステル樹脂以外の樹脂成分の配合による、リン酸エステル化合物に由来するブリードアウトの抑制を試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2014/021101号
国際公開第2003/046083号
特開2008-169363号公報
特開2021-14478号公報
特開平9-151305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の機械機構部品、電気部品や電子部品および自動車部品などの製品形状の複雑化に伴い、製品の射出成形時にウェルド部が形成される場合がある。その場合、機械強度が低いウェルド部で製品破損が生じる課題があった。特許文献1~5に開示されている熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、ウェルド部に存在するリン酸エステル化合物が起点となって破壊が生じる場合があった。また、成形品の小型化、薄肉化に対応する精密成形の要求が高まっており、それに対して、可塑剤としても作用するリン酸エステル化合物を配合することで、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の流動性を向上させ成形している場合がある。特許文献1~5に開示されている熱可塑性ポリエステル樹脂組成物では、リン酸エステル化合物の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中の分散不良に起因すると考える、射出成形時のショットごとの流動性のばらつきが生じて、製品の充填不足やバリが発生する場合があった。
【0006】
以上のことから、特許文献1~5に開示された技術においては、優れた難燃性および耐ブリードアウト性を有しながら、ウェルド部を有する成形品に適した高いウェルド強度や、成形品の小型化、薄肉化に対応した射出成形時の成形圧力の安定性に優れる材料を得ることが困難である。
【0007】
本発明では、難燃性、耐ブリードアウト性、高いウェルド強度、および射出成形時の成形圧力の安定性に優れる成形品を得ることのできる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびその成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記した課題を解決するために検討を重ねた結果、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)リン酸エステル化合物を10~100重量部、および(C)融点が200℃以下であるアミン化合物を1.0~10.0重量部配合することにより、上記した課題を解決できることを見出し、本発明に達した。すなわち本発明は、以下の構成を有する。
[1](A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)リン酸エステル化合物10~100重量部、および(C)融点が200℃以下であるアミン化合物を1.0~10.0重量部配合してなる熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[2](A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、さらに(D)トリアジン骨格を有する含窒素複素環化合物を10~100重量部配合してなることを特徴とする[1]に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[3]前記(C)融点が200℃以下であるアミン化合物が、ヒンダードアミン化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[4]前記ヒンダードアミン化合物の融点が90℃以上、140℃以下であることを特徴とする[3]に記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[5]前記(B)リン酸エステル化合物の重量部と前記(C)融点が200℃以下であるアミン化合物の重量部の比((A)成分100重量部に対する(B)成分の重量部/(A)成分100重量部に対する(C)成分の重量部)が5~50であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[6](A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、(A-1)ポリブチレンテレフタレートおよび(A-2)ポリエチレンテレフタレートからなり、その配合比(重量比)は(A-1)/(A-2)=80/20~20/80であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、臭素含有樹脂などのハロゲン系難燃剤を含有せず、難燃性、耐ブリードアウト性に優れるとともに、高いウェルド強度を有し、射出成形時の成形圧力の安定性に優れる成形品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物について、詳細に説明する。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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