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公開番号
2025116950
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-12
出願番号
2024011499
出願日
2024-01-30
発明の名称
クロマトグラムの形状判定方法
出願人
東ソー株式会社
代理人
主分類
G01N
30/86 20060101AFI20250804BHJP(測定;試験)
要約
【課題】液体クロマトグラフィーで使用される段数、分離度、非対称係数などの指標を使用しないで、クロマトグラムの形状から容易に分離の状態を判別できることを可能とする方法を提供する。
【解決手段】液体クロマトグラフィーにて標準試料を用いてリファレンスと検証クロマトグラムの類似性の判定法であって、
1).クロマトグラムの開始点での出力がゼロになるようオフセット処理実施
2).標準試料の基準となる第一の成分の規格値(H)、およびクロマトグラム全体に対する上限値(M)を事前設定
検出された第一の成分のオフセット後の出力(S)と第一成分の規格値(H)の比(H/S)を、クロマトグラムの各時間の出力に乗じ、上限値(M)を超えた場合、新たな出力値を上限値(M)とし、上限値(M)以下の場合、乗じて得られた値を新たな出力値とし、規格化クロマトグラムを取得し、類似性を評価する方法。
【選択図】図8
特許請求の範囲
【請求項1】
液体クロマトグラフィーにおける複数成分から成る標準試料を用い、比較の元となるリファレンスクロマトグラムと検証を行うクロマトグラムの類似性の判定法であって、判定の前に、前記2つのクロマトグラムに対して以下の処理を施し、
1).前記2つのクロマトグラムの開始点(時間ゼロ)での出力がゼロになるようオフセット処理を実施し、
2).標準試料を構成する複数の成分のうち、基準となる第一の成分の規格値(H)、およびクロマトグラム全体に対する上限値(M)を事前に設定しておき、
前記2つのクロマトグラムで検出された第一の成分のオフセット後の出力(S)と前記第一成分の規格値(H)の比(H/S)を、前記2つのクロマトグラムの各時間の出力に乗じ、その結果、前記上限値(M)を超えた場合、新たな出力値を上限値(M)とし、前記上限値(M)以下の場合、乗じて得られた値を新たな出力値とし、規格化したクロマトグラムを取得し、
リファレンスクロマトグラムと検証クロマトグラムの類似性を評価する方法。
続きを表示(約 920 文字)
【請求項2】
液体クロマトグラフィーにおける複数成分から成る標準試料を用い、比較の元となるリファレンスクロマトグラムと検証を行うクロマトグラムの類似性の判定法であって、
判定の前に、前記2つのクロマトグラムに対して以下の処理を施し、
1).前記2つのクロマトグラムの開始点(時間ゼロ)での出力がゼロになるようオフセット処理を実施し、
2).クロマトグラム全体に対する上限値(M)を事前に設定しておき、前記オフセット後の出力(S)が前記上限値(M)を超えた場合、新たな出力値を上限値(M)とし、前記上限値(M)以下の場合、前記オフセット後の出力値を新たな出力値とし、補正したクロマトグラムを取得し、
リファレンスクロマトグラムと検証クロマトグラムの類似性を評価する方法。
【請求項3】
請求項1で得られた規格化後のリファレンスクロマトグラムと検証クロマトグラムの、各時間と出力からコサイン距離を算出し、類似性の前記2つのクロマトグラムの類似性を判断する方法。
【請求項4】
請求項2で得られた規格化後のリファレンスクロマトグラムと検証クロマトグラムの、各時間と出力からコサイン距離を算出し、類似性の前記2つのクロマトグラムの類似性を判断する方法。
【請求項5】
請求項3の手法を用いて、液体クロマトグラフィーにおける2以上の成分からなる標準試料を用いたクロマトグラムの類似性を判別する方法。
【請求項6】
請求項4の手法を用いて、液体クロマトグラフィーにおける2以上の成分からなる標準試料を用いたクロマトグラムの類似性を判別する方法。
【請求項7】
請求項3の手法を用いて、液体クロマトグラフィーを用いたグリコヘモグロビン(HbA1c)測定において、S-A1cピークを第一の成分とし、クロマトグラムの類似性を判別する方法。
【請求項8】
請求項4の手法を用いて、液体クロマトグラフィーを用いたグリコヘモグロビン(HbA1c)測定において、S-A1cピークを第一の成分とし、クロマトグラムの類似性を判別する方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィーのクロマトグラムのパターンの変化を経験や知見がなくとも判別できる技術に関するものである。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィーは種々混合物の分離定量に用いられる手法である。カラム(充填剤)と試料成分の特性、溶離液との相互作用の差異により分離が行われ、各種検出器により各成分を検出するものである。定性分析の場合、同じ分離条件では、各成分は特定の時間に溶出することを利用し、成分が何かを特定するのが一般的な方法である。定量分析の場合は、事前に複数の濃度既知の標準試料により、濃度と検出器出力の関係(検量線)を事前に取得しておき、未知試料で得られた検出器の出力から検量線を用いて濃度を算出する。
【0003】
液体クロマトグラフィーは低分子化合物、合成高分子、タンパク質等、様々な試料の分離を行なうことができるが、その目的により分離の原理が異なる「分離モード」を使用する。低分子化合物などは、「逆相クロマトグラフィー」、合成高分子などは分子サイズの違いによる「サイズ排除クロマトグラフィー」などの分離モードが多用される。タンパク質の分離の場合は、サイズ排除クロマトグラフィーや電荷の差異により分離を行なう「イオン交換クロマトグラフィー」が多用される。
【0004】
近年では、液体クロマトグラフィーを臨床検査の分野で使用されることも多くなっている。その代表的な適用としては、糖尿病の指標をされるHbA1c(ヘモグロビンS-A1c)の測定である。これは、血液検体(患者検体)を溶血および希釈したのち、イオン交換樹脂が充填されたカラムに注入し、イオン強度の異なる複数の溶離液によりヘモグロビンを各分画に分け、可視吸収検出器(415nm付近)で検出し、S-A1cピーク分画の量から、HbA1cを算出するものである(イオン交換クロマトグラフィー)。実際には、全体のピーク面積の総和に対するS-A1cピーク面積の比と、事前の標準試料検体から作成された検量線からHbA1c%を計算し、臨床的に使用される。ここで得られるHbA1c%の精度を担保するため、クロマトグラムの形状が正常か否かを常に確認することが重要である。
【0005】
一般的なHPLCでは、カラムの性能、分離性能等を、「カラム理論段数」、「分離度」、「シンメトリー係数」、「ピーク対称度」などのパラメータにより表している(図1参照)。しかしながら、これらのパラメータは溶離液組成を一定とした「アイソクラティック溶出」では有用であるが、溶離液組成を徐々に変化させたり、階段状に変化させる「グラジエント溶出」では必ずしも、カラムの性能、分離性能等を正確に表すことができないことがある。リニアグラジエント、ステップグラジエント溶出では、本来溶出するであろう成分ピークを、溶出力を意図的に高め、早く溶出させるためである(図3参照)。
【0006】
液体クロマトグラフィーを用いたHbA1c%の測定は、イオン強度の異なる溶離液を切り替えて分離を行なうため、同様の課題がある。また、前記のHbA1c測定のHPLCでは、測定時間が1分以下と極端に早いため、前記パラメータによる性能判断が難しい面がある。図2は段数2216のカラムを想定し、10分で溶出する場合と、1分で溶出する場合の段数を算出した場合である。
【0007】
例えば、目的の成分が10分で溶出する場合は半値幅が0.5分、1分で溶出する場合は半値幅が0.05分となる。仮に、半値幅が0.01分変動した場合は、10分の場合は、段数は2130~2307と小さな変動だが、1分の場合は、段数は1539~3463と大きく変動してしまい、段数で性能評価するには信頼性が低い。
【0008】
液体クロマトグラフィーを用いたHbA1c%の測定では、各種ヘモグロビン分画(ピーク)は完全に分離していないことから、分離能を算出することが困難なことがある。また、カラム段数に関しては、最後の画分であるヘモグロビンA0ピークでしか算出できず、その溶出時間も1分程度と非常に早いため、算出される段数の値はそもそも低く、分離性能を正確に表すことができない。そのため、現状では測定値が異常になったり、カラム圧力が高くなるなどの現象が発生するか否かで判断するか、クロマトグラム形状で判断を行っているのが現状であり、自動で判断できることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液体クロマトグラフィーで使用される段数、分離度、非対称係数などの指標を使用しないで、クロマトグラムの形状から容易に分離の状態を判別できることを可能とする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
液体クロマトグラフィーを用いたHbA1c%の測定は、全ヘモグロビン分画の総面積に対するS-A1cピーク面積の比率から算出される。HbA1c%は5~6%程度であり、S-A1cピーク面積%も5~6%程度で、85~90%がヘモグロビンA0、残りが他のヘモグロビン分画のピークとなる。量の少ない「その他の分画」が先に溶出し、目的のS-A1cが溶出し、最後に主成分のA0が溶出するのが一般的なクロマトグラムのパターンである。図4から分かるように、フルスケールでクロマトグラムを表示すると、量の少ないS-A1cピーク、その他の分画ピークの変動が分かり難いため、拡大して表示あるいは印刷されることが多い。また、分離に使用される溶離液は可視光領域で大きな吸収を持たないが、僅かにバックグラウンドを有する。このバックグラウンドは理論的には常に一定であるが、種々の環境要素により僅かに変動する。
(【0011】以降は省略されています)
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