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公開番号2025112618
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-01
出願番号2024006957
出願日2024-01-19
発明の名称エンジンの制御装置
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類F01N 3/023 20060101AFI20250725BHJP(機械または機関一般;機関設備一般;蒸気機関)
要約【課題】PMを捕集するフィルタの昇温処理(再生処理)を実施する際に、制御のハンチングを防止して適切にエンジンを運転することが可能なエンジンの制御装置を提供する。
【解決手段】1気筒フューエルカットを実行することにより、排ガス中のPMを捕集するフィルタを昇温して、フィルタに堆積したPMを燃焼させるエンジンの制御装置において、PMの堆積量に基づいて、フィルタに進入する排ガスの目標温度bを設定し、1気筒フューエルカットを実行する前の排ガスの実温度aと目標温度bとの差に基づいて、燃焼気筒に対する目標当量比pを設定して特定気筒フューエルカットを実行し、特定気筒フューエルカットの実行中の排ガスの実温度cが目標温度bに追従するように当量比pを補正する(ステップS7,S8)。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数の気筒を有し、運転中に前記複数の気筒のうちの一つまたは一部だけ燃料の供給を休止する特定気筒フューエルカットを実行することにより、排ガス中の粒子状物質を捕集するフィルタを昇温して前記フィルタに堆積した前記粒子状物質を燃焼させるエンジンの制御装置であって、
前記エンジンを制御するとともに、前記特定気筒フューエルカットを実行するコントロールユニットを備え、
前記コントロールユニットは、
前記フィルタに堆積した前記粒子状物質の堆積量に基づいて、前記フィルタに進入する前記排ガスの目標温度を設定し、
前記特定気筒フューエルカットを実行するにあたり、前記特定気筒フューエルカットを実行する前の前記排ガスの実温度と前記目標温度との差に基づいて、前記複数の気筒のうちの前記燃料を供給する燃焼気筒に対する目標当量比を設定し、
前記目標当量比となるように前記燃焼気筒への燃料供給量を制御して前記特定気筒フューエルカットを実行し、
前記特定気筒フューエルカットの実行中の前記実温度が前記目標温度に追従するように前記目標当量比を補正する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジン(内燃機関)の制御装置に関し、特に、複数の気筒を有するエンジンの運転中に、一つまたは一部の気筒だけ燃料の供給を休止することが可能なエンジンの制御装置に関するものである。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関では、PM(Particulate Matter)を捕集するフィルタを再生するための昇温処理(または、再生処理)が行われる。昇温処理は、例えば、複数の気筒のうち、一つの気筒の空燃比をリッチ(理論空燃比未満)に制御し、他の気筒の空燃比をリーン(理論空燃比以上)に制御すること、あるいは、複数の気筒のうちの一つまたは一部だけ燃料の供給を休止するフューエルカット(1気筒フューエルカット、特定気筒フューエルカット、もしくは、部分気筒フューエルカット)を実施することにより、フィルタおよび触媒の温度を上昇させる処理である。そのような1気筒フューエルカットあるいは特定気筒フューエルカットを実施することにより、燃焼させる気筒を燃料が多いリッチの状態にするとともに、フューエルカットする気筒から、新気、すなわち、燃焼前の酸素がフィルタに送り込まれる。それにより、いわゆる後燃え現象を誘発させてフィルタの温度を高め、フィルタに堆積したPMを燃焼させて除去することができる。すなわち、フィルタの再生を促進することができる。
【0003】
そのような1気筒フューエルカットあるいは特定気筒フューエルカットによる昇温処理を実施する際に、想定以上の未燃燃料が触媒に流入することによる過熱を抑制することを目的とした内燃機関の制御装置が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された内燃機関の制御装置は、GPF(Gasoline Particulate Filter)に捕集されたPMを燃焼除去して再生するための昇温処理として、リッチ燃焼処理を実行する。リッチ燃焼処理では、エンジンの複数の気筒のうちの一部の気筒への燃料供給が停止される。それとともに、混合気の燃焼を行う燃焼気筒に対して理論空燃比よりもリッチとなるように、燃焼気筒の目標当量比(当量比の目標値)が設定され、燃料噴射が行われる。
【0004】
また、特許文献2には、GPFの温度が過度に高くなる前に、GPFの再生処理を中止することを目的とした内燃機関の制御装置が記載されている。この特許文献2に記載された内燃機関の制御装置は、GPFが捕集したPMの量が多くなると、一部の気筒の燃焼制御を停止するとともに、残りの気筒における混合気の空燃比を理論空燃比よりもリッチとする再生処理を実行する。その際に、GPFの温度、および、GPFが捕集したPMの量を都度取得し、再生処理の実行中に、それらGPFの温度(推定温度)とPMの量(堆積量)に応じて許容値を設定する。そして、所定期間にGPFに流入する空気量が許容値を超えた場合に、再生処理を中止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2022-90743号公報
特開2023-119819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1および特許文献2に記載された内燃機関の制御装置では、昇温処理(あるいは、再生処理)を実行する際に、GPFにおけるPMの堆積量とGPFの推定温度に基づいて、燃焼気筒に対する噴射量の目標当量比が決定されている。特に、目標当量比を設定するための入力情報としてGPFの推定温度が使用されていることから、上記のような昇温処理の開始前におけるGPFの状態および実際の温度の違いを判別できない。そのため、本来、維持すべきGPFの目標温度が変更されてしまうおそれがある。昇温処理におけるGPFの目標温度が変化すると燃焼気筒に対する目標当量比も変動してしまい、その結果、エンジンを運転する際に制御のハンチングが生じてしてしまう。
【0007】
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、PMを捕集するフィルタの昇温処理あるいは再生処理を適切に実施するとともに、制御のハンチングを防止して適切にエンジンを運転することが可能なエンジンの制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は、複数の気筒を有し、運転中に前記複数の気筒のうちの一つまたは一部だけ燃料の供給を休止する特定気筒フューエルカット(または、部分気筒フューエルカット)を実行することにより、排ガス中の粒子状物質(PM)を捕集するフィルタを昇温して前記フィルタに堆積した前記粒子状物質を燃焼させるエンジンの制御装置であって、前記エンジンを制御するとともに、前記特定気筒フューエルカットを実行するコントロールユニットを備え、前記コントロールユニットは、前記フィルタに堆積した前記粒子状物質の堆積量に基づいて、前記フィルタに流入する前記排ガスの目標温度を設定し、前記特定気筒フューエルカットを実行するにあたり、前記特定気筒フューエルカットを実行する前の前記排ガスの実温度と前記目標温度との差に基づいて、前記複数の気筒のうちの前記燃料を供給する燃焼気筒に対する目標当量比(当量比の目標値)を設定し、前記目標当量比となるように前記燃焼気筒への燃料供給量を制御して前記特定気筒フューエルカットを実行し、前記特定気筒フューエルカットの実行中の前記実温度が前記目標温度に追従するように前記目標当量比を補正することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明のエンジンの制御装置では、特定気筒フューエルカットを実行することにより、フィルタおよび触媒が高温の状態にされ、フィルタに堆積した粒子状物質が燃焼させられて除去される。すなわち、フィルタが再生される。そのような特定気筒フューエルカットを実行する際には、フィルタに堆積した粒子状物質の堆積量に基づいて排ガスの目標温度(入りガス温度の目標値)が設定される。例えば、マップの形態で粒子状物質の堆積量ごとに排ガスの目標温度が定められており、そのようなマップを基に排ガスの目標温度が算出される。すなわち、この発明のエンジンの制御装置では、従来技術のようなフィルタの推定温度を使用せずに、排ガスの目標温度が設定される。また、この発明のエンジンの制御装置では、特定気筒フューエルカットを実行する際に、その特定気筒フューエルカットの実行前の排ガスの実温度と排ガスの目標温度との差に基づいて、特定気筒フューエルカットを実行する際の燃焼気筒に対する目標当量比が設定される。そして、この発明のエンジンの制御装置では、特定気筒フューエルカットを開始した後には、その特定気筒フューエルカットの実行中の排ガスの実温度と排ガスの目標温度との差を減少させるように、上記の目標当量比が補正される。すなわち、排ガスの実温度と目標温度との差に基づいて、エンジンの特定気筒フューエルカットがフィードバック制御される。このように、この発明のエンジンの制御装置では、フィルタの推定温度を用いず、代わりに、排ガスの実温度を用いて、上記のような特定気筒フューエルカットによるフィルタの昇温および再生が行われる。そのため、フィルタの状態や実際の温度の違いを判別できないことによる制御目標値の不適当な変更を回避できる。すなわち、制御目標値(排ガスの目標温度)を一定にして制御のハンチングを防止することができる。
【0010】
したがって、この発明のエンジンの制御装置によれば、特定気筒フューエルカットを実行して、PMを捕集するフィルタの昇温処理あるいは再生処理を適切に実施するとともに、制御のハンチングを防止して適切にエンジンを運転することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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