発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は吸音構造体に関する。 続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】 【0002】 現代社会において、自動車、航空機、鉄道、工事現場、オフィスビル、集合住宅等で生じる騒音の対策は重要な課題である。自動車においては、エンジン由来の騒音をはじめ、電動化に伴ってロードノイズやタイヤパターンノイズ、風切り音、モーター音といった新たな騒音源が顕在化している中、乗員に静粛で快適な空間を提供するためにも車内騒音の低減が要求されている。また、オフィスビル、集合住宅等の建物においては、室内における人の会話やオーディオ機器からの音の聞き取りやすさを向上する等、室内音響の向上のために適切な吸音が必要となる。このような課題を解決するために、従来からウレタンフォームやグラスウールといった吸音材が用いられている。一方、これらは低周波における吸音性能が悪く、低周波で十分な吸音を実現するためには厚みの大きな部材が必要となる。乗物の低燃費化や省スペース化の観点から、低周波数騒音をよく吸収するコンパクトな吸音部材がますます求められている。そこで、特許文献1~2および非特許文献1~2には、小型で大きな吸音効果を発揮できるヘルムホルツ共鳴器を有する吸音構造体が提案されている。 【0003】 特許文献1に記載された吸音構造体は、複数の開口部を有する板状部材と、剛体壁と、板状部材と剛体壁との間に設けられた背後空気層と、開口部に接続された延長部材と、を備えており、延長部材の少なくとも延長部が背後空気層内に収容されている。 【0004】 特許文献2に記載された吸音部材は、形状と大きさとの少なくとも何れかが互いに異なる複数の空洞部を有する。複数の空洞部に含まれる空洞部の壁を構成する板状部材には、空洞部の内部と外部とを連通させる穿孔が形成されている。板状部材の表面には、複数の穿孔が形成された第1領域と、第1領域に隣接し穿孔が形成されていない第2領域とが含まれている。 【0005】 非特許文献1に記載された吸音構造体は、互いに寸法が異なるネック部が埋め込まれた複数のヘルムホルツ共鳴器が一体化した構成を有している。 【0006】 非特許文献2に記載された吸音構造体は、平面形状が円形である複数のヘルムホルツ共鳴器が平面的に並べて配置された構成を有している。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0007】 特開2013-8012号公報 特開2023-24421号公報 【非特許文献】 【0008】 ”Compact broadband acoustic sink with coherently coupled weak resonances”, S. Huang, Z. Zhou, D. Li, T. Liu, X. Wang, J. Zhu, Y. Li, Science Bulletin 65 (2020), 373-379. ”Broadening perfect sound absorption by composite absorber filled with porous material at low frequency”, B. Cheng, N. Gao, Y. Huang, H. Hou, Journal of Vibration and Control (2020),1-15. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 特許文献1~2および非特許文献1~2に記載されている構成によると、ある程度の吸音効果が得られるが、より大きな吸音効果を発揮する吸音構造体がさらに望まれている。また、特許文献1に記載されている構成では、吸音対象である周波数の範囲が狭い。特許文献2に記載されている構成では、ネック部が無いため吸音効果が小さい上に、吸音対象である周波数の範囲を広くするためには多数の穿孔を形成する必要があり、大型化するとともに製造コストが高くなる。非特許文献1に記載されている構成では、大きい吸音効果を得るために多数のヘルムホルツ共鳴器を必要とするため、製造コストが高い。非特許文献2に記載されている構成では、吸音対象である周波数の範囲が狭い。 【0010】 そこで、本発明の目的は、低周波騒音に対して広い周波数範囲にわたって大きな吸音効果が得られ、構成が簡単で、薄型化や軽量化が可能であり、製造コストの低い吸音構造体であって、特に、電気自動車の車両内の騒音低減や人の会話の聞き取りやすさ向上のために課題となる500Hz~1000Hzの周波数帯で高い吸音特性を示す吸音構造体を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する