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公開番号2025081588
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-27
出願番号2025026678,2023142905
出願日2025-02-21,2019-03-04
発明の名称組織からの目的の領域の隔離および発現分析のための方法、組成物、およびデバイス
出願人クァンタムサイト, インコーポレイテッド
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類G01N 1/28 20060101AFI20250520BHJP(測定;試験)
要約【課題】平らな組織切片中の少なくとも1つの目的の領域から細胞構成要素を単離する方法が、本明細書で提供される。
【解決手段】上記方法は、インサイチュであり、組織から領域を規定するために固定化したヌクレオチドアレイの下準備を要しない。上記方法は、組織切片上に疎水性マスクをインサイチュで準備して、目的の領域を隔離し、続いて、表面張力アレイを必要に応じて使用して、上記疎水性マスクによって境界線を描いた特定の目的の領域に、抽出および/または分析試薬を添加および/または除去することを包含し得る。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
図面に記載の発明。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年3月2日出願の米国仮出願第62/637,998号、発明の名称「METHODS, COMPOSITIONS, AND DEVICES FOR
ISOLATION AND EXPRESSION ANALYSIS OF REGIONS OF INTEREST FROM A TISSUE SECTION」および2018年6月28日出願の米国仮出願第62/691,559号、発明の名称「METHODS, COMPOSITIONS, AND DEVICES FOR ISOLATION AND EXPRESSION ANALYSIS OF REGIONS OF INTEREST FROM A TISSUE SECTION」(これらの全体は、本明細書に参考として援用される)に基づく優先権を主張する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
発明の背景
組織サンプルからの遺伝子およびタンパク質発現の従来の臨床分析は、核酸およびタンパク質を切片(例えば、組織の生検物)から抽出することを要する。選択機構が存在しないので、これらの切片に基づく分析は、組織内の種々の細胞タイプ(例えば、上皮、結合組織、および免疫)の発現プロフィールおよびDNA/RNA配列データの複合を表す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の要旨
いくつかの局面では、本開示は、配列決定または分析のために、固体基材上の平らな組織切片で少なくとも1つの目的の領域から生体分子を単離する方法であって、前記方法は、(a)固体基材上の前記平らな組織切片に、規定された目的の領域からポリマーで境界線を描いて、非物理的流体バリアを形成する工程であって、ここで前記目的の領域は、直径1mmより小さい工程;および(b)前記少なくとも1つの規定された目的の領域内の細胞をインサイチュで選択的に破壊する工程、を包含する方法を提供する。いくつかの局面では、本開示は、配列決定または分析のために、固体基材上の平らな組織切片で少なくとも1つの目的の領域から生体分子を単離する方法であって、前記方法は、前記平らな組織切片に、前記固体基材上の平らな組織切片中の前記少なくとも1つの目的の領域の境界線を描く化学的マスクを付与する工程、を包含し、ここで前記化学的マスクは、前記少なくとも1つの目的の領域内の細胞の選択的破壊に適したバリアを形成し、前記化学的マスクは、物理的流体境界ではない、方法を提供する。いくつかの局面では、本開示は、配列決定または分析のために、固体基材上の平らな組織切片で少なくとも1つの目的の領域から生体分子を単離する方法であって、前記方法は、前記固体基材上の平らな組織切片中の前記目的の領域内の細胞の破壊に適した溶媒を分与して、遊離した細胞構成要素を含む液滴を形成する工程、を包含し、ここで前記液滴は、前記目的の領域の外側の組織から、物理的バリアなしに流体連通から隔離される、方法を提供する。いくつかの局面では、本開示は、組織切片中の複数の目的の領域から生体分子を単離および検出する方法であって、前記方法は、疎水性マスクを組織切片に付与し、前記平らな組織切片中の少なくとも1000個の目的の領域が、物理的バリアなしに互いとの流体連通から隔離される工程、および前記少なくとも1000個の目的の領域内の細胞からインサイチュで遊離した複数のタンパク質または核酸を検出し、前記タンパク質または核酸の空間位置情報が保持される工程、を包含する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記方法は、直径約100ミクロンより小さいかまたは直径約100ミクロンに等しい目的の領域を隔離し得る。いくつかの実施形態では、前記組織切片は、FFPE組織切片である。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記細胞からインサイチュで遊離した複数のタンパク質または核酸を検出する工程を包含し、前記検出する工程は、前記細胞からインサイチュで遊離した前記核酸を配列決定することを包含する。いくつかの実施形態では、前記配列決定することは、前記インサイチュで遊離した核酸を、前記目的の領域の位置を識別するバーコードでタグ化することを包含する。いくつかの実施形態では、前記バーコードは、表面に連結されない。いくつかの実施形態では、前記タグ化することは、インサイチュで遊離したRNAをタグ化することを包含し、(a)特有の核酸配列を含むオリゴヌクレオチドを、前記少なくとも1000個の目的の領域に付与すること;および(b)第1鎖および第2鎖cDNA合成を、前記少なくとも1000個の目的の領域に対して行い、前記目的の領域は、互いから隔離されること、を包含する。本方法のいくつかの実施形態では、前記目的の領域から合成したcDNA分子間で前記特有の核酸配列の相互汚染が低減される。いくつかの実施形態では、前記第1鎖cDNA合成は、インサイチュで行われる。いくつかの実施形態では、前記第1鎖および第2鎖cDNA合成は、インサイチュで行われる。いくつかの実施形態では、前記細胞からインサイチュで遊離した核酸を配列決定することは、mRNAおよびゲノムDNAの両方を配列決定することを包含する。いくつかの実施形態では、前記細胞からインサイチュで遊離した核酸を配列決定することは、mRNAを配列決定することを包含する。いくつかの実施形態では、前記mRNAを配列決定することは、前記mRNAから生成したcDNAに対して行われる前増幅ステップを包含する。いくつかの実施形態では、前記前増幅ステップは、LM-PCR、ランダムヘキサマープライマーでのPCR、ポリA特異的プライマーでのPCR、またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、前記細胞からインサイチュで遊離した核酸を配列決定することは、ゲノムDNAを配列決定することを包含する。いくつかの実施形態では、前記ゲノムDNAを配列決定することは、前記ゲノムDNAに対して行われる全ゲノム増幅(WGA)ステップを包含する。いくつかの実施形態では、前記WGA工程は、変性オリゴヌクレオチドプライム(DOP)PCR、マルチ置換増幅(MDA)、マルチアニーリングおよびループ形成ベースの増幅サイクル(MALBAC)、PicoPlex、自己縮重プライマーでの等温増幅、またはこれらの組み合わせである。
【0004】
いくつかの局面では、本開示は、組織切片であって、前記切片に、物理的バリアなしに互いとの流体連通から隔離される、少なくとも1000個の水性液滴を含む、組織切片を提供する。いくつかの実施形態では、前記組織切片は、前記1000個の水性液滴を、互いとの流体連通から隔離する疎水性マスクを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1000個の水性液滴は、少なくとも1000個の特有のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記疎水性マスクは、少なくともシアノアクリレートポリマーの層を含む。いくつかの実施形態では、前記疎水性マスクは、少なくとも非シリル化フルオロアルキル層を含む。いくつかの実施形態では、前記非シリル化フルオロアルキル層は、フルオロアクリレートまたは非シリル化ペルフルオロアルカン化合物を含む。いくつかの実施形態では、前記組織切片は、少なくともペルフルオロアルキルシラン層を含む。いくつかの実施形態では、前記ペルフルオロアルキルシラン層は、ペルフルオロアルキルトリクロロシランまたはペルフルオロアルキルトリス(ジメチルアミノ)シランを含む。いくつかの実施形態では、前記ペルフルオロアルキルトリクロロシランは、FOTS(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン)である。いくつかの実施形態では、前記ペルフルオロアルキルトリス(ジメチルアミノ)シランは、PF10TAS(ペルフルオロデシルトリス(ジメチルアミノ)シラン)である。いくつかの実施
形態では、前記オリゴヌクレオチドは、表面に連結されない。
【0005】
いくつかの局面では、本開示は、固体基材上の平らな組織切片中の少なくとも1つの目的の領域から細胞構成要素を単離する方法であって、前記方法は、(a)前記平らな組織切片に、前記固体基材上の平らな組織切片中の前記少なくとも1つの目的の領域の境界線を描く化学的マスクを付与する工程;および(b)1種またはこれより多くの抽出薬剤を含む溶液を、前記目的の領域上に分与し、それによって、前記少なくとも1つの目的の領域内で境界線を描かれた細胞を選択的に溶解することによって、前記少なくとも1つの目的の領域内の細胞構成要素を溶解する工程、を包含する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記溶液を前記目的の領域上に分与する工程は、(a)前記1種またはこれより多くの抽出薬剤を含む溶液を、第2の固体基材の表面上に位置づけられた少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素を含む薬剤移動デバイスに分与すること;(b)前記第2の固体基材の表面上に位置づけられた前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素を、前記平らな組織切片に接触させ、前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素は、前記平らな組織切片中の前記少なくとも1つの目的の領域に空間的に対応することであって、ここで前記接触させることは、前記1種またはこれより多くの抽出薬剤を含む溶液を、前記平らな組織切片中の前記少なくとも1つの目的の領域に移動させることを可能にし、それによって、前記少なくとも1つの目的の領域中の細胞構成要素を、前記1種またはこれより多くの抽出薬剤を含む溶液中で溶解させること、を包含する。いくつかの実施形態では、前記方法は、少なくとも1つの溶解させた細胞構成要素を、前記固体基材上の平らな組織切片中の前記少なくとも1つの目的の領域から単離する工程、をさらに包含する。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記少なくとも1つの目的の領域から溶解させた前記細胞構成要素の中で核酸を配列決定する工程、をさらに包含する。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記少なくとも1つの目的の領域から溶解させた前記細胞構成要素の中でタンパク質に対してタンデム質量分析を行う工程、をさらに包含する。いくつかの実施形態では、前記(b)における溶液は、可溶性タグをさらに含み、ここで前記可溶性タグは、前記少なくとも1つの目的の領域に対応する。いくつかの実施形態では、前記可溶性タグは、オリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、前記目的の領域に対応するサンプルインデックス配列、および必要に応じて、特有の分子識別子配列を含む。いくつかの実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、前記目的の領域に対応する電荷タグを含む。いくつかの実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは2本鎖である。いくつかの実施形態では、前記オリゴヌクレオチドは、ビーズに結合体化される。いくつかの実施形態では、前記可溶性タグは、タンデム質量タグである。いくつかの実施形態では、前記1種またはこれより多くの抽出薬剤は、1種またはこれより多くの界面活性剤、プロテアーゼ、張度調節剤、カオトロープ、ヌクレアーゼ、緩衝液、プロテアーゼインヒビター、ホスファターゼインヒビター、またはヌクレアーゼインヒビターを含む。いくつかの実施形態では、前記化学的マスクは、接触角60~155度を有する。いくつかの実施形態では、前記化学的マスクは、フルオロアルカンまたはフルオロアクリルポリマーを含む疎水性マスク溶液を介して付与される。いくつかの実施形態では、前記化学的マスク溶液は、アクリレートまたはシアノアクリレートを含む溶液を介して付与される。いくつかの実施形態では、前記化学的マスク溶液は、溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記溶媒は、ピロピレングリコール誘導体、フルオロカーボン、またはアルコールである。いくつかの実施形態では、前記溶媒は、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロ-2-メチルペンタン、ペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロデカリン、または1,3-ジフルオロプロパンである。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの目的の領域は、円形であり、前記目的の領域の直径は、1mmもしくはこれ未満、500ミクロンもしくはこれ未満、250ミクロンもしくはこれ未満、125ミクロンもしくはこれ未満、100ミクロンもしくはこれ未満、80ミクロンもしくはこれ未満、50ミクロンもしくはこれ未満、25ミクロンもしくはこれ未満、または15ミクロンもしくはこれ未満である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの目的の領域は、面積約7.8×10

平方ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、前記第2の固体基材の表面に位置づけられた前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素は、疎水性領域によって境界線が描かれた少なくとも1つの親水性領域を含む。いくつかの実施形態では、前記第2の固体基材の表面に位置づけられた前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素は、10,000ピコリットルもしくはこれ未満、1,000ピコリットルもしくはこれ未満、500ピコリットルもしくはこれ未満、250ピコリットルもしくはこれ未満、100ピコリットルもしくはこれ未満、50ピコリットルもしくはこれ未満、10ピコリットルもしくはこれ未満、または2ピコリットルもしくはこれ未満の溶液体積を送達し得る。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの親水性領域の境界線を描く前記疎水性領域は、接触角60~155度を有する。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記平らな組織切片中の1個より多くの目的の領域から細胞構成要素を溶解させることを包含する。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記平らな組織切片中の少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも1000個、または少なくとも10,000個の目的の領域からの細胞構成要素を溶解させることを包含する。いくつかの実施形態では、前記平らな組織切片中の少なくとも1つの目的の領域の境界線を描く前記疎水性マスクは、グリッドパターンを含む。いくつかの実施形態では、前記平らな組織切片中の少なくとも1つの目的の領域の境界線を描く前記疎水性マスクは、楕円を含む。いくつかの実施形態では、前記固体基材上の平らな組織切片中の少なくとも1つの目的の領域の境界線を描く前記疎水性マスクは、圧電式インクジェット送達デバイスを使用して前記平らな組織切片に付与される。いくつかの実施形態では、前記平らな組織切片は、約2~約50μm厚である。いくつかの実施形態では、前記平らな組織切片は、約1~約15μm厚である。いくつかの実施形態では、前記平らな組織切片は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片である。前記平らな組織切片は、固定されていない組織切片である。
【0006】
いくつかの局面では、本開示は、第1の固体支持体上の平らな組織切片中の少なくとも1つの目的の領域から細胞構成要素を単離するためのシステムであって、前記システムは、(a)前記疎水性マスクで境界線が描かれる少なくとも1つの目的の領域を含む第1の固体支持体上の平らな組織切片;(b)前記平らな組織切片中の少なくとも1つの目的の領域と整列させるために、前記固体基材の表面に位置づけられた少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素を含む第2の固体支持体であって、前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素は、1種またはこれより多くの抽出薬剤を含む溶液を含む、第2の固体支持体;ならびに(c)前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素を含む前記固体支持体に連結され、前記固体支持体を移し得、前記固体基材の表面に位置づけられた前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素が、疎水性マスクで境界線を描かれた平らな組織切片中の前記少なくとも1つの目的の領域と接触し得る電動式ステージ、を含むシステムを提供する。いくつかの局面では、前記システムは、(i)前記電動式ステージの位置を制御するように構成され、前記第2の固体基材上の表面に位置づけられた前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素は、前記組織切片中の少なくとも1つの目的の領域と接触するコンピューターシステム、をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記疎水性マスク溶液は、(i)疎水性マスク溶液を前記固体支持体上の組織切片に送達し得る圧電式インクジェット送達デバイス、および(ii)前記圧電式インクジェット送達デバイスを制御して、前記疎水性マスク溶液で前記平らな組織切片中の少なくとも1つの目的の領域の境界線を描いて、疎水性マスクを生成するように構成されたコンピューターシステムによって付与される。いくつかの実施形態では、前記第2の固体基材の表面に位置づけられた前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素は、疎水性領域によって境界線が描かれる少なくとも1つの親水性領域を含む。いくつかの実施形態では、前記疎水性マスク溶液は、C7F15CH2OCOC(CH3)=CH2、FC-722、PerFluoroCoat、またはFluoroPelのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、前記疎水性マスク溶液は、アクリレートまたはシアノアクリレートのうちの少なくとも一方を含む。いくつかの実施形態では、前記第2の固体基材の表面に位置づけられた前記少なくとも1つの薬剤移動アレイ要素は、10,000ピコリットルもしくはこれ未満、1,000ピコリットルもしくはこれ未満、500ピコリットルもしくはこれ未満、250ピコリットルもしくはこれ未満、100ピコリットルもしくはこれ未満、50ピコリットルもしくはこれ未満、10ピコリットルもしくはこれ未満、または2ピコリットルもしくはこれ未満の溶液体積を送達し得る。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの親水性領域の境界線を描く疎水性領域の接触角は、60~155度である。いくつかの実施形態では、疎水性マスク溶液付与のための前記システムは、前記平らな組織切片への付与後に前記疎水性マスク溶液を重合し得るUV光源を含む。いくつかの実施形態では、疎水性マスク溶液付与のための前記システムは、ペルフルオロアルキルトリクロロシランまたはペルフルオロアルキルシランの化学蒸着のための装置を含む。
【0007】
いくつかの局面では、本開示は、平らな組織切片中の少なくとも1つの目的の領域から細胞構成要素を単離するためのキットであって、前記キットは、本明細書に記載される方法、システムまたは組織切片のいずれかの実施形態の局面のいずれか1つに記載の要素のうちのいずれかを含む、キットを提供する。
【0008】
いくつかの局面では、本開示は、組織切片であって、最も下から最も上へと、前記組織切片に接して少なくとも1つのシアノアクリレート層、続いて、少なくとも1つのペルフルオロアルキルシラン層を含む、組織切片を提供する。いくつかの局面では、前記ペルフルオロアルキルシラン層は、ペルフルオロアルキルトリクロロシランまたはペルフルオロアルキルトリス(ジメチルアミノ)シランを含む。いくつかの実施形態では、前記ペルフルオロアルキルトリクロロシランは、FOTSである。いくつかの実施形態では、前記組織切片は、前記少なくとも1つのシアノアクリレート層の下に少なくとも1つの非シリル化フルオロアルキル層を含む。いくつかの実施形態では、前記非シリル化フルオロアルキル層は、フルオロアクリレートまたは非シリル化ペルフルオロアルカン化合物を含む。いくつかの実施形態では、前記ペルフルオロアルキルトリクロロシランは、FOTS((トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン)である。いくつかの実施形態では、前記組織切片は、前記シアノアクリレート層を有する領域によって境界線が描かれる前記シアノアクリレート層を欠く少なくとも1つの領域を含む。いくつかの実施形態では、前記領域は、実質的に楕円形、多角形、または自由形態である。いくつかの実施形態では、前記組織切片への界面活性剤の水性溶液の付与は、前記領域内の細胞を溶解させ得る。いくつかの実施形態では、前記領域は、約1mm未満のサイズである。いくつかの実施形態では、前記領域は、約100ミクロン未満のサイズである。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
配列決定または分析のために、固体基材上の平らな組織切片で少なくとも1つの目的の領域から生体分子を単離する方法であって、前記方法は、
(a)固体基材上の前記平らな組織切片に、規定された目的の領域からポリマーで境界線を描いて、非物理的流体バリアを形成する工程であって、ここで前記目的の領域は、直径1mmより小さい工程;および
(b)前記少なくとも1つの規定された目的の領域内の細胞をインサイチュで選択的に破壊する工程、
を包含する方法。
(項目2)
配列決定または分析のために、固体基材上の平らな組織切片で少なくとも1つの目的の領域から生体分子を単離する方法であって、前記方法は、
前記平らな組織切片に、前記固体基材上の平らな組織切片中の前記少なくとも1つの目的の領域の境界線を描く化学的マスクを付与する工程、
を包含し、ここで前記化学的マスクは、前記少なくとも1つの目的の領域内の細胞の選択的破壊に適したバリアを形成し、前記化学的マスクは、物理的流体境界ではない、方法。(項目3)
配列決定または分析のために、固体基材上の平らな組織切片で少なくとも1つの目的の領域から生体分子を単離する方法であって、前記方法は、
前記固体基材上の平らな組織切片中の前記目的の領域内の細胞の破壊に適した溶媒を分与して、遊離した細胞構成要素を含む液滴を形成する工程、
を包含し、ここで前記液滴は、前記目的の領域の外側の組織から、物理的バリアなしに流体連通から隔離される、方法。
(項目4)
組織切片中の複数の目的の領域から生体分子を単離および検出する方法であって、前記方法は、
疎水性マスクを組織切片に付与し、前記平らな組織切片中の少なくとも1000個の目的の領域が、物理的バリアなしに互いとの流体連通から隔離される工程、および
前記少なくとも1000個の目的の領域内の細胞からインサイチュで遊離した複数のタンパク質または核酸を検出し、前記タンパク質または核酸の空間位置情報が保持される工程、
を包含する方法。
(項目5)
前記方法は、直径約100ミクロンより小さいかまたは直径約100ミクロンに等しい目的の領域を隔離し得る、項目1~4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記組織切片は、FFPE組織切片である、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。(項目7)
前記目的の領域内の細胞からインサイチュで遊離した複数のタンパク質または核酸を検出する工程を包含し、ここで前記検出する工程は、前記細胞からインサイチュで遊離した前記核酸を配列決定することを包含する、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記配列決定することは、前記インサイチュで遊離した核酸を、前記目的の領域の位置を識別するバーコードでタグ化することを包含する、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記バーコードは、表面に連結されない、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記タグ化することは、インサイチュで遊離したRNAをタグ化することを包含し、
(a)特有の核酸配列を含むオリゴヌクレオチドを、前記少なくとも1000個の目的の領域に付与すること;および
(b)第1鎖および第2鎖cDNA合成を、前記少なくとも1000個の目的の領域に対して行い、前記目的の領域は、互いから隔離されること、
を包含する、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記目的の領域から合成したcDNA分子間で前記特有の核酸配列の相互汚染が低減される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記第1鎖cDNA合成は、インサイチュで行われる、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記第1鎖および第2鎖cDNA合成は、インサイチュで行われる、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記細胞からインサイチュで遊離した核酸を配列決定することは、mRNAおよびゲノムDNAの両方を配列決定することを包含する、項目6に記載の方法。
(項目15)
前記細胞からインサイチュで遊離した核酸を配列決定することは、mRNAを配列決定することを包含する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記mRNAを配列決定することは、前記mRNAから生成したcDNAに対して行われる前増幅ステップを包含する、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記前増幅ステップは、LM-PCR、ランダムヘキサマープライマーでのPCR、ポリA特異的プライマーでのPCR、またはこれらの任意の組み合わせである、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記細胞からインサイチュで遊離した核酸を配列決定することは、ゲノムDNAを配列決定することを包含する、項目14に記載の方法。
(項目19)
【0009】
援用の表示
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的にかつ個々に参考として援用されていることが示されるものと同程度まで、参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の新規な特徴は、添付の請求項において詳細に記載される。本発明の特徴および利点のよりよい理解は、本発明の原理が利用される例示的実施形態を示す以下の詳細な説明および添付の図面への言及によって得られる。
(【0011】以降は省略されています)

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