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公開番号2025005083
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-16
出願番号2023105094
出願日2023-06-27
発明の名称二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム並びに炭酸塩の製造方法
出願人出光興産株式会社,日揮ホールディングス株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類C01F 11/18 20060101AFI20250108BHJP(無機化学)
要約【課題】弱塩基と強酸の塩の損失を極力抑えながらも、アルカリ土類金属の炭酸塩の収率を向上させることのできる二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム、並びに炭酸塩の製造方法を提供する。
【解決手段】アルカリ土類金属含有物(A1)と強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)とを接触させてアルカリ土類金属イオンを含む第1溶液(X1)を調製する第1工程(S1)と、
前記第1溶液(X1)と二酸化炭素を含むガス(Y1)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する第2工程(S2)とを含み、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)の循環経路を備えて、前記炭酸塩を生成する際に生じる液相を、前記炭酸塩を生成する際に、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)として再利用する、二酸化炭素の固定化方法において、さらに特定の洗浄・返送工程を含むようにした。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
アルカリ土類金属含有物(A1)と強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)とを接触させてアルカリ土類金属イオンを含む第1溶液(X1)を調製する第1工程(S1)と、
前記第1溶液(X1)と二酸化炭素を含むガス(Y1)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する第2工程(S2)と、
を含み、
前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)の循環経路を備えて、前記炭酸塩を生成する際に生じる液相を、前記炭酸塩を生成する際に、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)として再利用する、二酸化炭素の固定化方法において、
前記第1溶液(X1)から回収した第1のアルカリ土類金属含有物残渣(A2)を、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)で洗浄する第1洗浄工程(SW1)と、
前記第1洗浄工程(SW1)で生じた第2のアルカリ土類金属含有物残渣(A3)を、水(C)で洗浄する第2洗浄工程(SW2)と、
前記第1洗浄工程(SW1)で生じた液相を、前記第1工程(S1)に返送する第1返送工程(SR1)と、
前記第2洗浄工程(SW2)で生じた液相を膜濃縮処理して濃縮液と水とを生成し、前記濃縮液を前記第1工程(S1)に返送するとともに、前記水を前記水(C)として前記第2洗浄工程(SW2)に返送する第2返送工程(SR2)と、
をさらに含む、二酸化炭素の固定化方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)は、塩化アンモニウム(NH

Cl)水溶液である、請求項1に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項3】
前記第2返送工程(SR2)において、前記第2洗浄工程(SW2)で生じた液相の水素イオン指数(pH)を5.0~7.0に調整する、請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項4】
前記第2返送工程(SR2)において、前記膜濃縮処理が、電気透析法及び逆浸透膜法からなる群から選択される1種以上の方法により行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載の二酸化炭素の固定化方法。
【請求項5】
アルカリ土類金属含有物(A1)と強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)とを接触させてアルカリ土類金属イオンを含む第1溶液(X1)を調製するアルカリ土類金属抽出部と、
前記第1溶液(X1)と二酸化炭素を含むガス(Y1)とを接触させて、アルカリ土類金属炭酸塩を生成する生成部と、
を少なくとも備え、
前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)の循環経路をさらに備えて、前記炭酸塩を生成する際に生じる液相を、前記炭酸塩を生成する際に、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)として再利用する、二酸化炭素の固定化システムにおいて、
前記第1溶液(X1)から回収した第1のアルカリ土類金属含有物残渣(A2)を、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)で洗浄する第1洗浄部と、
前記第1洗浄部で生じた第2のアルカリ土類金属含有物残渣(A3)を、水(C)で洗浄する第2洗浄部と、
前記第1洗浄部で生じた液相を、前記アルカリ土類金属抽出部に返送する第1返送部と、
膜濃縮装置を備え、前記第2洗浄部で生じた液相に対して膜濃縮を行い、濃縮液と水とを生成し、前記濃縮液を前記アルカリ土類金属抽出部に返送するとともに、前記水を前記水(C2)として前記第2洗浄部に返送する第2返送部と、
をさらに備える、二酸化炭素の固定化システム。
【請求項6】
前記強酸及び弱塩基の塩(B1)は、塩化アンモニウム(NH

Cl)である、請求項5に記載の二酸化炭素の固定化システム。
【請求項7】
前記第2返送部において、前記第2洗浄部で生じた液相の水素イオン指数(pH)を5.0~7.0に調整する水素イオン指数調整部をさらに備える、請求項5又は6に記載の二酸化炭素の固定化システム。
【請求項8】
前記膜濃縮装置が、電気透析装置及び逆浸透膜装置からなる群から選択される1種以上である、請求項5~7のいずれか1項に記載の二酸化炭素の固定化システム。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の二酸化炭素の固定化方法を実施する工程を含む、炭酸塩の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム並びに炭酸塩の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
地球温暖化の原因物質と言われている温室効果ガスの中でも、特に影響が大きいのが二酸化炭素(炭酸ガス)であり、大気中の二酸化炭素濃度の増大を防止することが地球温暖化抑制手段の1つとなりうる。そのため、化石資源の利用を制限して大気中への二酸化炭素の放出量を削減する技術についての研究が行われている。また、既に放出した大気中の二酸化炭素を吸収・固定する技術や、化石資源を燃焼した二酸化炭素を大気中に放出させることなく、あるいは大気中への放出を抑えつつ吸収・固定する技術について、日本を含む多くの国で盛んに研究されている。
【0003】
近年、二酸化炭素を吸収・固定する方法の1つとして、二酸化炭素を化学反応により炭酸塩として固定するというアイディアが提案されている。例えば特許文献1では、二酸化炭素を含むガスを、水、アルカリ土類金属含有物(例えば鉄鋼スラグ)、及び弱塩基と強酸の塩から得られる水溶液に接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2005-097072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案されている方法では、弱塩基と強酸の塩の損失が大きいため無駄が多く、また、アルカリ土類金属の炭酸塩の収率(投入したアルカリ土類金属含有物からのアルカリ土類金属の回収率)も十分ではなく、さらなる改善の余地があると考えられた。
【0006】
そこで、本発明は、弱塩基と強酸の塩の損失を極力抑えながらも、アルカリ土類金属の炭酸塩の収率を向上させることのできる二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム、並びに炭酸塩の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、下記[1]~[3]が提供される。
[1]
アルカリ土類金属含有物(A1)と強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)とを接触させてアルカリ土類金属イオンを含む第1溶液(X1)を調製する第1工程(S1)と、
前記第1溶液(X1)と二酸化炭素を含むガス(Y1)とを接触させて、アルカリ土類金属の炭酸塩を生成する第2工程(S2)と、
を含み、
前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)の循環経路を備えて、前記炭酸塩を生成する際に生じる液相を、前記炭酸塩を生成する際に、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)として再利用する、二酸化炭素の固定化方法において、
前記第1溶液(X1)から回収した第1のアルカリ土類金属含有物残渣(A2)を、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)で洗浄する第1洗浄工程(SW1)と、
前記第1洗浄工程(SW1)で生じた第2のアルカリ土類金属含有物残渣(A3)を、水(C)で洗浄する第2洗浄工程(SW2)と、
前記第1洗浄工程(SW1)で生じた液相を、前記第1工程(S1)に返送する第1返送工程(SR1)と、
前記第2洗浄工程(SW2)で生じた液相を膜濃縮処理して濃縮液と水とを生成し、前記濃縮液を前記第1工程(S1)に返送するとともに、前記水を前記水(C)として前記第2洗浄工程(SW2)に返送する第2返送工程(SR2)と、
をさらに含む、二酸化炭素の固定化方法。
[2]
アルカリ土類金属含有物(A1)と強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)とを接触させてアルカリ土類金属イオンを含む第1溶液(X1)を調製するアルカリ土類金属抽出部と、
前記第1溶液(X1)と二酸化炭素を含むガス(Y1)とを接触させて、アルカリ土類金属炭酸塩を生成する生成部と、
を少なくとも備え、
前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)の循環経路をさらに備えて、前記炭酸塩を生成する際に生じる液相を、前記炭酸塩を生成する際に、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)として再利用する、二酸化炭素の固定化システムにおいて、
前記第1溶液(X1)から回収した第1のアルカリ土類金属含有物残渣(A2)を、前記強酸及び弱塩基の塩の水溶液(B1)で洗浄する第1洗浄部と、
前記第1洗浄部で生じた第2のアルカリ土類金属含有物残渣(A3)を、水(C)で洗浄する第2洗浄部と、
前記第1洗浄部で生じた液相を、前記アルカリ土類金属抽出部に返送する第1返送部と、
膜濃縮装置を備え、前記第2洗浄部で生じた液相に対して膜濃縮を行い、濃縮液と水とを生成し、前記濃縮液を前記アルカリ土類金属抽出部に返送するとともに、前記水を前記水(C2)として前記第2洗浄部に返送する第2返送部と、
をさらに備える、二酸化炭素の固定化システム。
[3]
上記[1]に記載の二酸化炭素の固定化方法を実施する工程を含む、炭酸塩の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、弱塩基と強酸の塩の損失を極力抑えながらも、アルカリ土類金属の炭酸塩の収率を向上させることのできる二酸化炭素の固定化方法及び固定化システム、並びに炭酸塩の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本実施形態の二酸化炭素の固定化方法の一例を示す概略図である。
本実施形態の二酸化炭素の固定化システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載された数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。例えば、数値範囲として「A~B」及び「C~D」が記載されている場合、「A~D」及び「C~B」の数値範囲も、本発明の範囲に含まれる。
また、本明細書に記載された数値範囲「下限値~上限値」は、特に断りのない限り、下限値以上、上限値以下であることを意味する。
また、本明細書において、実施例の数値は、上限値又は下限値として用いられ得る数値である。
なお、本明細書において、「アルカリ土類金属」とは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)を意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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