TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
公開番号
2024179337
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-26
出願番号
2023098095
出願日
2023-06-14
発明の名称
窒化部品用素形材、窒化部品、及び窒化部品の製造方法
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20241219BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】切削加工時は硬さが十分に低く被削性に優れ、窒化時には部品の変形が抑制され、窒化後には高い疲労特性を得ることができる窒化部品用素形材、窒化部品、及び窒化部品の製造方法をを提供する。
【解決手段】所定び化学組成を有し、表面から深さ5mmの位置において、ベイナイトとマルテンサイトの面積率の和が90%未満である微細組織を有し、固溶状態のCrであるCrsolの含有量が0.45%以上であり、かつ、下記式(1)で表されるFnが0.50以上である、窒化部品用素形材、及びその応用。
Fn=(Cr-Crsol)/(C×Cr)・・・(1)
(式(1)中、Cr及びCは、各元素の含有量を表し、Crsolは、Crsolの含有量を表す。)
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
質量%で、
C:0.04~0.18%、
Si:0.03~0.35%、
Mn:0.40~2.20%、
P:0.050%以下、
S:0.001~0.050%、
Cu:0.01~0.40%、
Cr:0.50~1.40%、
Ni:0.01~0.40%、
Al:0.001~0.080%、
V:0.10~0.40%、及び
N:0.0040~0.0250%であり、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有し、
表面から深さ5mmの位置において、ベイナイトとマルテンサイトの面積率の和が90%未満である微細組織を有し、
前記表面から深さ5mmの位置において、固溶状態のCrであるCrsolの質量%での含有量が0.45%以上であり、かつ、下記式(1)で表されるFnが0.50以上である、窒化部品用素形材。
Fn=(Cr-Crsol)/(C×Cr)・・・(1)
(式(1)中、Cr及びCは、各元素の質量%での含有量を表し、Crsolは、Crsolの質量%での含有量を表す。)
続きを表示(約 1,500 文字)
【請求項2】
質量%で、
C:0.04~0.18%、
Si:0.03~0.35%、
Mn:0.40~2.20%、
P:0.050%以下、
S:0.001~0.050%、
Cu:0.01~0.40%、
Cr:0.50~1.40%、
Ni:0.01~0.40%、
Al:0.001~0.080%、
V:0.10~0.40%、及び
N:0.0040~0.0250%であり、さらに、下記A群~C群からなる群より選ばれる1種又は2種以上の元素を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有し、
(A群)
Mo:0.30%未満
(B群)
Ca:0.0050%以下、及び
Sn:0.100%以下からなる群より選択される1種又は2種
(C群)
Ti:0.050%以下、及び
Nb:0.050%以下からなる群より選択される1種又は2種
表面から深さ5mmの位置において、ベイナイトとマルテンサイトの面積率の和が90%未満である微細組織を有し、
前記表面から深さ5mmの位置において、固溶状態のCrであるCrsolの質量%での含有量が0.45%以上であり、かつ、下記式(1)で表されるFnが0.50以上である、窒化部品用素形材。
Fn=(Cr-Crsol)/(C×Cr)・・・(1)
(式(1)中、Cr及びCは、各元素の質量%での含有量を表し、Crsolは、Crsolの質量%での含有量を表す。)
【請求項3】
質量%で、前記A群を含有する化学組成を有する請求項2に記載の窒化部品用素形材。
【請求項4】
質量%で、前記B群を含有する化学組成を有する請求項2に記載の窒化部品用素形材。
【請求項5】
質量%で、前記C群を含有する化学組成を有する請求項2に記載の窒化部品用素形材。
【請求項6】
ビッカース硬さHVが、300以下である請求項1又は請求項2に記載の窒化部品用素形材。
【請求項7】
表面から1.5mmより深い部分である芯部と、当該芯部の外側に存在する窒化層とを有する部品であって、
前記芯部が、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の前記化学組成及び前記微細組織を有し、
表面から深さ5mmの位置において、固溶状態のCrであるCrsolの質量%での含有量が0.40%以上であり、かつ、下記式(1)で表されるFnが1.00以上である、窒化部品。
Fn=(Cr-Crsol)/(C×Cr)・・・(1)
(式(1)中、Cr及びCは、各元素の含有量を表し、Crsolは、Crsolの含有量を表す。)
【請求項8】
請求項7に記載の窒化部品を製造する方法であって、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の前記化学組成及び前記微細組織を有する棒鋼を鍛造により鋼素形材に成形する鋼素形材成形工程と、
前記鋼素形材を、500~630℃で0.5~3.0時間保持する低温焼なまし工程と、
前記低温焼なまし工程後の前記鋼素形材を機械加工により部品形状を有する部材に加工する機械加工工程と、
前記部材に対し、550~620℃で、かつ、前記低温焼なまし工程における低温焼なまし温度+50℃以下の温度で1.0~10.0時間保持する窒化処理を施す窒化処理工程と、
を含む、窒化部品の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒化部品用素形材、窒化部品、及び窒化部品の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
自動車、船舶、産業機械等に用いられる機械構造部品には、高い曲げ応力が繰り返し加わる部品がある。それらの部品に必要な疲労強度を具備させるため、種々の表面硬化熱処理が施される場合がある。
一方、部品に浸炭や高周波焼入れ等の表面硬化熱処理を施すと、焼入れ時のマルテンサイト変態によって部品が変形する。このような焼入れ時の変形を抑制するために、浸炭や高周波焼入れの代わりに窒化が適用される場合がある。
【0003】
窒化処理は600℃以下の比較的低温で行われ、マルテンサイト変態が生じないため、部品の変形量が小さいという特徴がある。窒化処理は、他の表面硬化熱処理と比べて部品の変形量が小さくなるが、変形が完全に無くなるわけではない。極めて高い寸法精度が必要とされる部品に窒化処理を施した場合、窒化時の変形が無視できなくなり、歩留まりが悪化したり、窒化後の矯正等の工程が追加されることで、製造コストが増大したりする場合がある。そのため、窒化部品の変形を抑制する技術が開発されている。
【0004】
窒化部品の変形の抑制に関する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の技術では、変形の原因の一つである化合物層の生成を抑制するために、鋼成分を最適化するとともに窒化処理温度を制御している。化合物層の生成を抑制することでリング状試験片の外径変化量が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平8-49059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、窒化層の膨張を抑制することが主眼に置かれている。したがって、形状が完全な軸対称のシャフトのように、部品の変形が径や軸長の増大のみであるような場合には効果があるものの、複雑な形状の部品の曲がり変形やねじれ変形の抑制には十分な効果が得られない。
【0008】
つばやキー溝の付いたシャフト状部品、ねじれ変形が起こりやすい薄肉大型のリング状部品、歯車のように複雑な形状の部品には、曲がり変形やねじり変形が抑制され、かつ、機械構造部品として必要な疲労強度と被削性を有することが望ましい。
【0009】
本開示は、切削加工時は硬さが十分に低く被削性に優れ、窒化時には部品の変形が抑制され、窒化後には高い疲労特性を得ることができる窒化部品用素形材、窒化部品、及び窒化部品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1> 質量%で、
C:0.04~0.18%、
Si:0.03~0.35%、
Mn:0.40~2.20%、
P:0.050%以下、
S:0.001~0.050%、
Cu:0.01~0.40%、
Cr:0.50~1.40%、
Ni:0.01~0.40%、
Al:0.001~0.080%、
V:0.10~0.40%、及び
N:0.0040~0.0250%であり、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有し、
表面から深さ5mmの位置において、ベイナイトとマルテンサイトの面積率の和が90%未満である微細組織を有し、
前記表面から深さ5mmの位置において、固溶状態のCrであるCrsolの質量%での含有量が0.45%以上であり、かつ、下記式(1)で表されるFnが0.50以上である、窒化部品用素形材。
Fn=(Cr-Crsol)/(C×Cr)・・・(1)
(式(1)中、Cr及びCは、各元素の質量%での含有量を表し、Crsolは、Crsolの質量%での含有量を表す。)
<2> 質量%で、
C:0.04~0.18%、
Si:0.03~0.35%、
Mn:0.40~2.20%、
P:0.050%以下、
S:0.001~0.050%、
Cu:0.01~0.40%、
Cr:0.50~1.40%、
Ni:0.01~0.40%、
Al:0.001~0.080%、
V:0.10~0.40%、及び
N:0.0040~0.0250%であり、さらに、下記A群~C群からなる群より選ばれる1種又は2種以上の元素を含有し、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有し、
(A群)
Mo:0.30%未満
(B群)
Ca:0.0050%以下、及び
Sn:0.100%以下からなる群より選択される1種又は2種
(C群)
Ti:0.050%以下、及び
Nb:0.050%以下からなる群より選択される1種又は2種
表面から深さ5mmの位置において、ベイナイトとマルテンサイトの面積率の和が90%未満である微細組織を有し、
前記表面から深さ5mmの位置において、固溶状態のCrであるCrsolの質量%での含有量が0.45%以上であり、かつ、下記式(1)で表されるFnが0.50以上である、窒化部品用素形材。
Fn=(Cr-Crsol)/(C×Cr)・・・(1)
(式(1)中、Cr及びCは、各元素の質量%での含有量を表し、Crsolは、Crsolの質量%での含有量を表す。)
<3> 質量%で、前記A群を含有する化学組成を有する<2>に記載の窒化部品用素形材。
<4> 質量%で、前記B群を含有する化学組成を有する<2>に記載の窒化部品用素形材。
<5> 質量%で、前記C群を含有する化学組成を有する<2>に記載の窒化部品用素形材。
<6> ビッカース硬さHVが、300以下である<1>~<5>のいずれか1つに記載の窒化部品用素形材。
<7> 表面から1.5mmより深い部分である芯部と、当該芯部の外側に存在する窒化層とを有する部品であって、
前記芯部が、<1>~<5>のいずれか1つに記載の前記化学組成及び前記微細組織を有し、
表面から深さ5mmの位置において、固溶状態のCrであるCrsolの質量%での含有量が0.40%以上であり、かつ、下記式(1)で表されるFnが1.00以上である、窒化部品。
Fn=(Cr-Crsol)/(C×Cr)・・・(1)
(式(1)中、Cr及びCは、各元素の質量%での含有量を表し、Crsolは、Crsolの質量%での含有量を表す。)
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPatで参照する
関連特許
日本製鉄株式会社
鋼材
1日前
日本製鉄株式会社
構造部材
8日前
日本製鉄株式会社
転炉精錬方法
6日前
日本製鉄株式会社
コークスの製造方法
6日前
日本製鉄株式会社
転がり疲労強度試験装置
8日前
日本製鉄株式会社
転がり疲労強度試験装置
8日前
日本製鉄株式会社
ハット形鋼矢板の製造方法
1日前
日本製鉄株式会社
鉄鉱石の還元気化脱リン方法
1日前
日本製鉄株式会社
鉄鉱石の還元気化脱リン方法
1日前
日本製鉄株式会社
応力分布測定方法及びプログラム
1日前
日本製鉄株式会社
応力分布測定方法及びプログラム
1日前
日本製鉄株式会社
回転機械の異常診断支援方法及び装置
1日前
日本製鉄株式会社
直流電気炉および直流電気炉の設計方法
3日前
日本製鉄株式会社
直流電気炉の設計方法および直流電気炉
3日前
日本製鉄株式会社
板材の平坦度測定方法および平坦度測定装置
6日前
日本製鉄株式会社
計画作成装置、計画作成方法、およびプログラム
6日前
日本製鉄株式会社
計画立案装置、計画立案方法及び制御プログラム
1日前
日本製鉄株式会社
ベルトコンベア監視装置、ベルトコンベア監視方法、およびプログラム
3日前
株式会社プロテリアル
焼結体
1か月前
個人
高強度せん断補強筋用の鋼材
1日前
ハイモ株式会社
水中金属の回収除去方法
2か月前
大同特殊鋼株式会社
鋼材及び金型
4か月前
株式会社クボタ
比重分離装置
7日前
株式会社クボタ
比重分離装置
7日前
JX金属株式会社
銅製錬の操業方法
3か月前
JX金属株式会社
銅製錬の操業方法
2か月前
株式会社クボタ
比重分離装置
7日前
国立大学法人東北大学
高耐食銅合金
2か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
14日前
日本製鉄株式会社
鋼線
2か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
1日前
日本製鉄株式会社
鋼材
1か月前
国立大学法人東北大学
腐食環境用銅合金
2か月前
住友金属鉱山株式会社
銅の製錬方法
4か月前
JFEスチール株式会社
浸炭鋼部品
9日前
住友金属鉱山株式会社
オートクレーブ
4か月前
続きを見る
他の特許を見る