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公開番号2024175664
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-18
出願番号2024086823
出願日2024-05-29
発明の名称水硬性組成物用粉末状添加剤、水硬性組成物用粉末状増粘剤、水硬性組成物及びその製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人英明国際特許事務所
主分類C04B 28/02 20060101AFI20241211BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】優れたハンドリング性を有しながら、水硬性組成物における耐凍害性、流動性、ブリーディング低減能を改善することができる水硬性組成物用粉末状添加剤を提供する。
【解決手段】有機概念図におけるIOB値が0.3~1.8であって、GPC分析によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが300~2,500である、分子中にRCOO(C2H4O)n-(Rは炭素数10~24の直鎖状又は分岐鎖状の1価炭化水素基、nは3~40の整数である。)を少なくとも1つ有し、官能基としてポリエチレングリコール末端OH又は-OH基を有するポリエチレングリコール誘導体を水溶性多孔質粉体に含浸させてなる水硬性組成物用粉末状添加剤である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
有機概念図におけるIOB値が0.3~1.8であって、ゲル浸透クロマトグラフィー分析によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが300~2,500である、分子中にRCOO(C
2

4
O)
n
-(Rは炭素数10~24の直鎖状又は分岐鎖状の1価炭化水素基、nは3~40の整数である。)を少なくとも1つ有し、官能基としてポリエチレングリコール末端OH又は-OH基を有するポリエチレングリコール誘導体を水溶性多孔質粉体に含浸させてなる水硬性組成物用粉末状添加剤。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記ポリエチレングリコール誘導体が下記一般式(A1)及び(A2)で表される化合物のうち、少なくともいずれか1つのものである請求項1に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
RCOO-(C
2

4
O)
n
-H (A1)
(RCOO-(C
2

4
O)
n1

t

1
((OC
2

4

n2
-OH)
u
(A2)
〔式(A1)、(A2)中、R、nは上記と同じであり、R
1
は、2~5個の水酸基を有する多価アルコールから該水酸基を除いた残基であって、2~5価の炭素数2~5の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基であり、t及びuは、それぞれ1~4の整数であって、tとuの和は2~5の整数であり、n1、n2は、それぞれ0以上の整数であり、n1×t+n2×uは3~30の整数である。〕
【請求項3】
前記水溶性多孔質粉体が水溶性多孔質の多糖類である請求項1又は2に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
【請求項4】
前記水溶性多孔質粉体の嵩比重が0.10~0.25g/cm
3
である請求項1又は2に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
【請求項5】
ゲル浸透クロマトグラフィー分析により求めた前記水溶性多孔質粉体の積算分子量分布における分子量10,000の濃度分率の積算値が30~90%である請求項1又は2に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
【請求項6】
前記水溶性多孔質粉体のデキストロース当量(DE)が2~18である請求項1又は2に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
【請求項7】
前記水溶性多孔質粉体の乾式レーザー法による平均粒子径が10~230μmであり、かつ粒子径300μm以上の体積割合が0~10%である請求項1又は2に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
【請求項8】
乾式レーザー法による平均粒子径が40~280μmであり、かつ粒子径300μm以上の体積割合が0~10%である請求項1又は2に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤と、水溶性セルロースエーテルを含む水硬性組成物用粉末状増粘剤。
【請求項10】
前記水溶性セルロースエーテルがヒドロキシアルキルアルキルセルロースである請求項9に記載の水硬性組成物用粉末状増粘剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水硬性組成物用粉末状添加剤、水硬性組成物用粉末状増粘剤、これらを含む水硬性組成物及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
ヒドロキシアルキルアルキルセルロースに代表される水溶性セルロースエーテルは、流動性を低下させずにブリーディングを低減できる増粘剤として幅広く使用されている。しかし、水溶性セルロースエーテルは空気連行性も有しているため、水硬性組成物であるコンクリート中の空気量を通常(4.5±1.5%)よりも増加させ、コンクリートの圧縮強度を低下させるおそれがあった。そのため、消泡剤を併用して気泡を消して空気量を低減する方法も考えられる。
【0003】
消泡剤としては種々の化合物が知られているが、例えば、特開2008-037663号公報(特許文献1)においては、非イオン系の消泡剤である界面活性剤として、ポリエーテル系化合物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2008-037663号公報
特開2011-184236号公報
特開2017-065995号公報
特開平05-085791号公報
【非特許文献】
【0005】
“乳化処方設計へのアプローチ(日本語版) p.2-9”[online]、日本エマルジョン株式会社、有機概念図による乳化処方設計とは?[2023年1月10日検索]、インターネット<https://www.nihon-emulsion.co.jp/tech/organic.html>
コンクリート構造物の耐久性シリーズ 凍害(長谷川寿夫,藤原忠司:技報堂出版,pp.63,1988.2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ポリエーテル系化合物は、液体又はワックス状の固体であるために、AE減水剤などに溶解させて使用する必要があり、取り扱いが煩雑であるという課題があった。この課題については、特許文献1及び特開2011-184236号公報(特許文献2)に記載されているようなシリカなどの吸油性の高い無機粉体に含浸させ、粉体化したものを用いることにより解消できる。しかしながら、特許文献1及び2で報告されているセメント組成物や水硬性組成物について、特開2017-065995号公報(特許文献3)で提案されている気泡間隔係数を測定すると、無機系粉体に含浸された消泡剤は、含浸させない場合(消泡剤単独の場合)と比較して、耐凍害性に有用であるとされる直径50~500μmの微細な気泡であるエントレインドエア(非特許文献2)を選択的に消泡してしまう傾向にあることがわかった。このように、特許文献1及び2で提案されている無機粉体に含侵された消泡剤は耐凍害性を悪化させてしまう場合があり、改善の余地が残されていた。
【0007】
また、水溶性セルロースエーテルを用いても耐凍害性にも優れる水硬性組成物として、例えば、セメント結合材、骨材、水、減水剤及びAE剤からなるコンクリート配合物に、セメント結合材に対して0.02~0.5重量%のスルホエチルセルロースのアルカリ金属塩と非イオン性水溶性セルロースエーテルを添加したコンクリート組成物が提案されている(特開平05-085791号公報(特許文献4))。
しかしながら、特許文献4で使用されているスルホエチルセルロースは、水硬性組成物の空気連行性を増加させることはないものの、流動性を悪化させてしまう点で問題があった。また、スルホエチルセルロースは高価であるため、経済的観点からも好ましくないため、改善の余地が残されていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、優れたハンドリング性を有しながら、水硬性組成物における耐凍害性、流動性、ブリーディング低減能を改善することができる水硬性組成物用粉末状添加剤、水硬性組成物用粉末状増粘剤、水硬性組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、水溶性セルロースエーテルとある特定の化学構造を持つポリエチレングリコール(PEG)誘導体とを併用することにより、課題であった耐凍害性を改善できるだけでなく、水硬性組成物の流動性とブリーディング低減能もさらに向上できることを見出し、さらには特定の化学構造を持つポリエチレングリコール(PEG)誘導体を水溶性多孔質粉体に含浸させた粉末状添加剤を用いることにより、上記耐凍害性の改善、水硬性組成物の流動性とブリーディング低減能のさらなる向上を維持したまま、添加剤の取り扱いの煩雑さを改善できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は下記の水硬性組成物用粉末状添加剤、水硬性組成物用粉末状増粘剤、水硬性組成物及びその製造方法を提供する。
1.
有機概念図におけるIOB値が0.3~1.8であって、ゲル浸透クロマトグラフィー分析によるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが300~2,500である、分子中にRCOO(C
2

4
O)
n
-(Rは炭素数10~24の直鎖状又は分岐鎖状の1価炭化水素基、nは3~40の整数である。)を少なくとも1つ有し、官能基としてポリエチレングリコール末端OH又は-OH基を有するポリエチレングリコール誘導体を水溶性多孔質粉体に含浸させてなる水硬性組成物用粉末状添加剤。
2.
前記ポリエチレングリコール誘導体が下記一般式(A1)及び(A2)で表される化合物のうち、少なくともいずれか1つのものである1に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
RCOO-(C
2

4
O)
n
-H (A1)
(RCOO-(C
2

4
O)
n1

t

1
((OC
2

4

n2
-OH)
u
(A2)
〔式(A1)、(A2)中、R、nは上記と同じであり、R
1
は、2~5個の水酸基を有する多価アルコールから該水酸基を除いた残基であって、2~5価の炭素数2~5の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基であり、t及びuは、それぞれ1~4の整数であって、tとuの和は2~5の整数であり、n1、n2は、それぞれ0以上の整数であり、n1×t+n2×uは3~30の整数である。〕
3.
前記水溶性多孔質粉体が水溶性多孔質の多糖類である1又は2に記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
4.
前記水溶性多孔質粉体の嵩比重が0.10~0.25g/cm
3
である1~3のいずれかに記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
5.
ゲル浸透クロマトグラフィー分析により求めた前記水溶性多孔質粉体の積算分子量分布における分子量10,000の濃度分率の積算値が30~90%である1~4のいずれかに記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
6.
前記水溶性多孔質粉体のデキストロース当量(DE)が2~18である1~5のいずれかに記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
7.
前記水溶性多孔質粉体の乾式レーザー法による平均粒子径が10~230μmであり、かつ粒子径300μm以上の体積割合が0~10%である1~6のいずれかに記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
8.
乾式レーザー法による平均粒子径が、40~280μmであり、かつ粒子径300μm以上の体積割合が0~10%である1~7のいずれかに記載の水硬性組成物用粉末状添加剤。
9.
1~8のいずれかに記載の水硬性組成物用粉末状添加剤と、水溶性セルロースエーテルを含む水硬性組成物用粉末状増粘剤。
10.
前記水溶性セルロースエーテルがヒドロキシアルキルアルキルセルロースである9に記載の水硬性組成物用粉末状増粘剤。
11.
前記水溶性セルロースエーテルの2質量%水溶液の20℃における粘度が15~450,000mPa・sである9又は10に記載の水硬性組成物用粉末状増粘剤。
12.
さらに撥水剤を含む9~11のいずれかに記載の水硬性組成物用粉末状増粘剤
13.
1~8のいずれかに記載の水硬性組成物用粉末状添加剤、水硬性物質及び水を含む水硬性組成物。
14.
さらに水溶性セルロースエーテルを含む13に記載の水硬性組成物。
15.
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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