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公開番号2024172712
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023090602
出願日2023-06-01
発明の名称車両の捩り振動制振方法および装置
出願人日産自動車株式会社
代理人個人,個人
主分類F02D 29/00 20060101AFI20241205BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】駆動系の捩り振動を検知したときに内燃機関の出力トルク補正によって制振する制振制御を無条件に実行すると、燃費の悪化を招来する。
【解決手段】冷却水温が所定の上限温度TwH以下である場合に作動許可判定フラグがオンとなり、制振制御の実行が許可される。回転数変動から捩り振動を検知したときに、内燃機関の出力トルク補正によってアクティブな制振が実行される。冷却水温が上限温度TwHよりも高いときは、制振制御が禁止される。上限温度TwHは、内燃機関の暖機完了温度よりも低く、内燃機関1の燃焼トルクばらつきが大きい温度条件に対応して設定される。トルクコンバータのロックアップクラッチのロックアップが禁止される温度に対応して下限温度TwLを設けてもよい。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
内燃機関と変速機と駆動輪とを含む駆動系の捩り振動を、フィードバック方式による内燃機関の出力トルク補正によって制振する車両の捩り振動制振方法において、
内燃機関の冷却水温が所定の上限温度以下にあることを条件として上記出力トルク補正による制振制御を許可する、車両の捩り振動制振方法。
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
上記上限温度は、暖機完了水温よりも低く、内燃機関の燃焼トルクばらつきが大きい温度条件に対応して設定されている、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項3】
上記出力トルク補正は、点火時期リタードによって行われる、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項4】
上記上限温度よりも低い下限温度が設定されており、冷却水温がこの下限温度よりも低いときは上記出力トルク補正による制振制御を禁止する、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項5】
上記変速機は、有段自動変速機であり、
変速開始から変速完了までの変速中は上記出力トルク補正による制振制御を禁止する、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項6】
上記変速機は、有段自動変速機もしくは手動変速機であり、
さらに、1つあるいは複数の所定の変速段にあることを条件として上記出力トルク補正による制振制御を許可する、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項7】
上記変速機は、無段変速機であり、
さらに、上記無段変速機の変速比が所定の変速比範囲にあることを条件として上記出力トルク補正による制振制御を許可する、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項8】
上記変速機は、手動変速機であり、
クラッチが断状態であるときは上記出力トルク補正による制振制御を禁止する、
請求項1に記載の車両の捩り振動制振方法。
【請求項9】
内燃機関と変速機と駆動輪とを含む駆動系の捩り振動の発生を検出する検出部と、
捩り振動の検出時に、捩り振動を制振するようにフィードバック方式による内燃機関の出力トルク補正を行う制御部と、
を備えた車両の捩り振動制振装置において、
上記制御部は、内燃機関の冷却水温が所定の上限温度以下にあることを条件として上記出力トルク補正による制振制御を許可する、車両の捩り振動制振装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の駆動系で生じる捩り振動を内燃機関の出力トルク補正によってアクティブに制振する捩り振動制振技術に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
内燃機関の出力を変速機を介して駆動輪に伝達することで走行する車両にあっては、車両の駆動系(パワートレイン)に、例えば内燃機関の出力トルクの変動等に起因して、捩り振動が発生することがあり、車体の前後振動など不快な挙動が生じる。
【0003】
特許文献1には、このような捩り振動(特許文献1ではジャークと呼ばれている)の発生を検出もしくは予測し、フィードバック方式もしくはフィードフォワード方式による内燃機関の出力トルク補正によって捩り振動を打ち消すようにした捩り振動の制振制御が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-77881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術では、内燃機関の温度条件に無関係に常に制振制御が実行され得る構成となっているので、制振制御が不要な状況で制振制御による出力トルク補正が行われることがあり、不必要な出力トルク補正によって燃費の悪化が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、内燃機関と変速機と駆動輪とを含む駆動系の捩り振動を、フィードバック方式による内燃機関の出力トルク補正によって制振する車両の捩り振動制振方法において、
内燃機関の冷却水温が所定の上限温度以下にあることを条件として上記出力トルク補正による制振制御を許可する。
【0007】
低水温時は、内燃機関の燃焼安定性が低く、燃焼トルクのばらつきが大きいことで駆動系の捩り振動が生じやすい。従って、制振制御を許可することで、捩り振動検出時に出力トルク補正による制振が行われる。他方、冷却水温が上限温度よりも高いときは、例えば捩り振動が誤検出されたような場合でも制振制御が実行されない。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、冷却水温が十分に高い条件下では不必要な出力トルク補正が実行されず、出力トルク補正に伴う燃費の悪化を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
一実施例の車両の駆動系の構成を示す構成説明図。
冷却水温と作動許可判定との関係を示した説明図。
有段自動変速機における変速期間と作動許可判定との関係を示した説明図。
有段自動変速機もしくは手動変速機における変速段と作動許可判定との関係を示した説明図。
手動変速機におけるクラッチ切断判定と作動許可判定との関係を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、一実施例の車両の駆動系の構成を示している。一実施例は後輪駆動の形式であって、内燃機関1に変速機2が接続されており、この変速機2の出力により終減速装置3を介して駆動輪4を駆動している。変速機2は、一実施例においては、有段の自動変速機である。自動変速機2は、詳細には図示しないが、ロックアップクラッチを有するトルクコンバータと、遊星歯車機構および複数の摩擦締結要素(クラッチないしブレーキ)を含んで構成される有段の変速機構と、から構成されている。この自動変速機2のロックアップクラッチおよび変速機構は、ATコントローラ5によって制御される。例えば図示しないセレクタが自動変速レンジ(いわゆるDレンジ)を選択している場合には、主にアクセルペダル開度と車速とをパラメータとして所定の変速マップに基づいて適当な変速段が選択され、自動に変速が行われる。ATコントローラ5には、車速信号およびアクセルペダル開度信号が直接にあるいは他のコントローラを介して間接に入力される。
(【0011】以降は省略されています)

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