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公開番号2024172009
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023089416
出願日2023-05-31
発明の名称炭化水素製造装置及び炭化水素製造方法
出願人本田技研工業株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C10G 2/00 20060101AFI20241205BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】炭化水素の触媒への固着を解消できるとともに、下流側の配管等への固着を抑制しながら、効率よく炭化水素を回収することができる炭化水素製造装置及び炭化水素製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る炭化水素製造装置は、フィッシャー・トロプシュ合成反応に活性を示すFT反応触媒を有する反応器7を用いたFT合成反応により、原料ガスから炭化水素を含有する生成物を得る炭化水素製造装置であって、FT合成反応を終了させる際に、反応器7に高温の不活性ガスを供給し、反応器7内の温度をFT合成反応中の温度域に維持するとともに、反応器7内の圧力を低下させる不活性ガスパージ処理を実行することにより、FT反応触媒に固着した炭化水素を気化させるパージ部と、反応器7の下流側に設けられ、気化した炭化水素を凝縮させて液体状で回収する回収部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
フィッシャー・トロプシュ合成反応(FT合成反応)に活性を示すFT反応触媒を有する反応器を用いたFT合成反応により、原料ガスから炭化水素を含有する生成物を得る炭化水素製造装置であって、
前記FT合成反応を終了させる際に、前記反応器に高温の不活性ガスを供給し、前記反応器内の温度を前記FT合成反応中の温度域に維持するとともに、前記反応器内の圧力を低下させる不活性ガスパージ処理を実行することにより、前記FT反応触媒に固着した炭化水素を気化させるパージ部と、
前記反応器の下流側に設けられ、前記気化した炭化水素を凝縮させて液体状で回収する回収部と、
を備えることを特徴とする炭化水素製造装置。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
前記回収部は、前記反応器の下流側に設けられ、前記FT合成反応を終了させる際に、前記不活性ガスに混流した気体状の炭化水素を凝縮させて液体状で分離する第1気液分離部を有することを特徴とする、請求項1に記載の炭化水素製造装置。
【請求項3】
前記回収部は、前記第1気液分離部の下流側に、前記第1気液分離部よりも低温で前記気体状の炭化水素を凝縮させて液体状で分離する第2気液分離部を有することを特徴とする、請求項2に記載の炭化水素製造装置。
【請求項4】
前記回収部は、前記第1気液分離部の下流側に、前記第1気液分離部よりも低温で前記気体状の炭化水素を凝縮させて液体状で分離することができ、かつ、内部の温度を変化させることにより、前記気体状の炭化水素を炭素数に応じて分離することができる第3気液分離部を有することを特徴とする、請求項2に記載の炭化水素製造装置。
【請求項5】
フィッシャー・トロプシュ合成反応(FT合成反応)に活性を示すFT反応触媒を有する反応器を用いたFT合成反応により、原料ガスから炭化水素を含有する生成物を得る炭化水素製造方法であって、
前記FT合成反応を終了させる際に、前記反応器に不活性ガスを供給し、前記反応器内の温度を前記FT合成反応中の温度域に維持するとともに、前記反応器内の圧力を低下させる不活性ガスパージ処理を実行することにより、前記FT反応触媒に固着した炭化水素を気化させることと、
前記気化した炭化水素を凝縮させて液体状で回収することと、
を含むことを特徴とする炭化水素製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フィッシャー・トロプシュ合成反応により原料ガスから炭化水素を含有する生成物を得る炭化水素製造装置及び炭化水素製造方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、気候変動の緩和または影響軽減を目的として自動車の排気ガス規制が一段と進んでおり、その一環として、二酸化炭素(CO

)の有効利用に関する研究開発が行われている。例えば、二酸化炭素と水素(H

)を反応させて一酸化炭素(CO)と水(H

O)を生成する逆シフト反応と、一酸化炭素と水素の合成ガスから触媒反応を用いて炭化水素(HC)を合成するフィッシャー・トロプシュ合成反応(以下、「FT合成反応」という。)を組み合わせることで、二酸化炭素を原料として燃料として使用可能な炭化水素を合成する技術が開発されている。また、近年では、逆シフト反応とFT合成反応を1つの反応器で実施することにより、二酸化炭素と水素を直接反応させて炭化水素を得るダイレクトFT合成反応の研究も進められている。
【0003】
FT合成反応では、炭素数5~8程度の軽質炭化水素から、炭素数9~20程度の重質炭化水素、更には炭素数が21以上の超重質炭化水素までを含む幅広い炭素数の炭化水素が生成される。したがって、そこからガソリンや灯油、軽油等の各種燃料製品を製造するためには、例えば分留器などを用い、沸点の違いに応じて生成物を分離する工程などが必要となる。このように炭化水素の分留を行う場合、重質以上の炭化水素の一部が気液分離器や冷却器、又は配管内に固体として析出し固着することで、FT合成反応の収率の減少や配管閉塞といった問題が生じ得るため、固着した重質又は超重質の炭化水素を回収するための対策が求められる。
【0004】
例えば特許文献1では、FT合成反応により炭化水素を製造する炭化水素製造装置において、軽質炭化水素を分離する第1気液分離槽の前段(上流側)に、第1気液分離槽とは温度域が異なる第2気液分離槽を設け、第2気液分離槽により重質炭化水素を回収することで、重質炭化水素が第1気液分離槽に流れることを抑制し、重質炭化水素が第1気液分離槽で濃縮され固着することを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2014-196433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
FT合成反応を実施している反応器が、原料ガスの供給停止等の所定の操作により反応を終了する際、発熱反応であるFT合成反応の終了に伴い反応器内が急速に冷却されることにより、反応器内に残留した超重質炭化水素が固体として析出して残留したり、反応器内の触媒に固着することがある。こうした超重質炭化水素の触媒への固着は、触媒の性能を劣化させ、FT合成反応の収率を減少させる原因となる。
【0007】
また、こうした触媒への固着を解消するために、FT合成反応終了後に高温の窒素(N

)ガス等の不活性ガスによるパージ処理により、触媒に固着した超重質炭化水素を気体として触媒から脱離させた場合、脱離した超重質炭化水素が、下流側に流れる際に冷却され、バルブや配管内で固体として析出し、流路を閉塞させる原因となる場合がある。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、炭化水素の触媒への固着を解消できるとともに、下流側の配管等への固着を抑制しながら、効率よく炭化水素を回収することができる炭化水素製造装置及び炭化水素製造方法を提供することを目的とする。そして、延いては気候変動の緩和または影響軽減に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、フィッシャー・トロプシュ合成反応(FT合成反応)に活性を示すFT反応触媒を有する反応器7を用いたFT合成反応により、原料ガスから炭化水素を含有する生成物を得る炭化水素製造装置であって、FT合成反応を終了させる際に、反応器7に高温の不活性ガスを供給し、反応器7内の温度をFT合成反応中の温度域に維持するとともに、反応器7内の圧力を低下させる不活性ガスパージ処理を実行することにより、FT反応触媒に固着した炭化水素を気化させるパージ部(制御部17、窒素供給部4、加熱器6、流量調整弁12)と、反応器7の下流側に設けられ、気化した炭化水素を凝縮させて液体状で回収する回収部(第1気液分離器9、保温器8)と、を備えることを特徴とする。
【0010】
FT反応を実施する反応器内の温度は、原料ガスの供給が停止され、発熱反応であるFT合成反応が終了することにより低下する。反応器内の温度が低下すると、反応器内に残留していた液体又は気体の炭化水素のうち、高圧下での凝固点が高い炭化水素が固体として析出し、触媒に固着してしまうことがある。本発明の炭化水素製造装置では、FT合成反応を終了させる際に、反応器に高温の不活性ガスを供給し、反応器内の温度をFT合成反応中の温度と同程度の温度域に維持するとともに、反応器内を減圧する不活性ガスパージ処理を実行することにより、触媒に固着した炭化水素を気化させ、気体として脱離させることができる。したがって、炭化水素の触媒への固着を解消することができる。さらに、触媒を反応器内に包含した状態で固着した炭化水素を脱離させることで、触媒の再活性を簡易的に行うことが可能となり、反応器の再稼働時の稼働効率を向上させることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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