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公開番号2024169209
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-05
出願番号2023086483
出願日2023-05-25
発明の名称量子ドット含有組成物、波長変換部材、および量子ドット含有組成物の製造方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類G02B 5/20 20060101AFI20241128BHJP(光学)
要約【課題】
量子ドットの特性を維持しつつ、安定性を向上させることが可能な量子ドット含有組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
励起光により蛍光を発する量子ドットを含有する量子ドット含有組成物であって、量子ドット含有組成物は量子ドットと重合性高分子組成物との混合物であり、量子ドットはコアシェル型の構造であり最外シェルがZnSであって、量子ドット表面はシロキサン結合を有する表面被覆層を含有し、量子ドットはフーリエ変換赤外分光分析により1000~1200cm-1に存在するピーク強度が2800~3000cm-1に存在するピーク強度よりも大きいものであることを特徴とする量子ドット含有組成物。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
励起光により蛍光を発する量子ドットを含有する量子ドット含有組成物であって、
該量子ドット含有組成物は量子ドットと重合性高分子組成物との混合物であり、該量子ドットはコアシェル型の構造であり最外シェルがZnSであって、前記量子ドット表面はシロキサン結合を有する表面被覆層を含有し、
前記量子ドットはフーリエ変換赤外分光分析により1000~1200cm
-1
に存在するピーク強度が2800~3000cm
-1
に存在するピーク強度よりも大きいものであることを特徴とする量子ドット含有組成物。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
前記表面被覆層は、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、水酸基、フェノール性水酸基、エポキシ基のいずれか1種以上の反応性置換基を有することを特徴とする請求項1に記載の量子ドット含有組成物。
【請求項3】
前記重合性高分子組成物に含有される高分子は、前記反応性置換基と重合可能な置換基として、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、水酸基、フェノール性水酸基、エポキシ基のいずれか1種以上のものを含むものであることを特徴とする請求項2に記載の量子ドット含有組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の量子ドット含有組成物の硬化物であることを特徴とする波長変換部材。
【請求項5】
励起光により蛍光を発する量子ドットを含有する量子ドット含有組成物の製造方法であって、
最外シェルにZnSが形成された量子ドットが分散した溶液と、シロキサン結合を形成可能な置換基とチオール基を有するリガンドと、亜鉛前駆体と硫黄前駆体を含む溶液とを加熱混合し、前記量子ドットの最表面に追加のZnSを形成しながら前記リガンドを配位させる表面処理工程と、
前記表面処理工程の後、前記シロキサン結合を形成可能な置換基と、シロキサン結合を形成可能であり反応性置換基を有する化合物を反応させてシロキサン結合を有する表面被覆層を形成する表面被覆層形成工程と、
前記表面被覆層形成工程の後、前記反応性置換基と重合可能な置換基を含む重合性高分子組成物を加えて混合する混合工程と、を含むことを特徴とする量子ドット含有組成物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドット含有組成物、波長変換部材、および量子ドット含有組成物の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,300 文字)【背景技術】
【0002】
半導体ナノ粒子単結晶において、結晶のサイズが励起子のボーア半径以下になると強い量子閉じ込め効果が生じ、エネルギー準位が離散的になる。エネルギー準位は結晶のサイズに依存することになり、光吸収波長や発光波長は結晶サイズで調整が可能となる。
【0003】
また、半導体ナノ粒子単結晶の励起子再結合による発光が量子閉じ込め効果により高効率となり、またその発光は基本的に輝線であることから、大きさの揃った粒度分布が実現できれば、高輝度狭帯域な発光が可能となることから注目を集めている。このようなナノ粒子における強い量子閉じ込め効果による現象を量子サイズ効果と呼び、その性質を利用した半導体ナノ結晶を量子ドット(QD)として広く応用展開に向けて検討が行われている。
【0004】
量子ドットの応用として、ディスプレイ用蛍光体材料への利用が検討されてきている。狭帯域高効率な発光を実現できれば既存技術で再現できなかった色を表現できることになることから、次世代のディスプレイ材料として注目されてきている。
【0005】
現在量子ドットの利用が進められてきているディスプレイとして、量子ドット液晶ディスプレイがあり、すでに製品化が進行している。白色光または青色LEDバックライトから照射された光を量子ドット含有波長変換部材に通すことにより緑色、赤色へと色を変換する試みがなされている。
【0006】
量子ドットの表面は活性であり、大気中の水分や酸素により徐々に量子収率が低下していってしまうため、量子ドット含有波長変換部材については安定性向上が必須の検討項目となっている。
【0007】
量子ドット含有の波長変換部材の安定化について、様々な検討が行われている。一例としてガスバリア封止があげられる。量子ドットが両親媒性高分子または相溶性ポリマー内に分散された内層を形成し、さらに別のガス透過性の低い樹脂層に分散させることで安定性が向上している。
【0008】
特許文献1において、疎水性の樹脂層の中にQDを分散させることでポリマービーズを形成し、そのポリマービーズに、親水性ポリマーに分散するように表面改質し、親水性ポリマーに分散する方法が公開されている。
【0009】
親水性のポリマーのほうが疎水性ポリマーよりもガスバリア性が高い傾向にあるため、このような二層や多層の構造でQDを分散させている。しかしながら、液晶ディスプレイユニットに使用されているような高温高湿環境になりうる用途での使用にはガスバリア性が不十分のため、QDフィルムをガスバリアフィルムで挟み込むことで酸素や水蒸気の影響を除去する方法がとられている。
【0010】
ポリマービーズの作製方法に関しても様々な検討が行われている。特許文献2において、アミノ基と重合性官能基を有するポリシロキサンでQD含有ポリマービーズを作製し、さらにもう一つ別の重合性官能基を有するポリマーを混合し、エマルジョン化してさらに硬化させる方法が開示されている。
(【0011】以降は省略されています)

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