発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、物体の形状を推定する形状推定装置に関するものである。 続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】 【0002】 例えば非特許文献1には、車載のレーダにより物体の形状を推定する技術が開示されている。具体的に、非特許文献1では、深層学習により予め生成された推定器を用い、位置とレーダが受信する反射波の信号強度である反射強度との対応を示す反射強度マップから、物体の形状を推定する手法が提案されている。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0003】 F. E. Nowruzi; D. Kolhatkar; P. Kapoor; F. Al Hassanat; E. J. Heravi; R. Laganiere; J. Rebut; W. Malik, Deep Open Space Segmentation using Automotive Radar, 2020 IEEE MTT-S International Conference on Microwaves for Intelligent Mobility (ICMIM) 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記した非特許文献1に記載の技術では、反射強度マップを生成する際、レーダの複数のアンテナの受信信号から方位推定処理を行う必要があり、処理負荷が高いという課題がある。また、複数のアンテナ素子が必要であるためコストが高くなるという課題もある。 【0005】 そこで、発明者らは、例えばレーダでは相対速度を観測できることに着目した。詳しく言うと、自車両の周囲に存在する静止物体の、自車両に対する相対速度は、自車両に設けられたレーダの位置と静止物体のうち送信波を反射する反射点とを結んだ直線が自車両の進行方向に対して成す角度と、自車両の速度とで決まる。そのため、自車両の速度と上記相対速度とが既知であれば、静止物体の反射点の位置を特定することができる。このことに発明者らは着目した。 【0006】 一方で、レーダによって得られる相対速度から変換した位置に対する反射強度の分布は、レーダの信号の広がりのため一般的には物体の形状推定には向かないが、深層学習を用いた形状推定であれば、信号の広がりも含めて学習されるので、相対速度を利用した物体の形状推定が可能である。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。 【0007】 上記点に鑑み、本発明は、レーダ等であるセンサ部に対する相対距離と相対速度とに対する反射強度の分布がセンサ部からの信号に基づいて得られることを利用して、静止している物体の形状を低処理負荷で且つ高精度に推定することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記目的を達成するため、請求項1に記載の形状推定装置は、 移動体(80)に搭載される形状推定装置であって、 移動体に設けられ、移動体の周囲へ電磁波である送信波(Sw)を発信すると共に、その送信波が反射して生じた反射波(Rw)を受信するセンサ部(12)と、 送信波と反射波とに基づき、センサ部に対する相対距離(Rr)とセンサ部に対する相対速度(Vr)とに対する反射波の信号強度(Pw)の分布を示す第1反射強度マップ(M1)を生成することを、繰り返し行う第1マップ生成部(16)と、 移動体の速度(Ve)と移動体の位置(Xe、Ye)とを知得するエゴモーション知得部(18)と、 第1反射強度マップの相対距離と相対速度とを表す第1座標系(CT1)を、二次元の座標位置(X、Y)を表す第2座標系(CT2)に、移動体の速度と移動体の位置とを用いて座標変換することにより、座標位置に対する信号強度の分布を示す第2反射強度マップ(M2)を第1反射強度マップから生成することを、繰り返し行う第2マップ生成部(20)と、 第2マップ生成部が生成した複数の第2反射強度マップのそれぞれにおける信号強度を基に所定の算出規則に従って得られる信号強度関連値を第2反射強度マップの座標位置毎に算出し、その座標位置に対する信号強度関連値の分布を示す反射強度蓄積マップ(Ms)を生成する反射強度蓄積マップ生成部(22)と、 教師あり学習によって学習されたニューラルネットワークの学習済みモデル(32)によって、移動体の周囲に存在し静止している物体(82)の形状を表す物体形状マップ(Mf)を反射強度蓄積マップから推定する推定部(24)とを備える。 【0009】 このようにすれば、相対距離と相対速度とに対する反射波の信号強度(すなわち、反射強度)の分布を示す第1反射強度マップから、二次元の座標位置に対する反射強度の分布を示す第2反射強度マップを得ることができる。すなわち、センサ部に対する方位を推定する方位推定処理を行うことなく、静止物体の形状推定の基になる第2反射強度マップを得ることができる。そのため、静止物体の形状推定を低処理負荷で実施することが可能である。 【0010】 そして、反射強度蓄積マップは、逐次生成された複数の第2反射強度マップに基づいて生成されるので、反射強度蓄積マップでは、形状推定対象の静止物体の輪郭に対応した反射強度の分布状態を際立たせることができる。そして、この反射強度蓄積マップが、静止物体の形状推定を実施する推定部の入力として用いられる。従って、例えば反射強度蓄積マップではなく第2反射強度マップが推定部の入力として用いられる場合と比較して、静止物体の形状を高精度に推定することが可能である。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する