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公開番号2024164532
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-27
出願番号2023080080
出願日2023-05-15
発明の名称分子配向の解析方法
出願人株式会社クラレ
代理人個人,個人,個人,個人
主分類G01N 23/2055 20180101AFI20241120BHJP(測定;試験)
要約【課題】分子配向の解析方法を提供する。
【解決手段】
少なくとも一部に結晶性を有するポリマー分子を含む物体を試料として準備する工程と、互いに異なる3方向を第1方向、第2方向、第3方向とした場合に、この物体に対して前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向のそれぞれからX線を照射して前記第1、第2、第3方向のそれぞれに対応する第1、第2、第3のX線回折プロファイルを得る工程と、前記第1、第2、第3方向のX線回折プロファイルのそれぞれに対し所定のピークを選択してピークの積分強度を算出する工程と、前記所定のピークの積分強度に基づいて前記物体の3次元の分子配向を解析する工程と、を備える、分子配向の解析方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも一部に結晶性を有するポリマー分子を含む物体を試料として準備する工程と、
互いに異なる3方向を第1方向、第2方向、第3方向とした場合に、
この物体に対して前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向のそれぞれからX線を照射して前記第1、第2、第3方向のそれぞれに対応する第1、第2、第3のX線回折プロファイルを得る工程と、
前記第1、第2、第3方向のX線回折プロファイルのそれぞれに対し所定のピークを選択してピークの積分強度を算出する工程と、
前記所定のピークの積分強度に基づいて前記物体の3次元の分子配向を算出する工程と、を備える、
分子配向の解析方法。
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
請求項1に記載の分子配向の解析方法において、前記第1方向、前記第2方向および前記第3方向の方向を表すそれぞれの方向ベクトルのすべてが同一平面上にはない、分子配向の解析方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の分子配向の解析方法において、前記第1方向、前記第2方向および前記第3方向は、互いに略直交する、分子配向の解析方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の分子配向の解析方法において、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルに対し所定のピークを選択してピークの積分強度を算出する工程が、
X線の照射方向に垂直な面内における周方向の角度を方位角とした場合に、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルのそれぞれにおいて、複数の方位角のそれぞれに対応する1次元プロファイルを得る副工程と、
前記1次元プロファイルから前記所定のピークを分離し、当該分離した所定のピークの積分強度を算出する副工程と、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルのそれぞれに対して算出される規格化定数を用いて、前記所定のピークの積分強度を規格化する副工程を備える、分子配向の解析方法。
【請求項5】
請求項4に記載の分子配向の解析方法において、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルのうちの少なくとも2つのX線回折プロファイルに対する前記規格化定数のそれぞれは、
前記少なくとも2つのX線回折プロファイルにおけるピークの積分強度の間の差が小さくなるように算出される、分子配向の解析方法。
【請求項6】
請求項4に記載の分子配向の解析方法において、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルのうちの任意の2つのX線回折プロファイルに対する前記規格化定数のそれぞれは、
分子配向に由来するピークであって、前記2つのX線回折プロファイルに対応する2つの方向の両方に垂直な軸方向と平行な方向に配向する分子に由来する前記2つのX線回折プロファイルにおけるピークの積分強度の間の差が小さくなるように算出される、分子配向の解析方法。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれか一項に記載の分子配向の解析方法において、
前記所定のピークの積分強度に基づいて前記物体の3次元の分子配向を算出する工程が、
前記第nのX線回折プロファイル(ここでn=1,2,3)のそれぞれにおいて、K

個の方位角φ
n,k
のそれぞれに対応するK

個の1次元プロファイルを得る場合、
(1) 前記第nのX線回折プロファイルに対応する方向と、前記方位角φ
n,k
とから定まる基準ベクトルを算出する副工程であって、当該基準ベクトルはその成分がnおよびφ
n,k
の関数として(X

(n,φ
n,k
),Y

(n,φ
n,k
),Z

(n,φ
n,k
))で表される3次元ベクトルである副工程と、
(2) 前記所定のピークの規格化された積分強度と、前記基準ベクトルとに基づいて、総和ベクトルを算出する副工程であって、当該総和ベクトルはその成分が(X

,Y

,Z

)で表される3次元ベクトルであり、式(1)
JPEG
2024164532000006.jpg
33
161
(ここで、

n,k
は第nのX線回折プロファイルから得られたK

個の1次元プロファイルのうちの第k番目の1次元プロファイルにおける所定のピークの規格化された積分強度であり、
φ
n,k
は第nのX線回折プロファイルから得られたK

個の1次元プロファイルのうちの第k番目の1次元プロファイルに対応する方位角である)
によって算出される副工程と、
を含み、前記総和ベクトルに基づいて前記物体の3次元の分子配向が決定される、分子配向の解析方法。
【請求項8】
請求項7に記載の分子配向の解析方法において、
前記物体の3次元の分子配向は、その各成分(x,y,z)の和が1となるように前記総和ベクトルに基づいて定められる、分子配向の解析方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の分子配向の解析方法において、
前記所定のピークは分子鎖方向に平行な回折面に相当するピークである、分子配向の解析方法。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の分子配向の解析方法において、前記第1、第2、第3のX線プロファイルは、2次元回折像である、分子配向の解析方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、分子配向の解析方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
ポリマー分子などで構成される、フィルム、基板、筐体、容器、繊維集合体などの各種成形体では、ポリマーの分子配向によって、力学的、電気的、光学的性質などが変わることはよく知られており、これら成形体の製造においては、分子配向は製品の品質を左右する重要な項目の一つである。
【0003】
従来、分子配向の測定には、偏光の透過強度を測定し、複屈折率を算出する方法が用いられてきた。また、成形体などの、光に不透明な被測定物体に対しては、マイクロ波を用いて透過強度を測定し、分子配向を算出する方法が行われてきた。
【0004】
例えば、特許文献1(特許第3691658号公報)には、マイクロ波分子配向度測定装置において、マイクロ波共振導波管中のサンプルを、マイクロ波の進行方向に垂直な面内で回転させてマイクロ波透過強度を検出し、最大マイクロ波強度を与えるマイクロ波振動数に基づいて算出される物体の厚さを考慮した屈折率を用いて、物体の厚さを考慮した分子配向度を得る方法が知られている。
【0005】
また、特許文献2(特許第6619487号公報)では、液晶ポリエステルフィルムの分子配向を測定する方法として、マイクロ波分子配向計を用いる方法と、広角X線散乱法とを組み合わせて、それぞれ異なる方向に対応する第1~第3の配向度を測定する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第3691658号公報
特許第6619487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、厚さの影響をなくした分子配向の指標を得ることを目的としているため、積極的に3次元的な分子配向を算出する分子配向の解析方法として利用することはできない。
また、特許文献2において提案される、マイクロ波分子配向測定と広角X線回折の測定を組み合わせてXYZ方向(平面方向および厚さ方向)の分子配向を評価する方法は、それぞれの測定における検出範囲と検出方法が異なるので、同一の方法と基準で物体の3次元的な分子配向を一元的に把握することができない。
【0008】
したがって、本発明は、結晶性を有するポリマーを含む物体の平面方向だけでなく、厚さ方向も含めた物体の3次元的な分子配向を、同一の方法と基準で求める方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、結晶性を有するポリマーを含む物体に対し、X線回折測定装置を用いて任意の方向からX線を照射し、得られた結果から、物体を構成する分子の3次元的な分子配向を求める方法を見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の態様で構成されうる。
〔態様1〕
少なくとも一部に結晶性を有するポリマー分子を含む物体を試料として準備する工程と、
互いに異なる3方向を第1方向、第2方向、第3方向とした場合に、
この物体に対して前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向のそれぞれからX線を照射して前記第1、第2、第3方向のそれぞれに対応する第1、第2、第3のX線回折プロファイルを得る工程と、
前記第1、第2、第3方向のX線回折プロファイルのそれぞれに対し所定のピークを選択してピークの積分強度を算出する工程と、
前記所定のピークの積分強度に基づいて前記物体の3次元の分子配向を算出する工程と、を備える、
分子配向の解析方法。
〔態様2〕
態様1に記載の分子配向の解析方法において、前記第1方向、前記第2方向および前記第3方向の方向を表すそれぞれの方向ベクトルのすべてが同一平面上にはない、分子配向の解析方法。
〔態様3〕
態様1ないし2に記載の分子配向の解析方法において、前記第1方向、前記第2方向および前記第3方向は、互いに略直交する、分子配向の解析方法。
〔態様4〕
態様2ないし3に記載の分子配向の解析方法において、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルに対し所定のピークを選択してピークの積分強度を算出する工程が、
X線の照射方向に垂直な面内における周方向の角度を方位角とした場合に、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルのそれぞれにおいて、複数の方位角のそれぞれに対応する1次元プロファイルを得る副工程と、
前記1次元プロファイルから前記所定のピークを分離し、当該分離した所定のピークの積分強度を算出する副工程と、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルのそれぞれに対して算出される規格化定数を用いて、前記所定のピークの積分強度を規格化する副工程を備える、分子配向の解析方法。
〔態様5〕
態様4に記載の分子配向の解析方法において、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルのうちの少なくとも2つのX線回折プロファイルに対する前記規格化定数のそれぞれは、
前記少なくとも2つのX線回折プロファイルにおけるピークの積分強度の間の差が小さくなるように算出される、分子配向の解析方法。
〔態様6〕
態様4に記載の分子配向の解析方法において、
前記第1、第2、第3のX線回折プロファイルのうちの任意の2つのX線回折プロファイルに対する前記規格化定数のそれぞれは、
分子配向に由来するピークであって、前記2つのX線回折プロファイルに対応する2つの方向の両方に垂直な軸方向と平行な方向に配向する分子に由来する前記2つのX線回折プロファイルにおけるピークの積分強度の間の差が小さくなるように算出される、分子配向の解析方法。
〔態様7〕
請求項4ないし6のいずれか一項に記載の分子配向の解析方法において、
前記所定のピークの積分強度に基づいて前記物体の3次元の分子配向を算出する工程が、
前記第nのX線回折プロファイル(ここでn=1,2,3)のそれぞれにおいて、K

個の方位角のそれぞれに対応するK

個の1次元プロファイルを得る場合、
(1) 前記第nのX線回折プロファイルに対応する方向と、前記方位角φ
n,k
とから定まる基準ベクトルを算出する副工程であって、当該基準ベクトルはその成分がnおよびφ
n,k
の関数として(X

(n,φ
n,k
),Y

(n,φ
n,k
),Z

(n,φ
n,k
))で表される3次元ベクトルである副工程と、
(2) 前記所定のピークの規格化された積分強度と、前記基準ベクトルとに基づいて、総和ベクトルを算出する副工程であって、当該総和ベクトルはその成分が(X

,Y

,Z

)で表される3次元ベクトルであり、式(1)
JPEG
2024164532000002.jpg
35
160
(ここで、

n,k
は第nのX線回折プロファイルから得られたK

【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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