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公開番号2024164390
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-27
出願番号2023079835
出願日2023-05-15
発明の名称二酸化炭素回収装置
出願人株式会社アイシン
代理人弁理士法人プロスペック特許事務所
主分類B01D 53/62 20060101AFI20241120BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】コストを削減しつつ、アミン水溶液に吸収されている二酸化炭素の量を推定できる二酸化炭素回収装置を提供する。
【解決手段】二酸化炭素回収装置10aは、二酸化炭素放散塔12の内部に存在するアミン水溶液を二酸化炭素放散塔12に送給する第一電動ポンプ16の消費電力を計測する電力計18と、二酸化炭素放散塔12に流入するアミン水溶液の温度を計測する温度計と、電動ポンプの消費電力およびアミン水溶液の温度とアミン水溶液に含まれる二酸化炭素の量との関係が規定されたマップを備える制御装置22と、を備え、制御装置22は、電力計18により計測された第一電動ポンプ18の消費電力と温度計により計測されたアミン水溶液の温度をマップに当てはめることによりアミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量を推定する。
【選択図】図3B
特許請求の範囲【請求項1】
二酸化炭素を含有するガスに含まれる二酸化炭素がアミン水溶液に吸収されるように構成される二酸化炭素吸収塔と、
前記アミン水溶液に吸収されている二酸化炭素が前記アミン水溶液から放散されるように構成される二酸化炭素放散塔と、
前記二酸化炭素吸収塔と前記二酸化炭素放散塔とを接続している第一経路を通じて前記二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記アミン水溶液を前記二酸化炭素放散塔に送給する電動ポンプの消費電力、前記電動ポンプを流れる電流、または前記電動ポンプに印加される電圧を計測する計測器と、
前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液の温度を計測する第一温度計と、
前記消費電力および前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液の温度と、前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液に含まれる二酸化炭素の量と、の関係が規定されたマップを備え、前記計測器により計測された前記消費電力または前記計測器により計測された前記電流もしくは前記電圧から推定した前記消費電力と前記第一温度計により計測された前記アミン水溶液の温度を前記マップに当てはめることにより、前記アミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量を推定する演算装置と、
を備える、
二酸化炭素回収装置。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記二酸化炭素放散塔から前記二酸化炭素吸収塔に前記アミン水溶液を送給する第二経路を流れる前記アミン水溶液と前記第一経路を流れる前記アミン水溶液との間で熱交換されるように構成される熱交換器を備え、
前記第一温度計は、前記第一経路の前記熱交換器よりも前記二酸化炭素放散塔に近い側において前記アミン水溶液の温度を計測するように構成される、
二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
請求項2に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記電動ポンプに流入する前記アミン水溶液の温度を計測する第二温度計を備え、
前記演算装置は、前記第二温度計により計測された前記アミン水溶液の温度に基づいて、前記計測により計測された前記消費電力または推定した前記消費電力を補正し、補正した前記消費電力を、前記マップに適用することにより、前記アミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量を推定する、
二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
請求項3に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記マップは、前記電動ポンプがあらかじめ規定された温度である前記アミン水溶液を前記二酸化炭素放散塔に送給するときの前記電動ポンプの前記消費電力および前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液の温度と、前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液に含まれる二酸化炭素の量と、の関係が規定されたマップであり、
前記演算装置は、前記計測器により計測された前記消費電力または前記計測器により計測された前記電流もしくは前記電圧から推定した前記消費電力を、前記第二温度計により計測された温度に基づいて、あらかじめ規定された温度の前記アミン水溶液を前記二酸化炭素放散塔に送給するときの消費電力に補正し、補正した前記消費電力を前記マップに適用することにより、前記アミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量を推定する、
二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
請求項2に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記電動ポンプを流通する前記アミン水溶液の流量を計測する流量計を備え、
前記演算装置は、前記流量計により計測された前記流量に基づいて、前記計測器により計測された前記消費電力または前記計測器により計測された前記電流もしくは前記電圧から推定した前記消費電力を補正し、補正した前記消費電力を、前記マップに適用することにより、前記アミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量を推定する、
二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
請求項5に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記マップは、前記電動ポンプがあらかじめ規定された流量の前記アミン水溶液を前記二酸化炭素放散塔に送給するときの前記電動ポンプの前記消費電力および前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液の温度と、前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液に含まれる二酸化炭素の量と、の関係が規定されたマップであり、
前記演算装置は、前記計測器により計測された前記消費電力または前記計測器により計測された前記電流もしくは前記電圧から推定した前記消費電力を、前記流量計により計測された前記流量に基づいて、あらかじめ規定された流量の前記アミン水溶液を前記二酸化炭素放散塔に送給するときの消費電力に補正し、補正した前記消費電力を前記マップに適用することにより、前記アミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量を推定する、
二酸化炭素回収装置。
【請求項7】
請求項1に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記二酸化炭素放散塔から排出される二酸化炭素の流量を計測する二酸化炭素流量計を備え、
前記演算装置は、推定した前記アミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量から前記二酸化炭素流量計により計測された二酸化炭素の量を減算することにより、前記二酸化炭素放散塔から流出する前記アミン水溶液に残留している二酸化炭素の量を推定する、
二酸化炭素回収装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素回収装置に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来、アミン水溶液を使用して化石燃料の燃料排ガスなどに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置が知られている。特許文献1および特許文献2に開示される二酸化炭素回収装置は、二酸化炭素吸収塔に燃焼排ガスなどを導入するとともに、二酸化炭素吸収塔と二酸化炭素放散塔とにアミン水溶液を循環させるように構成される。そして、二酸化炭素吸収塔において燃料排ガスなどに含まれる二酸化炭素をアミン水溶液に吸収させ、二酸化炭素放散塔においてアミン水溶液から二酸化炭素を放散させるとともに、二酸化炭素放散塔において放散させた二酸化炭素を回収するように構成される。
【0003】
ところで、このような二酸化炭素回収装置において二酸化炭素の回収の効率を上げる(例えば、二酸化炭素回収装置の稼働に要するエネルギーに対する回収できる二酸化炭素の量の比を大きくする)ため、適切な運転条件で二酸化炭素回収装置を稼働させることが求められる。そしてそのためには、アミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量をリアルタイムで継続的に把握する必要がある。
【0004】
前記特許文献1に開示される二酸化炭素回収装置は、アミン水溶液の温度と、アミン水溶液の電気伝導率または超音波伝搬速度とからアミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量を推定する。前記特許文献2に開示される二酸化炭素回収装置は、アミン水溶液の粘度、導電率および超音波伝搬速度のうちの少なくとも1つを計測し、その計測結果からアミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量を推定する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される構成によれば、アミン水溶液の循環系に、温度計のほかに電気導電率測定装置または超音波伝搬速度測定装置が配置されなければならない。同様に、特許文献2に開示される構成によれば、アミン水溶液の循環系に、粘度計、導電率および超音波伝播速度測定器の少なくとも1つが配置されなければならない。このため、二酸化炭素回収装置に設備コストの上昇を招くほか、アミン水溶液はいわゆる「アミン腐食」を引き起こすことがあるためこれらの機器のメンテナンスの手間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2012-1522731号公報
特開2017-90120号公報
【発明の概要】
【0007】
(発明が解決しようとする課題)
上記実情に鑑み、本発明の目的の1つは、装置に要するコストおよびメンテナンスに要する手間を削減しつつ、または装置に要するコストの上昇およびメンテナンスの手間の増加を抑制しつつ、アミン水溶液に吸収されている二酸化炭素の量を推定できる二酸化炭素吸収装置を提供することである。
【0008】
(課題を解決するための手段)
前記目的を達成するため、本発明に係る二酸化炭素回収装置は、
二酸化炭素を含有するガスに含まれる二酸化炭素がアミン水溶液に吸収されるように構成される二酸化炭素吸収塔と、
前記アミン水溶液に吸収されている二酸化炭素が前記アミン水溶液から放散されるように構成される二酸化炭素放散塔と、
前記二酸化炭素吸収塔と前記二酸化炭素放散塔とを接続している第一経路を通じて前記二酸化炭素吸収塔の内部に存在する前記アミン水溶液を前記二酸化炭素放散塔に送給する電動ポンプの消費電力、前記電動ポンプを流れる電流、または前記電動ポンプに印加される電圧を計測する計測器と、
前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液の温度を計測する第一温度計と、
前記消費電力および前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液の温度と、前記第一経路を通じて前記二酸化炭素放散塔に送給される前記アミン水溶液に含まれる二酸化炭素の量と、の関係が規定されたマップを備え、前記計測器により計測された前記消費電力または前記計測器により計測された前記電流もしくは前記電圧から推定した前記消費電力と前記第一温度計により計測された前記アミン水溶液の温度を前記マップに当てはめることにより、前記アミン水溶液に吸収された二酸化炭素の量を推定する演算装置と、
を備える。
【0009】
本発明に係る二酸化炭素回収装置は、アミン水溶液の温度およびアミン水溶液を送給するためのポンプの消費電力(具体的には、計測した消費電力または推定した消費電力)を二次元マップに適用することにより、アミン水溶液が吸収した二酸化炭素の量を推定する。このため、二酸化炭素回収装置が、アミン水溶液の温度を計測する温度計と、ポンプの消費電力を計測する計測器またはポンプの消費電力を推定するための電流もしくは電圧を計測する計測器とを備えることにより、アミン水溶液が吸収した二酸化炭素の量を推定できる。したがって、特許文献1や特許文献2に開示される二酸化炭素回収装置のような、電気導電率測定装置、超音波伝搬速度測定装置、粘度計、導電率計、および超音波伝播速度測定器などの測定装置(計測機器)は不要であるから、装置に要するコストの削減を図ることができる。また、電力、電流、または電圧を計測する計測器は、前記のような測定装置に比較して故障しにくく、かつ、計測器は腐食性を有するアミンに接触しないから、メンテナンスの手間を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る二酸化炭素回収装置の構成を示す模式図である。
図2Aは、アミン水溶液の二酸化炭素含有率と第一ポンプの消費電力との関係を示すグラフである。
図2Bは、アミン水溶液の二酸化炭素含有率と放散塔に流入するアミン水溶液の温度との関係を示すグラフである。
図3Aは、第一ポンプの消費電力と放散塔に流入するアミン水溶液の温度とアミン水溶液の二酸化炭素含有率との関係を示すグラフである。
図3Bは、第一ポンプの消費電力と放散塔に流入するアミン水溶液の温度とアミン水溶液の二酸化炭素含有率との関係を規定する二次元マップの模式図である。
図4は、第一の変形例に係る二酸化炭素回収装置の構成を示す模式図である。
図5は、第二の変形例に係る二酸化炭素回収装置の構成を示す模式図である。
図6は、第三の変形例に係る二酸化炭素回収装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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