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公開番号2024158950
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023074607
出願日2023-04-28
発明の名称発酵飲食品
出願人国立大学法人東北大学,ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
代理人個人,個人
主分類A23L 5/00 20160101AFI20241031BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】菌体外多糖(EPS)を産生させ、菌体外多糖を含有することで免疫賦活効果を有する発酵飲料品を提供する。
【解決手段】(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖と、(B)スクロースとを重量比(A):(B)=1:5~1:1の割合で含む基材を乳酸菌ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌体外多糖(EPS)高生産株によって発酵させて得られる菌体外多糖(EPS)を含有する、発酵飲食品。
【選択図】図1-1
特許請求の範囲【請求項1】
(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖と、(B)スクロースとを重量比(A):(B)=1:5~1:1の割合で含む基材を、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌体外多糖(EPS)高生産株によって発酵させて得られる菌体外多糖(EPS)を含有する、発酵飲食品。
続きを表示(約 930 文字)【請求項2】
前記基材が豆乳であることを特徴とする、請求項1に記載の発酵飲食品。
【請求項3】
基材中の(A)のいずれか1以上の糖含量と(B)スクロース含量の重量比が、(A):(B)=1:5~1:1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の発酵飲食品。
【請求項4】
ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌体外多糖(EPS)高生産株用発酵基材であって、培地中の(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖の含量と(B)スクロース含量の重量比が(A):(B)=1:5~1:1となるよう調整されたものである、菌体外多糖(EPS)産生乳酸菌用発酵基材。
【請求項5】
(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖の含量と(B)スクロース含量の重量比が(A):(B)=1:5~1:1である基材を、
ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌体外多糖(EPS)高生産株によって発酵させることによる、免疫賦活に優れた菌体外多糖(EPS)の産生方法。
【請求項6】
免疫賦活がNK活性向上および/又はIL-12産生促進によるものである、請求項5に記載の菌体外多糖(EPS)の産生方法。
【請求項7】
(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖の含量と(B)スクロースの含量の重量比が(A):(B)=1:5~1:1である基材を
ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌体外多糖(EPS)高生産株によって発酵させて得られる菌体外多糖(EPS)を投与することによる、免疫賦活方法。
【請求項8】
免疫賦活がNK活性向上活性および/又はIL-12産生促進によるものであることを特徴とする、請求項7に記載の免疫賦活方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵飲食品に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来より、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii ssp.bulgaricus;ブルガリア菌とも呼ばれる)やストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)等の乳酸菌を用いて牛乳を発酵することで製造されるヨーグルトをはじめとする発酵乳中には、菌体外多糖(EPS)が含まれていることが知られている。
そして近年の世界的な感染症の流行等を受けて、免疫力向上に対する消費者の関心が大きくなってきているが、これまでにこの乳酸菌が産生する菌体外多糖(EPS)が免疫賦活活性を有することが報告されている(特許文献1)。
また、ブルガリア菌の一種であるOLL1073R-1株により産生される菌体外多糖(EPS)には、自己免疫疾患を予防する効果があることが知られている。そしてOLL1073R-1株を用いて製造された発酵乳には、NK(ナチュラルキラー)細胞の活性化(以下、「NK活性」という)、感冒罹患の減少等の効果があることも知られている。
また特許文献2には、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス FC(Lactococcus lactis sbp. cremoris FC)が生産する菌体外多糖(EPS)が、免疫系の向上活性を保つのに重要な役割を果たすインターロイキン-12(以下、「IL-12」という)の産生を誘導することが記載されている。
なお、ヒトの免疫指標が様々ある中で、NK活性を評価するものが最もポピュラーである。そして、そのNK活性のin vitroでの評価方法として、マクロファージ様細胞の産生するIL-12をマーカーとして評価するものがよく使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5177728号公報
特開2009-256312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
免疫賦活を目的として、菌体外多糖(EPS)を含む牛乳ヨーグルトは既に商品として販売されている。近年需要が伸びている豆乳ヨーグルトにおいても同様に、免疫賦活効果を有する商品が求められているが、未だ実現していない。
豆乳を発酵させて得られた菌体外多糖(EPS)が、牛乳を発酵させて得られた菌体外多糖(EPS)よりも、NK細胞を活性化させる結果を得て、この成果を効率良く応用することを検討した。
そして、豆乳と牛乳の組成を比較して、豆乳が多く含有するスタキオースに着目することで、免疫賦活効果を有する豆乳ヨーグルトを得る可能性を検討した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記の手段を採用することにより上記の課題を解決できることを見出した。
1.(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖と、(B)スクロースとを重量比(A):(B)=1:5~1:1の割合で含む基材を、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌体外多糖(EPS)高生産株によって発酵させて得られる菌体外多糖(EPS)を含有する、発酵飲食品。
2.前記基材が豆乳であることを特徴とする、1.に記載の発酵飲食品。
3.基材中の(A)のいずれか1以上の糖含量と(B)スクロース含量の重量比が、(A):(B)=1:5~1:1であることを特徴とする、1.または2.に記載の発酵飲食品。
4.ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌体外多糖(EPS)高生産株用発酵基材であって、培地中の(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖の含量と(B)スクロース含量の重量比が(A):(B)=1:5~1:1となるよう調整されたものである、菌体外多糖(EPS)産生乳酸菌用発酵基材。
5.(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖の含量と(B)スクロース含量の重量比が(A):(B)=1:5~1:1である基材を、
ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌体外多糖(EPS)高生産株によって発酵させることによる、免疫賦活に優れた菌体外多糖(EPS)の産生方法。
6.免疫賦活がNK活性向上および/又はIL-12産生促進によるものである、5.に記載の菌体外多糖(EPS)の産生方法。
7.(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖の含量と(B)スクロースの含量の重量が(A):(B)=1:5~1:1である基材を
ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)の菌体外多糖(EPS)高生産株によって発酵させて得られる菌体外多糖(EPS)を投与することによる、免疫賦活方法。
8.免疫賦活がNK活性向上活性および/又はIL-12産生促進によるものであることを特徴とする、7.に記載の免疫賦活方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、豆乳を発酵させて得られる飲食品によって、免疫賦活を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
実施例1におけるIL-12の産生量を示すグラフである。
実施例1におけるNK活性の向上率を示すグラフである。
実施例2におけるIL-12の産生量を示すグラフである。
実施例2におけるNK活性の向上率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の本発明を実施するための説明は、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属する。
【0009】
[(A)グルコース、ラクトース、ラフィノース、パラチノース、スタキオースからなる群のいずれか1以上の糖](以下場合により「A成分」という)
A成分として使用できる糖は、各種異性体のうち任意のものを使用できる。
基材中のA成分の含有量は、3~10g/Lが好ましい。
[(B)スクロース] (以下場合により「B成分」という)
基材中のB成分の含有量は、5~15g/Lが好ましい。
【0010】
[乳酸菌]
本発明において発酵を行う乳酸菌としては、糖から乳酸を生成するホモ発酵乳酸菌である、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)が好ましい。
そして、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトバチラス・デルブリッキー(Lactobacillus derbrueckii)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)、ラクトバチラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)等の2種以上と併用してもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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