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公開番号
2024142263
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-10
出願番号
2023054385
出願日
2023-03-29
発明の名称
積層フィルム
出願人
住友化学株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
B32B
27/34 20060101AFI20241003BHJP(積層体)
要約
【課題】高い突刺強度を有する積層フィルムを提供する。
【解決手段】ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、前記積層フィルムの厚み方向の断面において、該積層フィルムの面内方向を0°方向、該積層フィルムの厚み方向を90°方向としたときに、レーザーラマン分光装置により測定される各層のピーク強度比が、式(I)~式(III):
[〔I
1
(60)+I
1
(90)〕/P1]×[〔I
2
(0)+I
2
(30)〕/P2]≧0.145 (I)
P1=I
1
(0)+I
1
(30)+I
1
(60)+I
1
(90) (II)
P2=I
2
(0)+I
2
(30)+I
2
(60)+I
2
(90) (III)
の関係を満たす、積層フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、
前記積層フィルムの厚み方向の断面において、該積層フィルムの面内方向を0°方向、該積層フィルムの厚み方向を90°方向としたときに、レーザーラマン分光装置により測定される各層のピーク強度比は、式(I)~式(III):
[〔I
1
(60)+I
1
(90)〕/P1]×[〔I
2
(0)+I
2
(30)〕/P2]≧0.145 (I)
P1=I
1
(0)+I
1
(30)+I
1
(60)+I
1
(90) (II)
P2=I
2
(0)+I
2
(30)+I
2
(60)+I
2
(90) (III)
[式中、I
1
(0)、I
1
(30)、I
1
(60)及びI
1
(90)は、それぞれ、前記層(PI-1)における前記積層フィルムの0°、30°、60°及び90°方向と一致する偏光配置でのピーク強度比を表し、I
2
(0)、I
2
(30)、I
2
(60)及びI
2
(90)は、それぞれ、前記層(PI-2)における前記積層フィルムの0°、30°、60°及び90°方向と一致する偏光配置でのピーク強度比を表し、前記ピーク強度比は(1615cm
-1
付近のピーク強度)/(725cm
-1
付近のピーク強度)を表す]
の関係を満たす、積層フィルム。
続きを表示(約 3,000 文字)
【請求項2】
式(I)において、前記〔I
1
(60)+I
1
(90)〕/P1は0.230以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
式(IV):
[〔I
1
(60)+I
1
(90)〕/P1]×[I
2
(30)/P2]≧0.055 (IV)
の関係を満たす、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)と前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)との間に中間領域を有し、
前記中間領域は、走査型プローブ顕微鏡により、前記積層フィルムの厚み方向断面の弾性率を厚み方向に沿って連続的に測定したときに、該弾性率が、前記層(PI-1)の平均弾性率(1)から前記層(PI-2)の平均弾性率(2)に至るまで連続的に変化する領域であり、
前記中間領域の厚さは50nm以上である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)の厚みは、前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)の厚みの0.05~0.3倍である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項6】
さらにポリイミド系樹脂含有層(PI-3)を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)の少なくとも1層は、テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(A)は、式(A1):
JPEG
2024142263000032.jpg
30
39
[式(A1)中、R
a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
kは、0~2の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)、及び/又は、式(A2):
JPEG
2024142263000033.jpg
30
54
[式(A2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、lは、互いに独立に、0~3の整数である]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項8】
前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)の少なくとも1層は、ジアミン由来の構成単位(B)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(B)は、式(B1):
JPEG
2024142263000034.jpg
25
67
[式(B1)中、R
b1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
Wは、互いに独立に、-O-、-CH
2
-、-CH
2
-CH
2
-、-CH(CH
3
)-、-C(CH
3
)
2
-、-C(CF
3
)
2
-、-COO-、-OOC-、-SO-、-SO
2
-、-S-、-CO-、-N(R
c
)-及び-CONH-からなる群から選択される2価の連結基、又は、単結合(但し、mは2以上であり、少なくとも1つのWは前記2価の連結基である)を表し、R
c
は水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、
mは1~4の整数を表し、
qは互いに独立に、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(B1)を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項9】
前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)は、テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)及びジアミン由来の構成単位(B)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(A)は、式(A1):
JPEG
2024142263000035.jpg
30
39
[式(A1)中、R
a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
kは、0~2の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)、及び/又は、式(A2):
JPEG
2024142263000036.jpg
30
54
[式(A2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、lは、互いに独立に、0~3の整数である]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)を含み、
前記構成単位(B)は、式(B1):
JPEG
2024142263000037.jpg
25
67
[式(B1)中、R
b1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
Wは、互いに独立に、-O-、-CH
2
-、-CH
2
-CH
2
-、-CH(CH
3
)-、-C(CH
3
)
2
-、-C(CF
3
)
2
-、-COO-、-OOC-、-SO-、-SO
2
-、-S-、-CO-、-N(R
c
)-及び-CONH-からなる群から選択される2価の連結基、又は、単結合(但し、mは2以上であり、少なくとも1つのWは前記2価の連結基である)を表し、R
c
は水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、
mは1~4の整数を表し、
qは互いに独立に、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(B1)を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項10】
前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)に含まれるポリイミド系樹脂は、前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)に含まれるポリイミド系樹脂とは異なる樹脂である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド系樹脂含有層を含む積層フィルム、特に、高周波帯域用のプリント回路基板やアンテナ基板に対応可能な基板材料などに利用できる積層フィルム、前記積層フィルムを含む積層シート及びフレキシブルプリント回路基板に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント回路基板(以下、FPCと記載することがある)は、薄く軽量で可撓性を有するため、立体的、高密度な実装が可能であり、携帯電話、ハードディスク等の多くの電子機器に使用され、その小型化、軽量化に寄与している。従来、FPCには、耐熱性、機械物性、電気絶縁性に優れるポリイミド樹脂が広く用いられており、例えば、FPCに使用される銅張積層板(以下、CCLと略すことがある)等の金属張積層板として、ポリイミド系フィルムの片面又は両面に銅箔層を有する積層体が知られている。
近年、5Gと称される第5世代移動通信システムが本格的に普及しつつあり(例えば特許文献1)、5G以降の高速通信用途に適したポリイミド系フィルムが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-161285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FPCにおいて使用されるポリイミド系フィルムには、加工時等にフィルムの厚み方向に衝撃が加わる可能性があり、これに耐え得る突刺強度が求められる。しかし、誘電特性を適切な範囲に制御しながら機械物性を高めることは難しい。このため、突刺強度が高く、5G以降の高速通信用途に用い得るポリイミド系フィルムの開発が必要とされている。
【0005】
本発明の目的は、高い突刺強度を有する積層フィルム、及び該積層フィルムを含む積層シート、並びにフレキシブルプリント回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムにおいて、レーザーラマン分光装置により測定される各層のピーク強度比が、特定の関係を満たすことにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
【0007】
[1]ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、
前記積層フィルムの厚み方向の断面において、該積層フィルムの面内方向を0°方向、該積層フィルムの厚み方向を90°方向としたときに、レーザーラマン分光装置により測定される各層のピーク強度比は、式(I)~式(III):
[〔I
1
(60)+I
1
(90)〕/P1]×[〔I
2
(0)+I
2
(30)〕/P2]≧0.145 (I)
P1=I
1
(0)+I
1
(30)+I
1
(60)+I
1
(90) (II)
P2=I
2
(0)+I
2
(30)+I
2
(60)+I
2
(90) (III)
[式中、I
1
(0)、I
1
(30)、I
1
(60)及びI
1
(90)は、それぞれ、前記層(PI-1)における前記積層フィルムの0°、30°、60°及び90°方向と一致する偏光配置でのピーク強度比を表し、I
2
(0)、I
2
(30)、I
2
(60)及びI
2
(90)は、それぞれ、前記層(PI-2)における前記積層フィルムの0°、30°、60°及び90°方向と一致する偏光配置でのピーク強度比を表し、前記ピーク強度比は(1615cm
-1
付近のピーク強度)/(725cm
-1
付近のピーク強度)を表す]
の関係を満たす、積層フィルム。
[2]式(I)において、前記〔I
1
(60)+I
1
(90)〕/P1は0.230以上である、[1]に記載の積層フィルム。
[3]式(IV):
[〔I
1
(60)+I
1
(90)〕/P1]×[I
2
(30)/P2]≧0.055 (IV)
の関係を満たす、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)と前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)との間に中間領域を有し、
前記中間領域は、走査型プローブ顕微鏡により、前記積層フィルムの厚み方向断面の弾性率を厚み方向に沿って連続的に測定したときに、該弾性率が、前記層(PI-1)の平均弾性率(1)から前記層(PI-2)の平均弾性率(2)に至るまで連続的に変化する領域であり、
前記中間領域の厚さは50nm以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)の厚みは、前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)の厚みの0.05~0.3倍である、[1]~[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]さらにポリイミド系樹脂含有層(PI-3)を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7]前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)の少なくとも1層は、テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(A)は、式(A1):
JPEG
2024142263000001.jpg
30
39
[式(A1)中、R
a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
kは、0~2の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)、及び/又は、式(A2):
JPEG
2024142263000002.jpg
30
54
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い突刺強度を有する積層フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
レーザーラマン分光測定を用いて0°方向(面内方向)と一致する偏光配置によりピーク強度比を測定する一例を示す概略図である。
本発明の一実施形態にかかる積層フィルム中の層(PI-1)及び層(PI-2)において、各ピーク強度比と角度方向との関係を示す概略図である。
本発明の一実施形態にかかる積層フィルムにおいて、試料断面の任意の点で得られたフォースカーブを示すグラフである。
本発明の一実施形態にかかる積層フィルムにおいて、試料断面のDMT弾性率像及び座標軸を示す図である。
図4のDMT弾性率像中のX=40,80,120,160,200の箇所を示す図である。
図4のDMT弾性率像中のX=40の弾性率プロファイルを示すグラフである。
図4のDMT弾性率像により得られる平均DMT弾性率プロファイルの9点移動平均線、中間領域及びその厚みを示すグラフである。
本発明の積層フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。なお、本明細書に記載されている複数の上限値及び下限値は、任意に組合せて好適な数値範囲とすることができる。
(【0011】以降は省略されています)
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