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公開番号
2024128793
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-24
出願番号
2023038001
出願日
2023-03-10
発明の名称
全固体セルにおける固体電解質の配置構造および電池
出願人
国立大学法人東北大学
,
DOWAホールディングス株式会社
代理人
個人
主分類
H01M
10/0562 20100101AFI20240913BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】全固体リチウムイオン二次電池などの全固体セルにおいて、充電電圧の更なる向上に有利な技術を提供する。
【解決手段】 全固体セルにおいて、高電位側の導電材料と低電位側の導電材料の間に、Li、Al、Fを含むβ-Li
3
AlF
6
型構造の結晶相、または組成式Li
x
AlF
3+x
においてxが2.0以上5.0以下を満たす範囲でLi、Al、Fを含む非晶質相を主成分とする第1の固体電解質と、硫化物または酸化物を主成分とする第2の固体電解質を有する、固体電解質の配置構造であって、
前記第1の固体電解質が前記高電位側の導電材料と前記第2の固体電解質の間に介在し、前記高電位側の導電材料と第1の固体電解質との接触部および第1の固体電解質と第2の固体電解質との接触部を有する、全固体セルにおける固体電解質の配置構造。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
全固体セルにおいて、高電位側の導電材料と低電位側の導電材料の間に、第1の固体電解質と第2の固体電解質を有する、固体電解質の配置構造であって、
前記第1の固体電解質は、Li、Al、Fを含むβ-Li
3
AlF
6
型構造の結晶相を主成分とするもの、または組成式Li
x
AlF
3+x
においてxが2.0以上5.0以下を満たす範囲でLi、Al、Fを含む非晶質相を主成分とするものであり、前記第2の固体電解質は、硫化物または酸化物を主成分とするものであり、
前記第1の固体電解質が前記高電位側の導電材料と前記第2の固体電解質の間に介在し、前記高電位側の導電材料と第1の固体電解質との接触部および第1の固体電解質と第2の固体電解質との接触部を有する、全固体セルにおける固体電解質の配置構造。
続きを表示(約 560 文字)
【請求項2】
前記第1の固体電解質は、Cu-Kα線を用いた横軸が2θ(°)であるX線回折パターンにおいて、β-Li
3
AlF
6
型構造の(222)結晶面の回折ピークの半価幅が0.25°以上となるもの、または非晶質が主成分であるために前記回折ピークの半価幅が測定できないものである、請求項1に記載の固体電解質の配置構造。
【請求項3】
前記高電位側の導電材料は正極活物質とそれ以外の導電部材とで構成され、前記第1の固体電解質が前記正極活物質と前記第2の固体電解質の間に介在することによって、正極活物質と第2の固体電解質との直接の接触が回避されるとともに、正極活物質と第1の固体電解質との接触部および第1の固体電解質と第2の固体電解質との接触部を有することによって、正極活物質と第2の固体電解質の間のイオン伝導が確保される構造を有する、請求項1に記載の全固体セルにおける固体電解質の配置構造。
【請求項4】
前記全固体セルが全固体リチウムイオン二次電池である、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体電解質の配置構造。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の固体電解質の配置構造を有する、全固体リチウムイオン二次電池。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体リチウムイオン二次電池に代表される全固体セルにおける、固体電解質の配置構造に関する。また、その配置構造を有する全固体リチウムイオン二次電池に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)
【背景技術】
【0002】
全固体リチウムイオン二次電池(以下「全固体電池」と言うことがある。)では、正極活物質と負極活物質の間にセパレータとしての固体電解質が配置され、両活物質間でのリチウムイオンの伝導が固体電解質を介して行われる。その固体電解質として、硫化物系、酸化物系、ポリマー系などのものが種々開発されているが、イオン伝導性や製造コストに関しては、現時点で硫化物系が有利であるとされる。
【0003】
全固体電池では、正極活物質とセパレータである固体電解質の間の界面抵抗が増加し、電池の容量等の性能が低下しやすいという問題があった。この界面抵抗の増加は、主として、正極活物質と固体電解質が反応して正極活物質の表面に高抵抗部位が形成されることに起因するとされ、セパレータとして硫化物系の固体電解質を使用した場合に問題となりやすい。そこで、正極活物質の表面をリチウムイオン伝導性の酸化物(代表的にはLiNbO
3
がよく知られている)やハロゲン化物からなる保護材としての固体電解質で被覆し、正極活物質がセパレータである固体電解質と反応することを回避する試みがなされてきた。ただし、保護材としての固定電解質は高い充電電圧を付与すると劣化する。代表的な保護材であるLiNbO
3
の場合、充電電圧が4.45Vを超えると劣化が加速される。
【0004】
特許文献1には、正極活物質の表面の少なくとも一部を被覆する保護材としての固体電解質として、Clを含むハロゲン化物を使用することが記載されている。特許文献1の実施例では、ハロゲン化物の固体電解質を硫化物系固体電解質に接触させて配置した電気化学セルによる評価実験が行われている。それによると、実施例に示されているハロゲン化物の固体電解質は、常温で3.88~4.47V vs In-Liの電圧にて反応して酸化分解を起こしたと評価されている(表1)。この側定値を金属Li基準に換算すると0.6Vを加えた値となることから(段落0173)、特許文献1の技術に係る被覆用の固体電解質(Clを含むハロゲン化物)では、充電時の酸化耐性が4.45Vより高い4.48~5.07V程度まで引き上げられたと見ることができる。ただし、上記の実験では3μA以上の電流値が流れ始めた電圧を酸化分解電圧と定義して評価している(段落0175、図3)。
【0005】
一方、特許文献2には、負極活物質の材料としてLi
3
AlF
6
を使用することが記載されている。このLi
3
AlF
6
は、850~900℃で焼成されること(段落0018)、およびCu-Kα線を用いたX線回折パターンにおいてβ-Li
3
AlF
6
に特徴的な2θ=31.2°付近の(222)回折ピークが見られないこと(図2)から、γ-Li
3
AlF
6
であると考えられる。また、特許文献2の技術では非晶質のLi
3
AlF
6
を使用してもよいとされるが、その非晶質を正極側に使用することは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2020/174868号
特開2022-114320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電池の充電電圧は、エネルギー密度の観点からは高いほど好ましい。しかし、充電電圧を高めると保護材としての固体電解質が劣化するため、従来一般的に充電電圧を4.45Vよりも高めることは容易でなかった。特許文献1の技術によれば全固体電池において4.45Vを超える充電電圧を実現することは可能と考えられるが、今後は更に高い充電電圧を実現できる技術の確立が求められる。
【0008】
本発明は、全固体リチウムイオン二次電池などの全固体セルにおいて、充電電圧の更なる向上に有利な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本明細書では以下の発明を開示する。
[1]全固体セルにおいて、高電位側の導電材料と低電位側の導電材料の間に、第1の固体電解質と第2の固体電解質を有する、固体電解質の配置構造であって、
前記第1の固体電解質は、Li、Al、Fを含むβ-Li
3
AlF
6
型構造の結晶相を主成分とするもの、または組成式Li
x
AlF
3+x
においてxが2.0以上5.0以下を満たす範囲でLi、Al、Fを含む非晶質相を主成分とするものであり、前記第2の固体電解質は、硫化物または酸化物を主成分とするものであり、
前記第1の固体電解質が前記高電位側の導電材料と前記第2の固体電解質の間に介在し、前記高電位側の導電材料と第1の固体電解質との接触部および第1の固体電解質と第2の固体電解質との接触部を有する、全固体セルにおける固体電解質の配置構造。
[2]前記第1の固体電解質は、Cu-Kα線を用いた横軸が2θ(°)であるX線回折パターンにおいて、β-Li
3
AlF
6
型構造の(222)結晶面の回折ピークの半価幅が0.25°以上となるもの、または非晶質が主成分であるために前記回折ピークの半価幅が測定できないものである、上記[1]に記載の固体電解質の配置構造。
[3]前記高電位側の導電材料は正極活物質とそれ以外の導電部材とで構成され、前記第1の固体電解質が前記正極活物質と前記第2の固体電解質の間に介在することによって、正極活物質と第2の固体電解質との直接の接触が回避されるとともに、正極活物質と第1の固体電解質との接触部および第1の固体電解質と第2の固体電解質との接触部を有することによって、正極活物質と第2の固体電解質の間のイオン伝導が確保される構造を有する、上記[1]または[2]に記載の全固体セルにおける固体電解質の配置構造。
[4]前記全固体セルが全固体リチウムイオン二次電池である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の固体電解質の配置構造。
[5]上記[1]~[3]のいずれかに記載の固体電解質の配置構造を有する、全固体リチウムイオン二次電池。
【0010】
本明細書において、「高電位側」とは、両極間に配置されるセパレータとしての固体電解質に対して、電荷の経路において高電位極(電池では正極)側に位置することを意味する。「低電位側」とは、両極間に配置されるセパレータとしての固体電解質に対して、電荷の経路において低電位極(電池では負極)側に位置することを意味する。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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