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公開番号2024119418
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-03
出願番号2023026302
出願日2023-02-22
発明の名称IMS分析装置及びIMS分析方法
出願人シャープ株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類G01N 27/622 20210101AFI20240827BHJP(測定;試験)
要約【課題】本発明は、迅速に最適なドリフト電圧を決定し設定することができるIMS分析装置を提供する。
【解決手段】本発明のIMS分析装置は、電子放出素子と、コレクタと、静電ゲート電極と、電場形成用電極と、記憶部を有する制御部とを備え、前記制御部及び前記コレクタは、イオンが前記コレクタに到達することにより流れる電流の電流波形を測定するように設けられ、前記制御部及び前記電子放出素子は、前記電流波形に現れるピークの総面積の目標値を設定して下部電極と表面電極との間に印加する電圧をフィードバック制御するように設けられ、前記記憶部は、前記ピークの総面積の目標値とドリフト電圧との関係を記憶しており、前記制御部は、前記関係を用いて、前記ピークの到達時間を前記ピークの半値幅で割った半値幅分解能が高くなるように前記ピークの総面積の目標値から前記ドリフト電圧を決定し設定するように設けられたことを特徴とする。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
電子放出素子と、コレクタと、静電ゲート電極と、電場形成用電極と、記憶部を有する制御部とを備え、
前記電子放出素子は、下部電極と、表面電極と、前記下部電極と前記表面電極の間に配置された中間層とを有し、
前記制御部及び前記電子放出素子は、前記下部電極と前記表面電極との間に電圧を印加することにより前記電子放出素子から電子を放出させて直接的又は間接的にイオンを生成するように設けられ、
前記制御部及び前記電場形成用電極は、前記電子放出素子から放出された電子により直接的又は間接的に生成されたイオンを前記コレクタへと移動させるような電位勾配を前記静電ゲート電極と前記コレクタとの間のドリフト領域に形成するように前記電場形成用電極を用いて前記ドリフト領域にドリフト電圧を印加するように設けられ、
前記制御部及び前記コレクタは、イオンが前記コレクタに到達することにより流れる電流の電流波形を測定するように設けられ、
前記制御部及び前記電子放出素子は、前記電流波形に現れるピークの総面積の目標値を設定して前記下部電極と前記表面電極との間に印加する電圧をフィードバック制御するように設けられ、
前記記憶部は、前記ピークの総面積の目標値と前記ドリフト電圧との関係を記憶しており、
前記制御部は、前記関係を用いて、前記ピークの到達時間を前記ピークの半値幅で割った半値幅分解能が高くなるように前記ピークの総面積の目標値から前記ドリフト電圧を決定し設定するように設けられたことを特徴とするIMS分析装置。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記記憶部は、予備的なIMS分析の測定結果に基づき、前記ピークの到達時間を前記ピークの半値幅で割った半値幅分解能が高くなるように算出された、前記ピークの総面積の目標値と前記ドリフト電圧との関係を前記関係として記憶している請求項1に記載のIMS分析装置。
【請求項3】
前記関係は、前記ピークの総面積の目標値を設定して前記下部電極と前記表面電極との間に印加する電圧をフィードバック制御しながら前記ドリフト電圧を変えてIMS分析を繰り返し、このIMS分析を複数の前記目標値のそれぞれについて行うことより得られた測定結果に基づき算出された関係である請求項1に記載のIMS分析装置。
【請求項4】
前記記憶部は、データ又は関係式として前記関係を記憶している請求項1~3のいずれか1つに記載のIMS分析装置。
【請求項5】
前記記憶部は、式(2)及び式(3)又はこれらの関係式に相当するデータ、並びに予備実験の測定結果に基づき算出したパラメータa及びb、或いは式(2)及び式(3)にパラメータa及びbを代入して導出した関係式を前記関係として記憶している請求項1に記載のIMS分析装置。
JPEG
2024119418000007.jpg
26
153
式中、Rは半値幅分解能を表し、t
D
はIMSスペクトルに現れるピークの到達時間を表し、W
0.5
は前記ピークの半値幅を表し、W
inj
は前記ピークの初期半値幅(静電ゲート電極通過直後の半値幅)を表し、Lはドリフト長(静電ゲート電極からコレクタまでの長さ)を表し、U
D
はドリフト電圧を表し、Tは絶対温度を表し、K
B
はボルツマン定数を表し、eは素電荷を表し、Kはイオン移動度を表し、W
diff
は拡散項を表し、αは拡散項補正係数を表す。
α=a×S+b・・・・・(3)
式中、αは拡散項補正係数を表し、SはIMSスペクトルに現れるピークの総面積の目標値を表し、aは近似式の傾きを表し、bは近似式の切片を表す。
【請求項6】
IMSスペクトルに現れるピークの総面積の目標値を設定して電子放出素子の下部電極と表面電極との間に印加する電圧をフィードバック制御するIMS分析方法であって、
IMSスペクトルに現れるピークの総面積の目標値と、静電ゲート電極とコレクタとの間のドリフト領域に印加するドリフト電圧との関係を用いて、前記ピークの到達時間を前記ピークの半値幅で割った半値幅分解能が高くなるように前記ピークの総面積の目標値から前記ドリフト電圧を決定し設定するステップを含むIMS分析方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、IMS分析装置及びIMS分析方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来のIMS分析装置では、イオン発生源として放射線、コロナ放電などを用いて試料ガスをイオン化している。放射線やコロナ放電は高いエネルギーを有するため、試料ガスをイオン化する際に試料ガスが化学的に分解することがある。この場合、試料ガスが分解して生成した多くのイオンが検出器により検出され、IMSスペクトルに多くのピーク(検出ピーク)が現れる。このことがIMS分析において試料ガスを特定することを困難にしている。
【0003】
電子放出素子から放出される低エネルギーの電子を用いて試料ガスをイオン化するIMS分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この分析装置により、試料ガスが化学的に分解することを抑制することができ、試料ガスを特定することが容易になる。
イオン発生源として電子放出素子を用いる場合、まず、電子放出素子から放出された電子が空気成分の分子をイオン化させ、一次イオンが生成する。この一次イオンに測定対象の試料ガスが混合されると、試料ガス中の目的分子がイオン分子反応によってイオン化され、二次イオンが生成する。一次イオン及び二次イオンは、静電ゲート電極によりドリフト領域に瞬間的に注入され、ドリフト電圧により形成される電場によりドリフト領域を移動し、最終的にコレクタに到達しイオンの電荷を受け渡す。この電荷の受け渡しにより生じる電流を測定することにより回収電流波形(IMSスペクトル、時間に対する検出電流のスペクトル波形)を得ることができる。イオン種によりドリフト領域を移動する時間(ピーク位置、到達時間)が異なる。このため、IMSスペクトルに現れるイオン種に応じたピークは、特定のピーク位置(到達時間)と分散を持つ正規分布様のピーク波形となっており、IMSスペクトルにはイオン種に応じたピークが重畳して現れる。
【0004】
一方で、IMSスペクトルに現れるピークの到達時間と半値幅はドリフトチューブの構成(ドリフトチューブ長、ドリフト電圧)とドリフトガスの環境(温度、圧力)に依存して変化することが知られており、この現象を説明する次のモデル式(1)が提案されている(非特許文献1参照)。
【0005】
JPEG
2024119418000002.jpg
30
153
式中、Rは分解能(半値幅分解能)を表し、t
D
はIMSスペクトルに現れるピークの到達時間を表し、W
0.5
は前記ピークの半値幅(半値全幅)を表し、W
inj
は前記ピークの初期半値幅(静電ゲート電極通過直後の半値幅)を表し、Lはドリフト長(静電ゲート電極からコレクタまでの長さ)を表し、U
D
はドリフト電圧を表し、Tは絶対温度を表し、K
B
はボルツマン定数を表し、eは素電荷を表し、Kはイオン移動度を表し、W
diff
は拡散項を表す。
【0006】
IMSスペクトルに現れる隣接ピーク間の分離能を説明する指標として、ピークの半値幅及び半値幅分解能がよく使われている。半値幅分解能は、IMSスペクトルに現れるピークの到達時間を半値幅で割った値であり、半値幅分解能が大きくなるほど、隣接ピーク間の分離性能が高く、個々の成分の特定がしやすくなる。
なお、IMSは、Ion Mobility Spectrometry(イオン移動度スペクトロメトリ)の省略である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2019-186190号公報
【非特許文献】
【0008】
Ansgar T. Kirk, Maria Allers, Philipp Cochems, Jens Langejuergen and Stefan Zimmermann, “A compact high resolution ion mobility spectrometer for fast trace gas analysis," Analyst, 18(2013), pp.5200-5207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のIMS分析装置では、空気から生成された一次イオンのピークと、検出対象成分から生成された二次イオンのピークが重なったIMSスペクトルが測定される場合があり、この場合、二次イオンのピーク位置(到達時間)を明確化できず、検出対象成分を特定することが困難である。ドリフト電圧を様々な値に設定し予備的な分析を多数回行うことによりドリフト時間と半値幅分解能を調整することができ重なったピークを分離できる場合もあるが、最適な条件を見つけるために多くの予備的な分析を行う必要がある。また、上記モデル式(1)を用いて算出した半値幅分解能は、測定結果から算出した分解能から乖離している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、迅速に最適なドリフト電圧を決定し設定することができるIMS分析装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電子放出素子と、コレクタと、静電ゲート電極と、電場形成用電極と、記憶部を有する制御部とを備え、前記電子放出素子は、下部電極と、表面電極と、前記下部電極と前記表面電極の間に配置された中間層とを有し、前記制御部及び前記電子放出素子は、前記下部電極と前記表面電極との間に電圧を印加することにより前記電子放出素子から電子を放出させて直接的又は間接的にイオンを生成するように設けられ、前記制御部及び前記電場形成用電極は、前記電子放出素子から放出された電子により直接的又は間接的に生成されたイオンを前記コレクタへと移動させるような電位勾配を前記静電ゲート電極と前記コレクタとの間のドリフト領域に形成するように前記電場形成用電極を用いて前記ドリフト領域にドリフト電圧を印加するように設けられ、前記制御部及び前記コレクタは、イオンが前記コレクタに到達することにより流れる電流の電流波形を測定するように設けられ、前記制御部及び前記電子放出素子は、前記電流波形に現れるピークの総面積の目標値を設定して前記下部電極と前記表面電極との間に印加する電圧をフィードバック制御するように設けられ、前記記憶部は、前記ピークの総面積の目標値と前記ドリフト電圧との関係を記憶しており、前記制御部は、前記関係を用いて、前記ピークの到達時間を前記ピークの半値幅で割った半値幅分解能が高くなるように前記ピークの総面積の目標値から前記ドリフト電圧を決定し設定するように設けられたことを特徴とするIMS分析装置を提供する。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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