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公開番号2024117702
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-29
出願番号2023178961
出願日2023-10-17
発明の名称ポリエチレン組成物、及び成形体
出願人旭化成株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C08F 10/02 20060101AFI20240822BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】高速薄膜成膜性、耐熱ピンホール性に優れ、厚みムラの少ないポリエチレン組成物を得る。
【解決手段】条件(A)~(D)を満たすポリエチレン組成物。
<条件(A)>
MFRが1.0g/10分~20.0g/10分。
<条件(B)>
密度が925kg/m3~970kg/m3
<条件(C)>
所定の前処理を実施後、24時間以内に測定したDSCの1stスキャンで得られる温度-熱流曲線による融解熱量をΔHS1、2ndスキャンで得られる温度-熱流曲線による融解熱量をΔHS2としたとき、
ΔHS1及びΔHS2が110J/g~240J/g、ΔHS1/ΔHS2が1.000~1.100。
<条件(D)>
所定の前処理を実施後、24時間以内に測定したDSCの1stスキャンで得られる温度-熱流曲線による融解熱量をΔHT1としたとき、
ΔHT1の値が110J/g~240J/g、
ΔHS1/ΔHT1の値が1.000~1.100。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記の<条件(A)>~<条件(D)>を満たす、ポリエチレン組成物。
<条件(A)>
190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1.0g/10分以上20.0g/10分以下である。
<条件(B)>
密度が925kg/m
3
以上970kg/m
3
以下である。
<条件(C)>
下記[前処理条件(S)]の前処理を実施後、24時間以内に測定した示差走査熱量測定(DSC)の1stスキャンにより得られる温度-熱流曲線から算出される融解熱量をΔH
S1
、2ndスキャンによって得られる温度-熱流曲線から算出される融解熱量をΔH
S2
としたとき、
前記ΔH
S1
及び前記ΔH
S2
の値が110J/g以上240J/g以下であり、
ΔH
S1
/ΔH
S2
の値が、1.000以上1.100以下である。
[前処理条件(S)]
JIS K7210コードD:1999に従い、190℃、荷重2.16kgの条件でストランド状に加工し、120℃で1時間アニールした後、温度21℃以上25℃以下の標準雰囲気下で1時間空冷する。続けて100℃で1時間アニールした後、温度21℃以上25℃以下の標準雰囲気下で1時間空冷する。
<条件(D)>
下記[前処理条件(T)]の前処理を実施後、24時間以内に測定した示差走査熱量測定(DSC)の1stスキャンにより得られる温度-熱流曲線から算出される融解熱量をΔH
T1
としたとき、
前記ΔH
T1
の値が110J/g以上240J/g以下であり、
前記ΔH
S1
との比であるΔH
S1
/ΔH
T1
の値が、1.000以上1.100以下である。
[前処理条件(T)]
JIS K7210コードD:1999に従い、190℃、荷重2.16kgの条件でストランド状に加工し、100℃で1時間アニールした後、温度21℃以上25℃以下の標準雰囲気下で1時間空冷する。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
密度が942kg/m
3
以上の高密度ポリエチレン(A)と、
密度が930kg/m
3
以下の低密度ポリエチレン(B)の混合物である、
請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項3】
密度が942kg/m
3
以上の高密度ポリエチレン(A)と、
密度が930kg/m
3
以下の低密度ポリエチレン(B)の混合物であり、
前記低密度ポリエチレン(B)が、120℃におけるパルスNMR測定で、Carr Purcell Meiboom Gill(CPMG)法で得られる自由誘導減衰曲線を3成分近似したとき、
高運動性成分γの存在割合Rγが9%以上24%以下で、かつ前記高運動性成分γの緩和時間Tγが100ms以上200ms以下である、
請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項4】
密度が942kg/m
3
以上の高密度ポリエチレン(A)と、
密度が930kg/m
3
以下の低密度ポリエチレン(B)の混合物であり、
前記高密度ポリエチレン(A)が、100℃におけるパルスNMR測定で、Solid Echo(SE)法で得られる自由誘導減衰曲線を3成分近似したとき、
低運動性成分αの存在割合Rαが55%以上85%以下であり、
かつ、高運動性成分γの存在割合Rγが1%以上10%以下である、
請求項1に記載のポリエチレン組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリエチレン組成物の成形体。
【請求項6】
フィルム状の成形体である、請求項5に記載の成形体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレン組成物、及び成形体に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
ポリエチレン組成物は、種々の成形方法により成形され、多方面の用途に供されており、これら成形方法や用途に応じて要求される特性も異なってくる。前記要求特性に応じ、異なるポリエチレンを混合し特性を調整することが一般的に知られている。
【0003】
例えば、密度942kg/m
3
以上の高密度ポリエチレンと密度930kg/m
3
以下の低密度ポリエチレンを混合することにより、高密度ポリエチレンの剛性や耐熱性と、低密度ポリエチレンの柔軟性や加工安定性を併せ持つポリエチレン組成物を得ることができる(例えば、特許文献1参照)。また、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの混合により、フィッシュアイ(以下「FE」と記載する場合がある。)と呼ばれるフィルム中の欠点を低減可能とし、これら特徴により光学部材の表面保護フィルムや耐熱ラミネート用途に利用する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第4931187号公報
特許第6243195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリエチレン組成物の特性は、原料に使用するポリエチレンの種類や組成比を調整することによって制御可能であるが、これら要求特性が複数であると、原料の組成比に応じトレードオフの関係で変化することが一般的である。
例えば、表面保護フィルム用途や耐熱ラミネート用途で耐熱性を得るため高密度ポリエチレンの組成比を高く設定すると、フィルム成膜時の冷却速度が速くなりシワやムラが生じたり、多層フィルムの層間やラミネート基材とポリエチレン組成物との接着性が悪化したり、加工性が悪化したりする、といった問題点を生じる。
上述した問題点を解決するべく高密度ポリエチレンの組成比を低く設定すると、ポリエチレン組成物の耐熱性が不足してしまうといった問題点を生じる。
特に、ポリエチレン組成物を多層フィルム用途や耐熱ラミネート用途に用いる場合おいては基材との接着性及び耐熱性のバランスが重要であり、どちらか一方でも不足すると加熱時にピンホールが発生してしまう、という問題点を生じる。
【0006】
上述したように、原料に使用するポリエチレンの組成比を調整することのみでは、特性バランスに優れたポリエチレン組成物が得られない、という問題点を有しており、また特許文献1~2に開示されている技術においては、上述した問題点に対し検証がなされておらず、改善の余地がある。
【0007】
さらに近年、環境負荷低減の観点から、ポリエチレンを使用した製品の減量化、減容化が重要視されている。特に、フィルム用途やラミネート用途に使用されるポリエチレン組成物に対しては、薄膜化や収率向上が要求されている。
しかしながら、ポリエチレン組成物は、薄膜化すると耐熱性や接着性が低下する傾向にあり、かつ膜が破断しやすくなる、といった問題点を有している。そのために、薄膜でも充分な耐熱性を発揮し、かつ高速加工においても膜の破断が起こりにくいポリエチレン組成物が要求されている。
【0008】
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、高速薄膜成形性、耐熱ピンホール性に優れ、厚みムラの少ないポリエチレン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を進めた結果、下記に示す特定の性状を有するポリエチレン組成物が、上記の従来技術の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0010】
〔1〕
下記の<条件(A)>~<条件(D)>を満たす、ポリエチレン組成物。
<条件(A)>
190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが1.0g/10分以上20.0g/10分以下である。
<条件(B)>
密度が925kg/m
3
以上970kg/m
3
以下である。
<条件(C)>
下記[前処理条件(S)]の前処理を実施後、24時間以内に測定した示差走査熱量測定(DSC)の1stスキャンにより得られる温度-熱流曲線から算出される融解熱量をΔH
S1
、2ndスキャンによって得られる温度-熱流曲線から算出される融解熱量をΔH
S2
としたとき、
前記ΔH
S1
及び前記ΔH
S2
の値が110J/g以上240J/g以下であり、
ΔH
S1
/ΔH
S2
の値が、1.000以上1.100以下である。
[前処理条件(S)]
JIS K7210コードD:1999に従い、190℃、荷重2.16kgの条件でストランド状に加工し、120℃で1時間アニールした後、温度21℃以上25℃以下の標準雰囲気下で1時間空冷する。続けて100℃で1時間アニールした後、温度21℃以上25℃以下の標準雰囲気下で1時間空冷する。
<条件(D)>
下記[前処理条件(T)]の前処理を実施後、24時間以内に測定した示差走査熱量測定(DSC)の1stスキャンにより得られる温度-熱流曲線から算出される融解熱量をΔH
T1
としたとき、
前記ΔH
T1
の値が110J/g以上240J/g以下であり、
前記ΔH
S1
との比であるΔH
S1
/ΔH
T1
の値が、1.000以上1.100以下である。
[前処理条件(T)]
JIS K7210コードD:1999に従い、190℃、荷重2.16kgの条件でストランド状に加工し、100℃で1時間アニールした後、温度21℃以上25℃以下の標準雰囲気下で1時間空冷する。
〔2〕
密度が942kg/m
3
以上の高密度ポリエチレン(A)と、
密度が930kg/m
3
以下の低密度ポリエチレン(B)の混合物である、
前記〔1〕に記載のポリエチレン組成物。
〔3〕
密度が942kg/m
3
以上の高密度ポリエチレン(A)と、
密度が930kg/m
3
以下の低密度ポリエチレン(B)の混合物であり、
前記低密度ポリエチレン(B)が、120℃におけるパルスNMR測定で、Carr Purcell Meiboom Gill(CPMG)法で得られる自由誘導減衰曲線を3成分近似したとき、
高運動性成分γの存在割合Rγが9%以上24%以下で、かつ前記高運動性成分γの緩和時間Tγが100ms以上200ms以下である、
前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリエチレン組成物。
〔4〕
密度が942kg/m
3
以上の高密度ポリエチレン(A)と、
密度が930kg/m
3
以下の低密度ポリエチレン(B)の混合物であり、
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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