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公開番号2024144379
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2024054112
出願日2024-03-28
発明の名称原料液の濃縮方法及び濃縮システム
出願人旭化成株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類B01D 61/00 20060101AFI20241003BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】有機溶媒リッチな原料液を用いた場合に、原料液への誘導溶質の混入を低減させる原料液濃縮方法及び原料液濃縮システムを提供することを目的とする。
【解決手段】原料液を濃縮する方法であって、
前記方法が、原料液と誘導液とを正浸透膜を介して接触させる濃縮工程を含み、
前記原料液が、有価物と、溶媒とを含み、
前記溶媒が有機溶媒を含み、
前記誘導液が、誘導溶質を含み、
前記誘導溶質が、下記(1)及び(2)を満たす、原料液濃縮方法。
(1)分子量30以上100以下の繰り返し単位を少なくとも3つ以上含む高分子である
(2)前記高分子の主鎖に、水素原子、ハロゲン原子以外の原子(原子団)が結合している分岐構造を有する
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
原料液を濃縮する方法であって、
前記方法が、原料液と誘導液とを正浸透膜を介して接触させる濃縮工程を含み、
前記原料液が、有価物と、溶媒とを含み、
前記溶媒が有機溶媒を含み、
前記誘導液が、誘導溶質を含み、
前記誘導溶質が、下記(1)及び(2)を満たす、原料液濃縮方法。
(1)分子量30以上100以下の繰り返し単位を少なくとも3つ以上含む高分子である
(2)前記高分子の主鎖に、水素原子、ハロゲン原子以外の原子(原子団)が結合している分岐構造を有する
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記溶媒中の有機溶媒の濃度が、50質量%以上である、請求項1に記載の原料液濃縮方法。
【請求項3】
前記溶媒中の有機溶媒の濃度が、80質量%以上である、請求項1に記載の原料液濃縮方法。
【請求項4】
前記誘導溶質の重量平均分子量が300Da以上2300Da以下である、請求項1又は2に記載の原料液濃縮方法。
【請求項5】
前記誘導溶質の重量平均分子量が400Da以上1000Da以下である、請求項1又は2に記載の原料液濃縮方法。
【請求項6】
前記溶媒が、有機溶媒と、水とを含み、
前記誘導溶質に対する水の溶解度が2質量%以上である、請求項1又は2に記載の原料液濃縮方法。
【請求項7】
前記溶媒が、有機溶媒と、水とを含み、
前記誘導溶質に対する水の溶解度が、6質量%以上である、請求項1又は2に記載の原料液濃縮方法。
【請求項8】
前記正浸透膜が中空糸状である、請求項1又は2に記載の原料液濃縮方法。
【請求項9】
前記正浸透膜が、基材層と活性層とを有し、
前記基材層が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース系高分子、ポリケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリベンズイミダゾールからなる群から選ばれる1種以上のポリマーを含む、請求項1又は2に記載の原料液濃縮方法。
【請求項10】
前記正浸透膜の活性層がポリアミドを含む、請求項9に記載の原料液濃縮方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原料液の濃縮方法及び濃縮システムに関する。
続きを表示(約 4,200 文字)【背景技術】
【0002】
種々の産業において、有価物を含有する有機溶媒リッチな原料液を濃縮することがある。有価物を変質させずに濃縮したい場合には、熱及び圧力を加える必要がない点で、正浸透膜による濃縮が特に有用である。
【0003】
有価物を含有する有機溶媒リッチな原料液を正浸透膜で濃縮する場合、誘導溶質の選定によっては、原料液中に誘導溶質が混入することがある。誘導溶質の混入を最小限にするには、膜に阻止されやすく、かつ、短い時間で濃縮を完了できる誘導溶質を選ぶ必要がある。短い時間で原料液の濃縮を完了するには、濃縮時のFluxが高い、すなわち膜面積当たりの透液量が高いことが求められる。また、膜に阻止されやすいことを期待して、高分子系の誘導溶質がしばしば使用される。
例えば、特許文献1は、PEG-2000を誘導溶質として、正浸透膜を用いてメタノールを濃縮する例を開示している。特許文献1には、メタノール中に混入したPEG-2000について開示されていない。
また、例えば、非特許文献1では、PEG-400を誘導溶質として、正浸透膜を用いて原料液であるアセトン中のレボフロキサシンを濃縮する例を開示している。
さらに非特許文献1では、原料液中にPEG-400が混入したこと(誘導溶質の逆拡散:Reverse solute flux)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2022/004738号
【非特許文献】
【0005】
Keng Siang Goh, Yunfeng Chen, Daniel Yee Fan Ng, Jia Wei Chew, Rong Wang,Journal of Membrane Science 642 (2022) 119965
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本発明者らの検討によれば、従来の方法では、有機溶媒リッチな原料液を濃縮する場合に、誘導溶質の原料液への混入を好適な範囲に抑えることが困難であり、非特許文献1に記載の方法によっても、改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記の課題を解決し、有機溶媒リッチな原料液を用いた場合に、原料液への誘導溶質の混入を低減させる原料液濃縮方法及び原料液濃縮システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を包含する。
[項目1]
原料液を濃縮する方法であって、
前記方法が、原料液と誘導液とを正浸透膜を介して接触させる濃縮工程を含み、
前記原料液が、有価物と、溶媒とを含み、
前記溶媒が有機溶媒を含み、
前記誘導液が、誘導溶質を含み、
前記誘導溶質が、下記(1)及び(2)を満たす、原料液濃縮方法。
(1)分子量30以上100以下の繰り返し単位を少なくとも3つ以上含む高分子である
(2)前記高分子の主鎖に、水素原子、ハロゲン原子以外の原子(原子団)が結合している分岐構造を有する
[項目2]
前記溶媒中の有機溶媒の濃度が、50質量%以上である、項目1に記載の原料液濃縮方法。
[項目3]
前記溶媒中の有機溶媒の濃度が、80質量%以上である、項目1に記載の原料液濃縮方法。
[項目4]
前記誘導溶質の重量平均分子量が300Da以上2300Da以下である、項目1~3の何れか1項目に記載の原料液濃縮方法。
[項目5]
前記誘導溶質の重量平均分子量が400Da以上1000Da以下である、項目1~3の何れか1項目に記載の原料液濃縮方法。
[項目6]
前記溶媒が、有機溶媒と、水とを含み、
前記誘導溶質に対する水の溶解度が2質量%以上である、項目1~5の何れか1項目に記載の原料液濃縮方法。
[項目7]
前記溶媒が、有機溶媒と、水とを含み、
前記誘導溶質に対する水の溶解度が、6質量%以上である、項目1~5の何れか1項目に記載の原料液濃縮方法。
[項目8]
前記正浸透膜が中空糸状である、項目1~7の何れか1項目に記載の原料液濃縮方法。
[項目9]
前記正浸透膜が、基材層と活性層とを有し、
前記基材層が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース系高分子、ポリケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリベンズイミダゾールからなる群から選ばれる1種以上のポリマーを含む、項目1~8の何れか1項目に記載の原料液濃縮方法。
[項目10]
前記正浸透膜の活性層がポリアミドを含む、項目9に記載の原料液濃縮方法。
[項目11]
前記活性層側に原料液として純水を、前記基材層側に誘導液として3.5質量%の塩化ナトリウム水溶液を配置し、前記基材層側を正とし20kPaに加圧しながら原料液及び誘導液を流し、20分経過後に正浸透膜の評価を行ったときに、
前記誘導溶質のRSF(g/(m
2
×hr))を、前記誘導溶液中への水Flux(kg/m
2
/hr)で除したRSF/水Flux(塩選択性)が0.05g/kg以上1.00g/kg以下である、項目9又は10に記載の原料液濃縮方法。
[項目12]
前記塩選択性が、0.10g/kg以上0.90g/kg以下である、項目11に記載の原料液濃縮方法。
[項目13]
前記有価物が、医薬品、原薬及び開発パイプライン(医療用医薬品候補化合物)、並びにこれらの中間体及び原料である、項目1~12の何れか1項目に記載の原料液濃縮方法。
[項目14]
前記有価物が、重量平均分子量100~3,000,000の化合物である、項目1~13の何れか1項目に記載の原料液濃縮方法。
[項目15]
前記有価物が、化粧品、若しくは機能性化学品、又はそれらの原料である、項目1~14の何れか1項目に記載の原料液濃縮方法。
[項目16]
原料液を濃縮するための原料液濃縮システムであって、
前記原料液濃縮システムが、原料液と誘導液とを受入れ且つ前記原料液と前記誘導液とが正浸透膜を介して接触するように構成された正浸透膜モジュールを備え、
前記原料液が、有価物と、溶媒とを含み、
前記溶媒が有機溶媒を含み、
前記誘導液が、誘導溶質を含み、
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、有機溶媒リッチな原料液を用いた場合にも、原料液への誘導溶質の混入を低減させる原料液濃縮方法及び原料液濃縮システムが提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
正浸透膜を介した溶媒移動の作用機構を示す模式図である。
本発明の一態様に係る原料液濃縮方法及び原料液濃縮システムに用いる正浸透膜モジュールの構造の一例を説明するための模式図である。
本発明の一態様に係る原料液濃縮システムについて説明する模式図である。
本実施形態の原料液濃縮方法で用いるポリケトン中空糸の各測定値である。
本実施形態の原料液濃縮方法で用いるポリケトン中空糸の電子顕微鏡画像である。(a)ポリケトン中空糸の内径表面の電子顕微鏡画像、(b)ポリケトン中空糸の外郭表面の電子顕微鏡画像、(c)ポリケトン中空糸の横断面の低倍率での電子顕微鏡画像、(d)ポリケトン中空糸の内径表面近傍の横断面の電子顕微鏡画像、及び(e)ポリケトン中空糸の内径表面近傍の横断面の高倍率での電子顕微鏡画像である。
圧力下膜試験装置のフロー図である。
界面重合装置と実験操作の模式図である。
(a)ポリケトン中空糸及び正浸透膜それぞれの内表面におけるX線光電子分光法のデータ並びに(b)ポリケトン中空糸及び正浸透膜それぞれの内表面におけるATR-FTIRのデータである。
正浸透膜の内表面の電子顕微鏡画像である。(a)正浸透膜の内径表面の電子顕微鏡画像、(b)正浸透膜の内径表面の高倍率での電子顕微鏡画像、(c)正浸透膜の内径表面近傍の横断面の電子顕微鏡画像、及び(d)正浸透膜の内径表面近傍の横断面の高倍率での電子顕微鏡画像である。
圧力下試験における正浸透膜モジュールの性能を示したグラフである。
参考例3、4、5及び6に用いたラボ用正浸透膜評価装置の模式図である。
スクロースオクタアセテート(SoA)濃度とMeOH Fluxとの関係を示したグラフである。
高度濃縮実験における原料液(FS)中の各成分(SoA及びPEG-400)濃度を示したグラフである。
高度濃縮実験結果(2)を示したグラフである。(a)供給量の時間経過(mL)及び(b)MeOH Flux(Lm
―2

―1
)を示したグラフである。
SoA濃度とMeOH Fluxとの関係を示したグラフである。
高度濃縮実験における原料液(FS)中の各成分(SoA及びPPG-400)濃度を示したグラフである。
高度濃縮実験結果(2)を示したグラフである。(a)供給量の時間経過(mL)及び(b)MeOH Flux(Lm
―2

―1
)を示したグラフである。
参考例7に用いた、浸透圧を算出するために必要なMeOHの蒸気圧を測定するための装置の模式図である。
参考例3、4、5及び6に用いた誘導液のMeOH浸透圧の算出結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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