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公開番号2024078982
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-11
出願番号2022191644
出願日2022-11-30
発明の名称弾性繊維用処理剤及び弾性繊維
出願人竹本油脂株式会社
代理人個人,個人
主分類D06M 15/643 20060101AFI20240604BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約【課題】長期間保管した際の製剤安定性に優れ、紡糸時の巻き形状保持性が良好であり、巻き取り後の解舒性及び弾性繊維に優れた制電性を付与する弾性繊維用処理剤及び、かかる弾性繊維用処理剤が付着している弾性繊維を提供する。
【解決手段】本発明の弾性繊維用処理剤は、ジメチルシリコーン(A)、分子中に分岐アルキル基を有するカルボン酸(B)、アルコール(C)及び、鉱物油及びエステル油から選ばれる少なくとも1つからなるベース成分(D)を含有し、
ジメチルシリコーン(A)、カルボン酸(B)、アルコール(C)、ベース成分(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%の割合で含有することを特徴とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ジメチルシリコーン(A)、カルボン酸(B)、アルコール(C)及び下記のベース成分(D)を含有し、前記カルボン酸(B)が分子中に分岐アルキル基を有し、
ジメチルシリコーン(A)、カルボン酸(B)、アルコール(C)、ベース成分(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%の割合で含有することを特徴とする弾性繊維用処理剤。
ベース成分(D):鉱物油及びエステル油から選ばれる少なくとも1つ。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記アルコール(C)が、ゲルベアルコールを含むものである請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項3】
前記カルボン酸(B)が、炭素数が9以上のものを含むものである請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項4】
前記ジメチルシリコーン(A)、前記カルボン酸(B)、前記アルコール(C)、及び前記ベース成分(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ジメチルシリコーン(A)を2.0~57.0質量%、前記カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%、前記アルコール(C)を0.1~11.0質量%、及び前記ベース成分(D)を33.0~90.0質量%の割合で含有する請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項5】
更に、有機リン酸エステル及びそのアミン塩から選ばれる少なくとも1つの有機リン酸エステル(E)を含有する請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項6】
前記ジメチルシリコーン(A)、前記カルボン酸(B)、前記アルコール(C)、前記ベース成分(D)、及び前記有機リン酸エステル(E)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ジメチルシリコーン(A)を2.0~57.0質量%、前記カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%、前記アルコール(C)を0.1~11.0質量%、前記ベース成分(D)を33.0~90.0質量%、及び前記有機リン酸エステル(E)を0.1~10.0質量%の割合で含有する請求項5に記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項7】
更に、シリコーンレジン(F)を含有する請求項1に記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項8】
前記ジメチルシリコーン(A)、前記カルボン酸(B)、前記アルコール(C)、前記ベース成分(D)、及び前記シリコーンレジン(F)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ジメチルシリコーン(A)を2.0~57.0質量%、前記カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%、前記アルコール(C)を0.1~11.0質量%、前記ベース成分(D)を33.0~90.0質量%、及び前記シリコーンレジン(F)を0.1~10.0質量%の割合で含有する請求項7に記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の弾性繊維用処理剤が付着していることを特徴とする弾性繊維。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の化学構造を有するカルボン酸(B)を特定量含有する弾性繊維用処理剤及び、かかる弾性繊維用処理剤が付着している弾性繊維に関する。
続きを表示(約 5,200 文字)【背景技術】
【0002】
ポリウレタン系弾性繊維等の弾性繊維は、他の合成繊維に比べて、繊維間の粘着性が強いため、弾性繊維を紡糸し、パッケージに巻き取った後、該パッケージから引き出して加工工程に供する際、パッケージから安定して解舒することが難しいだけでなく、紡糸した弾性繊維の形状保持性が低いと、パッケージの巻き糸が崩れるという問題があった。
また、弾性繊維用処理剤の制電性が低いと、糸切れが発生する他、弾性繊維用処理剤の製剤安定性の課題もあった。
これらの問題を解決するために、弾性繊維の平滑性を向上させる炭化水素油等の平滑剤を含有する弾性繊維用処理剤が提案されている。例えば、ベース成分、HLBが3~15のノニオン界面活性剤を0.01~30質量%含有する弾性繊維用処理剤(特許文献1)、ベース成分と、水、炭素数1~15の炭化水素基を有する低級アルコール、又は該低級アルコールのアルキレンオキサイド付加物を0.1~20質量%、乳化剤を0.1~30質量%含有する弾性繊維用処理剤(特許文献2)、ポリオキシエチレン骨格の含有量が分子中に20~80質量%であるポリオキシアルキレンエーテル変性ポリシロキサンを含有する弾性繊維用油剤(特許文献3)などであるが、上記の問題を全て解決する弾性繊維用処理剤は、未だ提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007-100291号公報
特開2003-147675号公報
特開平09-268477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、長期間保管した際の製剤安定性に優れ、紡糸時の巻き形状保持性が良好であり、巻き取り後の解舒性及び弾性繊維に優れた制電性を付与する弾性繊維用処理剤及び、かかる弾性繊維用処理剤が付着している弾性繊維を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ジメチルシリコーン(A)、特定の化学構造を有するカルボン酸(B)、アルコール(C)及び、鉱物油及びエステル油から選ばれる少なくとも1つのベース成分(D)を含有し、前記カルボン酸(B)を特定量含有することにより、製剤安定性、巻き形状の保持性、制電性及び解舒性の全てに優れた弾性繊維用処理剤とし得ることを見出し、上記課題を解決するに至ったものである。
【0006】
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.ジメチルシリコーン(A)、カルボン酸(B)、アルコール(C)及び下記のベース成分(D)を含有し、前記カルボン酸(B)が分子中に分岐アルキル基を有し、
ジメチルシリコーン(A)、カルボン酸(B)、アルコール(C)、ベース成分(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%の割合で含有することを特徴とする弾性繊維用処理剤。
ベース成分(D):鉱物油及びエステル油から選ばれる少なくとも1つ。
2.前記アルコール(C)が、ゲルベアルコールを含むものである1.に記載の弾性繊維用処理剤。
3.前記カルボン酸(B)が、炭素数が9以上のものを含むものである1.に記載の弾性繊維用処理剤。
4.前記ジメチルシリコーン(A)、前記カルボン酸(B)、前記アルコール(C)、及び前記ベース成分(D)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ジメチルシリコーン(A)を2.0~57.0質量%、前記カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%、前記アルコール(C)を0.1~11.0質量%、及び前記ベース成分(D)を33.0~90.0質量%の割合で含有する1.に記載の弾性繊維用処理剤。
5.更に、有機リン酸エステル及びそのアミン塩から選ばれる少なくとも1つの有機リン酸エステル(E)を含有する1.に記載の弾性繊維用処理剤。
6.前記ジメチルシリコーン(A)、前記カルボン酸(B)、前記アルコール(C)、前記ベース成分(D)、及び前記有機リン酸エステル(E)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ジメチルシリコーン(A)を2.0~57.0質量%、前記カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%、前記アルコール(C)を0.1~11.0質量%、前記ベース成分(D)を33.0~90.0質量%、及び前記有機リン酸エステル(E)を0.1~10.0質量%の割合で含有する5.に記載の弾性繊維用処理剤。
7.更に、シリコーンレジン(F)を含有する1.に記載の弾性繊維用処理剤。
8.前記ジメチルシリコーン(A)、前記カルボン酸(B)、前記アルコール(C)、前記ベース成分(D)、及び前記シリコーンレジン(F)の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ジメチルシリコーン(A)を2.0~57.0質量%、前記カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%、前記アルコール(C)を0.1~11.0質量%、前記ベース成分(D)を33.0~90.0質量%、及び前記シリコーンレジン(F)を0.1~10.0質量%の割合で含有する7.に記載の弾性繊維用処理剤。
9.1.~8.のいずれか1項に記載の弾性繊維用処理剤が付着していることを特徴とする弾性繊維。
【発明の効果】
【0007】
本発明の弾性繊維用処理剤は、弾性繊維に優れた制電性を付与できるため、糸切れが発生することが無く有用である。
また、本発明の弾性繊維用処理剤は、解舒性及び巻き形状の保持性に優れているため、パッケージからの糸の引き出しに抵抗がなく、糸切れ等の問題も生じず安定に解舒することが出来るほか、パッケージに巻き取った後の巻き糸が崩れることが無い。
さらに、本発明の弾性繊維用処理剤は、製剤安定性に優れているため、弾性繊維用処理剤の運搬や保管の際に分離や沈殿が生じることが無く有用である。
本発明の弾性繊維用処理剤は、製剤安定性、巻き形状の保持性、制電性及び解舒性の全てにおいて優れており、非常に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<ジメチルシリコーン(A)>
本発明の弾性繊維用処理剤は、ジメチルシリコーン(A)を必須成分として含有するものである。
本発明の弾性繊維用処理剤は、ジメチルシリコーン(A)を、後述するベース成分(D)と併用することにより、弾性繊維用処理剤の低温安定性を好適に向上させることができるほか、後述するカルボン酸(B)との併用により、本発明の弾性繊維用処理剤を付与した弾性繊維が、長期間保存後の解舒性を良好なものとすることが出来る。
本発明におけるジメチルシリコーン(A)は、動粘度等によって規定される市販品を適宜採用してもよい。動粘度は、適宜設定されるが、25℃における動粘度が2~100mm

/sの範囲であることが好ましく、5~70mm

/sがより好ましく、5~50mm

/sがさらに好ましい。該粘度が2mm

/s未満であるとジメチルシリコーンが揮発する場合があり、100mm

/sを超えると、弾性繊維用処理剤に配合される他成分の溶解性が悪くなることがある。25℃における動粘度は、JIS Z 8803に準拠して測定される数値を意味する。
本発明の弾性繊維用処理剤は、処理剤の全質量に対して、ジメチルシリコーン(A)を1~80.0質量%の範囲で含有することが好ましく、1~60.0質量%の範囲で含有することがより好ましく、2~57.0質量%の範囲で含有することがさらに好ましい。ジメチルシリコーン(A)を前記範囲で含有することが、弾性繊維の巻き形状の保持性と解舒性が向上する点において好ましい。
本発明の弾性繊維用処理剤は、1種類のジメチルシリコーン(A)を単独で使用してもよいし、又は2種以上のジメチルシリコーン(A)を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0009】
<分岐アルキル基を有するカルボン酸(B)>
本発明の弾性繊維用処理剤は、上記ジメチルシリコーン(A)と共に、分岐アルキル基を有するカルボン酸(B)を必須成分として含有するものであり、その含有量は、処理剤の全質量に対して、カルボン酸(B)を0.1~27.0質量%の範囲で含有するものである。
本発明におけるカルボン酸(B)は、カルボン酸のフリー体を意味し、カルボン酸塩は含まない。
本発明の弾性繊維用処理剤は、カルボン酸(B)を特定量含有することにより、弾性繊維用処理剤の製剤安定性、紡糸時の巻き形状の保持性、制電性及び解舒性それぞれを良好なものとする効果を発揮する。
本発明におけるカルボン酸(B)が有する分岐アルキル基は、特に制限はなく、例えば、α位が分岐したアルキル基であってもよいし、β位が分岐したアルキル基であってもよい。
カルボン酸(B)の炭素数は、特に制限はないが、例えば、4~40であることが好ましく、6~30であることがより好ましく、8~20であることがさらに好ましい。中でも、炭素数9以上のカルボン酸(B)を含むことが、弾性繊維の解舒性が向上する点において好ましい。
本発明におけるカルボン酸(B)としては、例えば、イソブタン酸、イソペンタン酸、イソヘキサン酸、2-エチルヘキシル酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサコ酸等が挙げられる。
本発明の弾性繊維用処理剤は、1種類のカルボン酸(B)を単独で使用してもよいし、又は2種以上のカルボン酸(B)を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0010】
<アルコール(C)>
本発明の弾性繊維用処理剤は、上記ジメチルシリコーン(A)、分岐アルキル基を有するカルボン酸(B)と共に、アルコール(C)を必須成分として含有するものである。
本発明の弾性繊維用処理剤は、カルボン酸(B)とアルコール(C)の併用により、弾性繊維用処理剤の製剤安定性を向上させるほか、後述するベース成分(D)を加えての併用により、紡糸時の弾性繊維の巻き形状の保持性を向上させることができる。
本発明におけるアルコール(C)としては、ゲルベアルコール、すなわち、アルキル鎖のβ位に分岐鎖を有する1価脂肪族アルコールを用いることが、製剤安定性が向上する点において好ましい。中でも、炭素数6~24のゲルベアルコールがより好ましく、炭素数12~24のゲルベアルコールがさらに好ましい。
ゲルベアルコールの具体例としては、例えば2-エチル-1-プロパノール、2-エチル-1-ブタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-エチル-1-オクタノール、2-エチル-デカノール、2-ブチル-1-ヘキサノール、2-ブチル-1-オクタノール、2-ブチル-1-デカノール、2-ヘキシル-1-オクタノール、2-ヘキシル-1-デカノール、2-オクチル-1-デカノール、2-オクチル-1-ドデカノール、2-ヘキシル-1-オクタノール、2-ヘキシル-1-ドデカノール、2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチル-1-オクタノール、2-(4-メチルヘキシル)-8-メチル-1-デカノール、2-(1,5-ジメチルヘキシル)-5,9-ジメチル-1-デカノール等が挙げられる。
ゲルベアルコール以外のアルコール(C)の具体例としては、例えば、11-メチル-1-ドデカノール、1-デカノール、ステアリルアルコール、2-ドデカノール等が挙げられる。
本発明の弾性繊維用処理剤は、アルコール(C)を、処理剤の全質量に対して0.1~30質量%の範囲で含有することが好ましく、0.1~20質量%の範囲で含有することがより好ましく、0.1~11.0質量%の範囲で含有することがさらに好ましい。
本発明の弾性繊維用処理剤は、1種類のアルコール(C)を単独で使用してもよいし、又は2種以上のアルコール(C)を適宜組み合わせて使用してもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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