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公開番号2024071173
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-24
出願番号2022181986
出願日2022-11-14
発明の名称表面性状に優れたNi-Cu合金およびその製造方法
出願人日本冶金工業株式会社
代理人個人
主分類C22C 19/05 20060101AFI20240517BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】表面性状に影響を与える非金属介在物の低減ならびに組成の制御により、表面性状に優れたNi-Cu合金およびその製造方法を提供する。
【解決手段】以下mass%にて、C:0.01~0.2%、Si:0.01~0.5%、Mn:0.01~2%、P:0.03%以下、Cu:28~40%、Cr:0.01~1%、Fe:0.3~3%、Al:0.01~0.5%、Ti:0.01~0.4%、N:0.01%以下、Mg:0.005~0.04%、Ca:0.0005~0.04%、O:0.0003~0.005%、S:0.0001~0.002%、残部Niおよび不可避的不純物からなると共に、Ti、NおよびCの質量濃度が以下の式を満足するNi-Cu合金。
[%Ti]×([%N]+1/100×[%C])<0.0003
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
以下mass%にて、C:0.01~0.2%、Si:0.01~0.5%、Mn:0.01~2%、P:0.03%以下、Cu:28~40%、Cr:0.01~1%、Fe:0.3~3%、Al:0.01~0.5%、Ti:0.01~0.4%、N:0.01%以下、Mg:0.005~0.04%、Ca:0.0005~0.04%、O:0.0003~0.005%、S:0.0001~0.002%、残部Niおよび不可避的不純物からなると共に、Ti、NおよびCの質量濃度が以下の式を満足することを特徴とするNi-Cu合金。
[%Ti]×([%N]+1/100×[%C])<0.0003
続きを表示(約 540 文字)【請求項2】
前記Ni-Cu合金に含まれる非金属介在物全体に対して、CaO-CaS系、MgO-MgS系、CaO-MgO-CaS-MgS系硫酸化物のうち、1種または2種以上の非金属介在物の占める割合が個数率で85%以上であることを特徴とする請求項1に記載のNi-Cu合金。
【請求項3】
請求項1または2に記載のNi-Cu合金の製造方法であって、原料を電気炉で溶解し、次いで、二次精錬においてAODおよび/またはVODにて酸素吹精してC、N濃度を調整した後にTiを添加して、石灰、蛍石、Siおよび/またはAlを投入し、生成するスラグの組成をmass%にて、CaO:50~75%、Al



:5~25%、SiO

:1~10%、MgO:2~15%、F:1~15%としたCaO-Al



-SiO

-MgO-F系スラグを用いて、撹拌しながら脱酸、脱硫を行ってO、S濃度を調整し、連続鋳造もしくは普通造塊によりスラブもしくはインゴットを製造し、インゴットは熱間鍛造を施してスラブに成形し、続けて熱間圧延を実施することを特徴とするNi-Cu合金の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、表面性状に優れるNi-Cu合金およびその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
モネル(mass%でNiを65%前後含有、Cuを30%前後含有)に代表されるNi-Cu合金は、高い耐食性が要求される眼鏡フレームや熱交換機器、海洋構造物の被覆材などの用途に使用されるため、優れた表面性状が要求される。合金板の表面に疵があると、そこを起点に腐食が進行してしまうため、合金の耐食性を最大限に発揮するには、可能な限り抑える必要がある。
【0003】
実際のNi-Cu合金では、凝集・合体して大型クラスターを形成し易いTi(N,C)窒炭化物に加えて、MgO・Al



酸化物系非金属介在物が生成し、圧延後の表面に線状の表面欠陥が発生する。特に、連続鋳造における浸漬ノズルおよび普通造塊における注湯ノズルの内壁にはTi(N,C)が付着、堆積して脱落することで、深刻な表面欠陥となっている。種々の腐食試験により、表面欠陥を起点として腐食が大きく進み、製品不良を招くことが分かっている。このような表面欠陥が発生すると、優れた表面性状を確保するためにグラインダー研削することになり、大きく歩留まりを落とす。Ni-Cu合金の主要な原料であるNiおよびCuはFeやCrに比べて極めて高価な金属であることから、歩留まりを向上させ、製造コストを抑えることは非常に重要である。このような背景から、研削を最小限とした、鋳造後の表面性状が優れたNi-Cu合金が求められている。
【0004】
高耐食合金の耐食性を充分に生かすために、非金属介在物に起因する表面疵を低減する技術がNi-Cr-Mo-Nb合金で開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、表面性状に優れたTi含有Fe-Cr-Ni合金でも開示されている(例えば、特許文献2~4参照)。いずれの合金系もTiを含有することでTiN窒化物が疵の要因となっており、成分、スラグ組成などの適正化による改善方法が提供されている。Ni基合金においては、スラグ組成を制御し、さらに合金中のMg、Ca、Oなどの微量元素濃度を制御することで、表面欠陥を形成する非金属介在物を無害化、低減する技術が提供されている(例えば、特許文献5、6参照)。しかしながら、上記の合金系はNi-Cu合金と成分系が大きく異なり、また制御する非金属介在物の形態、組成も異なっているため、これら先行技術を適用して表面性状に優れたNi-Cu合金を製造することは非常に難しい。
【0005】
Ni-Cu合金に関連する表面性状の改善方法については、ガス欠陥起因のフクレ状の表面疵、超音波探傷不良を微量Ti添加で改善する方法が開示されているが、本技術課題である表面欠陥の改善に適用はできない(例えば、特許文献7参照)。その他、表面品質が良好である熱間加工性に優れたNi-Cu合金を得るため、スラグ組成を調整して合金中のMg、Ca、O、S濃度を精度良く制御するための精錬方法が開示されている(例えば、特許文献8参照)。これは、熱間加工性を劣化させるSの濃度を低減し、さらにCa、MgをSと結合させて固着させ、熱間加工性を向上させることを目的とした技術であるが、本技術課題である表面欠陥の改善には適用できない。すなわち、Ni-Cu合金における非金属介在物による表面性状の課題は残ったままであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第6937190号公報
特開2003-147492号公報
特許第4542079号公報
特許第6791711号公報
特許第7015410号公報
特許第6990337号公報
特開平8-120375号公報
特開2009-114544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記課題に鑑みて、本願発明は、表面性状に影響を与える非金属介在物の低減ならびに組成の制御により、表面性状に優れたNi-Cu合金およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、発明者は鋭意研究、調査を重ねた。まず、実機にて製造したNi-Cu合金板の表面に観察された線状の表面欠陥を採取し、走査型電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)により、詳細な分析を行った。その結果、表面欠陥の大部分からは、Ti(N,C)の非金属介在物が検出された。また、さらに詳細に調査したところ、表面欠陥の一部から、MgO・Al



の非金属介在物が検出された。
【0009】
さらに、実操業における各工程で詳細な調査を実施したところ、表面欠陥が検出される場合は、溶融合金中のTi(N,C)介在物が連続鋳造工程でタンディッシュから鋳型に注ぐ浸漬ノズル内壁にて顕著に付着、堆積していることが明らかになった。そして、鋳造中にクラスター状のTi(N,C)介在物が一部脱落して鋳型内に運ばれた結果、凝固シェルに捕捉され、後の圧延工程まで残存し、線状の表面欠陥を発生させていることを見出した。また、これらの現象は普通造塊でも同様であり、取鍋の注湯ノズルの内壁にて付着、堆積および脱落が起こり、表面欠陥が発生することが分かった。したがって、Ti(N,C)介在物の生成防止が線状の表面欠陥防止に極めて有効であり、これを達成するには、微量のTi、NおよびCの成分濃度を規定範囲内に制御することが必要であることを見出した。
【0010】
また、Ti(N,C)の他、表面欠陥の一部で発生要因となるMgO・Al



介在物は、溶融合金中にて、凝集、合体しクラスターを形成し易い。そのため、鋳造時にクラスター化したMgO・Al



が凝固シェルに捕捉されて、線状の表面欠陥に至ることが分かった。この介在物生成に伴う表面欠陥を改善するには、二次精錬におけるスラグ組成制御を行い、凝集・合体が起こり難いCaO-CaS、MgO-MgS、CaO-MgO-CaS-MgS系のうち、1種または2種以上の介在物を主体とし、これらが非金属介在物全体に対して占める個数率が85%以上で達成できることが分かった。以上の知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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