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公開番号2024050622
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-10
出願番号2024003885,2020090993
出願日2024-01-15,2020-05-26
発明の名称個体認証用構造体及びその製造方法
出願人信越化学工業株式会社,国立大学法人東北大学
代理人弁理士法人英明国際特許事務所
主分類B42D 25/36 20140101AFI20240403BHJP(製本;アルバム;ファイル;特殊印刷物)
要約【解決手段】合成石英ガラス基板の表面部の少なくとも一部に合成石英ガラスで形成された複数のナノピラーを含むピラーパターン領域が形成され、ピラーパターン領域において、ナノインデンテーション法により測定されるナノピラーの押込み弾性率が35~100GPaで、ナノピラーが、塑性変形する個体認証用構造体。
【効果】ナノピラーの変形の種類や程度で、グレースケールを構成することができ、また、変形後のピラーパターンの態様は、実質的に無限大であるので、本発明の個体認証用構造体を用いることにより、優れた個別性及び耐クローン性で、人工物による個体認証が可能である。また、本発明の個体認証用構造体では、合成石英ガラスは、通常、金属不純物濃度が1ppm以下と、極めて純度が高いことから、太陽光、紫外線、温度変化等の外部環境による変形、変色、劣化等の変質がほとんどなく、優れた耐候性や長期安定性及び高い長期信頼性が得られる。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
合成石英ガラス基板の表面部の少なくとも一部に、合成石英ガラスで形成された複数のナノピラーを含むピラーパターン領域が形成された個体認証用構造体であって、
前記合成石英ガラス基板の表面部の前記合成石英ガラス基板の基体部から突出した形状の微小構造物として、前記ナノピラーのみが形成され、
前記ピラーパターン領域において、ナノインデンテーション法により測定される前記ナノピラーの押込み弾性率が35~100GPaであり、
前記ナノピラーが、塑性変形することを特徴とする個体認証用構造体。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
合成石英ガラス基板の表面部の少なくとも一部に、合成石英ガラスで形成された複数のナノピラーを含むピラーパターン領域が形成された個体認証用構造体であって、
前記ナノピラーが、円柱形状、楕円柱形状、角錘台状、円錐台形状、楕円錘台形状、逆角錘台状、逆円錐台形状又は逆楕円錘台形状であり、
前記ピラーパターン領域において、ナノインデンテーション法により測定される前記ナノピラーの押込み弾性率が35~100GPaであり、
前記ナノピラーが、塑性変形することを特徴とする個体認証用構造体。
【請求項3】
前記ピラーパターン領域内に形成される前記ナノピラーの配列が、一定周期でピラーが配列された規則的配列である請求項1又は2に記載の個体認証用構造体。
【請求項4】
前記規則的配列の周期が、20nm以上1,500nm以下である請求項3に記載の個体認証用構造体。
【請求項5】
前記ナノピラーの高さHが20~1,500nm、幅Wが10~500nm、アスペクト比(H/W)が0.5~6である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の個体認証用構造体。
【請求項6】
前記ナノピラーが、合成石英ガラス基板の基体部と一体に形成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の個体認証用構造体。
【請求項7】
塑性変形させたナノピラーを含むピラーパターンを識別に利用する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の個体認証用構造体。
【請求項8】
合成石英ガラス基板の表面部の少なくとも一部に、合成石英ガラスで形成された複数のナノピラーを含むピラーパターン領域が形成された個体認証用構造体であって、
前記ピラーパターン領域において、ナノインデンテーション法により測定される前記ナノピラーの押込み弾性率が35~100GPaであり、
前記ピラーパターン領域に、高さ方向に押圧されて塑性変形したナノピラーが含まれることを特徴とする個体認証用構造体。
【請求項9】
前記ナノピラーが、合成石英ガラス基板の基体部と一体に形成されている請求項8に記載の個体認証用構造体。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の個体認証用構造体を製造する方法であって、
合成石英ガラス基板の前記ピラーパターン領域が形成される面の上に無機膜を形成する工程と、
前記無機膜の上に有機膜を形成する工程と、
前記有機膜をパターニングして、前記無機膜上に有機膜パターンを形成する工程と、
前記有機膜のパターンをエッチングマスクとして、前記無機膜をエッチングして無機膜パターンを形成する工程と、
前記有機膜パターン及び無機膜パターン、又は無機膜パターンをエッチングマスクとして、前記合成石英ガラス基板の表面部をエッチングして、前記ピラーパターン領域を形成する工程と、
前記有機膜パターン及び無機膜パターン、又は無機膜パターンを除去する工程
とを含むことを特徴とする個体認証用構造体の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、人工物である個体に形成された固有の特徴を利用して認証を行う個体認証に使用される個体認証用構造体及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 4,700 文字)【背景技術】
【0002】
一人ひとりの人間に固有のバイオメトリック情報を利用して個人の認証を行うバイオメトリクス技術が、様々な技術分野で実用化されている。バイオメトリック情報は、指紋、虹彩、静脈等の身体的特徴、声紋、筆跡等の行動的特徴等を含む情報であって、スマートフォンやキャッシュカードの利用者認証、コンピュータへのログイン権限の認証等に利用されている。近年、このようなバイオメトリック情報と同様の固有情報を有する人工物を、当該固有情報を利用して認証する人工物メトリクス技術の開発が進められている。
【0003】
人工物メトリクス技術は、証書、キャッシュカード等の偽造防止が求められる物品において、安全性や信頼性を高める手段として有望視されている技術である。この人工物メトリクス技術に用いられる人工物には、個体に固有の物理的性質として、個別性、読み取り安定性、耐久性、耐クローン性を併せて具備することが求められる。
【0004】
例えば、クレジットカード等の媒体に組み込まれた、粒状物の光反射パターン、磁性ファイバの磁気パターン、ランダム記録された磁気パターン、磁気ストライプのランダム磁気パターン、メモリセルのランダム電荷量パターン、導電性ファイバの共振パターン等の再現性の極めて低い人工パターンを固有情報として利用する技術が提案されている。また、特開2014-59377号公報(特許文献1)には、基体上に活性エネルギー線感応型レジスト塗膜を形成し、活性エネルギー線を照射後、現像処理を施してパターンを形成し、その後、外力を付与してパターンの一部を倒壊させてパターン凝集体を形成することにより得られる人工物メトリクス用構造体において、パターン凝集体によって耐クローン性が発現することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2014-59377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の多くの人工パターンは、人工物として、認証用の固有情報として利用され得るものであるものの、極めて微小なチップにすることが困難であるため、ICカード等に組み込むことが困難であるという問題がある。また、特開2014-59377号公報に記載のレジスト構造体におけるパターンの変形は、傾斜、倒れ、滑りの3種類に限られるため、耐クローン性の点で十分ではなく、加えて、太陽光、紫外線、温度変化等により、変形、変色、劣化等の変質を起こす可能性があり、耐候性や長期安定性の点で十分ではなく、長期信頼性が低い。また、地球環境だけでなく、宇宙空間や惑星の環境下でも使用できる耐候性や長期安定性に優れ、長期信頼性の高い人工メトリクス技術に資する個体認証用構造体が望まれている。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みなされたものであり、耐クローン性と耐候性に優れた長期信頼性の高い、微細な人工パターンを備える個体認証用構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、合成石英ガラスで形成された塑性変形するナノピラーを用い、塑性変形させたナノピラーを含むピラーパターンを識別に利用することが、人工物による個体認証に有効であり、合成石英ガラス基板の表面部の少なくとも一部に、合成石英ガラスで形成された複数のナノピラーを含むピラーパターン領域が形成され、ナノピラーが所定の押込み弾性率を有する個体認証用構造体が、耐クローン性と耐候性に優れた長期信頼性の高い個体認証を可能とする構造体であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、以下の個体認証用構造体及びその製造方法を提供する。
1.合成石英ガラス基板の表面部の少なくとも一部に、合成石英ガラスで形成された複数のナノピラーを含むピラーパターン領域が形成された個体認証用構造体であって、
前記合成石英ガラス基板の表面部の前記合成石英ガラス基板の基体部から突出した形状の微小構造物として、前記ナノピラーのみが形成され、
前記ピラーパターン領域において、ナノインデンテーション法により測定される前記ナノピラーの押込み弾性率が35~100GPaであり、
前記ナノピラーが、塑性変形することを特徴とする個体認証用構造体。
2.合成石英ガラス基板の表面部の少なくとも一部に、合成石英ガラスで形成された複数のナノピラーを含むピラーパターン領域が形成された個体認証用構造体であって、
前記ナノピラーが、円柱形状、楕円柱形状、角錘台状、円錐台形状、楕円錘台形状、逆角錘台状、逆円錐台形状又は逆楕円錘台形状であり、
前記ピラーパターン領域において、ナノインデンテーション法により測定される前記ナノピラーの押込み弾性率が35~100GPaであり、
前記ナノピラーが、塑性変形することを特徴とする個体認証用構造体。
3.前記ピラーパターン領域内に形成される前記ナノピラーの配列が、一定周期でピラーが配列された規則的配列である1又は2に記載の個体認証用構造体。
4.前記規則的配列の周期が、20nm以上1,500nm以下である3に記載の個体認証用構造体。
5.前記ナノピラーの高さHが20~1,500nm、幅Wが10~500nm、アスペクト比(H/W)が0.5~6である1乃至4のいずれかに記載の個体認証用構造体。
6.前記ナノピラーが、合成石英ガラス基板の基体部と一体に形成されている1乃至5のいずれかに記載の個体認証用構造体。
7.塑性変形させたナノピラーを含むピラーパターンを識別に利用する1乃至6のいずれかに記載の個体認証用構造体。
8.合成石英ガラス基板の表面部の少なくとも一部に、合成石英ガラスで形成された複数のナノピラーを含むピラーパターン領域が形成された個体認証用構造体であって、
前記ピラーパターン領域において、ナノインデンテーション法により測定される前記ナノピラーの押込み弾性率が35~100GPaであり、
前記ピラーパターン領域に、高さ方向に押圧されて塑性変形したナノピラーが含まれることを特徴とする個体認証用構造体。
9.前記ナノピラーが、合成石英ガラス基板の基体部と一体に形成されている8に記載の個体認証用構造体。
10.1乃至7のいずれかに記載の個体認証用構造体を製造する方法であって、
合成石英ガラス基板の前記ピラーパターン領域が形成される面の上に無機膜を形成する工程と、
前記無機膜の上に有機膜を形成する工程と、
前記有機膜をパターニングして、前記無機膜上に有機膜パターンを形成する工程と、
前記有機膜のパターンをエッチングマスクとして、前記無機膜をエッチングして無機膜パターンを形成する工程と、
前記有機膜パターン及び無機膜パターン、又は無機膜パターンをエッチングマスクとして、前記合成石英ガラス基板の表面部をエッチングして、前記ピラーパターン領域を形成する工程と、
前記有機膜パターン及び無機膜パターン、又は無機膜パターンを除去する工程
とを含むことを特徴とする個体認証用構造体の製造方法。
11.1乃至7のいずれかに記載の個体認証用構造体を製造する方法であって、
前記合成石英ガラス基板の前記ピラーパターン領域が形成される面の上に有機膜を形成する工程と、
前記有機膜をパターニングして、前記合成石英ガラス基板の前記ピラーパターン領域が形成される面の上に有機膜パターンを形成する工程と、
前記有機膜パターン及び露出した合成石英ガラス基板の面の上に無機膜を形成する工程と、
前記有機膜パターンを、該有機膜のパターンの上に形成された無機膜と共に除去する工程と、
前記合成石英ガラス基板の面の上に形成された無機膜により形成された無機膜パターンをエッチングマスクとして、前記合成石英ガラス基板の表面部をエッチングして、前記ピラーパターン領域を形成する工程と、
前記無機膜パターンを除去する工程
とを含むことを特徴とする個体認証用構造体の製造方法。
12.前記有機膜パターンを形成する工程において、電子線リソグラフィ、フォトリソグラフィ又はナノインプリントリソグラフィにより、有機膜パターンを形成する10又は11に記載の製造方法。
また、本発明は、以下の個体認証用構造体及びその製造方法並びに個体認証方法が関連する。
[1].合成石英ガラス基板の表面部の少なくとも一部に、合成石英ガラスで形成された複数のナノピラーを含むピラーパターン領域が形成された個体認証用構造体であって、
前記ピラーパターン領域において、ナノインデンテーション法により測定される前記ナノピラーの押込み弾性率が35~100GPaであり、
前記ナノピラーが、塑性変形することを特徴とする個体認証用構造体。
[2].前記ナノピラーの高さHが20~1,500nm、幅Wが10~500nm、アスペクト比(H/W)が0.5~6である[1]に記載の個体認証用構造体。
[3].[1]又は[2]に記載の個体認証用構造体を製造する方法であって、
合成石英ガラス基板の前記ピラーパターン領域が形成される面の上に無機膜を形成する工程と、
前記無機膜の上に有機膜を形成する工程と、
前記有機膜をパターニングして、前記無機膜上に有機膜パターンを形成する工程と、
前記有機膜パターンをエッチングマスクとして、前記無機膜をエッチングして無機膜パターンを形成する工程と、
前記有機膜パターン及び無機膜パターン、又は無機膜パターンをエッチングマスクとして、前記合成石英ガラス基板の表面部をエッチングして、前記ピラーパターン領域を形成する工程と、
前記有機膜パターン及び無機膜パターン、又は無機膜パターンを除去する工程
とを含むことを特徴とする個体認証用構造体の製造方法。
[4].[1]又は[2]に記載の個体認証用構造体を製造する方法であって、
前記合成石英ガラス基板の前記ピラーパターン領域が形成される面の上に有機膜を形成する工程と、
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ナノピラーの変形の種類や程度で、グレースケールを構成することができ、また、変形後のピラーパターンの態様は、実質的に無限大であるので、本発明の個体認証用構造体を用いることにより、優れた個別性及び耐クローン性で、人工物による個体認証が可能である。また、本発明の個体認証用構造体では、合成石英ガラスは、通常、金属不純物濃度が1ppm以下と、極めて純度が高いことから、太陽光、紫外線、温度変化等の外部環境による変形、変色、劣化等の変質がほとんどなく、優れた耐候性や長期安定性及び高い長期信頼性が得られる。更に、地球環境だけでなく、宇宙空間や惑星の環境下においても、優れた耐候性や長期安定性及び高い長期信頼性が得られる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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