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公開番号2024038612
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-21
出願番号2022142741
出願日2022-09-08
発明の名称電解液濃縮設備の修理方法
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類F28F 11/02 20060101AFI20240313BHJP(熱交換一般)
要約【課題】長期間の設備停止を要さずに電解液中への蒸気の混入を防止できる電解液濃縮設備の修理方法を提供する。
【解決手段】銅の電解液を加熱する加熱缶と電解液中の水分を蒸発させて濃縮させる真空蒸発缶を備え、加熱缶20が、内部に高圧蒸気が導入されるシェル22aとその内側に配置されたカーボン製ストレートチューブで構成されかつチューブ内部に電解液を導入して高圧蒸気との熱交換が可能な複数の伝熱管22bから成るシェルアンドチューブ型熱交換部22と、熱交換部の上部側に連設され伝熱管の各上側開口端から排出される加熱された電解液を合流する上部液室23と、熱交換部の下部側に連設され蒸発缶から供給される電解液を受け入れて伝熱管の各下側開口端へ分流する下部液室24を有する電解液濃縮設備の修理法であって、伝熱管が破損したときに該伝熱管の上側開口端部と下側開口端部にカーボン製プラグ30を差し込んで各開口端部を封止することを特徴とする。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
銅の電解液を加熱する加熱缶と、電解液中の水分を蒸発させて電解液を濃縮させる真空蒸発缶を備え、かつ、
上記加熱缶が、
内部に高圧蒸気が導入されるシェルと、該シェルの内側に配置されたカーボン製のストレートチューブで構成されかつストレートチューブの内部に電解液を導入して上記高圧蒸気との熱交換が可能な複数の伝熱管から成るシェルアンドチューブ型熱交換部と、
上記熱交換部の上部側に連設されかつ上記伝熱管の各上側開口端から排出される加熱された電解液を合流する上部液室と、
上記熱交換部の下部側に連設されかつ上記真空蒸発缶から供給される電解液を受け入れて上記伝熱管の各下側開口端へ分流する下部液室を有する電解液濃縮設備であって、
上記熱交換部における伝熱管の一部が破損したときの修理方法において、
上記破損した伝熱管の上側開口端部および下側開口端部にカーボン製のプラグを差し込んで各開口端部を封止することを特徴とする電解液濃縮設備の修理方法。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
破損した伝熱管内における上記プラグの差し込み深さより深い位置に上記伝熱管の内径と略同一の外径を有する仮栓を先に嵌め込み、かつ、上記プラグの先端および挿入されるプラグの外周側面に接着剤を塗布した後、上記伝熱管の上側開口端部および下側開口端部にカーボン製のプラグを差し込んで上記仮栓とプラグを接続させることを特徴とする請求項1に記載の電解液濃縮設備の修理方法。
【請求項3】
上記仮栓が、シリコン製の仮栓またはテフロン(登録商標)加工を施した仮栓で構成されることを特徴とする請求項2に記載の電解液濃縮設備の修理方法。
【請求項4】
上記真空蒸発缶から排出される濃縮電解液の比重を計測し、計測した濃縮電解液の比重値と管理値とを比較して伝熱管における破損の有無を検出することを特徴とする請求項1に記載の電解液濃縮設備の修理方法。
【請求項5】
上記シェルアンドチューブ型熱交換部におけるシェル内への高圧蒸気の導入を停止し、かつ、閉止されたシェル内を水で満たして破損した伝熱管を特定することを特徴とする請求項4に記載の電解液濃縮設備の修理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、銅の電解液を加熱する加熱缶と、電解液中の水分を蒸発させて電解液を濃縮させる真空蒸発缶とを備える電解液濃縮設備の修理方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
銅の電解精製プロセスでは、カソード上に平滑な電析物を得るため、銅濃度40~55g/リットル、遊離硫酸濃度150~200g/リットルからなる硫酸銅-硫酸水溶液の電解液中で電解精製を行っている。しかし、このプロセスでは、アノードに用いられる粗銅中に含まれる微量のCuOやCu
2
Oなどの酸化銅や金属銅が電解液としての硫酸に溶解するため、アノードから溶出する銅量がカソードに電着する銅量よりも多くなる。余剰の銅量は、アノード中の酸素濃度などの条件にもよるが、通常、カソードに電着する銅量の1~2%程度になる。
【0003】
もし過剰な銅を除去せずに電解精製が継続されると、電解液中の銅濃度が上昇し、アノードからの銅の溶出が阻害される不働態化という現象を引き起こし電解精製の継続が不可能となる。このため、通常は鉛および鉛含有合金を不溶性アノードとして、硫酸銅-硫酸水溶液から銅を電解採取する回酸電解、造酸電解、脱銅電解または脱砒電解工程を実施し、余剰な銅を電着物として回収している。更に、この工程では銅イオンを完全に除去した電解液をさらに電解採取すれば、ビスマス、砒素、アンチモンなどの不純物が電着物として回収できる特徴を生かし、これら電解液中に含まれる上記不純物の除去も併せて実施している(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、不純物の除去において、砒素、ビスマス、アンチモンの電析電位は、銅の電析電位に比べて低い。このため、銅の電解精製で使用している電解液から上記不純物の除去を行う場合、不純物の除去を十分に行うには多量の電解液を処理する必要がある。つまり、銅の電解精製で使用している電解液中の不純物濃度が低いため、不純物の電析の効果を最大にするには多量の電解液を処理する必要があり、このような電析を行うためには、銅の電解精製と同規模の電解設備を別途設ける必要がある。しかし、このような電解設備の設置は現実的ではない。このため、銅の電解精製で使用している電解液の一部を電解槽から抜き取り、抜き取った電解液を濃縮することによって不純物濃度を高め、これを回酸電解、造酸電解、脱銅電解または脱砒電解工程に送ることによって不純物の除去効率を高めるようにしている。
【0005】
電解液の濃縮を行う設備として、例えば、図1に示すような電解液濃縮設備が用いられている。すなわち、この電解液濃縮設備は、真空蒸発缶10と加熱缶20とを備えており、真空蒸発缶10と加熱缶20は、真空蒸発缶10から加熱缶20へ電解液を供給する電解液供給管11と、加熱缶20から真空蒸発缶10へ加熱された電解液を供給する加熱電解液供給管21とに夫々接続されており、熱対流によって電解液の循環系を構成している。
【0006】
ここで、真空蒸発缶10は、内部が大気圧以下に保持され、図示外の電解槽から給液口12を介し電解液(液相)を受け入れるとともに(例えば、電気銅を精製する電解槽に給液する給液ラインから一部抜き取った電解液が真空蒸発缶10に導入される)、後述する加熱缶20の加熱電解液供給管21を介し供給される加熱された電解液を受け入れ、100℃以下の液温度で電解液中の水分が蒸発することを利用して電解液中の水分を効率的に蒸発させる電解液の蒸発設備である。尚、蒸発した水分は、真空蒸発缶10の排気口14からガス引きにより排出される。
【0007】
このような真空蒸発缶10を用いることで電解液を効率的に濃縮することできるため、濃縮状態となった電解液を、排出口13を介し次工程の回酸電解、造酸電解、脱銅電解または脱砒電解工程へ送るようにすれば、電解設備において効率的な不純物の除去を行うことが可能となる。尚、真空蒸発缶10の容量が11.1m
3
(通常の使用レベルは全容量の50%程度であるため5m
3
)である場合、真空蒸発缶10内への電解液の給液量と真空蒸発缶10からの排出量は、例えば、給液量が0~130リットル/min、排出量が0~65リットル/minとされている。
【0008】
また、加熱缶20は、蒸気導入口20aを介し内部に高圧蒸気が導入されるシェル22aと、シェル22aの内側に配置されたカーボン製のストレートチューブで構成されかつストレートチューブの内部に電解液を導入して上記高圧蒸気との熱交換が可能な複数の伝熱管22bから成るシェルアンドチューブ型熱交換部22と、熱交換部22の上部側に連設されかつ上記伝熱管22bの各上側開口端から排出される加熱された電解液を合流する上部液室23と、熱交換部22の下部側に連設されかつ上記真空蒸発缶10から電解液供給管11を介し供給される電解液を受け入れて上記伝熱管22bの各下側開口端へ分流する下部液室24を有すると共に、各伝熱管22bの上端側と下端側は、シェル22aの上部液室23側および下部液室24側にそれぞれ配置された管板22c(図2参照)のチューブ用孔22dに各伝熱管22bの上端と下端を嵌入して保持されるように構成されている。尚、符号20bは、熱交換後のドレンを抜くドレン排出管を示す。
【0009】
ところで、上記電解液濃縮設備において、伝熱管22b内を流れる電解液は、鉄などの金属を容易に腐食させる性質を持つため、伝熱管22bを構成する材質としては、通常、カーボンが採用されている。カーボンは、耐腐食性が高い材質ではあるが、一方で強度が金属系の材質に比べて劣るため、長期間の使用において伝熱管22bが破損することがあった。そして、伝熱管22bが破損した場合、シェル22a内の高圧蒸気が破損箇所から伝熱管22b内に侵入し、真空蒸発缶10内の電解液が蒸気によって希釈されるため電解液の濃縮が困難となる。
【0010】
このような伝熱管22b内への蒸気の侵入を防ぐには、破損した伝熱管22bを新たなものに交換するか、加熱缶20自体を新たなものと交換する必要がある。しかし、新たなものと交換する方法は、交換作業により長期間の設備停止が必要となるうえ、費用も高額となることから現実的でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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