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公開番号2024014856
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-01
出願番号2023119432
出願日2023-07-21
発明の名称鋼板およびその製造方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240125BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】橋梁などの屋外の大気腐食環境下、特には飛来塩分量の多い海上や海岸近傍などの厳しい腐食環境下で使用する場合であっても無塗装で使用することができる、耐候性に優れ、かつ、靭性、全伸びおよび耐疲労き裂伝播特性にも優れた鋼板を提供する。
【解決手段】所定の成分組成を有する鋼板であって、かかる鋼板の硬質組織が、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの内から選択される1種または2種以上を含有し、前記硬質組織が、以下の(1)式および(2)式を満たす鋼板とする。
L(L)/L(Z)≦5.0 ・・・・ (1)
L(L)/L(C)≦5.0 ・・・・ (2)
L(L):硬質組織の圧延方向(L方向)に対する平均長さ
L(Z):硬質組織の板厚方向(Z方向)に対する平均長さ
L(C):硬質組織の板幅方向(C方向)に対する平均長さ
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
成分組成が、質量%で、
C:0.01%以上、0.20%以下、
Si:0.05%以上、1.00%以下、
Mn:0.10%以上、2.00%以下、
P:0.003%以上、0.035%以下、
S:0.0001%以上、0.0350%以下、
Al:0.001%以上、0.100%以下および
Ni:0.80%以上、6.00%以下を含有し、
さらに、
Cu:1.00%以下および
Mo:1.00%以下のうちから選ばれる1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であって、
ミクロ組織が、面積分率で55%以上のフェライトと、45%以下のフェライトよりも硬い硬質組織とからなり、
前記硬質組織が、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの内から選択される1種または2種以上を含有し、
前記硬質組織が、以下の(1)式および(2)式を満たす鋼板。
L(L)/L(Z)≦5.0 ・・・・ (1)
L(L)/L(C)≦5.0 ・・・・ (2)
L(L):硬質組織の圧延方向(L方向)における平均長さ
L(Z):硬質組織の板厚方向(Z方向)における平均長さ
L(C):硬質組織の板幅方向(C方向)における平均長さ
続きを表示(約 650 文字)【請求項2】
前記成分組成が、さらに、質量%で、
Cr:1.000%以下、
W:1.00%以下、
Co:1.000%以下、
Sn:0.300%以下、
Sb:0.300%以下、
Nb:0.100%以下、
V:0.150%以下、
Ti:0.100%以下、
B:0.0050%以下、
Zr:0.1000%以下、
Ca:0.0100%以下、
Mg:0.0100%以下、
REM:0.0200%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1に記載の鋼板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の鋼板を製造する方法であって、
請求項1または2に記載の成分組成を有するスラブを、1000℃以上1300℃以下の温度域に加熱した後、
スラブ加熱温度未満Ar

変態点以上の温度域における累積圧下率を50%以上とする熱間圧延を行って熱延板とし、かかる熱延板を0.10℃/s以上の平均冷却速度で冷却する鋼板の製造方法。
【請求項4】
前記冷却ののち、さらにAc

変態点以上Ac

変態点未満の再加熱温度に加熱し、
かかる加熱後、2.00~7.00℃/sの範囲の平均冷却速度で350~600℃の間の冷却停止温度まで冷却し、
さらに焼入れを施す請求項3に記載の鋼板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性、全伸びおよび耐疲労き裂伝播特性に優れた鋼板並びにその製造方法に関する。
本発明の鋼板は、船舶、海洋構造物、橋梁、建築物、タンクなど、屋外の大気腐食環境下で用いられ、構造安全性が強く求められる溶接構造物に好適に用いることができる。特に、本発明の鋼板は、飛来塩分量の多い海上や海岸近傍などの厳しい腐食環境下で用いられる橋梁などの構造物に好適に用いることができる。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
橋梁などの屋外で用いられる鋼構造物は、通常、何らかの防食処理を施して用いられる。
例えば、飛来塩分量が少ない環境では、耐候性鋼が多く用いられている。耐候性鋼は、大気暴露環境で使用する場合に、Cu、P、Cr、Niなどの合金元素が濃化した保護性の高いさび層で表面が覆われ、これによって、腐食速度を大きく低下させた鋼材である。このような耐候性鋼を使用した橋梁は、飛来塩分量が少ない環境では、無塗装のまま数十年間の供用に耐え得ることが知られている。
【0003】
一方、高塩分環境では、耐候性鋼において保護性の高いさび層が形成され難く、実用的な耐候性が得難いことが知られている。このため、海上や海岸近傍などの飛来塩分量の多い環境では、普通鋼材に塗装などの防食処理を施した鋼材が一般的に用いられている。
【0004】
ところが、塗装鋼材では、時間の経過による塗膜の劣化やさびの発生、塗膜の膨れ等により、定期的な塗り替えなどの補修が必要となる。塗り替えに伴う塗装作業は高所での作業となることが多く、作業自体が困難であるとともに作業にかかる人件費も増加する。そのため、塗装鋼材を使用する場合には、塗り替え作業によって構造物のメンテナンスコストが増大し、ひいてはライフサイクルコストが増大する。よって、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境においても、無塗装のまま使用可能な鋼材が求められている。
【0005】
このような要求に対して、海岸近傍などの飛来塩分量が多い環境において無塗装のまま使用可能な鋼材として、種々の合金元素、特にNiやCuを含有させた鋼材が開発されている。
【0006】
耐食性に優れた鋼材として、例えば、特許文献1には、Bを0.0003~0.0050%含有させ、さらにCuを0.1~1.5%、Niを0.1~6.0%、Moを0.005~0.500%のうちから1種または2種以上を含有させた耐震性に優れた高海岸耐候性鋼材が開示されている。
【0007】
特許文献2には、Bを0.0003~0.0050%含有させ、Cuを0.1~2.0%、Niを0.1~6.0%、Moを0.005~1.000%のうちから1種または2種以上を含有させた耐震性に優れた高海岸耐候性鋼材が開示されている。
【0008】
これらの耐候性を向上させた鋼材は、船舶、海洋構造物、橋梁、建築物、タンクなどの構造物に広く用いられる。
また、前記鋼材には、強度、靭性などの機械的特性および溶接性が優れることに加え、疲労特性に優れることが求められる。すなわち、上述したような構造物を使用する際には、該構造物に対して、風や波、地震による振動など、繰返し荷重がかかる。そのため、鋼板には、そのような繰返し荷重が負荷された場合でも構造物の安全性を確保できる疲労特性が求められる。特に、部材の破断といった終局的な破壊を防止するためには、鋼板の耐疲労き裂伝播性を向上させることが求められる。
【0009】
すなわち、鋼板の疲労き裂伝播抵抗性を向上させるために様々な検討が行われている。
例えば、特許文献3には、湿潤硫化水素環境下での疲労き裂伝播抵抗性に優れた、タンカー用の鋼板が提案されている。前記鋼板は、フェライトおよび、ベイナイト、パーライトの1種または2種からなる混合組織を有している。また、前記鋼板では、フェライトの平均粒径が20μm以下とされている。
【0010】
特許文献4には、疲労き裂伝播抵抗性に優れた鋼板が提案されている。前記鋼板は、硬質部と軟質部とからなるミクロ組織を有し、前記硬質部と軟質部における硬度差が、ビッカース硬度で150以上であることを特徴としている。
(【0011】以降は省略されています)

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