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公開番号2025143822
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-02
出願番号2024043267
出願日2024-03-19
発明の名称量子計算支援プログラム、量子計算支援方法、および情報処理装置
出願人富士通株式会社
代理人弁理士法人扶桑国際特許事務所
主分類G06N 10/00 20220101AFI20250925BHJP(計算;計数)
要約【課題】出力状態を初期状態に戻せない量子回路の実行結果の正しさを向上させる。
【解決手段】情報処理装置10は、量子回路2を複数の部分回路3a,3bに分割する。情報処理装置10は、複数の部分回路3a,3bそれぞれについて、部分回路の後に、部分回路の演算と逆の演算を量子コンピュータ1に実行させる逆回路を追加したサブ回路4,5-1,5-2,・・・を生成する。情報処理装置10は、量子コンピュータ1に量子回路2を実行させるために設定されるパラメータの複数の候補値それぞれについて、候補値をパラメータに設定して、サブ回路4,5-1,5-2,・・・を量子コンピュータ1に複数回ずつ実行させる。情報処理装置10は、サブ回路4,5-1,5-2,・・・を実行したときの入力状態と出力状態との比較結果に基づいて、複数の候補値のなかから、量子回路2の実行においてパラメータに設定する値を決定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
量子コンピュータに実行させる量子回路を複数の部分回路に分割し、
前記複数の部分回路それぞれについて、部分回路の後に、前記部分回路の演算と逆の演算を前記量子コンピュータに実行させる逆回路を追加したサブ回路を生成し、
前記量子コンピュータに前記量子回路を実行させるために設定されるパラメータの複数の候補値それぞれについて、候補値を前記パラメータに設定して、前記複数の部分回路それぞれから生成した前記サブ回路を前記量子コンピュータに複数回ずつ実行させ、
前記サブ回路を実行したときの入力状態と出力状態との比較結果に基づいて、前記複数の候補値のなかから、前記量子回路の実行において前記パラメータに設定する値を決定する、
処理をコンピュータに実行させる量子計算支援プログラム。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記量子回路を分割する処理では、前記量子回路を、出力状態以外の測定を行う中間測定の位置で分割する、
請求項1記載の量子計算支援プログラム。
【請求項3】
前記パラメータに設定する値を決定する処理では、前記複数の候補値それぞれについての、前記サブ回路を実行したときの前記入力状態と前記出力状態とが一致する確率に基づいて、前記量子回路の実行において前記パラメータに設定する値を決定する、
請求項1記載の量子計算支援プログラム。
【請求項4】
前記パラメータに設定する値を決定する処理では、第1の部分回路の実行に用いられる前記パラメータに設定する値を、前記第1の部分回路から生成された前記サブ回路を実行したときの前記入力状態と前記出力状態との比較結果に基づいて決定する、
請求項1記載の量子計算支援プログラム。
【請求項5】
前記サブ回路を生成する処理では、前記量子回路内での実行順が2番目以降の第2の部分回路に基づいて、量子ビットのランダムな初期状態を生成するランダム回路を前記第2の部分回路の前に追加し、前記第2の部分回路の演算と逆の演算を示す第1の逆回路を前記第2の部分回路の後に追加し、前記第1の逆回路の後に、追加したランダム回路の演算の逆の演算を示す第2の逆回路を追加した前記サブ回路を複数生成する、
請求項1記載の量子計算支援プログラム。
【請求項6】
前記サブ回路を生成する処理では、
前記量子回路内での実行順がi番目(iは自然数)の第3の部分回路までの前記量子回路の複数回の実行を前記量子コンピュータに指示し、
複数回の実行による出力状態の分布を取得し、
前記量子回路内での実行順がi+1番目の第4の部分回路の前記サブ回路を生成する際には、生成したランダム回路で得られる初期状態の分布と、取得した前記出力状態の分布とを比較し、比較結果に基づいて、生成した前記ランダム回路の採用の有無を判断し、
採用すると判断した場合に、生成した前記ランダム回路を追加した前記サブ回路を生成する、
請求項4記載の量子計算支援プログラム。
【請求項7】
前記サブ回路を前記量子コンピュータに複数回実行させる処理では、前記量子回路の実行時に設定する複数の前記パラメータそれぞれの候補値を組み合わせた複数の組合せパターンを生成し、前記複数の組合せパターンそれぞれについて、組合せパターンに示される候補値を設定した複数の前記パラメータを用いて、前記複数の部分回路それぞれの前記サブ回路を前記量子コンピュータに複数回ずつ実行させ、
前記パラメータに設定する値を決定する処理では、前記複数の組合せパターンそれぞれについての前記サブ回路を実行したときの入力状態と出力状態との比較結果に基づいて、前記複数の組合せパターンのなかから、前記量子回路の実行時に前記パラメータに設定する値を示す組合せパターンを決定する、
請求項1記載の量子計算支援プログラム。
【請求項8】
前記パラメータの値は、実行タイミングに所定の範囲の自由度がある量子ゲートについての実行タイミングを示す値である、
請求項1記載の量子計算支援プログラム。
【請求項9】
前記パラメータの値は、前記量子回路に含まれる量子ビットへの、前記量子コンピュータが有する物理量子ビットの割り当てパターンを示す値である、
請求項1記載の量子計算支援プログラム。
【請求項10】
量子コンピュータに実行させる量子回路を複数の部分回路に分割し、
前記複数の部分回路それぞれについて、部分回路の後に、前記部分回路の演算と逆の演算を前記量子コンピュータに実行させる逆回路を追加したサブ回路を生成し、
前記量子コンピュータに前記量子回路を実行させるために設定されるパラメータの複数の候補値それぞれについて、候補値を前記パラメータに設定して、前記複数の部分回路それぞれから生成した前記サブ回路を前記量子コンピュータに複数回ずつ実行させ、
前記サブ回路を実行したときの入力状態と出力状態との比較結果に基づいて、前記複数の候補値のなかから、前記量子回路の実行において前記パラメータに設定する値を決定する、
処理をコンピュータが実行する量子計算支援方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、量子計算支援プログラム、量子計算支援方法、および情報処理装置に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
量子コンピュータは、量子力学的効果を利用して計算を並列実行することができる。量子力学的効果を利用した計算は、量子計算と呼ばれる。量子コンピュータは、量子計算を実行することにより、古典コンピュータ(ノイマン型コンピュータとも呼ばれる)と比較して指数関数的な計算速度の向上が期待されている。
【0003】
量子コンピュータは、量子ビットを用いて量子計算を実行する。量子ビットは、|0>の状態と|1>の状態との重ね合わせの状態を取ることができる情報の単位である。量子ビットの測定を行うと、量子ビットの状態は|0>または|1>に確率的に変化する。量子ビットの状態を複数回測定すると、|0>と|1>との出現確率に基づいて、その量子ビットの測定前の状態を推定することができる。
【0004】
量子コンピュータを用いた計算システム(量子計算システム)は、量子ビットの状態を変化させて計算を進め、複数回の計算それぞれの測定結果を統計処理することで計算結果を得る。量子ビットは、所定の量子ゲートを作用させることで、所望の状態に変化させることができる。
【0005】
量子コンピュータに量子計算を実行させるために各量子ビットに作用させる量子ゲートの順番は、量子回路でモデル化することができる。量子コンピュータは、量子回路に従って量子ビットへの量子ゲート操作を実行し、最終的な量子ビットの状態を測定する。測定結果は、古典コンピュータで統計処理される。
【0006】
量子ビットの状態が量子ゲート操作に従って正確に変化すれば、正しい計算結果を得ることができる。ただし、量子ビットはノイズの影響を受けやすく、エラーが発生する。そこでエラー訂正が重要となるが、エラー訂正可能な量子コンピュータの実現まであと10年以上の期間が見込まれている。そのため、現在の技術で現実的なのは、エラー訂正機能のないNISQ(Noisy Intermediate Scale Quantum)コンピュータの有効活用である。
【0007】
NISQコンピュータでは、量子回路の実行結果がどの程度正しいのかを知りたい場面が多く存在する。そこで、例えば量子コンピュータにおける各量子ビットに対する量子ゲート操作の平均的な忠実度(fidelity)が測定される。ある実行環境による量子回路の平均的な忠実度が分かれば、その忠実度を向上させるように、量子回路の実行環境を最適化することも可能となる。例えば全体の忠実度を高めるような物理量子ビットの割り当てが可能となる。また最も忠実度が高くなるようなパルススケジューリングも可能となる。
【0008】
量子回路を量子コンピュータの実機で実行した結果が正しいかどうか判定する方法として、量子シミュレーションの結果と比較する方法がある。例えば、古典コンピュータを用いたシミュレータで量子回路を実行し、量子コンピュータによる計算結果をシミュレータによる計算結果と比較する。比較による計算結果が一致するか否かで、量子コンピュータによる計算の正確さを推定することができる。ただし、古典コンピュータを用いたシミュレーションは、小規模の量子回路にしか実施できず、スケーラビリティの問題がある。
【0009】
可逆な量子回路であれば、その量子回路の後に逆のゲート操作をさせる逆回路を追加することが考えられる。この場合、元の量子回路と逆回路とを実行後の各量子ビットの状態は、入力状態に戻ることが期待される。このような量子計算を繰り返し実行して入力状態に戻る確率を求めることで、その量子回路の実行結果の正しさを評価できる。
【0010】
NISQコンピュータの活用に有用な技術としては、例えば量子ゲートのベンチマークとノイズのゲート依存性を推定する方法が提案されている。また量子アルゴリズムの可逆性を利用することで、効果的な回路マッピングによって達成される誤差を大幅に削減する技術が提案されている。さらに、また量子回路内の単一量子ビットゲートの最適な実行スケジュールを特定する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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