TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
公開番号
2025139085
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-26
出願番号
2024037825
出願日
2024-03-12
発明の名称
ステンレスクラッド鋼板およびその製造方法
出願人
JFEスチール株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C22C
38/00 20060101AFI20250918BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】耐応力腐食割れ性および低温靭性に優れた高強度ステンレスクラッド鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】母材と該母材上に形成された合せ材とを有するクラッド鋼板であって、合せ材は、特定の成分組成を有し、母材は、特定の成分組成を有し、降伏強度が620MPa以上であり、引張強度が700MPa以上であり、-40℃でシャルピー衝撃試験を実施した場合の吸収エネルギーが47J以上であり、クラッド鋼板は、剪断強度が、SH:0.87×((t+T)×YSC-T×YSB)/t以上であり、降伏強度が620MPa以上であり、引張強度が700MPa以上である、ステンレスクラッド鋼板。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
母材と該母材上に形成された合せ材とを有するクラッド鋼板であって、
前記合せ材は、質量%で、
C:0.001~0.030%、
Si:0.05~1.00%、
Mn:0.30~2.00%、
P:0.040%以下、
S:0.030%以下、
Cr:11.0~28.0%、
N:0.002~0.300%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
前記母材は、質量%で、
C:0.05~0.15%、
Si:0.01~0.60%、
Mn:1.00~2.20%、
P:0.020%以下、
S:0.005%以下、
Al:0.001~0.060%
を含有し、
以下の式(1)で表されるPcmが0.20以上0.32以下であり、
残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、かつ
前記母材は、降伏強度が620MPa以上であり、引張強度が700MPa以上であり、-40℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーが47J以上であり、
前記クラッド鋼板は、
JIS G 0601:2012に規定される剪断試験で得られる剪断強度が、下記式(2)のSH以上であり、
降伏強度が620MPa以上であり、
引張強度が700MPa以上である、ステンレスクラッド鋼板。
ここで、Pcmは次式(1)により定義される。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B・・・(1)
式(1)中、元素記号は、成分組成における各元素の含有量(質量%)を示し、含有しない元素は0とする。
ここで、SHは次式(2)により定義される。
SH=0.87×((t+T)×YSC-T×YSB)/t・・・(2)
t:合せ材の板厚(mm)、T:母材の板厚(mm)、
YSC:クラッド鋼板の降伏強度(MPa)、YSB:母材の降伏強度(MPa)
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記合せ材の成分組成は、さらに、質量%で、
Cu:1.00%以下、
Ni:15.0%以下、
Mo:2.50%以下、
Nb:0.10%以下、
V:0.10%以下、
Ti:0.10%以下、
B:0.0050%以下、
Ca:0.005%以下、
Mg:0.005%以下
から選択される1種または2種以上を含有する、請求項1に記載のステンレスクラッド鋼板。
【請求項3】
前記母材の成分組成は、質量%で、
Cu:1.00%以下、
Ni:2.50%以下、
Cr:1.00%以下、
Mo:1.00%以下、
Nb:0.10%以下、
V:0.10%以下、
Ti:0.10%以下、
B:0.0050%以下、
Ca:0.005%以下、
Mg:0.005%以下
から選択される1種または2種以上を含有する、請求項1に記載のステンレスクラッド鋼板。
【請求項4】
前記母材の成分組成は、質量%で、
Cu:1.00%以下、
Ni:2.50%以下、
Cr:1.00%以下、
Mo:1.00%以下、
Nb:0.10%以下、
V:0.10%以下、
Ti:0.10%以下、
B:0.0050%以下、
Ca:0.005%以下、
Mg:0.005%以下
から選択される1種または2種以上を含有する、請求項2に記載のステンレスクラッド鋼板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のステンレスクラッド鋼板の製造方法であって、
母材用素材と合せ材用素材とを、重ねて溶接することにより一体化したスラブを1000℃以上1200℃以下の温度に加熱し、
引き続き、仕上げ温度:700℃以上1000℃以下にて熱間圧延を行った後、
650℃から400℃までの平均冷却速度を10℃/s以上とし、200℃以上400℃以下の冷却停止温度まで加速冷却をする第一の処理、および
室温まで空冷し、その後、850℃以上1050℃以下まで加熱し、650℃から400℃までの平均冷却速度を10℃/s以上とし、20℃以上400℃以下の冷却停止温度まで加速冷却をする第二の処理、のいずれかを行う、ステンレスクラッド鋼板の製造方法。
【請求項6】
前記第一の処理または前記第二の処理の後、500℃以上680℃以下で焼戻処理を行う、請求項5に記載のステンレスクラッド鋼板の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温タンク用途に好適な高強度ステンレスクラッド鋼板、特に大型液化アンモニアタンク等に用いられる700MPa級以上の高強度ステンレスクラッド鋼板およびその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラル対応で、アンモニアの利用拡大が進んでいる。従来、アンモニアは主に肥料の原料として用いられていたが、水素キャリアとして、あるいは直接的に燃料としての適用が進んでいる。このようなアンモニアの利用拡大に応じて貯蔵するタンクの大型化も進んでおり、従来の1~2万トンクラスから、最大で10万トン前後の大型タンクの設計、建造が進んでいる。タンクを大型化するためには、用いる鋼板の板厚を大きくすること、もしくは鋼板を高強度化する必要があり、特に、鋼材重量低減のためには、高強度化を進めることが期待されている。
【0003】
アンモニアは-35℃以下にすること、もしくは高圧化することで液化し、通常、タンクでは液化された状態で貯蔵される。一方、液化アンモニアは鋼材を腐食し、応力腐食割れを発生させることが知られており、この応力腐食割れは鋼材の強度が高くなるほど感受性が高くなる。そのため、このことが前述した液化アンモニアタンク用に用いる鋼板の高強度化を困難としており、400MPa級(JIS G3126:2021 SLA325Aなど)が主に用いられている。
【0004】
そこで、液化アンモニアによる応力腐食割れに強い鋼板に関する検討が行われている。例えば、特許文献1では、鋼中のC量を低減し、Ti量やN量を最適に制御することで400MPa以上の強度と-60℃における低温靭性、さらには大入熱溶接熱影響部の靭性に優れる鋼板を製造する方法が開示されている。
特許文献2では、鋼中のC量を低減し、加速冷却を適用することで低降伏比を実現しながら530MPa以上の強度を有する鋼板を製造する方法が開示されている。
また、特許文献3では、鋼中のC量を低減し、加速冷却を適用することで鋼板表層の硬さ上昇を低減しながら570MPa以上の強度を有する鋼板を製造する方法が開示されている。
また、特許文献4では、鋼板表面に脱炭層を生成させることにより590MPa以上(60kgf/mm
2
以上)の強度を有しつつ優れた耐応力腐食割れ性能を確保した鋼板の製造方法が開示されている。
また、特許文献5では、鋼板表面に軟化処理を行うことにより表層硬度をビッカース硬度で190以下させることにより優れた耐応力腐食割れ性能を確保した鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献6および7では、鋼板のフェライト組織分率や結晶粒径を最適に制御し、降伏強度を440MPa以下に制御することで耐応力腐食割れ性能を確保した鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献8では、鋼板の表層の硬さを210以下に抑えつつ、鋼板板厚中央のフェライト組織分率を最適化することで耐応力腐食割れ性能を確保した鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献9では、鋼板の表層の組織形態を最適化しつつ、鋼板板厚中央のフェライト組織分率を最適化することで耐応力腐食割れ性能を確保した鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献10では、鋼板1/4厚位置でのフェライトなどの組織形態を最低化することで鋼板の降伏比を下げ、液化アンモニア運搬用タンクに好適な鋼板の製造方法が開示されている。
また、特許文献11では、鋼板の焼入れもしくは直接焼入れ時に2段階で急冷することで軟質なフェライト組織を生成させ優れた耐応力腐食割れ性能を確保した鋼板の製造方法が開示されている。
また、特許文献12では、鋼板の表面に鋼中C量およびMn量の低い合わせ材を鋳込みクラッドもしくは肉盛溶接により接合することにより、優れた耐応力腐食割れ性能を確保したクラッド鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献13では、溶接熱影響部の降伏強度が440MPa以下(45kgf/mm
2
以下)になる合わせ材を接合することにより優れた耐応力腐食割れ性能を確保したクラッド鋼板の製造方法が開示されている。
【0005】
一方で、C量を低く抑えたステンレス鋼板の場合、液化アンモニアに接することによる応力腐食割れは発生しないことが知られており、ステンレス鋼板そのものは高価であるため、安価な低合金鋼板を母材として合わせ材としてステンレス鋼板を貼り付けるクラッド鋼板が用いられることがある。特許文献14では、化学薬品の保存用タンクなどに用いられる2相ステンレス鋼板を合わせ材としたクラッド鋼板の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平11-131178号公報
特開平10-195533号公報
特開2001-115233号公報
特開昭61-279631号公報
特開昭50-085516号公報
特許第7323090号公報
特許第7323091号公報
特許第7323088号公報
国際公開第2021/106368号
特開2021-88753号公報
特開昭62-156228号公報
特開昭57-149425号公報
特開昭50-085546号公報
特開2023-82763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~4に記載の技術では、強度が590MPa級までを対象としており、近年需要のある大型タンクを製造するためには強度が不足する。
また、特許文献5では、母材の低温靭性については、一切考慮されていない。
特許文献6~10に記載の技術は、軟質なフェライト組織を鋼板中に含有することを前提としており、本発明で対象とする大型タンク用の高強度鋼板を製造することができない。特許文献11に記載の技術は、2段階冷却を適用するため、特殊な水冷設備を必要とする。
特許文献12に記載の技術では、鋳込みクラッドもしくは肉盛溶接を行う必要があり、特殊な設備が必要であることや、生産性に問題がある。
特許文献13に記載の技術では、溶接熱影響部の応力腐食割れを抑制することができるが、大型タンクを製造するためにクラッド母材を高強度化するための圧延および熱処理条件を選択した場合、合わせ材の溶接前の硬さが高くなり、溶接熱影響部以外の応力腐食割れ性能を抑制できない。
【0008】
特許文献14に記載の技術では、応力腐食割れを抑制することができるが、大型タンクを製造するために高強度化する方法が開示されておらず、低温タンクとして用いる場合に問題となる、母材の靭性の向上やステンレス鋼板の合わせ材と低合金鋼の母材との間における収縮に起因した剥離の抑制に関する解決策が示されていない。
【0009】
以上のように、これまでに提案された方法では、特殊な設備を利用せずに、大型タンクに用いられる590MPa級を超える高強度な鋼板で優れた耐応力腐食割れ性能を確保できる製造方法が開示されていなかった。
また、液化アンモニアを貯蔵する際に必要な-35℃以下の温度での靭性を確保する方法も特許文献1以外には開示されていなかった。
さらに、合せ材をステンレス鋼板としたクラッド鋼板を用いることで応力腐食割れを防止する場合においても、大型タンクを製造するために高強度化する方法が開示されておらず、また、低温タンクとして用いる場合に問題となる、母材の靭性の向上やステンレス鋼板の合せ材と低合金鋼の母材との間における収縮に起因した剥離の抑制に関する解決策が開示されていなかった。
【0010】
本発明は、上記した従来技術の問題を鑑み、大型タンクに用いられる590MPa級を超える高強度を有し、優れた耐応力腐食割れ性および低温靭性を有する鋼板を提供すること、具体的には降伏強度が620MPa以上、引張強度が700MPa以上であり、優れた耐応力腐食割れ性および低温靭性を有するステンレスクラッド鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
関連特許
個人
銅鉄合金の製造
1か月前
個人
高強度せん断補強筋用の鋼材
5か月前
宏幸株式会社
金属回収方法
5か月前
株式会社神戸製鋼所
鋼材
4か月前
株式会社クボタ
比重分離装置
5か月前
株式会社クボタ
比重分離装置
5か月前
株式会社神戸製鋼所
銅合金板
1か月前
株式会社クボタ
比重分離装置
5か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
5か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
6か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
5か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
5か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
4か月前
日本製鉄株式会社
線材
3か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
2か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼線
3か月前
日本製鉄株式会社
ボルト
27日前
大同メタル工業株式会社
摺動材料
1か月前
大同特殊鋼株式会社
鋼材及び金型
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
7か月前
JFEスチール株式会社
浸炭鋼部品
6か月前
住友金属鉱山株式会社
銅の製造方法
2か月前
日本製鉄株式会社
焼結鉱の製造方法
9日前
日本製鉄株式会社
鉄道車輪
3か月前
日本製鉄株式会社
鉄道車輪
3か月前
JFEスチール株式会社
亜鉛回収方法
2か月前
日本精線株式会社
銅合金
6か月前
NTN株式会社
転動部材
6か月前
株式会社SCREENホールディングス
反応槽
1か月前
JFEスチール株式会社
鋼および鋼部品
1か月前
NTN株式会社
転動部材
6か月前
MAアルミニウム株式会社
ブレージングシート
20日前
続きを見る
他の特許を見る