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公開番号2025137392
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-19
出願番号2024232677
出願日2024-12-27
発明の名称ピペットチップ及びそれを用いる濃縮液の製造方法
出願人株式会社バルカー,国立研究開発法人産業技術総合研究所,プレシジョン・システム・サイエンス株式会社
代理人弁理士法人エスエス国際特許事務所
主分類G01N 1/10 20060101AFI20250911BHJP(測定;試験)
要約【課題】吸引吐出によりチップ中の担体を分散させることを繰り返し行うことができ、デッドボリュームが小さく、標的物質又は標的物質含有物質を含む試料液から、標的物質の濃度が高められた濃縮液を製造することができるピペットチップを提供する。
【解決手段】ピペットチップは、液体を収容するチップ本体と、チップ本体下端の下部開口部に配設されたフィルターと、を有するピペットチップであって、チップ本体下端のフィルターが配設された下部開口部の少なくとも一部に、傾斜部が設けられ、チップ本体内に担体を保持する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
液体を収容するチップ本体と、
前記チップ本体下端の下部開口部に配設されたフィルターと
を有するピペットチップであって、
前記チップ本体下端のフィルターが配設された下部開口部の少なくとも一部に、傾斜部が設けられ、
前記チップ本体内に担体を保持する、ピペットチップ。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記ピペットチップの正面視において、前記傾斜部の傾斜角度が、前記ピペットチップの軸線と直交する線に対し、20°より大きく70°以下である、請求項1に記載のピペットチップ。
【請求項3】
前記担体が、ヒドロキシアパタイト又は磁性を有する担体である、請求項1又は2に記載のピペットチップ。
【請求項4】
前記フィルターを構成する材料が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)である、請求項1又は2に記載のピペットチップ。
【請求項5】
前記フィルターを構成する材料の融点が、前記チップ本体を構成する材料よりも融点が高く、かつ、前記下部開口部にフィルターが融着された、請求項1又は2に記載のピペットチップ。
【請求項6】
標的物質(物質α)又は物質α含有物質(物質β)を含む試料液から、物質αの濃度が高められた濃縮液を製造するための、請求項1又は2に記載のピペットチップ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のピペットチップを用いる、標的物質(物質α)又は物質α含有物質(物質β)を含む試料液から、物質αの濃度が高められた濃縮液を製造する方法であって、
前記ピペットチップ下端の下部開口部を通じて前記試料液を吸引吐出して、前記物質α又は物質βを前記担体に吸着させる工程A、及び
遊離液を吸引吐出して、前記物質αを前記担体から遊離させることで、物質αの濃度が高められた濃縮液を得る工程B
を含む方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペットチップ及びそれを用いる濃縮液の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
複数の物質を含む試料液から、標的物質を分離、精製するクロマトグラフィーは、充填カラムを用いた連続クロマトグラフィー(以後カラムクロマトグラフィーとする)と、バッチクロマトグラフィーの2種類に分類することができる。
【0003】
バッチクロマトグラフィーは、容器中で、担体と試料液とを混合し、その後、目的とする物質を捕捉した担体と試料液とを分離する方法である。担体を試料液から分離する手段としては、試料液と担体との混合物を遠心し、沈殿物として担体を分離する方法、試料液と担体との混合物をフィルターカートリッジにのせた後遠心分離して、フィルター上の残渣として担体を分離する方法、担体として磁気ビーズを用い、磁石を用いて担体を分離する方法等がある。
【0004】
バッチクロマトグラフィーは、一般に、試料液が大量であっても一度に分離を行えるため、迅速に行えるというメリットがある。また、担体が試料液中で分散しやすいため、目的とする物質を担体に捕捉しやすい。一方で、試料液全量が一度に担体と接触するため、担体に対して試料液が過剰に存在することとなり、目的とする物質と担体との結合性があまり強くない場合、目的とする物質を充分に捕捉できない場合がある。また、遠心操作又は磁気ビーズの使用が必須であるが、遠心操作には遠心操作中のチューブ破損又はフタのゆるみ等によって、試料液が漏洩、飛散し、汚染を広げるリスクがあり、磁気ビーズには、試料液中の目的とする物質の濃度が薄い場合等には磁気ビーズの回収が困難であるという問題があった。
【0005】
カラムクロマトグラフィーは、カラムに充填した担体にオンラインで試料液を接触させて、担体に標的物質を捕捉した後、遊離させる方法である。カラムクロマトグラフィーでは、担体が充填されたカラムを上から下に向かって試料液が通過するので、その間に担体に標的物質が捕捉されやすいというメリットを有する。カラムクロマトグラフィーを利用して、タンパク質、核酸、脂質、糖類、ウイルス、エクソソーム等を含む多数の試料液から、標的物質を分離、精製する例としては、例えば、標的物質に応じた特性を有する担体を用いたスピンカラム又はカラムチップを用いた方法が挙げられる。
カラムチップは、標的物質に応じた特性を有する担体が、特殊形状のピペットチップに封入されており、ピペットの先端に装着して用いる。ピペットの吸引吐出操作のみで、標的物質を分離、精製できるので、操作が簡便であり、自動化されたロボット液体ハンドラーに対応させやすいため、多検体の同時処理が必要とされる場面等で汎用されている。市販のカラムチップの一例としては、Biotage社の PhyTip(登録商標)が挙げられる。
【0006】
カラムチップは通常、担体の上下にフィルターが配設され、該フィルターで担体を挟み込む構造であるので、カラムチップに吸引された液体内で担体が分散しにくい。そのため、該液体中の標的物質と担体とが遭遇しにくく、標的物質の一部だけしか担体に吸着しないことが多い。また、吸引吐出時にカラムチップ内に気泡が入ると吸着効率が悪くなりやすい。また、カラムチップは幅が狭く目詰まりしやすく、吸引吐出の速度を著しく遅くしない限りは吸引吐出を繰り返し行えない場合があり、また、フィルターに圧がかかり破損する恐れがある。これらの理由から、標的物質の精製が充分に行えないことがある。
【0007】
液体中の標的物質と担体との遭遇の均等性を高めて、効率よく反応又は結合できるカラムチップとして、担体を拡散させる乱流を生成することが可能な乱流生成部材を有する拡散可能担体封入流管(チップ)が報告されている(特許文献1)。しかし、このチップは、構造が複雑であり、また、チップ先端に細径管(例えば、特許文献1の図3等)があるため、吐出後に液体の一定量がチップに残存し、デッドボリュームが小さくはなかった。デッドボリュームが大きいと、特に、試料液よりも溶出時の液体の量を大きく減らして、標的物質を濃縮する場合、濃縮液の一定量がチップに残存し、濃縮液の回収率が下がってしまうことが問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第5732407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
吸引吐出によりチップ中の担体を分散させることを繰り返し行うことができ、デッドボリュームが小さく、標的物質又は標的物質含有物質を含む試料液から、標的物質の濃度が高められた濃縮液を製造することができるピペットチップ及びそれを用いた濃縮液の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有することにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の〔1〕~〔7〕に関する。
〔1〕 液体を収容するチップ本体と、
前記チップ本体下端の下部開口部に配設されたフィルターと
を有するピペットチップであって、
前記チップ本体下端のフィルターが配設された下部開口部の少なくとも一部に、傾斜部が設けられ、
前記チップ本体内に担体を保持する、ピペットチップ。
〔2〕 前記ピペットチップの正面視において、前記傾斜部の傾斜角度が、前記ピペットチップの軸線と直交する線に対し、20°より大きく70°以下である、〔1〕に記載のピペットチップ。
〔3〕 前記担体が、ヒドロキシアパタイト又は磁性を有する担体である、〔1〕又は〔2〕に記載のピペットチップ。
〔4〕 前記フィルターを構成する材料が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のピペットチップ。
(【0011】以降は省略されています)

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