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公開番号2025135880
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-19
出願番号2024033932
出願日2024-03-06
発明の名称高耐食性Ni基合金
出願人山陽特殊製鋼株式会社
代理人弁理士法人有古特許事務所
主分類C22C 19/05 20060101AFI20250911BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】耐食性に極めて優れ、かつ適切な硬度を有する、Ni基合金の提供。
【解決手段】Ni基合金は、
Cr:20質量%以上26質量%以下、
Mo:12質量%以上22質量%以下、
Al:1.0質量%以上3.0質量%以下
Nb:0.0質量%以上2.0質量%以下
及び
Ti:0.0質量%以上2.0質量%以下
を含有する。このNi基合金の金属組織は、それぞれが粒界と粒内とを含む複数の結晶粒を有する。これら結晶粒の平均結晶粒サイズDGは、10μm以上である。金属間化合物相の面積率PIは、10.0%以下である。粒内は、マトリックスとこのマトリックスに分散する複数のγ’相とを含む。この粒内は、20.0質量%以上のCrと12.0質量%以上のMoとを含有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
Cr:20質量%以上26質量%以下、
Mo:12質量%以上22質量%以下、
Al:1.0質量%以上3.0質量%以下
Nb:0.0質量%以上2.0質量%以下
及び
Ti:0.0質量%以上2.0質量%以下
を含有しており、残部がNi及び不可避的不純物である組成を備えており、
それぞれが粒界と粒内とを含む複数の結晶粒を有する、金属組織を備えており、
上記結晶粒の平均結晶粒サイズDGが、10μm以上であり、
上記金属間化合物相の面積率PIが10.0%以下であり、
上記粒内が、マトリックスとこのマトリックスに分散する複数のγ’相とを、含んでおり、
上記粒内が、20.0質量%以上のCrと12.0質量%以上のMoとを含有する、析出硬化型の高耐食性Ni基合金。
続きを表示(約 370 文字)【請求項2】
それぞれのγ’相のサイズDPが1.0μm以下である、請求項1に記載の高耐食性Ni基合金。
【請求項3】
面積が1.0×10

μm

である断面に現れる全ての粒界の合計長さL1と、上記断面に現れる全ての金属間化合物相の合計周長L2との和(L1+L2)が、2000μm以下である、請求項1又は2に記載の高耐食性Ni基合金。
【請求項4】
面積が1.0×10

μm

である断面に現れる金属間化合物相の数NIが、600以下である、請求項1又は2に記載の高耐食性Ni基合金。
【請求項5】
上記金属間化合物相の平均粒子サイズDIが、8μm以下である、請求項1又は2に記載の高耐食性Ni基合金。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、Cr、Mo及びAlを含有する、析出硬化型のNi基合金に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来、耐食性、耐摩耗性に優れた表面硬化用材料としては、Ni基、Co基などの各種の合金がある。一方、近年、耐食性、耐摩耗性向上を目的とした表面硬化は各種産業分野において、広く用いられている。しかしながら、その使用環境は厳しさを増してきており、それにともない表面硬化用材料も、より高性能なものが要求されている。さらに、カーボンニュートラル政策により、従来と異なった使用環境が求められる場合も多々存在する。そのような多種多様な用途・使用環境変化のため、要求される特性も耐食性に特化、あるいは耐摩耗性に特化、または耐割れ性・高靭性に特化など、要求される必要特性も使用環境も多種多様であり、従来材では対応できなくなっている。
【0003】
耐食性及び耐摩耗性が要求される用途に、Ni基合金が適している。特開2021-38453公報には、Cr、Mo及びAlを含有するNi基合金が開示されている。この合金では、時効処理により、マトリックスにγ’相が析出する。このγ’相は、マトリックスを強化する。この合金は、高硬度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-38453公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の引用文献1のNi基合金は、耐食性だけでなく耐摩耗性においても良好な特性を狙ったため、時効処理後、すなわち使用時の硬さは450HV(HRC換算では45.3HRC)程度にもなる。実施例においては、380HV以上(HRC換算では38.8HRC以上)となっている。この硬さは、γ’だけでなく、Mo化合物量や結晶粒サイズも影響していることは明白である。硬さと結晶粒サイズに相関があるのは周知の事実であり、硬くなるほど結晶粒サイズは微細化する。また、ハイス鋼などでは炭化物の析出量が多い程、硬くなることも一般的である。この材料の腐食は結晶粒界や化合物の周囲から進行する。そのため、結晶粒が微細で化合物も析出しているこの材料は十分な耐食性が得られているとは言い難い。
【0006】
また、類似組成でも溶製材(急冷製法であるアトマイズ粉末が原料ではない)であれば、結晶粒サイズは粗大化するが、1mm程度とはるかに大きなサイズである。また、急冷でないため耐食性に効果のあるCr、Moなどの元素をNiマトリックス中に多量に固溶することができず、化合物として析出してしまう。そのため、低硬度であり、化合物の析出量が多く、さらにはマトリックス中のCr、Mo量も少ないため、結晶粒界や化合物の周囲だけでなく、マトリックス部分の耐食性も劣化してしまう。
【0007】
他にも、Ni基にホウ化物などの硬質粒子を分散させた耐食耐摩耗性合金が提案されている。しかし、B添加によりホウ化物が分散析出している組織であれば、ホウ化物析出により、硬さは向上するが、一旦ホウ化物が析出すると再固溶させることが難しく、硬さ変化が出来ないといった熱間加工性への懸念がある。
【0008】
上述の理由で特開2021-38453公報に開示されたNi基合金の、過酷な腐食環境における耐食性は、十分ではない。本出願人の意図するところは、次の通りである。Al、Nb、Ti添加元素活用によるマトリックスに時効硬化性を付与することで機械加工性を得る。ST時はγNi相で柔らかく(25HRC以下)、加工性に優位である。その一方、時効処理することでNi

Al、あるいはNi

(Al,Nb)及び/又はNi

(Al,Ti)相などのγ’の析出により硬化し、高硬度を得られる(30~38HRC)。
【0009】
また、腐食される箇所は金属間化合物相(Ni―Cr―Mo)の周囲や結晶粒界が優先的であるため、金属間化合物相の析出量や結晶粒サイズを「結晶粒界に析出する金属間化合物相の面積率は10%以下」「平均結晶粒サイズも10μm以上」にコントロールすることで、優れた耐食性(耐弗酸性)を得た。さらにγとγ’からなるマトリックス中のCr、Mo含有量も高濃度(Cr含有量は20%以上,Mo含有量は12%以上)に維持することで、結晶粒内の耐食性(耐弗酸性)も優れる。
【0010】
このように耐食性に極めて優れ、かつ適切な硬度を有する、Ni基合金の提供にある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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