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公開番号2025112382
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-01
出願番号2024006570
出願日2024-01-19
発明の名称量子演算評価プログラム、量子演算評価方法および情報処理装置
出願人富士通株式会社
代理人弁理士法人扶桑国際特許事務所
主分類G06N 10/70 20220101AFI20250725BHJP(計算;計数)
要約【課題】量子ゲートのエラーの評価を効率化する。
【解決手段】情報処理装置10は、量子ゲート13a,13bを含む量子ゲート列13を複数回繰り返して実行した後に測定された測定値を示す測定データ14を取得する。情報処理装置10は、量子ゲート13aを、理想値を示す行列15aとエラーを示す行列15bの行列指数との積で表現する場合における、行列15bを示す変数を規定する。情報処理装置10は、量子ゲート13a,13bを合成した合成量子ゲートを、行列15aと、量子ゲート13bの理想値を示す行列15cと、行列15cを用いて変数の値を変換した変換結果の行列指数との積で近似することで、エラーが測定値に与える影響を線形近似する関数16を生成する。情報処理装置10は、関数16と測定データ14とを用いてエラーを推定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
量子コンピュータが量子ビットに対して、第1の量子ゲートと第2の量子ゲートとを含む量子ゲート列を複数回繰り返して実行した後に測定された、前記量子ビットの測定値を示す測定データを取得する処理と、
前記第1の量子ゲートを、前記第1の量子ゲートの理想値を示す第1の行列と、前記量子コンピュータが前記第1の量子ゲートを実行する際のエラーを示す第2の行列の行列指数との積で表現する場合における、前記第2の行列を示す変数を規定する処理と、
前記第1の量子ゲートと前記第2の量子ゲートとを合成した合成量子ゲートを、前記第1の行列と、前記第2の量子ゲートの理想値を示す第3の行列と、前記第3の行列を用いて前記変数の値を変換した変換結果の行列指数との積で近似することで、前記エラーが前記測定値に与える影響を線形近似する関数を生成する処理と、
前記関数と前記測定データとを用いて前記エラーを推定する処理と、
をコンピュータに実行させる量子演算評価プログラム。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記変換結果は、前記第3の行列の随伴行列と、前記変数の値と、前記第3の行列との積を用いて生成される、
請求項1記載の量子演算評価プログラム。
【請求項3】
前記第2の量子ゲートは、前記第3の行列と、前記量子コンピュータが前記第2の量子ゲートを実行する際の他のエラーを示す第4の行列の行列指数との積で表現され、
前記変換結果は、前記第3の行列の随伴行列と、前記変数の値と、前記第3の行列との積に、前記第4の行列を加算することで生成される、
請求項1記載の量子演算評価プログラム。
【請求項4】
前記量子ゲート列は、前記合成量子ゲートの近似結果を用いて、前記第1の行列と前記第3の行列との積から生成される第5の行列と、前記変換結果から規定される第6の行列の行列指数との積で表現され、
前記関数を生成する処理は、前記量子ゲート列の繰り返しを、前記第5の行列と前記量子ゲート列の繰り返し回数とを用いて前記第6の行列を変換した他の変換結果の行列指数で近似する処理を含む、
請求項1記載の量子演算評価プログラム。
【請求項5】
前記他の変換結果は、前記第5の行列の随伴行列と、前記第6の行列と、前記第5の行列との積に、前記第6の行列を加算し、前記繰り返し回数の2分の1を乗じることで生成される、
請求項4記載の量子演算評価プログラム。
【請求項6】
前記量子ゲート列は、前記合成量子ゲートの近似結果を用いて、前記第1の行列と前記第3の行列との積から生成される第5の行列と、前記変換結果から規定される第6の行列の行列指数との積で表現され、
前記関数を生成する処理は、前記第5の行列の行列対数がもつ複数の固有値を算出し、指数関数の値が同一になる異なる固有値が前記複数の固有値の中に含まれるか否かに応じて、異なる近似方法で前記量子ゲート列の繰り返しを近似する処理を含む、
請求項1記載の量子演算評価プログラム。
【請求項7】
量子コンピュータが量子ビットに対して、第1の量子ゲートと第2の量子ゲートとを含む量子ゲート列を複数回繰り返して実行した後に測定された、前記量子ビットの測定値を示す測定データを取得する処理と、
前記第1の量子ゲートを、前記第1の量子ゲートの理想値を示す第1の行列と、前記量子コンピュータが前記第1の量子ゲートを実行する際のエラーを示す第2の行列の行列指数との積で表現する場合における、前記第2の行列を示す変数を規定する処理と、
前記第1の量子ゲートと前記第2の量子ゲートとを合成した合成量子ゲートを、前記第1の行列と、前記第2の量子ゲートの理想値を示す第3の行列と、前記第3の行列を用いて前記変数の値を変換した変換結果の行列指数との積で近似することで、前記エラーが前記測定値に与える影響を線形近似する関数を生成する処理と、
前記関数と前記測定データとを用いて前記エラーを推定する処理と、
をコンピュータが実行する量子演算評価方法。
【請求項8】
量子コンピュータが量子ビットに対して、第1の量子ゲートと第2の量子ゲートとを含む量子ゲート列を複数回繰り返して実行した後に測定された、前記量子ビットの測定値を示す測定データを記憶する記憶部と、
前記第1の量子ゲートを、前記第1の量子ゲートの理想値を示す第1の行列と、前記量子コンピュータが前記第1の量子ゲートを実行する際のエラーを示す第2の行列の行列指数との積で表現する場合における、前記第2の行列を示す変数を規定し、前記第1の量子ゲートと前記第2の量子ゲートとを合成した合成量子ゲートを、前記第1の行列と、前記第2の量子ゲートの理想値を示す第3の行列と、前記第3の行列を用いて前記変数の値を変換した変換結果の行列指数との積で近似することで、前記エラーが前記測定値に与える影響を線形近似する関数を生成し、前記関数と前記測定データとを用いて前記エラーを推定する処理部と、
を有する情報処理装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は量子演算評価プログラム、量子演算評価方法および情報処理装置に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
量子ゲート型の量子コンピュータは、量子ビットに対して各種の量子演算を実行する。量子コンピュータは、量子ビットを初期化し、量子ビットに対して量子ゲートを適用し、量子ビットの値を測定する。量子コンピュータは、超伝導量子回路、半導体量子ドット、ダイヤモンド窒素空孔(NV:Nitrogen Vacancy)中心、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)分子などの物理プラットフォームを用いて実装される。
【0003】
実装された量子コンピュータは、通常、量子演算の作用が理想的な作用からずれるエラー(誤差)をもつ。ユーザは、量子演算のエラーを評価することがあり、評価結果に基づいて、量子コンピュータがもつ制御パラメータの値を調整する較正(キャリブレーション)を行うことがある。例えば、量子コンピュータは、量子ビットに対して発する駆動パルスの時間幅、振幅、波形などを調整するための制御パラメータをもつことがある。制御パラメータの値を調整することで、量子演算の精度が改善されることがある。
【0004】
ここで、量子ビットの測定値は、複数種類の量子演算を通じて生成されるため、個々の量子演算のエラーを直接的に評価することは容易でない。そこで、量子演算のエラーを推定する技術の1つとして、量子トモグラフィがある。量子トモグラフィは、量子演算の組み合わせを変えながら、量子コンピュータから測定値を繰り返し取得する実験を行う。量子トモグラフィは、実験データを分析して、個々の量子演算のエラーを推定する。
【0005】
なお、量子ビットの値を測定してエラー率を判定し、量子ゲートのパラメータ値の変化に対するエラー率の変化を算出する量子エラー訂正方法が提案されている。また、量子回路を用いて量子プロセッサにトモグラフィ実験を実行させ、トモグラフィ解析アルゴリズムに従って実験結果データを解析する量子トモグラフィシステムが提案されている。また、複数のユニタリの線形結合を用いて位相演算を行う量子計算機が提案されている。
【0006】
また、量子ビットが満たすリンドブラッド方程式を導出し、量子ゲートのエラー率を算出する量子ゲート評価方法が提案されている。また、量子状態トモグラフィを用いて、量子ビットに対する周波数制御信号の歪みを判定し、周波数制御信号を調整する超伝導量子チップが提案されている。また、ある量子回路に対して前置振幅増幅回路を生成する量子回路生成装置が提案されている。また、通常量子ビットおよび補助量子ビットと、補助量子ビットを既知状態に設定する量子ゲートと、補助量子ビットを利用して通常量子ビットの値を測定する測定回路とを含む量子計算システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
米国特許出願公開第2018/0330265号明細書
国際公開第2019/064057号
米国特許出願公開第2019/0220497号明細書
特開2021-106013号公報
国際公開第2022/073380号
国際公開第2023/089930号
米国特許出願公開第2023/0205840号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
量子トモグラフィは、量子ゲートのエラーを評価する場合、同じ量子ゲート列を繰り返すエラー増幅回路を含む量子回路を使用することがある。エラー増幅回路は、量子ゲートがもつ微小なエラーを増幅させるため、測定値に含まれるエラーの成分を見えやすくして評価結果の信頼性を向上させる。一方、エラー増幅回路はエラーに対して非線形な増幅作用をもつため、データ分析が複雑化するおそれがある。その結果、データ分析の負荷が増大するおそれがあると共に、評価結果の数値的安定性が低下するおそれがある。
【0009】
例えば、エラー増幅回路の増幅作用を線形関数で近似すると、量子ゲートによっては、無限大などの異常な値が算出される特異点が探索空間に現れることがある。この場合、単純な近似方法では、その量子ゲートのエラーを評価することが難しい。そこで、1つの側面では、本発明は、量子ゲートのエラーの評価を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、以下の処理をコンピュータに実行させる量子演算評価プログラムが提供される。量子コンピュータが量子ビットに対して、第1の量子ゲートと第2の量子ゲートとを含む量子ゲート列を複数回繰り返して実行した後に測定された、量子ビットの測定値を示す測定データを取得する。第1の量子ゲートを、第1の量子ゲートの理想値を示す第1の行列と、量子コンピュータが第1の量子ゲートを実行する際のエラーを示す第2の行列の行列指数との積で表現する場合における、第2の行列を示す変数を規定する。第1の量子ゲートと第2の量子ゲートとを合成した合成量子ゲートを、第1の行列と、第2の量子ゲートの理想値を示す第3の行列と、第3の行列を用いて変数の値を変換した変換結果の行列指数との積で近似することで、エラーが測定値に与える影響を線形近似する関数を生成する。関数と測定データとを用いてエラーを推定する。
(【0011】以降は省略されています)

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