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公開番号
2025109124
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-24
出願番号
2024002854
出願日
2024-01-11
発明の名称
不焼成塩基性れんがの製造方法
出願人
黒崎播磨株式会社
代理人
弁理士法人英和特許事務所
主分類
C04B
35/043 20060101AFI20250716BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】炭素質原料を実質的に含有しない不焼成塩基性れんがにおいて、1000℃付近の中間温度域での強度を向上させることのできる不焼成塩基性れんがの製造方法を提供する。
【解決手段】マグネシアクリンカー及びマグクロクリンカーのうち少なくとも一種を合計で40質量%以上99質量%以下、並びに硫酸カルシウム0.5水塩、硫酸カルシウム2水塩及び硫酸カルシウム無水塩のうち少なくとも一種を、硫酸カルシウム無水塩換算値の合計で1質量%以上10質量%以下含有し、かつ炭素質原料の含有率が1質量%以下(0を含む。)である耐火原料配合物を混練し、加圧成形後、60℃以上1000℃以下で熱処理する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
マグネシアクリンカー及びマグクロクリンカーのうち少なくとも一種を合計で40質量%以上99質量%以下、並びに硫酸カルシウム0.5水塩、硫酸カルシウム2水塩及び硫酸カルシウム無水塩のうち少なくとも一種を、硫酸カルシウム無水塩換算値の合計で1質量%以上10質量%以下含有し、かつ炭素質原料の含有率が1質量%以下(0を含む。)である耐火原料配合物を混練し、加圧成形後、60℃以上1000℃以下で熱処理する、不焼成塩基性れんがの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼分野等において溶融金属容器や二次精錬炉に使用される、不焼成マグクロれんがや不焼成マグネシアれんが等の炭素質原料を実質的に含有しない不焼成塩基性れんがの製造方法に関する。なお、本明細書において「炭素質原料を実質的に含有しない不焼成塩基性れんが」とは、耐火原料配合物中の炭素質原料の含有率が1質量%以下(0を含む。)のものをいう。
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【背景技術】
【0002】
鉄鋼分野等で使用される溶融金属容器には、内張材として、マグクロれんが、マグネシアれんが、マグネシアカーボンれんが等の塩基性れんがが汎用されている。これらのうちマグネシアカーボンれんがは、黒鉛等の炭素質原料を含有しフェノール樹脂等の有機バインダーを結合剤とした不焼成れんがが一般的であるが、酸化による損耗が大きな用途では、黒鉛等の炭素質原料を実質的に含有しないマグクロれんがやマグネシアれんが等の焼成塩基性れんがが多用されている。なかでも、焼成マグクロれんがは1700℃以上で高温焼成することによってクロムを含む二次スピネルが発達し、ダイレクトボンドを形成することで高い耐食性を有する。一方で焼成塩基性れんがには製造時のCO
2
排出やコスト増などのデメリットもある。
【0003】
そのため、従前より不焼成マグクロれんがや不焼成マグネシアれんが等の炭素質原料を実質的に含有しない不焼成塩基性れんがの製造方法が検討されてきた。しかし、酸化雰囲気で使用されることの多いこれらの不焼成れんがにおいては、フェノール樹脂やピッチなどによるカーボンボンド、更には受熱によって生成する金属炭化物による強度付与が期待できないため、特に1000℃付近の中間温度域での強度が不十分な問題があった。
【0004】
一方、無機化合物を主体とした結合剤が使用される場合もある。例えば、特許文献1には、「苦汁あるいは硫酸マグネシウム水溶液のうちの少なくともいずれかを、同量の水に溶解する性質を備えたフェノール樹脂に配合した結合剤を添加してなることを特徴とする不焼成マグネシア-カーボン質耐火物。」が開示されている。この不焼成マグネシア-カーボン質耐火物は、いわゆるマグネシアセメント結合れんがであり、マグネシアセメントを構成するマグネシウムオキシクロライドあるいはマグネシウムオキシサルフェートは、結晶水を含む鉱物相によって形成されることから加熱によって分解される。そのため、特許文献1の不焼成マグネシア-カーボン質耐火物においても、1000℃付近の中間温度域での強度が不十分な問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平5-163059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、炭素質原料を実質的に含有しない不焼成塩基性れんがにおいて、1000℃付近の中間温度域での強度を向上させることのできる不焼成塩基性れんがの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、次の不焼成塩基性れんがの製造方法が提供される。
マグネシアクリンカー及びマグクロクリンカーのうち少なくとも一種を合計で40質量%以上99質量%以下、並びに硫酸カルシウム0.5水塩、硫酸カルシウム2水塩及び硫酸カルシウム無水塩のうち少なくとも一種を、硫酸カルシウム無水塩換算値の合計で1質量%以上10質量%以下含有し、かつ炭素質原料の含有率が1質量%以下(0を含む。)である耐火原料配合物を混練し、加圧成形後、60℃以上1000℃以下で熱処理する、不焼成塩基性れんがの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によって得られた不焼成塩基性れんがは、1000℃付近の中間温度域での強度が向上するため、従来の不焼成塩基性れんがと比較して耐用性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
マグネシア(MgO)及びマグクロ(MgO・Cr
2
O
3
)は、それぞれ融点が約2800℃及び約2400℃の高融点物質であり、1000℃付近での焼結による強度付与は期待できない。これに対し、硫酸カルシウム(CaSO
4
)は融点が1460℃と比較的低く、1000℃付近でも焼結が起こることが分かった。このため、硫酸カルシウムを含有することによって1000℃付近の中間温度域での強度が向上するものと考えられる。なお、硫酸カルシウムのうち水硬性を有するのは0.5水塩(bassanite)であるが、本発明で使用可能な硫酸カルシウムはこれに限らず、2水塩(gypsum)及び無水塩(anhydrite)も使用可能であり、0.5水塩と同様に1000℃付近の中間温度域での強度付与に有効である。すなわち、糖類やフェノール樹脂など、他の結合剤を併用することによって、素地の常温強度が付与されるため水硬性のない無水塩及び2水塩の使用が可能となる。
【0010】
本発明において、耐火原料配合物中の硫酸カルシウム(0.5水塩、2水塩及び無水塩のうち少なくとも一種)の含有率は、硫酸カルシウム無水塩(CaSO
4
)換算値の合計で1質量%以上10質量%以下であることが必要である。その含有率が1質量%未満では1000℃付近の中間温度域での焼結促進が不十分となり、所定の強度が得られない。10質量%を超えると硫酸カルシウムの熱分解によって稼働面付近の組織が疎となり、耐食性が低下する。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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