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公開番号2025107023
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-17
出願番号2024000718
出願日2024-01-05
発明の名称人工多能性幹細胞の製造方法、核酸導入キャリアおよびキット
出願人株式会社東芝,公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団
代理人弁理士法人スズエ国際特許事務所
主分類C12N 15/88 20060101AFI20250710BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 人工多能性幹細胞の製造方法、核酸導入キャリアおよびキットを提供する。
【解決手段】 実施形態に従う方法は、人工多能性幹細胞の製造方法である。当該方法は、第1の脂質粒子を線維芽細胞と1回以上接触させること、それに続き、第2の脂質粒子を前記線維芽細胞と1回以上接触させることを含む。第1の脂質粒子及び第2の脂質粒子は、それぞれ初期化因子を内包している。第1の脂質粒子の脂質成分構成比と第2の脂質粒子の脂質成分構成比は互いに異なる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
初期化因子を内包する第1の脂質粒子を線維芽細胞と1回以上接触させること、及び
少なくとも1回の前記接触の後に、当該初期化因子を内包し、前記第1の脂質粒子とは異なる脂質成分構成比からなる第2の脂質粒子を前記線維芽細胞と1回以上接触させること、
人工多能性幹細胞を得ること
を含む人工多能性幹細胞の製造方法。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記第1及び第2の脂質粒子は、生分解性脂質であるFFT-10及び/又はFFT-20を含む脂質成分からなる脂質粒子である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の脂質粒子において、前記FFT-10及び/又はFFT-20の割合が30%以上である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の脂質粒子の脂質成分は、前記第2の脂質粒子よりもFFT-10の含有量が多い請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の脂質粒子の脂質組成が、FFT-10、DOPE、DOTAP、コレステロール、DMG-PEGを含み、その%モルでの割合が、FFT-10:DOPE:DOTAP:コレステロール:DMG-PEG=50~65:0:5~25:15~35:1~15の範囲であり、全体で100となるようにそれぞれの値が選択され、
前記第2の脂質粒子の脂質組成が、FFT-10、DOPE、DOTAP、コレステロール、DMG-PEGを含み、その%モルでの割合が、FFT-10:DOPE:DOTAP:コレステロール:DMG-PEG=20~40:1~15:1~15:40~65:1~15の範囲であり、全体で100となるようにそれぞれの値が選択される
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の脂質粒子の脂質組成が、FFT-10、DOPE、DOTAP、コレステロール、DMG-PEGを含み、その%モルでの割合が、FFT-10:DOPE:DOTAP:コレステロール:DMG-PEG=53~63:0:9~21:19~29:1~7の範囲であり、全体で100となるようにそれぞれの値が選択され、
前記第2の脂質粒子の脂質組成が、FFT-10、DOPE、DOTAP、コレステロール、DMG-PEGを含み、その%モルでの割合が、FFT-10:DOPE:DOTAP:コレステロール:DMG-PEG=26~37:1~9:4~14:46~61:1~8の範囲であり、全体で100となるようにそれぞれの値が選択される
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の脂質粒子の脂質組成が、FFT-10、DOPE、DOTAP、コレステロール、DMG-PEGを含み、その%モルでの割合が、FFT-10:DOPE:DOTAP:コレステロール:DMG-PEG=58.3:16.5:23.6:1.6 の脂質成分構成比からなる脂質粒子であり、
前記第2の脂質粒子の脂質組成が、FFT-10、DOPE、DOTAP、コレステロール、DMG-PEGを含み、その%モルでの割合が、FFT-10:DOPE:DOTAP:コレステロール:DMG-PEG=31.7:4.5:9.0:51.4:3.4 の脂質成分構成比からなる脂質粒子である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において使用するための導入キャリアセットであって、
初期化因子を内包しており、初発材料の状態にある線維芽細胞に対して適切な親和性を示すように設計された脂質組成を有する第1の脂質粒子と、
当該初期化因子を内包しており、前記第1の脂質粒子とは脂質組成が異なり、初期化が開始された状態にある線維芽細胞に対して適切な親和性を示すように設計された脂質組成を有する第2の脂質粒子と
を備えるキャリアセット。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において使用する導入キャリアセットを製造するためのキットであって、
初発材料の状態にある線維芽細胞に対して適切な親和性を示すように設計された脂質組成を有する第1の脂質粒子材料と、
前記第1の脂質粒子とは脂質組成が異なり、初期化が開始された状態にある線維芽細胞に対して適切な親和性を示すように設計された脂質組成を有する第2の脂質粒子材料と
前記第1の脂質粒子及び前記第2の脂質粒子に内包されるべき初期化因子と
を備えるキット。
【請求項10】
更に作製マニュアルを備える請求項9に記載のキット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、人工多能性幹細胞の製造方法、核酸導入キャリアおよびキットに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
人工多能性幹細胞は、一般的にiPS細胞と呼ばれ、ウイルスベクターを用いて細胞に初期化因子を発現させて製造される。ウイルスベクターを用いる場合、感染した細胞内にベクターが留まり、初期化因子を発現し続けるリスクが存在する。また、最終プロダクトにウイルスが残存することも更なるリスクとなり得る。他方、リポフェクションを利用する方法もあるが、この方法を用いた場合、安定または均質にiPS細胞を製造することが容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、人工多能性幹細胞の製造方法、核酸導入キャリアおよびキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態に従う方法は、人工多能性幹細胞の製造方法である。当該方法は、第1の脂質粒子を線維芽細胞と1回以上接触させること、それに続き、第2の脂質粒子を前記線維芽細胞と1回以上接触させることを含む。第1の脂質粒子及び第2の脂質粒子は、それぞれ初期化因子を内包している。第1の脂質粒子の脂質成分構成比と第2の脂質粒子の脂質成分構成比は互いに異なる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
第1の実施形態に従う方法に使用するための脂質粒子の1例を示す断面図。
第1の実施形態に従う方法を示すスキーム図。
第1の実施形態に従う方法の概念を示すイメージ図。
実験結果を示す図。
実験結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、実施形態について、添付の図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、各部の厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。
【0007】
(第1の実施形態)
実施形態に従う方法は、脂質粒子、例えば、リポソームを用いて人工多能性幹細胞を製造する方法である。以下、人工多能性幹細胞をiPS細胞と称する。まず、図1を参照しながら、実施形態の方法に使用する脂質粒子について説明する。図1に示される導入キャリアセット2001は、第1の導入キャリア101aと第2の導入キャリア201bとを含む。第1の導入キャリア101aは、中空の脂質粒子11a(例えば、リポソーム11a)と、そこに内包される初期化因子12aとを含む。第2の導入キャリア201bは、中空の脂質粒子11b(例えば、リポソーム11b)と、そこに内包される初期化因子12aとを含む。脂質粒子11a及び脂質粒子11bは、脂質膜で形成された中空体であり、例えば、それはリポソームである。第2の導入キャリア201bの脂質粒子の脂質成分構成比は、第1の導入キャリア101aの脂質粒子の脂質成分構成比とは異なる。第1の導入キャリア101aは、言い換えれば、初期化因子を内包している第1の脂質粒子であり、第2の導入キャリア101aは、言い換えれば、初期化因子を内包している第2の脂質粒子である。
【0008】
当該方法は、図2に示すように、第1の脂質粒子を線維芽細胞と1回以上接触させること(S21)、それに続き、第2の脂質粒子を前記線維芽細胞と1回以上接触させること(S22)、iPS細胞得ること(S23)を含む。ここで、第1の脂質粒子及び第2の脂質粒子は、それぞれ初期化因子を内包している。また、第1の脂質粒子の脂質成分構成比と第2の脂質粒子の脂質成分構成比は互いに異なる。このような導入キャリアセット2001により、即ち、異なる脂質成分からなる2種類の脂質粒子を用いて、初期化因子を線維芽細胞に繰り返し導入することによって、初期化前半に生じ得る初期化の揺り戻しを防ぐことが可能となる。これにより、初期化因子の効果を維持及び/又は増強することが可能となる。そして、それによってiPS細胞を効率よく製造することが可能となる。またこのような方法では、非ウイルス材料を使用してiPS細胞を製造するので、ウイルス材料を使用した場合とは異なり、感染やウイルス由来のリスクを受けることがない。安定した製造が可能であるため、均質にiPS細胞を製造することが可能となる。ここで、iPS細胞を得ることは、当該接触により、線維芽細胞がiPS細胞に実質的に移行すればよく、物理的なiPS細胞の回収を伴ってもよく、或いは伴わなくともよい。
【0009】
当該方法の概念について図3を参照しながら更に説明する。図3に示すのは、当該方法の進行に沿った手順のイメージであり、また1つの線維芽細胞の状態の変化を経時的に示すイメージである。初発材料である線維芽細胞20aに対して第1の導入キャリア101aを投与する(図3(a))。第一の導入キャリア101aは、初発材料である線維芽細胞20aに接触し、その細胞質に、脂質粒子11aに内包された初期化因子12aを放出する(図3(a))。放出された初期化因子12aは、細胞質に初期化物質aを形成する(図3(a))。初期化物質aにより、初発材料線維芽細胞20aの核21aの情報は徐々にリプログラミングされ、細胞の状態は初期化前半へと移行される(図3(a)→(b))。この初期化前半に、第2の導入キャリア201bが投与される(図3(b))。投与された第2の導入キャリア201bは、初期化前半の状態の線維芽細胞20bに接触し、その細胞質に、脂質粒子11bに内包された初期化因子12aを放出する(図3(b))。放出された初期化因子12aは、細胞質に更なる初期化物質aを形成する(図3(b))。初期化物質aにより、初期化前半の線維芽細胞20bの核21bの情報は徐々にリプログラミングされ、細胞の状態は初期化後半へと移行される(図3(b)→(c))。この初期化後半に、第2の導入キャリア201bが再投与される(図3(c))。投与された第2の導入キャリア201bは、初期化後半の状態の線維芽細胞20cに接触し、その細胞質に、脂質粒子11bに内包された初期化因子12aを放出する(図3(c))。放出された初期化因子12aは、細胞質に更なる初期化物質aを形成する(図3(c))。初期化物質aにより、初期化後半の線維芽細胞20cの核21cの情報は徐々にリプログラミングされ、細胞の状態は初期化が完了した状態へと移行される(図3(c)→(d))。これにて初期化は完了し、初期化細胞20d、即ち、iPS細胞が得られる。
【0010】
上述した通り、初期化物質aが細胞質に与えられることで、初発材料線維芽細胞20aの核21aの情報は徐々にリプログラミングされ、細胞の状態は、初発材料線維芽細胞20a、初期化前半の線維芽細胞20b、初期化後半の状態の線維芽細胞20c、初期化細胞20d(iPS細胞)と変化していく(即ち、移行していく)(図3(a)、(b)、(c)、(d))。初期化因子12aは、例えば、RNAである。初期化に必要な因子をRNAとして導入する場合、RNAは、細胞質に留まり、タンパク質に翻訳される。翻訳されるタンパク質は、例えば、転写因子である。転写因子により、核内の遺伝子情報がリプログラミングされる。ところで、導入されたRNAは、細胞質内で分解される。RNAの分解は、導入後24時間~48時間である。この導入後約24時間~約48時間に生じる細胞変化が、初期化前半に該当する。初期化後半までを含めると、初発材料である線維芽細胞が初期化を完了させて、初期化された細胞(即ち、初期化細胞(iPS細胞))になるまでの時間は、導入後の約96時間(約4日間)である。特に初期化前半において、初期化の揺り戻しと呼ばれる現象が生じ易い。
(【0011】以降は省略されています)

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