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公開番号2025092182
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2023207902
出願日2023-12-08
発明の名称分液方法及び該分液方法を用いた有機ケイ素化合物の製造方法
出願人株式会社トクヤマ
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C07F 7/18 20060101AFI20250612BHJP(有機化学)
要約【課題】従来の方法では分液が困難な液体を簡便な方法で分液できる方法、及び該方法を用いて有機ケイ素化合物を製造する方法を提供すること。
【解決手段】配位性官能基を有する有機化合物、有機溶媒及びマグネシウムを含む液体と、酸を含む水性溶液とを混合することにより、該液体を有機相と水相とに分液する分液方法であって、該酸が、マグネシウムと塩を形成しうる酸であり、かつ、該塩が水に不溶な塩である、分液方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
配位性官能基を有する有機化合物、有機溶媒及びマグネシウムを含む液体と、酸を含む水性溶液とを混合することにより、該液体を有機相と水相とに分液する分液方法であって、
該酸が、マグネシウムと塩を形成しうる酸であり、かつ、該塩が水に不溶な塩である、分液方法。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記酸が、シュウ酸、炭酸及び酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種以上の酸である、請求項1に記載の分液方法。
【請求項3】
前記配位性官能基が、水酸基、アルコキシ基、アミノ基及びカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1種以上の官能基である、請求項1又は2に記載の分液方法。
【請求項4】
前記液体と前記水性溶液とを混合した混合液の25℃におけるpHが、1~7である、請求項1~3のいずれか1項に記載の分液方法。
【請求項5】
前記有機化合物が、有機ケイ素化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の分液方法。
【請求項6】
前記有機ケイ素化合物が、アルコキシシランである、請求項5に記載の分液方法。
【請求項7】
前記液体が、少なくともグリニャール反応を含む反応によって得られる反応液である、請求項1~6のいずれか1項に記載の分液方法。
【請求項8】
有機ケイ素化合物の製造方法であって、
配位性官能基を有する有機ケイ素化合物及びマグネシウムを含む反応液を得る反応工程、及び
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法で該反応液を有機相と水相とに分液する分液工程を含む、有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項9】
前記反応工程における反応が、少なくともグリニャール反応を含む、請求項8に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウムを含む液体の分液方法に関する。また、本発明は該分液方法で分液する分液工程を含む、有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
グリニャール(Grignard)反応は、炭素-炭素結合反応として種々の有機化合物の合成に広く使用されている。グリニャール反応には、いわゆるグリニャール試薬として有機マグネシウムハロゲン化物が用いられる。特許文献1には、このような有機マグネシウムハロゲン化物の製造方法と、該有機マグネシウムハロゲン化物とケイ素化合物とを反応させて有機ケイ素化合物を製造する方法が開示されている。
【0003】
グリニャール反応後の反応液には、目的となる生成物の他に、副生物や、マグネシウムや触媒などの残渣が含まれる。そのため、通常は、反応液を水などの水性溶媒と混合し、残存マグネシウム等を不活性化しつつ、有機相と水相とに分液し、次いで、有機相又は水相の一方を除去し、蒸留、濾過、再結晶などの公知の操作によって目的の生成物を得る。
特許文献2には、分液対象である液体の粘度や、分液時の攪拌条件等を制御することで、効率的に水難溶性の有機物と水溶性物質とを含む液体を有機相と水相とに分液する方法が開示されている。
また、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)などの、マグネシウム塩をある程度溶解可能な溶媒を用いた場合は、マグネシウム塩が溶解しない、疎水性の高い有機溶媒に溶媒置換することにより塩を析出させ、濾過などの方法で不要な成分を除去することで目的の生成物を得ることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2021/153422号
特開平10-235101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、目的の生成物を得るにあたって、溶媒置換を用いた方法では、置換溶媒としてジイソプロピルエーテル(DIPE)などの溶媒を多く使用するためコストがかかる。
一方、分液する方法では、特許文献2に開示されているように、分液対象の液体の性質によっては、分液性が悪化して効率的な分液ができないという問題が依然として存在する。また、特許文献2に開示された方法では、粘度や攪拌条件の複雑な制御が必要であり、その制御は容易ではない。
【0006】
さらに、本発明者らは、分液対象となる液体に、配位性官能基を有する有機化合物とマグネシウムとが含まれる場合、従来知られた通常の分液操作を行った際に、分液対象の液体が有機相と水相との二相に分かれず、粘度の高い一相のゲル状の液となり、分液が困難となる場合があることを見出した。
【0007】
本発明は、従来の方法では分液が困難な液体を簡便な方法で分液できる方法、及び該方法を用いて有機ケイ素化合物を製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に鑑み、分液対象の液体が高粘度の一相のゲル状の液となる現象は、有機化合物の配位性官能基がマグネシウム及び/又はマグネシウム塩に配位することで生じていると推測した。そして、鋭意検討した結果、分液操作に際し、配位性官能基を有する有機化合物及びマグネシウムを含む液体に対し、酸を混合することで、マグネシウムと酸とが水に不溶な塩を形成し、粘度の高い一相となることなく、簡便に分液操作が可能なことを見出した。このような分液操作の後、該塩を濾過などの方法で適宜除去することで、目的の化合物を簡便に得ることができる。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、具体的には以下の通りである。
<1>配位性官能基を有する有機化合物、有機溶媒及びマグネシウムを含む液体と、酸を含む水性溶液とを混合することにより、該液体を有機相と水相とに分液する分液方法であって、
該酸が、マグネシウムと塩を形成しうる酸であり、かつ、該塩が水に不溶な塩である、分液方法。
<2>前記酸が、シュウ酸、炭酸及び酒石酸からなる群から選択される少なくとも1種以上の酸である、<1>に記載の分液方法。
<3>前記配位性官能基が、水酸基、アルコキシ基、アミノ基及びカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1種以上の官能基である、<1>又は<2>に記載の分液方法。
<4>前記液体と前記水性溶液とを混合した混合液の25℃におけるpHが、1~7である、<1>~<3>のいずれかに記載の分液方法。
<5>前記有機化合物が、有機ケイ素化合物である、<1>~<4>のいずれかに記載の分液方法。
<6>前記有機ケイ素化合物が、アルコキシシランである、<5>に記載の分液方法。
<7>前記液体が、少なくともグリニャール反応を含む反応によって得られる反応液である、<1>~<6>のいずれかに記載の分液方法。
<8>有機ケイ素化合物の製造方法であって、
配位性官能基を有する有機ケイ素化合物及びマグネシウムを含む反応液を得る反応工程、及び
<1>~<7>のいずれかに記載の方法で該反応液を有機相と水相とに分液する分液工程を含む、有機ケイ素化合物の製造方法。
<9>前記反応工程における反応が、少なくともグリニャール反応を含む、<8>に記載の有機ケイ素化合物の製造方法
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、従来の方法では分液が困難な液体であっても、簡便な方法で分液することができる。さらに、該分液方法を用いて、効率的に有機ケイ素化合物を製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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