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公開番号
2025050484
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-04
出願番号
2023159308
出願日
2023-09-24
発明の名称
有機廃棄物から即効性有機肥料を製造する方法
出願人
個人
代理人
個人
主分類
C05F
17/00 20200101AFI20250327BHJP(肥料;肥料の製造)
要約
【課題】有機廃棄物から有機肥料を製造する時間を短縮できる製造方法の提供。
【解決手段】汚泥、生ゴミ、水産廃棄物及び動物又は人間の排泄物からなる群から選ばれる有機廃棄物を微生物で発酵処理しやすい状態に前処理する工程と、前処理された有機廃棄物を微生物で発酵処理する工程を含み、即効性有機肥料を製造する方法であって、前記前処理工程で、200℃以上、好ましくは250℃以上500℃以下の過熱蒸気を利用して過熱蒸気と有機廃棄物を攪拌混合し、有機廃棄物を150℃以上300℃以下の温度範囲で、過熱蒸気反応させ、有機廃棄物の炭化を抑制しつつ有機廃棄物を分解、脱臭、殺菌し、次いで好気性発酵菌で発酵時間を短縮して発酵させ、即効性有機肥料とする製造方法にある。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
汚泥、生ゴミ、水産廃棄物及び動物又は人間の排泄物からなる群から選ばれる有機廃棄物を微生物で発酵処理しやすい状態に前処理する工程と、前処理された有機廃棄物を微生物で発酵処理する工程とを含み、有機肥料を製造する方法であって、
前記前処理工程は、有機廃棄物に、おが屑、木くず、わら、もみ殻、枝、樹皮、木チップ、乾燥草類を含む植物性セルロース基質材を反応促進剤として容量比2:1から1:2で混合して含水率50%以上とし、これを200℃以上、好ましくは250℃以上500℃以下の過熱蒸気と攪拌混合して150℃以上300℃以下の温度範囲で、過熱蒸気反応させる一方、
前記発酵工程では、前記低温分解処理された有機廃棄物と上記セルロース含有基材を含む発酵促進剤を容量比2:1から1:3の範囲で混合して調整し、好気性環境下で発酵分解作用を有する微生物を下記の群から1以上選択して発酵させる、ことを特徴とする方法。
記
細菌: Bacillus subtilis;Bacillus stearothermophilus;Clostridium thermocellum、
カビ: Aspergillus oryzae;Aspergillus niger;Aspergillus fumigatus;Chaetomium thermophile;Humicola lanuginosa;Rhizopus javanicus、
酵母: Candida glabrata;Debaryomyces hansenii;Hansenula anomala;Pichia membranaefaciens;Rhodotorula glutinis;Saccharomyces cerevisiae、
放線菌: Actinobifida dichotom;Streptomyces griseus;Streptomyces thermophilus;Thermoactinomyces vulgaris;Thermomonospora glaucus及びMonascus sp.からなる。
続きを表示(約 130 文字)
【請求項2】
前記前処理工程で過熱蒸気反応炉1台当たりの反応処理能力に応じて、2回以上繰り返し前処理を行う請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記発酵工程での処理時間が前処理しない有機廃棄物の発酵時間の二分の一以下である請求項1記載の方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱蒸気反応を利用して有機廃棄物を低温分解した前処理物から即効性有機肥料を製造する方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
有機肥料とは施肥後即効性がなく、土中での微生物での分解により30~40日後効き始める遅効性のものがほとんどである。近年、化学肥料の高騰のため、市中に増大する有機廃棄物を有効利用して即効性有機肥料を製造することが要望されている。そこで、有機廃棄物にほぼ等量のおがくず、わら、もみ殻等のセルロース基質材を加え、これに有機物を発酵分解する微生物を加え、水分調整後、発酵処理する技術が提案され(特許文献1)、食品に由来する廃棄物や下水処理施設から排出される汚泥から有機肥料を製造されている。しかしながら、この方法では、有機廃棄物の前処理に時間を要するため、有機肥料が得られるまでに4カ月もの期間が必要になる。また、この長い発酵処理には悪臭の発散があり、環境への影響が問題となっている。
【0003】
そこで、honn15~40気圧かつ200~250℃の高温高圧の亜臨界処理を行ない、有機廃棄物中のタンパク及びセルロース等の高分子化合物を分解してペプチド化するとともにセルロースを加水分解し、後段における発酵処理を迅速に行うに方法が提案されるに至っている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
PCT/JP98/02655号公報
特開2018-70386号公報
特開2010-216748号公報
特開2015-223542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記亜臨界状態での前処理方法では、高温高圧下の亜臨界状態での処理であるため、有機物の炭化率が高くなりがちである。しかも処理設備がバッチ式を採用する必要があり、処理能力に限界がある。すなわち、亜臨界状態での前処理設備では1台で多くて5トン/日の汚泥処理ができるか否かであって、近年の要求である、1事業所で8時間、汚泥100トン/日の処理を目指すには程遠い。
【0006】
そこで、本発明者らは、有機廃棄物の発酵処理を促進するため、1)有機廃棄物中の高分子化合物の分解を図りつつ有機物の炭化を抑制し、後段の発酵処理に適合させるには、好ましくは炭化率を50%以下に抑える必要があること。他方、2)1事業所で8時間で汚泥100トン/日の処理を目指すにはバッチ式でなく連続式に処理できる前処理工程が必要であることを知った。本発明はかかる知見に基づき、これらの要求に答える前処理物を提供できる設備を工夫し、有機廃棄物から有機肥料を製造する時間を短縮できる処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは有機廃棄物の高温高圧下の亜臨界状態のバッチ式前処理に代わる連続処理設備を検討するに、鋭意研究の結果、過熱蒸気は従来主として高含水汚泥の乾燥手段及び炭化手段として利用されてきた(特許文献3、特許文献4)が、その反応機構に着目すると、300℃以下の過熱蒸気反応温度領域では、過熱蒸気反応による有機廃棄物の低温分解処理が実現でき、発酵処理の前処理として炭素化率を抑制しつつ高分子であるたんぱく質及びセルロースの分解に適当であることを見出した。そこで、攪拌効率に優れるリボンブレンダー等を備える過熱蒸気反応炉において、過熱蒸気と有機廃棄物との接触効率を高めるため、攪拌しながら、有機廃棄物の内部温度を300℃以下抑制しつつ過熱蒸気反応を行うと、効率よく脱水が行われ、有機廃棄物の炭化率が50%に抑制されるだけでなく、同時に有機廃棄物を分解して後段の発酵処理が加速されるとともに、脱臭、殺菌され、無害化した有機肥料が従来の発酵処理の半分以下の期間で製造されることを見出した。
【0008】
本発明はかかる点に着目してなされたもので、汚泥、生ゴミ、水産廃棄物及び動物又は人間の排泄物からなる群から選ばれる高含水率の有機廃棄物を微生物で発酵処理しやすい状態に前処理する工程と、前処理された有機廃棄物を微生物で発酵処理する工程を含み、即効性有機肥料を製造する方法であって、
前記前処理工程は、有機廃棄物に容量比で2:1から1:2のセルロース基質材からなる反応促進剤を混合して含水率50%以上、これを200℃以上、好ましくは250℃以上500℃以下の過熱蒸気と攪拌混合して、好ましくは剪断作用を伴いながら対流するように攪拌し、150℃以上300℃以下の温度範囲で、過熱蒸気反応させる一方、
前記発酵工程では。前記発酵処理設備では発酵処理される前処理済物が、前記低温分解処理された有機廃棄物と上記セルロース含有基材を含む発酵促進剤を容量比2:1から1:3の範囲で混合して調整した混合物であって、好気性環境下で発酵分解作用を有する微生物を下記の群から1以上選択する、ことを特徴とする方法。
記
細菌: Bacillus subtilis;Bacillus stearothermophilus;Clostridium thermocellum、
カビ: Aspergillus oryzae;Aspergillus niger;Aspergillus fumigatus;Chaetomium thermophile;Humicola lanuginosa;Rhizopus javanicus、
酵母: Candida glabrata;Debaryomyces hansenii;Hansenula anomala;Pichia membranaefaciens;Rhodotorula glutinis;Saccharomyces cerevisiae、
放線菌: Actinobifida dichotom;Streptomyces griseus;Streptomyces thermophilus;Thermoactinomyces vulgaris;Thermomonospora glaucus.
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、過熱蒸気との反応により有機廃棄物を発酵処理に適する低分子化された有機廃棄物に変換し、これを発酵処理するため、発酵処理時間を従来の発酵処理の二分の一、好ましくは三分の一以下に短縮することができ、発酵処理設備をコンパクト化することができる。しかも過熱蒸気との反応により脱臭脱水され、滅菌されるので、環境を汚染することがない。その作用機能を考察するに、過熱蒸気は図4に示すように、熱風に比して高い保有熱量を有するとともに、図5に示す昇温効率を有し、過熱蒸気炉内で過熱蒸気が、炉内で攪拌される有機廃棄物と接触し、浸透するため、効率よく有機物を低温加熱して高分子物質を分解するとともに脱水脱臭することができると思われる。
【0010】
本発明方法によれば、有機廃棄物を連続処理することが可能であって、1事業所で8時間稼働で100トン/日の処理は可能となる。また、有機廃棄物の高温高圧の亜臨界処理に比して、有機物の炭化率が50%を超えることがないので、後段の発酵処理の効率を減退させることがない。本発明においては、過熱蒸気との反応効率を高めるため、有機廃棄物が、以下の群から選ばれるセルロース含有基材を含む前処理促進剤を有機廃棄物に対し容量比2:1から1:3範囲で含むのがよい。
おが屑、木くず、わら、もみ殻、枝、樹皮、木チップ、乾燥草類を含む植物性セルロース基質材であって、平均10±5mm長の破砕粉体。なお、牛糞の場合、牛舎にこれらのセルロース基質材を敷設するので、牛舎から採取糞尿には特にセルロース基材を混合する必要はない。
(【0011】以降は省略されています)
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