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公開番号
2025030954
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-07
出願番号
2023136697
出願日
2023-08-24
発明の名称
密封装置
出願人
NTN株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
F16C
33/78 20060101AFI20250228BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約
【課題】シールリップやその相手部材に塗布されるグリースを改良することにより、低トルクと高いシール性を両立できる密封装置、その密封装置を用いた回転部品を提供する。
【解決手段】シールリング14は、回転部品の固定側部材2に固定され、回転側部材15に摺接し、回転側部材15に摺接するシールリップを有し、シールリップの摺接面にグリースが塗布されており、グリースは、基油と、増ちょう剤と、硫黄-リン系極圧剤およびリン系極圧剤の少なくともいずれかを含む添加剤と含み、JIS K 2220に準拠して測定される混和ちょう度が220超え260未満である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
回転部品の固定側部材に固定され、回転側部材に摺接する密封装置において、前記回転側部材に摺接するシールリップを有し、前記シールリップの摺接面にグリースが塗布されている密封装置であって、
前記グリースは、基油と、増ちょう剤と、硫黄-リン系極圧剤およびリン系極圧剤の少なくともいずれかを含む添加剤と含み、JIS K 2220に準拠して測定される混和ちょう度が220超え260未満であることを特徴とする密封装置。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記添加剤は、カルシウムスルホネートおよび他の金属スルホネートをさらに含み、かつ、エステル系防錆剤は含まないことを特徴とする請求項1記載の密封装置。
【請求項3】
前記増ちょう剤は、ジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られるジウレア化合物であり、前記モノアミン成分が、脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の密封装置。
【請求項4】
前記基油は、合成炭化水素油のみからなるか、または、前記合成炭化水素油およびエステル油との混合油であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の密封装置。
【請求項5】
前記基油は、40℃における動粘度が6mm
2
/s~20mm
2
/sであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の密封装置。
【請求項6】
前記添加剤は、カルシウムスルホネートと、他の金属スルホネートとをさらに含み、かつ、エステル系防錆剤は含まず、
前記増ちょう剤は、ジイソシアネート成分とモノアミン成分とを反応して得られるジウレア化合物であり、前記モノアミン成分が、脂肪族モノアミンおよび脂環族モノアミンであり、
前記基油は、合成炭化水素油のみからなるか、または、前記合成炭化水素油およびエステル油との混合油であり、40℃における動粘度が6mm
2
/s~20mm
2
/sであり、前記混和ちょう度が230以上250以下であることを特徴とする請求項1記載の密封装置。
【請求項7】
前記密封装置において、シール部材はニトリルゴムで形成され、前記シールリップとして、前記軸受空間の内方側から順に、第1のシールリップと、第2のシールリップと、第3のシールリップとを有し、これらシールリップの前記摺接面に前記グリースが塗布されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の密封装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2記載の密封装置を、少なくとも1つ以上用いたことを特徴とする回転部品。
【請求項9】
前記回転部品が転がり軸受であることを特徴とする請求項8記載の回転部品。
【請求項10】
前記転がり軸受が車軸を回転可能に支持する軸受であることを特徴とする請求項9記載の回転部品。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置および該密封装置を備えた回転部品に関し、具体的には、シール部材を備えた密封型転がり軸受に関し、特に、ハブベアリングなどの車軸を支持する密封型転がり軸受に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
一般に、転がり軸受の内部には、潤滑油やグリースなどの潤滑剤組成物が封入されている。潤滑剤組成物が封入された軸受は、長寿命で外部の潤滑ユニットなどが不要で、かつ、安価であるため、自動車や産業用機器などの汎用用途によく利用される。特に、高いシール性が要求される場合には、軌道輪などの相手部材の摺動面に、シール部材のシールリップを接触させて軸受空間を密封する接触型の密封装置が使用されている。
【0003】
外部からの水や泥などの異物混入は、軸受の耐久性(耐摩耗性や軸受寿命)を著しく低下させるおそれがある。そのため、密封装置において、シール性の確保は重要である。シール性の確保のためには、要因の一つとしてシール材の耐摩耗性が必要である。一方、省エネルギーやカーボンニュートラルの観点から、シールリップの摺動には低トルクが求められる。
【0004】
従来、外部からの異物混入に関しては、所定の組成からなるグリース組成物をハブユニット軸受に封入することが知られている。例えば、特許文献1には、基油と、増ちょう剤と、3種の防錆剤と、摩耗防止剤を含むことで、耐水性などに優れるとされている。
【0005】
また、シールリップの摺動抵抗を低く抑えるとともに、シールリップにおけるシール性を確保するため、シールリップまたはその相手部材にグリースを塗布する技術が知られている。例えば、特許文献2には、シールリップの先端部の片側面で、使用時にハブ輪の表面と摺接する部分にグリースが予め塗布された転がり軸受が記載されている。また、特許文献3には、シールリップが摺接する相手部材の表面に、グリースが予め塗布された転がり軸受が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第5110843号公報
特許第4475055号公報
特許第4997532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、上記特許文献1のように、軸受の内部に封入されるグリース組成物については種々のグリース組成物が検討されているが、シールリップやその相手部材に塗布されるグリースについてはほとんど検討されていない。シールリップやその相手部材に塗布されるグリースについて検討している場合においても、その検討は不十分である。
【0008】
例えば、上記特許文献2では、シール部材の形状(シールリップの寸法など)を検討することで、シールリップに塗布されたグリースが事前に剥がれてしまうことを防止している。これにより、摩擦抵抗の増大とシール不良の低減を図っている。しかし、シールリップに予め塗布されるグリース自体の摩擦抵抗やシール性に関する性能は考慮されていない。そのため、該グリースの性能不足によって摩擦抵抗の増大やシール不良が生じるおそれがある。また、上記特許文献3では、グリースの基油の動粘度を規定することで回転トルクの低減を図っているが、基油の動粘度を規定するだけでは、シール性の確保と回転トルクの低減の両立を図ることは困難であると考えられる。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、シールリップやその相手部材に塗布されるグリースを改良することにより、低トルクと高いシール性を両立できる密封装置、その密封装置を用いた回転部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の密封装置は、回転部品の固定側部材に固定され、回転側部材に摺接する密封装置において、上記回転側部材に摺接するシールリップを有し、上記シールリップの摺接面にグリースが塗布されている密封装置であって、上記グリースは、基油と、増ちょう剤と、硫黄-リン系極圧剤およびリン系極圧剤の少なくともいずれかを含む添加剤と含み、JIS K 2220に準拠して測定される混和ちょう度が220超え260未満であることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)
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