発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、要素画像生成装置及びそのプログラムに関する。 続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】 【0002】 高い臨場感や没入感のあるインタラクティブな3次元映像を実現するためには、高品質な3次元映像をリアルタイムで生成及び表示する必要がある。3次元映像における高品質とは、高解像度、高フレームレート、広い奥行き再現範囲、及び、広い視域を指す。インテグラル方式は、インテグラルフォトグラフィの原理に基づく3次元映像方式の一つである(非特許文献1,2)。このインテグラル方式では、2次元ディスプレイに要素画像を表示し、表示手段の表面側に配置したレンズアレイを通して見ることで、観察者が水平及び垂直方向に視差のある3次元映像を観察できる。 【0003】 カメラで一人の観察者の視点位置を計測し、その視点位置で3次元映像を表示する視点追従型のインテグラル方式が提案されている(非特許文献3)。視点追従により、3次元ディスプレイの光学的な構成で決まる視域(光学視域)を狭めて光線密度を高められるために奥行き再現範囲を拡大させ、光学視域を動的に制御できるため視域を拡大させることができる。つまり、視点追従により3次元映像の品質を向上させることができる。 【0004】 インテグラル方式の利点は高い密度の光線群を再現できることであり、その要素画像は被写体を様々な方向から見たときの高密度な光線群で構成されている。仮想空間内に配置した複数の仮想カメラで3次元モデルを撮影し、それらの画像を並べ替えることで要素画像を生成する手法が提案されている(非特許文献4)。この手法では、仮想カメラの台数が視点数に比例するため、仮想カメラの台数が多くなる程に演算量が増大し、フレームレートが低下する。また、この手法では、仮想的な視点位置を設定するため、レンズアレイと2次元ディスプレイで定まる本来の光線ではなく、近似的な光線が再現されることになる。 【0005】 そこで、非特許文献5に記載の光線追跡法に基づいて、要素画像を生成する手法も提案されている(非特許文献6)。この手法は、仮想カメラを用いる手法と比べて、仮想カメラを配置する必要がないので、視点数が多い場合でも高フレームレートを維持できる。また、光線追跡法を用いれば、レンズアレイと2次元ディスプレイで定まる本来の光線を再現できる。 【先行技術文献】 【非特許文献】 【0006】 G. Lippmann, “Epreuves, reversibles donnant la sensation du relief,” J. Phys., 7, 1, pp.821-825(1908) 高木, “立体映像とフラットパネル型立体表示技術光学,” 光学, 35巻, 8号, pp. 400-409, (2006) N. Okaichi, H. Sasaki, M. Kano, J. Arai, M. Kawakita, and T. Naemura, “Design of optical viewing zone suitable for eye-tracking integral 3D display,” OSA Contin., 4, 5, pp.1415-1429 (2021) K. Yanaka, “Integral photography using hexagonal fly’s eye lens and fractional view,” Proc. SPIE 6803, 68031K (2008) コンピュータグラフィックス(改訂新版), CG-ARTS協会, 2015 Shujun Xing, Xinzhu Sang, Xunbo Yu, Chen Duo, Bo Pang, Xin Gao, Shenwu Yang, YanXin Guan, Binbin Yan, Jinhui Yuan, and Kuiru Wang, "High-efficient computer-generated integral imaging based on the backward ray-tracing technique and optical reconstruction," Opt. Express 25, pp.330-338 (2017) 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 視点追従及び光線追跡法を併用し、高品質、かつ、高フレームレートで要素画像を生成する手法を検討する。しかし、視点追従型のインテグラル方式には、レイテンシ(遅延)に起因した視認性の問題がある。このレイテンシとは、カメラによる観察者の撮影開始から3次元映像の表示完了までに要する時間のことであり、視点位置算出処理の時間や要素画像生成の時間などを全て合わせた時間となる。このレイテンシが大きい場合、観察者が視点位置を早く動かしながら3次元映像を観察したときに、設計された光学視域を超えてサイドローブを観察することになり、視認性が悪化する。 【0008】 そこで、本発明は、要素画像を高速に生成できる要素画像生成装置及びそのプログラムを提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 前記課題を解決するため、本発明に係る要素画像生成装置は、光線追跡法及び視点追従を用いて、表示手段及びレンズアレイを備える3次元ディスプレイが表示する要素画像を生成する要素画像生成装置であって、視点位置算出部と、移動速度計算部と、画素所属決定部と、光線ベクトル算出部と、光線更新判定部と、光線更新部と、を備える構成とした。 【0010】 かかる構成によれば、視点位置算出部は、観察者の顔画像が入力され、入力された顔画像から観察者の視点位置を算出する。 移動速度計算部は、視点位置算出部が算出した視点位置の変化から視点位置の移動速度を算出する。 画素所属決定部は、視点位置からレンズアレイの各要素レンズを表示手段に投影した投影レンズ領域を求め、投影レンズ領域に含まれる表示手段の各画素が投影レンズ領域に対応した要素レンズに所属すると決定する。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する