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公開番号2025021207
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-13
出願番号2023124978
出願日2023-07-31
発明の名称インバート部構造体の施工方法
出願人株式会社奥村組,日本コンクリート工業株式会社
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類E21D 11/08 20060101AFI20250205BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】既存のトンネル覆工体が変形するのを、安定した状態で効果的に回避させることが可能なインバート部構造体の施工方法を提供する。
【解決手段】トンネル30の横断方向の一方の片側領域55Xに、他方の片側領域55Yに先行して、複数のPCaコンクリートブロック20を縦横に連設配置することにより一方側ブロック群20Xを形成する際に、トンネル30の横断方向に連設する少なくとも一列のブロック列20Zを、隣接する受台部31cとの間の隙間21a、隣接するPCaコンクリートブロック20との間の隙間21b、及び他方の片側領域55Yの基礎底盤61の端面部分61aとの間の間隔部分63に、充填固化材22を充填して固化させることで、ブロック列20Zの部分において、周方向に一体として環状に連続する第1閉合部分覆工体65を形成する工程を含んでいる。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
山岳トンネルのインバート部に設けられるインバート部覆工体を構成する、PCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体の施工方法であって、
前記PCaコンクリートブロックは、前記インバート部覆工体の横断面形状に沿った湾曲形状を備えるように、湾曲する上面部及び下面部を有する六面体形状のブロックとして形成されており、
前記トンネルの横断方向の一方の片側領域及び他方の片側領域の各々において、複数の前記PCaコンクリートブロックが、隣接する側壁部覆工体の下端部の受台部との間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設配置されてインバート部に設置されていると共に、トンネルの軸方向にもまた、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、連設配置されてインバート部に設置されていることで、一方側ブロック群及び他方側ブロック群を形成しており、これらの一方側ブロック群及び他方側ブロック群の各々における、縦横に連設配置された複数の前記PCaコンクリートブロックが、隣接する各々の前記受台部との間の隙間、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間の隙間、前記一方側ブロック群と前記他方側ブロック群との間の間隔部分、及びこれらの隙間や間隔部分と連通する前記六面体形状の下面部の下方の隙間に、充填固化材を充填して固化させることによって、充填固化材を介して一体化された状態となることで、前記インバート部覆工体が形成されるようになっており、
前記トンネルの横断方向の一方の片側領域に、他方の片側領域に先行して、複数の前記PCaコンクリートブロックを縦横に連設配置することにより前記一方側ブロック群を形成する際に、トンネルの横断方向に連設する少なくとも一列のブロック列を、隣接する前記受台部との間の隙間、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間の隙間、及び他方の片側領域の基礎底盤の端面部分との間の間隔部分に、充填固化材を充填して固化させることによって、当該少なくとも一列のブロック列の部分において、周方向に一体として環状に連続する第1閉合部分覆工体を形成する工程を含んでいるインバート部構造体の施工方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
山岳トンネルのインバート部に設けられるインバート部覆工体を構成する、PCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体の施工方法であって、
前記PCaコンクリートブロックは、前記インバート部覆工体の横断面形状に沿った湾曲形状を備えるように、湾曲する上面部及び下面部を有する六面体形状のブロックとして形成されており、
前記トンネルの横断方向の一方の片側領域及び他方の片側領域の各々において、複数の前記PCaコンクリートブロックが、隣接する側壁部覆工体の下端部の受台部との間、及び隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、トンネルの横断方向に連設配置されてインバート部に設置されていると共に、トンネルの軸方向にもまた、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間に隙間を保持した状態で、連設配置されてインバート部に設置されていることで、一方側ブロック群及び他方側ブロック群を形成しており、これらの一方側ブロック群及び他方側ブロック群の各々における、縦横に連設配置された複数の前記PCaコンクリートブロックが、隣接する各々の前記受台部との間の隙間、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間の隙間、前記一方側ブロック群と前記他方側ブロック群との間の間隔部分、及びこれらの隙間や間隔部分と連通する前記六面体形状の下面部の下方の隙間に、充填固化材を充填して固化させることによって、充填固化材を介して一体化された状態となることで、前記インバート部覆工体が形成されるようになっており、
前記トンネルの横断方向の他方の片側領域に、一方の片側領域に後続して、複数の前記PCaコンクリートブロックを縦横に連設配置することにより前記他方側ブロック群を形成する際に、トンネルの横断方向に連設する少なくとも一列のブロック列を、隣接する前記受台部との間の隙間、隣接する前記PCaコンクリートブロックとの間の隙間、及び前記一方の片側領域に先行して形成された前記一方側ブロック群による一方側構造体における、他方の片側領域側の端面部分との間の間隔部分に、充填固化材を充填して固化させることによって、当該少なくとも一列のブロック列の部分において、周方向に一体として環状に連続する第2閉合部分覆工体を形成する工程を含んでいるインバート部構造体の施工方法。
【請求項3】
既存のトンネル覆工体の複数の所定の位置に、変位計測機器を取り付けておき、前記第1閉合部分覆工体を形成する工程、又は前記第2閉合部分覆工体を形成する工程では、変位が計測された前記変位計測機器が取り付けられた位置と近接する、トンネルの横断方向に連設する少なくとも一列のブロック列の部分において、周方向に一体として環状に連続する前記第1閉合部分覆工体又は前記第2閉合部分覆工体を形成するようになっている請求項1又は2記載のインバート部構造体の施工方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インバート部構造体の施工方法に関し、特に、山岳トンネルにおけるPCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体の施工方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
山岳トンネルは、岩盤等の自立していて比較的安定した地盤を掘削して形成されるトンネルであり、掘削された内壁面は、コンクリートやモルタルによる一次覆工や二次覆工によって覆われるようになっている。すなわち、山岳トンネルの内壁面は、例えば発破等を実施しながらトンネルを掘削した後に、好ましくはモルタルやコンクリートを吹付けて一次覆工を行うことにより防護層を形成してから、形成した一次覆工による防護層の内側に、例えば公知のトンネル覆工型枠を設置して、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に、コンクリートによる所定の厚さの覆工体を、二次覆工として形成する。さらに、先行して形成されたトンネルの両側の側壁部から上部のアーチ形状部分に至る覆工体における、一対の側壁部の下端部の受台部の間の部分に、底部のインバート部の覆工体を、トンネルの横断方向にコンクリートを用いて所定の厚さで一体しして形成することにより、山岳トンネルの内壁面の全周を、二次覆工によって連続して覆うようになっている。
【0003】
また、山岳トンネルは、比較的安定した地盤を掘削して形成されるものであることから、例えば数十年以上前に構築されたトンネルは、インバート部の覆工体を省略して、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に至る領域にのみ、覆工体を形成して二次覆工を行っているものがある。このようなインバート部の覆工体を省略した山岳トンネルに対しては、例えば将来、底盤部の盤膨れ等による影響が生じないように、インバート部の覆工体を新たに形成することが検討されている。
【0004】
トンネルの底部に、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分に先行して設けられた覆工体と連続させて、インバート部の覆工体を形成する方法としては、従来より、現場打ちコンクリートを用いたものが一般的であるが(例えば、特許文献1参照)、インバート部の覆工体は、湾曲した形状となるように上面を仕上げるのに、高度な熟練を要することになる。また、現場打ちコンクリートを用いた場合、打設されたコンクリートは、硬化した後に所定の養生期間が経過するまでに、相当の時間を要することから、特にインバート部の覆工体を省略した側壁部から上部のアーチ形状部分の覆工体に、新たにインバート部の覆工体を形成する場合には、長期間、トンネル内の通行を遮断することになるため、より短期間で、工事を終了できるようにすることが望ましい。
【0005】
このようなことから、インバート部の覆工体を、予め工場等において製造された、プレキャストコンクリート製のコンクリート部材を用いて形成することによって、工期の短縮を図ることも検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。また、例えば数十年以上前に構築された既存の山岳トンネルに、インバート部の覆工体をプレキャストコンクリート製のコンクリート部材(ブロック)を用いて新たに形成する場合、トンネルでの通行を全面的に遮断することなく、通行路での通行を確保したまま、工事を行なえるようにすることが望ましいことから、山岳トンネルのインバート部の覆工体を、トンネルの横断方向における片側領域毎に施工できるようにする技術も開発されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-159060号公報
特開2013-28898号公報
特開2018-123528号公報
特開2000-145390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4に記載のインバートの形成方法では、トンネルの横断方向における他方の片側領域の通行路での通行を確保したまま、一方の片側領域の通行路及びこれの下方の基礎底盤を掘削して、掘削溝を形成した後に、形成した掘削溝の底部に、インバート部を構成する複数のブロックを、並べて配置するようになっており、また通行が確保された他方の片側領域の、通行路の下方の基礎底盤の側面は、当該他方の片側領域に隣接して配置されるブロックの立ち上り部によって、土留めされるようになっている。
【0008】
また、本願出願人等は、例えば特願2023-058346号において、インバート部の覆工体を構成する、PCaコンクリートブロックを用いたインバート部構造体を、トンネルの横断方向における片側領域毎に施工する際に、他方の片側領域の通行路及びこれの下方の基礎底盤を、簡易な構成により安定した状態で保持しながら、一方の片側領域において形成することを可能にする、インバート部構造体の施工方法を提案している。
【0009】
しかしながら、これらの従来のコンクリートブロックを用いたインバート部の施工方法では、例えばトンネルの横断方向における他方の片側領域に先行して、一方の片側領域のインバート部構造体を形成する際に、当該一方の片側領域のインバート部分の基礎底盤を掘削すると、トンネルの側壁部から上部のアーチ形状部分の既存のトンネル覆工体と、インバート部分の基礎底盤とが一体となって構成されていた、横断面において湾曲環状に連続する環状支持構造体が、掘削された基礎底盤の部分で不連続となる。このような既存のトンネル覆工体と基礎底盤による環状支持構造体が不連続となっている状態が、例えば一方の片側領域のインバート部構造体と他方の片側領域のインバート部構造体とが一体化されて覆工体が閉合されるまでの間、長期間に亘って継続すると、周囲の地盤の地質等によっては、既存のトンネル覆工体が変形して、これらの周囲の地盤に影響を及ぼすようになることが考えられる。
【0010】
このため、山岳トンネルの一方の片側領域又は他方の片側領域において、基礎底盤の部分を掘削してから、一方の片側領域のインバート部構造体と他方の片側領域のインバート部構造体とが一体化されて覆工体が閉合されるまでの間、既存のトンネル覆工体が変形し易くなるのを、安定した状態で回避できるようにする施工方法の開発が望まれている。
(【0011】以降は省略されています)

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