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公開番号2025012820
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023115947
出願日2023-07-14
発明の名称赤外線分光装置
出願人株式会社アイシン
代理人弁理士法人プロスペック特許事務所
主分類G01J 3/14 20060101AFI20250117BHJP(測定;試験)
要約【課題】 SPRを利用して赤外線を分光することができるコンパクトな構成の赤外線分光装置を提供すること。
【解決手段】 赤外線分光装置1Aは、表面21に回折格子構造23が形成されるとともに、表面21に特定の入射角度(特定角度θa)にて赤外線が入射したときに表面プラズモン共鳴を励起することができるように構成された金属薄膜20と、金属薄膜20の裏面22側に設けられ、内部を赤外線が通過することにより発電することができるように構成された発電部30と、発電部30での発電によって発電部30を流れる電流を検出する電流検出部70と、を備える。
【選択図】 図1A
特許請求の範囲【請求項1】
表面に回折格子構造が形成されるとともに、前記表面に特定の入射角にて赤外線が入射したときに表面プラズモン共鳴を励起することができるように構成された金属薄膜と、
前記金属薄膜の裏面側に設けられ、内部を赤外線が通過することにより発電することができるように構成された発電部と、
前記発電部での発電によって前記発電部を流れる電流を検出する電流検出部と、
を備える、赤外線分光装置。
続きを表示(約 190 文字)【請求項2】
請求項1に記載の赤外線分光装置であって、
前記金属薄膜の膜厚が、20nm以上且つ60nm以下である、赤外線分光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の赤外線分光装置であって、
前記金属薄膜と前記発電部との間に介在するように前記金属薄膜の裏面側に設けられ、赤外線を透過する材料により構成される透過層を備える、赤外線分光装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、表面プラズモン共鳴を利用した赤外線分光装置に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)を利用した各種装置が知られている。
【0003】
特許文献1は、入射した光を電気信号に変換して出力する受光面を有する光電変換素子と、光を透過するレジスト材料により上記受光面上にストライプ状に形成されて入射光の照射を受けることにより表面プラズモンを誘起させるグレーティング構造体と、グレーティング構造体及び露出する受光面を覆うように形成された導電体と、光電変換素子により生成された電圧信号を出力する出力電極と、を有するセンサを開示する。特許文献1に開示のセンサによれば、光がセンサ表面の回折格子構造を通過する際に生じるSPRにより励起される電流を検出することにより、SPRが生じる入射角を検出し、検出した入射角に基づいてセンサを通過するガスを特定することができる。
【0004】
特許文献2は、半導体層と、半導体層上に設けられた凸部を有する有機半導体と、半導体層及び凸部上に設けられ、プラズモン共鳴を促進する金属を有する金属層と、を有する光検出器を開示する。特許文献2に開示の光検出器によれば、有機半導体を用いて回折格子の大きさを最適化することで、検出感度の向上を図ることができる。
【0005】
特許文献3は、受光面を有する板状の回転部と、支持部材に固定可能に形成された固定部と、回転部の外縁端部の一部に接続されて回転部と固定部とを接続する接続部と、回転部の受光面と電気的に接続された電極部とを備える分光用デバイスを開示する。この分光用デバイスの回転部は、受光面の上下方向に回転し、受光面に所定の波長の光が照射された際に表面プラズモン共鳴が生じるように構成される。特許文献3に開示の分光用デバイスによれば、表面プラズモン共鳴を生じさせるための入射角度をMEMS技術を用いて変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2012-233779号公報
特許第6245495号明細書
特開2019-128157号公報
【発明の概要】
【0007】
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1、2、3に開示の技術は、いずれも、特定の角度で入射した光により引き起こされるSPRによって励起された電子を電流として検出することにより、光の入射角を検出する技術である。しかしながら、SPRによって励起される電流は非常に小さく、未だ高出力化する技術は見出されていない。また、光の波長が長くなるほど光のエネルギーは小さくなり、このため波長の長い赤外線により引き起こされるSPRによって励起される電子のエネルギーは特に小さい。
【0008】
また、SPRによって励起された電子は、半導体層に移動する際にショットキー障壁を乗り越えなければならない。ここで、上述したように、赤外線により引き起こされるSPRによって励起された電子のエネルギーは特に小さいので、ショットキー障壁を乗り越えることができない可能性が高い。なお、通常のシリコン基板を用いる場合、SPRを引き起こすための金属薄膜がどのようなものであっても、ショットキー障壁の高さが常に一定になるバーディーンモデルが適用される。これは別名、ピニング現象と言われ、ショットキー障壁の高さを低くすることができない。したがって、SPRによって励起された電子を電流として観測することは困難である。そのため、従来では、プリズムを用いて入射する赤外線の波長ごとの屈折率の違いによって光を分光し、分光されたそれぞれの光の経路に赤外線検出素子を配置し、赤外線を検出した素子の位置と波長の関係から、赤外線を検出していた。しかしながら、このような構成の装置は大型化を招くために好ましくない。
【0009】
本開示は、SPRを利用して赤外線を分光することができるコンパクトな構成の赤外線分光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、表面に回折格子構造が形成されている金属薄膜の表面に入射した光によりSPRが生じているときに金属薄膜を透過する光の強度が大幅に増加することを利用して、赤外線を分光することができる分光装置を開発した。すなわち、本開示は、表面に回折格子構造が形成されるとともに、前記表面に特定の入射角にて赤外線が入射したときに表面プラズモン共鳴を励起することができるように構成された金属薄膜と、前記金属薄膜の裏面側に設けられ、内部を赤外線が通過することにより発電することができるように構成された発電部と、前記発電部での発電によって前記発電部を流れる電流を検出する電流検出部と、を備える、赤外線分光装置を提供する。
(【0011】以降は省略されています)

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