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公開番号2025006980
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-17
出願番号2023108065
出願日2023-06-30
発明の名称ウレタン発泡成形体
出願人住友理工株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C08L 75/04 20060101AFI20250109BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 熱伝導性および耐熱性に優れるウレタン発泡成形体を提供する。
【解決手段】 ウレタン発泡成形体は、ポリウレタンフォームからなる基材と、該基材中に配向して含有されている複合粒子と、該基材中に分散している第一絶縁性無機粒子と、を有する。該複合粒子は、熱伝導性粒子と、該熱伝導性粒子の表面にバインダーにより接着された磁性粒子と、を有する。該熱伝導性粒子は膨張黒鉛粒子を有し、該膨張黒鉛粒子に含まれるアルカリ金属イオンの量は500ppm以上2000ppm以下である。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリウレタンフォームからなる基材と、該基材中に配向して含有されている複合粒子と、該基材中に分散している第一絶縁性無機粒子と、を有し、
該複合粒子は、熱伝導性粒子と、該熱伝導性粒子の表面にバインダーにより接着された磁性粒子と、を有し、
該熱伝導性粒子は膨張黒鉛粒子を有し、該膨張黒鉛粒子に含まれるアルカリ金属イオンの量は500ppm以上2000ppm以下であることを特徴とするウレタン発泡成形体。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記アルカリ金属イオンは、ナトリウムイオンを有する請求項1に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項3】
前記複合粒子の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の5体積%以上50体積%以下である請求項1に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項4】
前記第一絶縁性無機粒子の含有量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の5体積%以上20体積%以下である請求項1に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項5】
前記第一絶縁性無機粒子の熱伝導率は、5W/m・K以上である請求項1に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項6】
前記第一絶縁性無機粒子は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカから選ばれる一種以上を有する請求項1に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項7】
前記複合粒子は、前記熱伝導性粒子の表面にバインダーにより接着された第二絶縁性無機粒子を有する請求項1に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項8】
前記第二絶縁性無機粒子は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカから選ばれる一種以上を有する請求項7に記載のウレタン発泡成形体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、熱伝導性が高いウレタン発泡成形体に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
自動車などの車両においては、車外や車室に漏れる騒音を低減するために、エンジン、トランスミッションなどから発生する騒音の低減対策が講じられている。電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)においては、インバーター、モーター、ギアボックスなどからなる電動パワートレインの駆動音も低減の対象である。騒音対策としては、例えば、ポリウレタンフォームなどの発泡体からなる防音材が用いられる。発泡体は、内部に多数のセル(気泡)を有するため熱伝導率が小さい。このため、発熱を伴う騒音源の周囲に配置した場合、熱が蓄積され不具合を生じるおそれがある。
【0003】
発泡体を用いた防音材の放熱性を向上させるという観点から、例えば特許文献1には、ポリウレタンフォーム中に、膨張黒鉛などの熱伝導性粒子、磁性粒子、および絶縁性無機粒子が複合化した複合粒子を配向させて配置して、その配向方向に熱の伝達経路を形成することにより放熱性を向上させたウレタン発泡成形体が記載されている。また、同文献には、ポリウレタンフォーム中に、複合粒子とは別に絶縁性無機粒子を分散させることにより、電気絶縁性を付与し、絶縁性無機粒子の特性に応じて放熱性や難燃性を向上できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2013/042611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のウレタン発泡成形体には、耐熱性が低いという課題、具体的には、150℃程度の高温下に置かれると伸びなどの物性が低下してしまうという課題がある。耐熱性が低いと、車両に搭載される各種ECU(Electronic Control Unit)、ジャンクションボックスなどの、高温になる部品に適用することは難しい。上記特許文献1においては、ウレタン発泡成形体の熱伝導性および電気絶縁性を評価しているのみで、耐熱性については検討されていない。
【0006】
本開示は、このような実情に鑑みてなされたものであり、熱伝導性および耐熱性に優れるウレタン発泡成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するため、本開示のウレタン発泡成形体は、ポリウレタンフォームからなる基材と、該基材中に配向して含有されている複合粒子と、該基材中に分散している第一絶縁性無機粒子と、を有し、該複合粒子は、熱伝導性粒子と、該熱伝導性粒子の表面にバインダーにより接着された磁性粒子と、を有し、該熱伝導性粒子は膨張黒鉛粒子を有し、該膨張黒鉛粒子に含まれるアルカリ金属イオンの量は500ppm以上2000ppm以下であることを特徴とする。
【0008】
本開示のウレタン発泡成形体は、基材中に配向して配置されている複合粒子と、基材中に分散している第一絶縁性無機粒子と、を有する。熱伝導性粒子を核とする複合粒子が数珠状に連なることにより、基材中に熱の伝達経路が形成される。これにより、所望の熱伝導性を実現することができる。熱伝導性粒子は膨張黒鉛粒子を有する。膨張黒鉛粒子は、鱗片状の黒鉛の層間に加熱によりガスを発生する物質を挿入して製造される。膨張黒鉛粒子に熱が加わると、発生したガスにより、層間が広がると共に、熱や化学品に対して安定した層が形成される。この安定層が断熱層となり、熱の移動を妨げる。これにより、ウレタン発泡成形体に難燃性が付与される。第一絶縁性無機粒子は、絶縁性を有する無機材料の粒子である。第一絶縁性無機粒子が存在することにより、複合粒子同士が導通しにくくなり、ウレタン発泡成形体に電気絶縁性が付与される。また、第一絶縁性無機粒子の熱伝導率が比較的大きい場合には、複合粒子による熱の伝達経路に加えて、第一絶縁性無機粒子による熱の伝達経路も形成される。これにより、ウレタン発泡成形体の熱伝導性がより向上する。また、第一絶縁性無機粒子が難燃性を有する場合には、ウレタン発泡成形体の難燃性が向上する。
【0009】
本発明者は、ウレタン発泡成形体における耐熱性の課題を解決するために、複合粒子を構成する膨張黒鉛粒子に着目して検討を重ねた結果、膨張黒鉛粒子に含まれるアルカリ金属イオンの量が、ウレタン発泡成形体の耐熱性を低下させる一因になっていることを突き止めた。一般に、膨張黒鉛は、黒鉛を硫酸および酸化剤などで酸化処理した後、表面に付着した酸性物質を中和剤で中和処理して製造される。中和剤には、アルカリ金属化合物、アンモニアなどが用いられるため、膨張黒鉛の表面に中和剤が残存していると、それが基材のポリウレタンフォームに含まれる水と反応して、アルカリ性の雰囲気を生成する。この状態で高温に晒されると、ポリウレタンの加水分解が促進され、劣化が進行すると推測される。また、アルカリ性の雰囲気においては、第一絶縁性無機粒子が溶解するおそれもある。
【0010】
そこで、膨張黒鉛粒子に含まれるアルカリ金属イオンの量を、500ppm以上2000ppm以下に制限した。アルカリ金属イオンの量を2000ppm以下にすることにより、ポリウレタンフォームがアルカリ性に傾きすぎるのを抑制することができる。これにより、ポリウレタンの加水分解が抑制され、第一絶縁性無機粒子が溶解しにくくなる。結果、ウレタン発泡成形体が高温下に置かれた場合でも、ポリウレタンの劣化を抑制し、伸びなどの物性の低下を抑制することができる。他方、膨張黒鉛粒子の層間化合物の影響により、ウレタン発泡成形体を製造するための原料が酸性に傾く場合があり、発泡硬化反応に影響を及ぼすおそれがある。よって、アルカリ金属イオンの量を500ppm以上にすることにより、原料のpHバランスがとれ、成形性への影響を少なくすることができる。以上より、本開示のウレタン発泡成形体は、熱伝導性および耐熱性に優れる。
(【0011】以降は省略されています)

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