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公開番号
2024159073
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023074832
出願日
2023-04-28
発明の名称
データ作成方法、データ作成プログラム、及びデータ作成装置
出願人
浜松ホトニクス株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
G02F
1/01 20060101AFI20241031BHJP(光学)
要約
【課題】所望の時間強度波形及び波長成分を有する光を精度良く実現するためのSLMの変調パターンを得る。
【解決手段】このデータ作成方法は、空間光変調器を制御するデータを作成する方法である。このデータ作成方法は、第1ステップST1と、第2ステップST2と、第3ステップST3と、を含む。第1ステップST1では、複数の初期位相スペクトル関数を準備する。第2ステップST2では、複数の初期位相スペクトル関数それぞれを用いて、空間光変調器を制御し得る複数の予備データそれぞれを生成する。第3ステップST3では、複数の予備データの中から少なくとも一つの予備データを選択して、SLMを制御するデータとする。
【選択図】図18
特許請求の範囲
【請求項1】
空間光変調器を制御するデータを作成する方法であって、
複数の初期位相スペクトル関数を準備する第1ステップと、
前記複数の初期位相スペクトル関数それぞれを用いて、前記空間光変調器を制御し得る複数の予備データそれぞれを生成する第2ステップと、
前記複数の予備データの中から少なくとも一つの予備データを選択して前記空間光変調器を制御する前記データとする第3ステップと、
を含み、
前記第2ステップは、
強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第1波形関数を、時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含む時間領域の第2波形関数に変換する第1変換ステップと、
時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含み、予め作成されたターゲット強度スペクトログラムに対応する時間領域の第3波形関数を、前記第2波形関数から求める第2変換ステップと、
前記第3波形関数を、強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第4波形関数に変換する第3変換ステップと、を含み、
前記第2ステップでは、前記第1波形関数を前記第4波形関数に置き換えながら前記複数の予備データのそれぞれに関して前記第1変換ステップ、前記第2変換ステップ、および前記第3変換ステップを繰り返し行い、繰り返し動作の最初における前記第1変換ステップにおいて前記複数の初期位相スペクトル関数それぞれを前記第1波形関数の前記位相スペクトル関数とし、繰り返し動作後に得られる前記第4波形関数の前記位相スペクトル関数に基づいて前記複数の予備データそれぞれを生成する、データ作成方法。
続きを表示(約 2,400 文字)
【請求項2】
前記ターゲット強度スペクトログラムは、中心波長が互いに異なる複数の光パルスを含む光パルス列に関する強度スペクトログラムである、請求項1に記載のデータ作成方法。
【請求項3】
前記ターゲット強度スペクトログラムにおける前記複数の光パルス間の中心波長差を、目標とする前記複数の光パルス間の中心波長差よりも大きく設定する、請求項2に記載のデータ作成方法。
【請求項4】
前記ターゲット強度スペクトログラムにおける前記複数の光パルス間の中心波長差を、目標とする前記複数の光パルス間の中心波長差の1.1倍よりも大きく設定する、請求項2に記載のデータ作成方法。
【請求項5】
前記ターゲット強度スペクトログラムにおける前記複数の光パルス間の中心波長差を、前記空間光変調器への入力光の波長帯域を(前記光パルス列のパルス本数-1)で除算した値よりも小さく設定する、請求項2~4のいずれか1項に記載のデータ作成方法。
【請求項6】
前記第2変換ステップは、
前記第2波形関数を、強度スペクトログラム及び位相スペクトログラムに変換するステップと、
前記強度スペクトログラムを前記ターゲット強度スペクトログラムに置き換えるとともに、前記位相スペクトログラムを拘束するステップと、
置き換え後の前記強度スペクトログラム及び拘束された前記位相スペクトログラムを、前記第3波形関数に変換するステップと、
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のデータ作成方法。
【請求項7】
前記第2変換ステップは、
前記第2波形関数に対し、前記ターゲット強度スペクトログラムに対応する目標波形に基づく前記時間強度波形関数の置き換えを行うステップと、
前記ターゲット強度スペクトログラムに前記第2波形関数のスペクトログラムが近づくように前記第2波形関数を修正するステップと、
修正後の前記第2波形関数から前記第3波形関数を生成するステップと、
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のデータ作成方法。
【請求項8】
空間光変調器を制御するデータを作成するためのプログラムであって、
複数の初期位相スペクトル関数を準備する第1ステップと、
前記複数の初期位相スペクトル関数それぞれを用いて、前記空間光変調器を制御し得る複数の予備データそれぞれを生成する第2ステップと、
前記複数の予備データの中から少なくとも一つの予備データを選択して前記空間光変調器を制御する前記データとする第3ステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記第2ステップは、
強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第1波形関数を、時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含む時間領域の第2波形関数に変換する第1変換ステップと、
時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含み、予め作成されたターゲット強度スペクトログラムに対応する時間領域の第3波形関数を、前記第2波形関数から求める第2変換ステップと、
前記第3波形関数を、強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第4波形関数に変換する第3変換ステップと、を含み、
前記第2ステップでは、前記第1波形関数を前記第4波形関数に置き換えながら前記複数の予備データのそれぞれに関して前記第1変換ステップ、前記第2変換ステップ、および前記第3変換ステップを繰り返し行い、繰り返し動作の最初における前記第1変換ステップにおいて前記複数の初期位相スペクトル関数それぞれを前記第1波形関数の前記位相スペクトル関数とし、繰り返し動作後に得られる前記第4波形関数の前記位相スペクトル関数に基づいて前記複数の予備データそれぞれを生成する、データ作成プログラム。
【請求項9】
空間光変調器を制御するデータを作成する装置であって、
複数の初期位相スペクトル関数を記憶する記憶部と、
前記複数の初期位相スペクトル関数それぞれを用いて、前記空間光変調器を制御し得る複数の予備データそれぞれを生成する予備データ生成部と、
前記複数の予備データの中から少なくとも一つの予備データを選択して前記空間光変調器を制御する前記データとするデータ選択部と、
を備え、
前記予備データ生成部は、
強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第1波形関数を、時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含む時間領域の第2波形関数に変換する第1変換部と、
時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含み、予め作成されたターゲット強度スペクトログラムに対応する時間領域の第3波形関数を、前記第2波形関数から求める第2変換部と、
前記第3波形関数を、強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第4波形関数に変換する第3変換部と、を有し、
前記予備データ生成部は、前記第1波形関数を前記第4波形関数に置き換えながら前記複数の予備データのそれぞれに関して前記第1変換部、前記第2変換部、および前記第3変換部の動作を繰り返し行い、繰り返し動作の最初における前記第1変換部において前記複数の初期位相スペクトル関数それぞれを前記第1波形関数の前記位相スペクトル関数とし、繰り返し動作後に得られる前記第4波形関数の前記位相スペクトル関数に基づいて前記複数の予備データそれぞれを生成する、データ作成装置。
【請求項10】
前記ターゲット強度スペクトログラムは、中心波長が互いに異なる複数の光パルスを含む光パルス列に関する強度スペクトログラムである、請求項9に記載のデータ作成装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ作成方法、データ作成プログラム、及びデータ作成装置に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び非特許文献1には、空間光変調器(Spatial Light Modulator:SLM)を用いてスペクトル位相及び/又はスペクトル強度を変調することにより、光パルスを成形する技術が開示されている。非特許文献1では、所望の光パルス波形を得るためのスペクトル位相及びスペクトル強度を、反復フーリエ法を用いて算出している。特許文献1では、時間強度波形を構成する光の波長成分(周波数成分)を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2018-036486号公報
【非特許文献】
【0004】
M. Hacker, G. Stobrawa, T. Feurer, “Iterative Fourier transformalgorithm for phase-only pulse shaping”, Optics Express, Vol. 9, No. 4, pp.191-199,13 August 2001
Olivier Ripoll, Ville Kettunen, Hans Peter Herzig, “Review ofiterative Fouriertransform algorithms for beam shaping applications”, OpticalEngineering, Vol. 43, No. 11, pp.2549-2556, November 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば超短パルス光といった種々の光の時間波形を制御するための技術として、光パルスのスペクトル位相及びスペクトル強度をSLMによって変調するものがある。このような技術では、光の時間強度波形を所望の波形に近づけるためのスペクトル位相及びスペクトル強度を算出し、そのスペクトル位相及びスペクトル強度を光に与えるための変調パターンをSLMに呈示させる。また、時間強度波形の形状の制御に加えて、時間強度波形を構成する光の波長成分(周波数成分)を制御することもできる(例えば特許文献1を参照)。複数の光パルスを含む出力光を生成する場合、複数の光パルス毎に波長を異ならせることによって、分散計測装置、レーザ加工装置、超高速撮像カメラ、テラヘルツ波発生装置など様々な装置への応用が可能となる。このような技術において、所望の時間強度波形及び波長成分を有する光を精度良く実現するための変調パターンを得ることは重要である。
【0006】
本開示は、所望の時間強度波形及び波長成分を有する光を精度良く実現するためのSLMの変調パターンを得ることができるデータ作成方法、データ作成プログラム、及びデータ作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]一形態のデータ作成方法は、SLMを制御するデータを作成する方法である。このデータ作成方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を含む。第1ステップでは、複数の初期位相スペクトル関数を準備する。第2ステップでは、複数の初期位相スペクトル関数それぞれを用いて、空間光変調器を制御し得る複数の予備データそれぞれを生成する。第3ステップでは、複数の予備データの中から少なくとも一つの予備データを選択して、SLMを制御する上記データとする。第2ステップは、第1変換ステップと、第2変換ステップと、第3変換ステップと、を含む。第1変換ステップでは、強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第1波形関数を、時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含む時間領域の第2波形関数に変換する。第2変換ステップでは、時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含み、予め作成されたターゲット強度スペクトログラムに対応する時間領域の第3波形関数を、第2波形関数から求める。第3変換ステップでは、第3波形関数を、強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第4波形関数に変換する。第2ステップでは、第1波形関数を第4波形関数に置き換えながら、複数の予備データのそれぞれに関して第1変換ステップ、第2変換ステップ、および第3変換ステップを繰り返し行う。その際、繰り返し動作の最初における第1変換ステップにおいて、複数の初期位相スペクトル関数それぞれを、第1波形関数の位相スペクトル関数とする。また、繰り返し動作後に得られる第4波形関数の位相スペクトル関数に基づいて、複数の予備データそれぞれを生成する。
【0008】
[2]一形態のデータ作成プログラムは、SLMを制御するデータを作成するためのプログラムである。このデータ作成プログラムは、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、をコンピュータに実行させる。第1ステップでは、複数の初期位相スペクトル関数を準備する。第2ステップでは、複数の初期位相スペクトル関数それぞれを用いて、空間光変調器を制御し得る複数の予備データそれぞれを生成する。第3ステップでは、複数の予備データの中から少なくとも一つの予備データを選択して、SLMを制御する上記データとする。第2ステップは、第1変換ステップと、第2変換ステップと、第3変換ステップと、を含む。第1変換ステップでは、強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第1波形関数を、時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含む時間領域の第2波形関数に変換する。第2変換ステップでは、時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含み、予め作成されたターゲット強度スペクトログラムに対応する時間領域の第3波形関数を、第2波形関数から求める。第3変換ステップでは、第3波形関数を、強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第4波形関数に変換する。第2ステップでは、第1波形関数を第4波形関数に置き換えながら、複数の予備データのそれぞれに関して第1変換ステップ、第2変換ステップ、および第3変換ステップを繰り返し行う。その際、繰り返し動作の最初における第1変換ステップにおいて、複数の初期位相スペクトル関数それぞれを、第1波形関数の位相スペクトル関数とする。また、繰り返し動作後に得られる第4波形関数の位相スペクトル関数に基づいて、複数の予備データそれぞれを生成する。
【0009】
[3]一形態のデータ作成装置は、SLMを制御するデータを作成する装置である。データ作成装置は、記憶部と、予備データ生成部と、データ選択部と、を備える。記憶部は、複数の初期位相スペクトル関数を記憶する。予備データ生成部は、複数の初期位相スペクトル関数それぞれを用いて、空間光変調器を制御し得る複数の予備データそれぞれを生成する。データ選択部は、複数の予備データの中から少なくとも一つの予備データを選択して空間光変調器を制御するデータとする。予備データ生成部は、第1変換部と、第2変換部と、第3変換部と、を有する。第1変換部は、強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第1波形関数を、時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含む時間領域の第2波形関数に変換する。第2変換部は、時間強度波形関数及び時間位相波形関数を含み、予め作成されたターゲット強度スペクトログラムに対応する時間領域の第3波形関数を、第2波形関数から求める。第3変換部は、第3波形関数を、強度スペクトル関数及び位相スペクトル関数を含む周波数領域の第4波形関数に変換する。予備データ生成部は、第1波形関数を第4波形関数に置き換えながら複数の予備データのそれぞれに関して第1変換部、第2変換部、および第3変換部の動作を繰り返し行う。その際、予備データ生成部は、繰り返し動作の最初における第1変換部において、複数の初期位相スペクトル関数それぞれを、第1波形関数の位相スペクトル関数とする。予備データ生成部は、繰り返し動作後に得られる第4波形関数の位相スペクトル関数に基づいて、複数の予備データそれぞれを生成する。
【0010】
一般的に、SLMに呈示する変調パターンを算出するためには、まず一つの初期位相スペクトル関数を用意し、繰り返し計算によって、位相スペクトル関数を、目的とする時間強度波形及び波長成分を実現可能な値に徐々に近づける。しかしながら、最終的に得られるスペクトル位相及びスペクトル強度は、初期位相スペクトル関数によって異なる。その結果、その位相スペクトル関数に基づく変調パターンをSLMに呈示させたとき、得られる光の時間強度波形及び波長成分も、初期位相スペクトル関数によって異なる。そこで、上記[1]~[3]のデータ作成方法、データ作成プログラム、及びデータ作成装置では、予め複数の初期値(初期位相スペクトル関数)を準備する。そして、第1変換ステップないし第3変換ステップ、または第1変換部ないし第3変換部において、初期位相スペクトル関数ごとに繰り返し計算を行い、得られた複数の予備データの中から、SLMを制御するデータとして少なくとも一つの予備データを選択する。これにより、所望の時間強度波形及び波長成分を有する光を精度良く実現するための変調パターンを含むデータを得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)
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