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公開番号
2024141922
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-10
出願番号
2023053802
出願日
2023-03-29
発明の名称
炭素繊維前駆体繊維束の製造方法、炭素繊維束の製造方法および炭素繊維束
出願人
三菱ケミカル株式会社
代理人
主分類
D01F
6/18 20060101AFI20241003BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約
【課題】本発明は、リグニンを含有させた炭素繊維前駆体繊維束であって、炭素繊維束にしたときに引張強度が高い炭素繊維束が得られる炭素繊維前駆体繊維束の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】アクリロニトリル共重合体とリグニンが溶媒に溶解した紡糸原液を吐出孔から吐出する炭素繊維前駆体繊維束の製造方法であって、リグニン中に含まれる不純物を取り除く除去工程を有する炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。前記除去工程が、リグニンを酸性水で洗浄する洗浄工程、リグニンが溶媒に溶解した溶解液をフィルターでろ過するろ過工程の1つ以上であること、前記洗浄工程の後に、前記ろ過工程を有すること、前記酸性水のpHが3~6であることなどが好ましい。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
アクリロニトリル共重合体とリグニンが溶媒に溶解した紡糸原液を吐出孔から吐出する炭素繊維前駆体繊維束の製造方法であって、
リグニン中に含まれる不純物を取り除く除去工程を有する炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
続きを表示(約 780 文字)
【請求項2】
前記除去工程が、リグニンを酸性水で洗浄する洗浄工程、リグニンが溶媒に溶解した溶解液をフィルターでろ過するろ過工程の1つ以上である請求項1に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
【請求項3】
前記洗浄工程の後に、前記ろ過工程を有する請求項2に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
【請求項4】
前記酸性水のpHが3~6である請求項2に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
【請求項5】
前記洗浄工程後のリグニンが溶剤に溶解した溶解液と、アクリロニトリル共重合体とを溶媒に混合して混合液にしたあと加熱し、アクリロニトリル共重合体とリグニンが溶媒に溶解した紡糸原液とする請求項2に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
【請求項6】
前記ろ過工程後の前記溶解液と、アクリロニトリル共重合体とを溶媒に混合して混合液にしたあと加熱し、アクリロニトリル共重合体とリグニンが溶媒に溶解した紡糸原液とする請求項2に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
【請求項7】
前記フィルターのろ過精度が0.08~2.0μmである請求項2に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
【請求項8】
前記溶媒が、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドから選ばれる1種以上である請求項1に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
【請求項9】
前記酸性水の温度が10~60℃である請求項2に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
【請求項10】
リグニン100質量部に対し、酸性水の量が300~900質量部である請求項2に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はリグニン含有炭素繊維前駆体繊維束の製造方法、炭素繊維束の製造方法及び炭素繊維束に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
炭素繊維は比強度、比弾性率に優れ、炭素繊維強化複合材料の強化繊維として用いることにより部材の大幅な軽量化が可能となることから、エネルギー利用効率の高い社会の実現に不可欠な材料の一つとして幅広い分野で利用されている。
【0003】
近年、自動車や電子機器筐体などを初めとしたコスト低減の要求の強い分野においても適用が進んでおり、成形コストまで含めた最終部材コストの低減が強く求められる。
また、炭素繊維のリサイクル等環境に配慮することも強く求められる。リグニンは石油原料をバイオベースに転換し、カーボンニュートラルに貢献するものであり、低コストにもなるため、その活用が望まれる。
特許文献1には、リグニンとポリアクリロニトリルもしくはポリアクリロニトリルコポリマーを、溶媒に溶解させたものを紡糸原料として、溶液紡糸法により前駆体繊維を得て、それを酸化したのちに炭化し、炭素繊維を得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2012/013070号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リグニンを含む炭素繊維前駆体繊維を加熱して得られた炭素繊維は高い強度が得られない課題がある。
本発明の目的は、リグニンを含有させた炭素繊維前駆体繊維束であっても、引張強度が高い炭素繊維束が得られる炭素繊維前駆体繊維束の製造方法、炭素繊維束の製造方法及び炭素繊維束を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]アクリロニトリル共重合体とリグニンが溶媒に溶解した紡糸原液を吐出孔から吐出する炭素繊維前駆体繊維束の製造方法であって、リグニン中に含まれる不純物を取り除く除去工程を有する炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[2]前記除去工程が、リグニンを酸性水で洗浄する洗浄工程、リグニンが溶媒に溶解した溶解液をフィルターでろ過するろ過工程の1つ以上である[1]に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[3]前記洗浄工程の後に、前記ろ過工程を有する[2]に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[4]前記酸性水のpHが3~6である[2]または[3]に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[5]前記洗浄工程後のリグニンが溶剤に溶解した溶解液と、アクリロニトリル共重合体とを溶媒に混合して混合液にしたあと加熱し、アクリロニトリル共重合体とリグニンが溶媒に溶解した紡糸原液とする[2]~[4]のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[6]前記ろ過工程後の前記溶解液と、アクリロニトリル共重合体とを溶媒に混合して混合液にしたあと加熱し、アクリロニトリル共重合体とリグニンが溶媒に溶解した紡糸原液とする[2]~[5]のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[7]前記フィルターのろ過精度が0.08~2.0μmである[2]~[6]のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[8]前記溶媒が、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドから選ばれる1種以上である[1]~[7]のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[9]前記酸性水の温度が10~60℃である[2]~[8]のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[10]リグニン100質量部に対し、酸性水の量が300~900質量部である[2]~[9]のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[11]リグニンを酸性水で洗浄した後、リグニン100質量部に対し、200~500質量部の水で洗浄し、乾燥させる[2]~[10]のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[12]前記乾燥の温度が70~95℃である[11]に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[13]前記乾燥させたリグニンを、真空乾燥機で乾燥させる[11]または[12]に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[14]リグニンとアクリロニトリル共重合体の合計量に対し、リグニンの含有量が5~45質量%である[1]~[13]のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[15]前記溶解液中のリグニンの含有量が5~45質量%である[2]~[14]のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[16]前記溶解液にさらに溶媒を加えてからアクリロニトリル共重合体を加える[5]に記載の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法。
[17][1]~[16]のいずれかに記載の製造方法で得られた炭素繊維前駆体繊維束を、酸化性雰囲気にて200℃~300℃の範囲の温度で加熱したのち、不活性雰囲気にて300℃~2000℃の範囲で加熱することを含む炭素繊維束の製造方法。
[18]硫黄元素の含有量が0.090質量%以上、ストランド試験における引張強度が1.75GPa以上、引張弾性率が175GPa以上である炭素繊維束。
[19]ナトリウム元素の含有量が70ppm(質量基準)以下である[18]に記載の炭素繊維束。
[20]カリウム元素の含有量が15ppm(質量基準)以下である[18]または[19]に記載の炭素繊維束。
[21]鉄元素の含有量が40ppm(質量基準)以下である[18]~[20]のいずれかに記載の炭素繊維束。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、リグニンを含有させた炭素繊維前駆体繊維束であって、炭素繊維束にしたときに引張強度が高い炭素繊維束が得られる炭素繊維前駆体繊維束の製造方法を提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法は、アクリロニトリル共重合体とリグニンが溶媒に溶解した紡糸原液を吐出孔から吐出する炭素繊維前駆体繊維束の製造方法であって、リグニン中に含まれる不純物を取り除く除去工程を有する。
今回、リグニンを含む炭素繊維前駆体繊維束を加熱して得られた炭素繊維束の高い強度が得られない原因として、リグニンの原料に含まれるナトリウム、カリウム、鉄元素の不純物が影響していること、別の原因として、酸性水に不溶な不純物が影響していることが分かった。
よって、これらの不純物を取り除くことが必要である。
【0009】
リグニンとして、本発明では化学的な手法で単離された単離リグニンを用いる。単離リグニンの中でも、紙パルプ製造プロセスの化学パルプ化時に発生するパルプ廃液から得られるリグニンは安価に入手できるために好ましい。
パルプ廃液から得られるリグニンの中でも水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムなどを用いた高温高圧反応による化学パルプ化手法であるクラフト法により発生するパルプ廃液から得られるリグニンであるクラフトリグニンを用いることが好ましい。クラフトリグニンは水には不要であり紡糸原液に用いる溶媒には可溶であるため、湿式紡糸法による繊維原料として用いるのに適しているために好ましい。
クラフトリグニンは広葉樹を原料としたもの、針葉樹を原料としたもののいずれを使用してもいい。中でも、針葉樹を原料としたクラフトリグニンは安価に入手できるために好ましい。
【0010】
本発明の炭素繊維前駆体繊維束の製造方法は、前記除去工程が、リグニンを酸性水で洗浄する洗浄工程、リグニンが溶媒に溶解した溶解液をフィルターでろ過するろ過工程の1つ以上であることが好ましい。
リグニンを酸性水で洗浄することで、不純物のナトリウム、カリウム、鉄元素が酸性水中に溶け出すので、不純物を除去することができる。
洗浄方法の一例として、ろ紙でろ過することでナトリウム、カリウム、鉄元素はろ液に含まれ、リグニンは残渣としてろ紙上に残るので、容易に除去することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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