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公開番号2024116853
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-28
出願番号2023022674
出願日2023-02-16
発明の名称火力発電システム、及び制御装置
出願人株式会社東芝,東芝エネルギーシステムズ株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類F22B 33/18 20060101AFI20240821BHJP(蒸気発生)
要約【課題】発電を抑制中のボイラの発生エネルギを用いて、発電を抑制中でない時の発電量の低下を抑制可能な火力発電システムを提供する。
【解決手段】
本実施形態に係る火力発電システムの燃焼ボイラは、搬送された水を、炭素原子を含む燃料を用いて燃焼することにより加熱して蒸気を生成する。蒸気タービンは、燃焼ボイラから流出した蒸気を用いて回転駆動する。発電機は、蒸気タービンの駆動力を用いて駆動する。復水器は、蒸気タービンの排気を冷却し、水に凝縮させる。ポンプは水を循環させる。二酸化炭素回収装置は、燃焼ボイラが排出する燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する。蓄熱槽は、燃焼ボイラから流出する蒸気、燃焼ボイラ内部を流通する蒸気又は水、の全部あるいは一部である熱源流体の保有熱を吸熱し蓄熱する。蓄熱槽から放熱された熱を二酸化炭素回収装置の熱源として利用する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
搬送された水を、炭素原子を含む燃料を用いて燃焼することにより加熱して蒸気を生成する燃焼ボイラと、
前記燃焼ボイラから流出した蒸気を用いて回転駆動する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンの駆動力を用いて駆動する発電機と、
前記蒸気タービンの排気を冷却し、水に凝縮させる復水器と、
前記水を循環させるポンプと、
前記燃焼ボイラが排出する燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記燃焼ボイラから流出する蒸気、前記燃焼ボイラ内部を流通する蒸気又は水、の全部あるいは一部である熱源流体の保有熱を吸熱し蓄熱する蓄熱槽と、
を備え、
前記蓄熱槽から放熱された熱を前記二酸化炭素回収装置の熱源として利用する、火力発電システム。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
電力余剰状態である時に蓄熱運転を実施し、前記熱源流体を前記蓄熱槽に流通させ、前記熱源流体から熱を吸熱して蓄熱させ、
電力余剰状態でない時に放熱運転を実施し、前記蓄熱槽から放熱された熱を前記二酸化炭素回収装置に供給して、前記二酸化炭素回収装置の熱源として利用させる、請求項1に記載の火力発電システム。
【請求項3】
蓄熱運転を実施する際に、前記熱源流体からの熱を前記蓄熱槽に蓄熱させると共に、前記熱源流体からの熱を前記二酸化炭素回収装置に供給して前記二酸化炭素回収装置の熱源として利用させる、請求項1又は2に記載の火力発電システム。
【請求項4】
電力余剰状態である時は前記燃焼ボイラを、電力余剰状態でない時と比べて、より低負荷運転にする、請求項1又は2に記載の火力発電システム。
【請求項5】
前記燃焼ボイラから流出した前記蒸気の流路は、前記蒸気タービンに流入する流路と、前記蒸気タービンに流入しないで前記蓄熱槽または前記二酸化炭素回収装置に流入する流路とに分岐可能であり、
電力余剰状態である時は前記蒸気タービンに前記蒸気を流通させない運転を実行する、請求項1又は2に記載の火力発電システム。
【請求項6】
蓄熱運転を実施する際は、前記熱源流体を前記蓄熱槽に流通させ、前記蓄熱槽から流出した前記熱源流体を前記燃焼ボイラに流入させる、請求項1又は2に記載の火力発電システム。
【請求項7】
放熱運転を実施する際は、前記蓄熱槽と前記二酸化炭素回収装置の間で熱媒体を循環させることで、前記蓄熱槽から前記二酸化炭素回収装置に熱を受け渡す、請求項1又は2に記載の火力発電システム。
【請求項8】
前記熱媒体は前記燃焼ボイラを流通する物質と同一物質であり、前記熱媒体の蓄熱運転時の流路と放熱運転時の流路が一部重複している、請求項7に記載の火力発電システム。
【請求項9】
前記熱源流体の熱を前記二酸化炭素回収装置に受け渡して利用する際は、前記熱源流体を前記二酸化炭素回収装置に流通させ、前記二酸化炭素回収装置から流出した前記熱源流体を前記燃焼ボイラに流入させる、請求項1又は2に記載の火力発電システム。
【請求項10】
前記熱源流体の熱を前記蓄熱槽に蓄熱すると同時に、前記熱源流体からの熱を前記二酸化炭素回収装置に受け渡して前記二酸化炭素回収装置の熱源として利用する際は、前記熱源流体を分岐し、前記二酸化炭素回収装置と前記蓄熱槽それぞれに流入させ、前記二酸化炭素回収装置と前記蓄熱槽それぞれから流出した前記熱源流体を前記燃焼ボイラに流入させる、請求項1又は2に記載の火力発電システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、火力発電システム、及び制御装置に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策は世界的な課題であり、温室効果ガスである二酸化炭素を回収して貯留する技術の適用が進められている。この技術では、石炭や天然ガスといった炭素原子を含む化石燃料を燃焼する火力発電所など二酸化炭素を大量に排出する施設から排出される排気を大気に放散する前に、排気の中から二酸化炭素だけを分離回収し、地中深くの安定した地層に圧入し、長期間にわたって貯留する。また、回収した二酸化炭素を有効利用する技術の適用も進められている。この技術では、例えば二酸化炭素を古い油田に注入することで、油田に残った原油を圧力で押し出しつつ、二酸化炭素を地中に貯留する。この場合、石油の増産にもつながっている。さらに、二酸化炭素を資源として化学品や燃料などの原料に使用して有価物を製造する取り組みも進んでいる。
【0003】
二酸化炭素回収方法として、二酸化炭素回収装置を用いる例が知られている(特許文献1参照)。この二酸化炭素回収装置は、水分を含有する吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔と、吸収塔から供給される吸収液から二酸化炭素を放出させる再生塔と、再生塔の吸収液を加熱するリボイラを有している。吸収液は例えばアミン水溶液である。なお、二酸化炭素回収方法は他に一般に知られている。
【0004】
従来技術としての火力発電システム200は、石炭火力発電所に二酸化炭素回収装置34を組み込んだ例である。図13は、この従来の火力発電システム200の構成例を示す図である。図13に示すように、火力発電システム200は、燃焼ボイラ1と、復水ポンプ9と、蒸気タービン10と、二酸化炭素回収装置34と、復水器35とを備えて構成される。
【0005】
ここで、燃焼ボイラ1は、例えば石炭ボイラであり、燃料2は石炭とする。燃焼ボイラ1(石炭ボイラ)に燃料2(石炭)と燃焼用空気3を入れ、石炭2を燃焼させ燃焼排ガス4を発生する。二酸化炭素回収装置34は主に吸収塔5と再生塔6と、再生塔6に内蔵されているリボイラと、吸収液ポンプと吸収液から構成される。なお、リボイラ、吸収液ポンプ、吸収液は図示を省略している。
【0006】
燃焼排ガス4は、吸収塔5内に導かれる。吸収塔には、二酸化炭素を吸収する吸収液が供給され、この供給された吸収液は、導入された燃焼排ガス4と気液接触して、燃焼排ガス4中の二酸化炭素を吸収する。これにより、吸収後の吸収液は再生塔6へ流入するが、その際、吸収液内の二酸化炭素7も再生塔6へ移動する。一方で、吸収液に二酸化炭素を吸収された残りの燃焼排ガスは、大気へ放出される。再生塔6は、吸収後の吸収液をリボイラにより加熱し、吸収液から二酸化炭素8を放出させる。二酸化炭素8を放出し元に戻った吸収液は吸収塔5へ流入する。この吸収液は、吸収液ポンプにより、吸収塔5と再生塔6の間を循環する。なお、二酸化炭素8の吸収塔5における吸収や、再生塔6における放出や、吸収塔5から再生塔6への移動は、詳細には描かず模式的に描いている。
【0007】
二酸化炭素8が回収された燃焼排ガス4は大気へ放出される。図示していないが、吸収液から放出させた二酸化炭素8は貯留先あるいは有価物製造先に搬送される。燃焼ボイラ1では、復水ポンプ9により搬入された水23を、燃焼排ガス4の熱により加熱し、蒸気24を製造する。蒸気24は、蒸気タービン10内を低温低圧になりながら流通することで、羽根車である蒸気タービン10を回転駆動させ、蒸気タービン10に機械的に接続させた発電機40が発電する。
【0008】
蒸気タービン10から排出された蒸気24は、復水器35により冷却水、例えば海水により冷却され、水23に変化して、循環する。蒸気タービン10の途中から抽気された抽気蒸気11は、再生塔6に内蔵されたリボイラに流入し、吸収後の吸収液を加熱した後、復水器35に流入し水23に変化する。また、バイオマス火力発電所や廃棄物燃焼発電所に二酸化炭素回収装置34を組み込むことも可能である。この場合には、前記例における石炭ボイラをそれぞれバイオマスボイラや廃棄物燃焼ボイラに置き換えた状態とすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許第6392099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、石炭火力発電所、バイオマス火力発電所、廃棄物燃焼発電所いずれにおいても、リボイラの加熱源として、火力発電プラント等の蒸気タービン内から抽気した抽気蒸気の熱を利用している。そのため、蒸気タービン内において抽気した場所より下流では、蒸気タービン内を流通している蒸気流量が減っており、その分、発電量が減少する。これにより、この発電量が減少するという課題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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