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公開番号2024080027
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-13
出願番号2022192842
出願日2022-12-01
発明の名称結晶欠陥要素の面内分布の予測方法及びこれを用いたシリコン単結晶の製造方法
出願人株式会社SUMCO
代理人個人,個人
主分類C30B 29/06 20060101AFI20240606BHJP(結晶成長)
要約【課題】炉内条件が異なる複数水準の結晶欠陥要素の面内分布を短時間で精度良く予測する方法を提供する。
【解決手段】本発明による予測方法は、単結晶育成中の温度勾配分布の決定因子を変化させて得られる複数水準(x1~x5)の結晶欠陥要素の面内分布を計算機シミュレーションにより計算する第1ステップS21と、複数水準の結晶欠陥要素の面内分布の各々を結晶径方向に分割して、結晶欠陥要素の制御値を結晶径方向の分割位置(d1~d3)毎に抽出する第2ステップS22と、結晶欠陥要素の制御値と水準との関係を示す近似式を分割位置毎に導出する第3ステップS23と、複数の近似式を用いて、追加水準(x')の結晶欠陥要素の制御値を分割位置毎に算出する第4ステップS24と、分割位置毎に算出された追加水準の結晶欠陥要素の制御値に基づいて、追加水準の結晶欠陥要素の面内分布を新たに生成する第5ステップS25とを備える。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
単結晶育成中の温度勾配分布の決定因子を変化させて得られる複数水準の結晶欠陥要素の面内分布を計算機シミュレーションにより計算する第1ステップと、
前記第1ステップで計算された前記複数水準の結晶欠陥要素の面内分布の各々を結晶径方向に分割して、前記結晶欠陥要素の制御値を結晶径方向の分割位置毎に抽出する第2ステップと、
前記第2ステップで抽出された前記結晶欠陥要素の制御値と前記水準との関係を示す近似式を前記分割位置毎に導出する第3ステップと、
前記第3ステップで前記分割位置毎に導出した複数の前記近似式を用いて、追加水準の結晶欠陥要素の制御値を前記分割位置毎に算出する第4ステップと、
前記第4ステップで前記分割位置毎に算出された前記追加水準の前記結晶欠陥要素の制御値に基づいて、前記追加水準の結晶欠陥要素の面内分布を新たに生成する第5ステップと、を備えることを特徴とするシリコン単結晶の結晶欠陥要素の面内分布の予測方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記温度勾配分布の決定因子は、シリコン融液の上方に設置され、前記シリコン融液から引上げられる前記シリコン単結晶を取り囲む熱遮蔽体の下端とシリコン融液の表面との間の距離であるギャップである、請求項1に記載のシリコン単結晶の結晶欠陥要素の面内分布の予測方法。
【請求項3】
前記温度勾配分布の決定因子は、シリコン融液の上方に設置され、前記シリコン融液から引上げられる前記シリコン単結晶を取り囲む熱遮蔽体の下端の開口の内径である、請求項1に記載のシリコン単結晶の結晶欠陥要素の面内分布の予測方法。
【請求項4】
前記温度勾配分布の決定因子は、シリコン融液の上方に設置され、前記シリコン融液から引上げられる前記シリコン単結晶を取り囲む熱遮蔽体の下端から径方向内側に張り出した膨出部の内径部の上端までの高さである、請求項1に記載のシリコン単結晶の結晶欠陥要素の面内分布の予測方法。
【請求項5】
前記計算機シミュレーションにより求める前記結晶欠陥要素のある決定因子である任意の炉内条件の水準数は、3以上7以下である、請求項1に記載のシリコン単結晶の結晶欠陥要素の面内分布の予測方法。
【請求項6】
前記結晶欠陥要素は、Grown-in欠陥を含む結晶欠陥であり、
前記結晶欠陥要素の制御値は、前記シリコン単結晶の引上速度である、請求項1に記載のシリコン単結晶の結晶欠陥要素の面内分布の予測方法。
【請求項7】
前記結晶欠陥要素は、熱応力であり、
前記結晶欠陥要素の制御値は、熱応力値である、請求項1に記載のシリコン単結晶の結晶欠陥要素の面内分布の予測方法。
【請求項8】
前記結晶欠陥要素の面内分布は、
OSF領域が発生する引上速度とPv領域が発生する引上速度との境界を示すOSF-Pv境界分布と、
前記Pv領域が発生する引上速度と前記Pi領域が発生する引上速度との境界を示すPv-Pi境界分布と、
前記Pi領域が発生する引上速度とL/DL領域が発生する引上速度との境界を示すPi-L/DL境界分布と、を含む、請求項6に記載のシリコン単結晶の結晶欠陥要素の面内分布の予測方法。
【請求項9】
前記複数水準及び前記追加水準の結晶欠陥要素の面内分布に基づいて、前記OSF-Pv境界分布の下限値と前記Pi-L/DL境界分布の上限値との差であるPvPiマージンの最大値が得られる前記温度勾配分布の決定因子の値を決定する第6ステップをさらに備える、請求項8に記載のシリコン単結晶の結晶欠陥要素の面内分布の予測方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載した結晶欠陥要素の面内分布の予測方法に基づいて設計された単結晶製造装置を用いて実際にシリコン単結晶の育成を行うことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機シミュレーションを用いた結晶欠陥要素の面内分布の予測方法及びこれを用いたチョクラルスキー法(CZ法)によるシリコン単結晶の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの基板材料となるシリコン単結晶の多くはCZ法により製造されている。CZ法は、石英ルツボ内に収容されたシリコン融液に種結晶を浸漬し、種結晶を石英ルツボと共に回転させながら徐々に引上げることにより、種結晶の下方に大きな直径の単結晶を成長させる。CZ法によれば、高品質のシリコン単結晶を高い歩留まりで製造することが可能である。
【0003】
CZ法により育成されるシリコン単結晶に含まれる結晶欠陥の種類及び分布は、結晶引上速度Vと結晶引上方向の結晶内温度勾配Gとの比であるV/Gに依存することが知られている。
【0004】
V/Gと結晶欠陥の種類及び分布との一般的な関係を図17に示す。図示のように、V/Gが大きい場合には空孔が過剰となり、その凝集体であるボイドが発生する。ボイドは一般的にCOP(Crystal Originated Particle)と称される結晶欠陥である。一方、V/Gが小さい場合には格子間シリコン原子が過剰となり、その凝集体である転位クラスターが発生する。COPや転位クラスターなどのGrown-in欠陥を含まないシリコン単結晶を育成するためには、V/Gの厳密な制御が必要である。
【0005】
COP及び転位クラスターを含まないシリコン単結晶であっても、その結晶品質は必ずしも同じでなく、熱処理された場合の挙動が異なる複数の領域を含んでいる。具体的には、COPが発生する領域と転位クラスターが発生するL/DL(Large Dislocation Loop)領域との間には、V/Gが大きいほうから順に、OSF領域、Pv領域、Pi領域の三つの領域が存在する。
【0006】
OSF領域とは、As-grown状態(単結晶成長後に何も熱処理されていない状態)で板状酸素析出物(OSF核)を含んでおり、高温(一般的には1000~1200℃)で熱処理した場合にOSF(Oxidation induced Stacking Fault)が発生する領域である。Pv領域とは、As-grown状態で酸素析出核を含んでおり、低温及び高温(例えば800℃と1000℃)の2段階の熱処理を施した場合に酸素析出物が発生しやすい領域である。Pi領域とは、As-grown状態で酸素析出核をほとんど含んでおらず、熱処理を施しても酸素析出物が発生しにくい領域である。こうしたPv領域とPi領域とを作り分けた高品質なシリコン単結晶を育成するためには、V/Gのさらに厳密な制御が必要である。
【0007】
結晶引上方向のV/Gは、結晶引上速度Vに大きく依存する。したがって、結晶引上方向のV/Gの制御は、結晶引上速度Vを調整することにより行われる。一方、結晶引上速度Vは、結晶引上方向と直交する単結晶の径方向のどの位置でも同じであるため、単結晶の径方向のV/Gを制御するためには、単結晶の径方向の温度勾配Gを調整する必要があり、単結晶の中心部における温度勾配Gと外周部における温度勾配Gの差が所定の範囲内に収まるようにチャンバー内に適切な高温領域(ホットゾーン)を構築する必要がある。単結晶の径方向の温度勾配Gは、シリコン融液の上方に設けられた熱遮蔽体によって制御され、これにより固液界面付近に適切なホットゾーンを構築することができる。
【0008】
シリコン単結晶の結晶欠陥分布をシミュレーションする方法に関し、例えば特許文献1には、点欠陥の拡散を、結晶成長軸に平行な拡散と、結晶径方向の拡散とを、それぞれ1次元の拡散として計算することにより、点欠陥濃度を短時間で正確に計算する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2016-013957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来は、結晶欠陥分布の決定因子である任意の炉内条件の最適な水準を決定する場合、任意の炉内条件における異なる複数の水準毎に計算機シミュレーションによる結晶欠陥分布の計算を繰り返し行っていた。しかし、結晶欠陥分布の計算には時間がかかることから、短時間で最適な水準を予測するためには、水準の数を際限なく増やすことはできず、ある程度の範囲に絞って水準を決める必要があった。そして、その限られた水準数で計算機シミュレーションを行い、そこから抽出された計算値を基に近似曲線を導出するため、最適な水準を予測する精度が低いという問題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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